eラーニング(e-Learning、イーラーニング)とは、パソコン、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器、インターネットを利用して教育、学習、研修を行うことです。「eラーニング」の日本での呼称は統一されておらず、「e-ラーニング」「e-Learning」「elearning」「イーラーニング」など表記の違いがあります。また、同じような用語として「Webラーニング」「ITラーニング」「ICTラーニング」「オンライン学習」など、様々な形で呼ばれています。
eラーニングはインターネットを通じて学習するため、集合研修と異なり時間や場所を選ばずに受講者個人の事情に応じて、いつでもどこでも学習でき、受講者個人の習熟度に合わせて自分のペースで学習できる点が特長です。そのため、以前は集合研修に参加できなかった受講者にも学習機会を提供することができるようになりました。
eラーニングはコンピュータ上で受講できる学習教材と、学習履歴やテストの成績などを把握管理するシステム(LMS 学習管理システム)を組み合わせたものが一般的で、教育担当者が集合研修を実施したり、紙で受講状況を管理する場合と比較して、大幅に手間を削減することができるようになりました。
目次
eラーニングの歴史
コンピュータを用いた学習や教育では、1970年代から80年代にCAI(コンピュータ支援教育: computer-assisted instruction)と呼ばれ、コンピュータを教育・学習活動の補助的な教具として利用することが普及の始まりでした。CD-ROMを活用しての学習などがそれにあたります。しかしCD-ROMを作成するためのコストがかかる、一度配布してしまうと内容の修正が難しい、各個人の進捗度を、一括して管理することが困難などの問題点を持っていました。
その後 WBT(web-based training)などの発展とともに、1990年代にeラーニングという表現が現れました。アメリカで開発されたeラーニングの技術やサービスが日本国内に入ったのは2000年あたりからです。eラーニングも当初は企業や学校、自宅にあるパソコンでの学習に限られていましたが、スマートフォンやタブレット機器が急速に普及するのに応じて、学習場所や時間を選ばないモバイルでの学習が可能になりました。
通信回線やコンピュータ、AV機器等を用いて遠隔地で教育機関の講義を受講することをディスタンスラーニング(distance learning)といいます。
教室にビデオカメラやマイクを持ち込んで、別の会場に衛星回線などを通じて中継するLIVE方式や受信側の教室でもカメラやマイクを用意し、受講生が遠隔地の講師に質問したり議論できるようにするなど双方向のシステムも開発されています。予備校などでは人気講師の授業を全国の校舎で同時に受講できるような仕組みも構築されています。
そして2019年12月に全世界に広まった新型コロナウイルスをきっかけに、各国でテレワークやWeb会議、オンライン授業の環境整備が急ピッチで進められました。日本でも新型コロナウイルス対策の中でテレワークの推進と研修のオンライン化の動きが加速しました。日本では、2020年のオリンピックを契機にテレワークが一気に推進されるとの予測でしたが、それが新型コロナウイルスによって前倒しとなり、最高レベルの緊急性・重要性の下で半ば無理矢理推し進められることになった格好です。もちろん一過性の面もありますが、東京商工リサーチが企業を対象に実施した民間企業のテレワーク実施率の調査によると、1回目の緊急事態宣言時には17.6%から56.4%へと上昇し、その後、緊急事態宣言解除後には低下するものの、2回目の緊急事態宣言時には38.4%に再上昇しています。
在宅でできることは在宅で、という考え方は今後も続いていくでしょう。また、最近では「マイクロラーニング」という、5分〜15分といった短時間で学習する方法が注目されています。eラーニングと相性がよく、スキマ学習にも向いているため、忙しい部署の社員でも受講が可能です。以上のことからもビジネスパーソンにとってeラーニングはますます身近になっていくものと思われます。

eラーニング導入のメリット
eラーニングを導入するメリットはたくさんあるようです。学習機会を提供する雇用者側と学習に取り組む従業員側、それぞれの視点からのメリットを紹介します。
雇用者視点でのメリット
雇用者視点でのメリットは、大きく分けるとコスト削減やデータ活用が可能になる点です。
大勢の受講者に教育を届けることができる
これはeラーニングの最大のメリットといえます。集合研修の場合、一人の講師が一回の講義でカバーできるのはせいぜい40-50名でしょう。仮に1000名の社員にコンプライアンス教育を行うとしたら、20回は同じ研修を行う必要があります。大げさに聞こえるかもしれませんが、eラーニングの場合は一つの教材を一度に数千人、数万人に配信することができるので、圧倒的に便利です!
教育の品質を統一できる
先程の20回のコンプライアンス研修を同時期に開催するとしたら、複数の講師を手配することになると思います。仮にテキストの内容が同じでも、講義の展開は講師次第です。講師も同じことを何度も何度も話さなければなりません・・・。体調を崩したりしていたらそれこそ大変です!しかしeラーニングの場合、どこで誰が受けても教材は同一ですので、講師の質に左右されることがありません。最も評価の高い講師の研修をeラーニング化して配信!なんてことも可能です。
時間と場所の確保がいらない
集合研修の場合、全国各地の拠点ごとに日程を組んで会場を決め、受講者に集まってもらう必要があります。スケジュール調整も大変ですし、その受講者も必ずその日に集まれるか?というとそうではありません。どうしても休まなければならない状態になった場合は、その受講者の為にスケジュールを組む必要もでてきます・・・。
eラーニングの場合、国内はもちろん、インターネット環境が許せば世界のどこへでも同じ教材を配信することができます。IT化が進んだ現代社会では「当たり前といえば当たり前」ですが、eラーニングが登場した当時は、「移動がいらない」というのは画期的なことでした。
コスト削減
eラーニングは、人材育成に掛かる経費、時間、労力、リスクといった様々なコストの削減を可能にします。
eラーニングは、集合学習で発生する場所の確保、講師選定やスケジュール調整、招集通知や出欠管理などの毎回の準備を省けます。場所は不要のため人数制限もなく一度に数千、数万という規模で実施することも可能。講師なしでも進めることができるなど、コスト面で比較しても大きな差が出るのです。
学習内容や資料も一度できあがってしまえば、毎回の作成やコピーも不要になります。従業員の業務スケジュールに影響しないので、業務負担やリスクを発生させずに学習効果を得ることができるのです!
従業員のスキルの統一化
毎回同じ学習コンテンツを使えることは、従業員の知識やスキルの統一化にもつながります。講師や研修が変わるごとに生じやすい内容の質の差も無くなるでしょう!何百人、何万人規模の従業員を対象にしても同一の内容を提供できます。
インターネット環境があれば、世界中どこでも同じ学習ができるため、地理的な問題もありません。個人レベルだけでなく、事業所レベルでの知識・スキル・情報の統一化が図れます。
容易な修正や変更
学習コンテンツが単一化されているため、修正や変更などが必要になってもシステム内での一回の編集で完結できます。「紙ベースで配布した後誤植が判明・・・」なんてことになったらとても面倒ですね。あちこちに散らばった情報の担当者への通知も、それぞれの処理の手間も要りません。必要な修正や変更をしそびれることも無くなるでしょう。
従業員の分析・評価が可能になる
学習している従業員の利用状況が記録に残せるため、進捗や理解度がチェックしやすくなります。残されるデータを基にすることで、適正な評価や、理解を促すための適切なフォローが可能になるのです。
従業員との良好なコミュニケーションの確立や公平な評価の実現は、従業員エンゲージメントの向上にも寄与するでしょう♪
集合研修に比べて低コスト
eラーニング導入の先駆である株式会社オートバックスセブンが試算を行ったところ、同社がeラーニングを用いて始めた教育施策を集合研修で行うと仮定した場合、eラーニングの4倍のコストがかかるという結果が出ています。
また、ある大手学習塾では、新人講師向けの初期教育として実施していた3時間×4コマの集合研修のうち1コマをeラーニングに置き換えることで、教壇に立つまでの期間の圧縮と、集合研修のトレーナーにかけていたコストを25%削減することに成功しました。
教育にかけられるコストは企業によって様々なので、一概に比較することはできませんが、eラーニングの導入により学習機会や対象者が拡大されれば、仮にコスト自体が増えたとしても、費用対効果はより高いと言えるでしょう。
上述のオートバックスセブンが試算対象とした教育も、eラーニングを導入したからこそ実施が可能になったものと考えられます。そうしたことを踏まえた評価が必要です。
教育施策にオリジナリティが出せる
企業の人材育成プランは自社の課題に基づいて設計されるのがベストです。もちろん、自社オリジナルの集合研修を開発することも可能ですが、基本的には専門家である講師のプログラムをベースにすることになります。
eラーニングの教材の調達方法はそれに比べると多様です。
- 既製品を買う
- オーダーメイドする
- 既製品をカスタマイズする
- 自社で制作(よく「内製」と言います)する
などという選択肢があります。これらを組み合わせて活用することで、自社の人材育成上の課題に対して最も理想的な教育施策を追求することが可能です。
(eラーニングの教材は「モノ」ですので、「ヒト」を相手にするよりも調整が楽で自由度が高いという点も実は重要なポイントです)
学習履歴を自動的に取ることができる
集合研修の実施結果を「数値化」するのは大変ですが、eラーニングの場合は学習を実施するごとに学習時間や進捗率、取得点数などが自動的にデータベースに記録されます。状況を把握したり、実施後のレポートのために集計を行ったりする手間は圧倒的に少なく済みますし、最初からデータ化されているので様々な軸での分析も可能です。
また、全ての情報が一つのデータベースに蓄積されていくので、ある受講者の学習履歴を一元管理し、必要なときに可視化することが可能です。その集合はビッグデータとなり、自社の人材の傾向分析や教育施策の検討に活用することが可能です。
受講者とのコミュニケーションが楽
eラーニングの管理システム(LMS)には、受講者とのコミュニケーション機能がついているのが普通です。集合研修を手で管理していた時代は、メールソフトを駆使して受講者に連絡を取っていたと思いますが、この場合、送信先のセットだけで一苦労。誤送信のリスクも高く、連絡回数を極力減らす方向に調整していたと思います。
LMSでは、バイネームでメールアドレスを指定するのではなく、「ある教材の配信対象者」や「ある教材の進捗率が50%未満の受講者」といった条件でメールを送信することができるので、手間もリスクも減らせます。自動配信機能も使えるので、事前にメールをセットしておくことも可能です。メールのほかにも掲示板などの機能も使えます。
従業員視点からのメリット
従業員の視点でのメリットとしては、何といっても時間的に縛られない点が挙げられます。
学習時間と場所が自由
インターネット環境さえ整っていれば、時間や場所を選ばない学習が可能になります。
集合研修に参加する従業員は、本業務をストップしなければならず、業務進行を妨げたり、顧客対応が遅れたりする懸念があるものです。業務が気になって研修への集中度が落ちたり、研修後の業務負担が大きくなったりする可能性もでてくるでしょう。
eラーニングなら、業務時間外でも自宅、通勤中、休憩中など、都合のよい時間に取り組むことができます。自分の業務に支障が出る心配もなく、集中して学習できるのです。
自分の理解ペースで理解が確実
学習において、個々の理解力や習得ペースには差があるものです。
集合研修のほとんどは、講師1~数名対複数。指導やサポートが行き届かないことも多く、大勢の前で恥ずかしくて質問できなかったり、場の流れに合わせて、知りたいことも分からないことも解決できないまま終わってしまうこともあるようです。
eラーニングは、聞き取れない、理解できない箇所は何度でも繰り返すことができます。また、何度でも復習できるため、理解を確実にし、結果的に効率的なスキル習得につなげられるのです。
手軽なので継続しやすい
パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどモバイル機器にも対応しているため、学習に取り組む前準備が要りません。起動してすぐに学習を開始することができます。学習プロセスをすべて端末内で完結できる手軽さは、学習の継続効果にもつながるようです。
受講者にとってのメリットは利便性に関するものが中心です。利便性は学習の動機を拡大し、ひいては学習効果につながっていきます。
eラーニング導入に必要なもの
eラーニングを導入するにあたって、必要なものを解説していきます。
インターネット環境
eラーニングを活用するためには、インターネット環境を整えておく必要があります。社内環境については、企業が担う範疇となるでしょう。
活用デバイス
現代では、ほとんどの人がパソコンやスマートフォンを所有しているでしょう。企業では、各従業員にスマートフォンやタブレットを貸与しているところもあります。いずれにしても、インターネット環境に適応するデバイスが必要です。
学習コンテンツ
学習の教材にあたる学習コンテンツの準備が必要です。eラーニングは、学習教材の準備にはコストを要します。種類としては、音声のみ、講義映像、アニメーション講義、パワーポイント資料などがあり、それぞれを組み合わせたものもあります。
学習コンテンツは、自社オリジナルの内容のコンテンツも制作できますし、すでにオンライン上で提供されている学習コンテンツやコースを選択して活用することも可能です。外部コンテンツは、サービス業者と法人契約を結んでの活用となるでしょう。コンテンツ制作は、自社で内製する方法と制作業者などに外部委託する方法があります。
実はeラーニングには「SCORM(スコーム)」という各際標準規格があり、この規格に沿ったコンテンツ制作によって、あるLMSで運用したeラーニングコンテンツとその履歴を別のLMSに移すことが可能です。学習コンテンツの国際標準規格のことをSCORM(スコーム)といいます。規定に沿うコンテンツ制作によって、再利用、アクセシビリティ、互換性などを実現します。
そのため、eラーニングを本格的に導入する際は、以下のようなやり方がおすすめです。
・まずLMSを選び、そのベンダーのeラーニングコンテンツのラインナップを確認する。
・希望のものがない場合は、他のベンダーのeラーニングコンテンツを探す。これを実践していくことで、LMSもeラーニングコンテンツも、自社に最適なものを選ぶことができます。
LMS(学習管理システム)
個人の成長が個人の財産となる学校とは違い、企業では個人の成長が会社の業績を左右します。教育サービスの提供側(企業)と受講側(従業員)が、運命共同体なのです。そのため、企業の人材育成シーンでは、学習目標とそれを達成するための体系的な教育を用意し、一人ひとりの社員が目標に到達するまでのプロセスを管理してあげるのが理想的です。
これを可能にするのがLMS(学習管理システム)です。
LMS(学習管理システム)とは、誰が、いつ、どの教材を、どのくらい閲覧したのか等の学習履歴やテストの点数、状況のデータの蓄積や分析および評価を一元化するシステムです。
これを集計し、社員の学習状況を管理者が定期的に確認することで、個人や組織全体の学習進捗率や達成度合い(学習内容の理解度)が分かるのです。
この仕組みを活用することで、進捗の悪い社員に学習を促す連絡をしたり、理解度の低い社員に必要なサポートを行ったり、といった施策が可能になります。
また、複数の学習コンテンツの中から、学習者が選択したり、管理者が割り当てたりすることもできます。受講者同士が意見や情報交換のできる機能を備えたLMSも登場しているようです。
では、eラーニングを導入する際の注意点を確認しておきましょう。eラーニングのせっかくのメリットを最大限に取り入れるための企業の意識ポイントです。
自社のニーズに合わせる
企業がeラーニングを導入する効果は、単に従業員のスキルアップに留まりません。導入の前に、eラーニングを導入するそもそもの目的を明確にしておくことが大切です。明確な目的によって、自社にとっての適切なニーズを見出すことができるでしょう。
従業員の誰に、どのタイミングで、どんな学習コンテンツを提供し、どのように管理していくのかなど、自社のeラーニング構築のすべてのフェーズでの指針となります。目的が明確になっていないと、単なる学習提供に留まりやすく、従業員のスキルアップや業務反映効果が低くなってしまうでしょう。
従業員の学習モチベーション維持
従業員の都合の良いときに取り組めるeラーニングですが、いつ、どのくらい、どのように取り組むかは個々の従業員に委ねられる部分が大きいです。個人学習のため、モチベーションの維持が難しいこともあります。
学習コンテンツが常に完璧とも限らず、学習の中で躓きがあったり停滞したりする可能性があります。企業側からのモチベーション喚起や支援も大切なので、システムだけに頼らない工夫が必要です。
たとえば、メンター的な担当者を置き、いつでも相談や質問のできる機能を活用したり、修了証の発行やポイント制の仕組みを作ったりするのも効果が期待できます。また、学習教材の配信だけではなく、ブログや掲示板、LINEやTwitter、FacebookなどのSNSを組み合わせる方法も取り入れ始められています。
配信者から受講者といった一方通行のコミュニケーションだけではなく、受講者同士が支援し合えるようなコミュニケーションスタイルは、学習計画や学習意欲を向上・維持するのに高い効果が期待されています。
コミュニケーション機会への配慮
コストの掛かりやすい集合研修の代わりにeラーニングを取り入れたとき、社員同士の接点の減少は避けられないでしょう。eラーニングのデメリットにもなり得る点です。学習やスキルアップに関わるすべてのことをeラーニングに置き換えてしまうのは得策ではないようです。
リアルに集まって一緒に学習する環境は、コストは掛かりますがデメリットばかりではないはずです。感情や五感の感覚が重要な技術など実技トレーニングなしには習得できないものもあります。eラーニングを社内活用する中で、使い分けをしていくことが大切です。
eラーニング導入のデメリット
雇用者、管理者にとってのデメリット
ここでは、集合研修のeラーニングへの置き換えによって生じるマイナス要素を取り上げます。
受講者同士の交流が減る
これはeラーニングの登場以来、デメリットとして言われ続けていることです。集合研修の大きなメリットとして、同期との仲間意識や組織横断的なネットワーク作り、そして企業風土の醸成などが挙げられます。これらの要素は会社への帰属意識、いわゆる「エンゲージメント」につながっていきます。仮に集合研修を全てeラーニングに置き換えた場合、こうした点で機会損失が生じることは否めません。
eラーニングのメリットを優先するなら、社員同士の交流を図る別の施策を行うなど、工夫が必要になるかもしれません。
その場で質疑応答ができない
集合研修なら、その場で講師や他の受講者に質問ができます。eラーニングの場合、基本的に単独で学習を進めることになるので、不明点や疑問があってもその場で解決することができません。この点については、教材の作りや、別途質問対応窓口を設ける、社内SNSを活用するなど、運用上の工夫が必要になるでしょう。
従業員、受講者のデメリット
受講者にとってのeラーニングのデメリットは、メリットの裏返しと言えます。
モチベーションの維持が難しい
これでは「いつでもどこでも学習できる」というメリットと引き換えになります。eラーニングでは仲間と一緒にワイワイガヤガヤ、雑談を交えながら学習することはできません。そのため、モチベーションの維持に苦しむ場合があります。これには管理者側の働きかけが必要でしょう。
強制感を感じることがある
「いつでもどこでも学習できる」ということは、その学習から「逃げられない」ということです。そもそも会社から提供される学習機会はフル活用すべきですし、集合研修なら逃げられるというものでもありませんが、システムで管理されるという状況にストレスを感じてしまう場合があります。これについては、そうならないよう、教材の数やスケジュール等に工夫が必要でしょう。
受講するための環境・端末が必要
集合研修は身一つあれば受講できますが、eラーニングにはインターネット環境と端末が必要です。昔はこのことが問題になりがちでしたが、今では企業における個人用パソコンの支給は一般化していますし、eラーニング受講に個人のタブレットやスマートフォンの利用を許可している企業も多くみられます。風化しつつあるデメリットと言えるでしょう。
eラーニング導入時の注意点
ここでは集合研修をeラーニングに置き換える際の注意点を確認します。
全ての教育をeラーニング化できるわけではない
冒頭でも述べましたが、集合研修には集合研修ならではのメリットや、集合型でしかできない要素があります。例えばディスカッションやロールプレイなど、応用や実技面のトレーニングは集合研修の方が向くでしょう。eラーニングが登場した初期の頃は、集合研修を機械的にeラーニングに置き換えたため、学習効果が損なわれてしまう例がみられました。そのような事態にならないよう、eラーニングで予習として知識の習得を行い、集合研修で実践を学ぶなど、それぞれの特徴を活かした教育設計が必要です。
eラーニングだけでは、すべての環境で最善策にはなりえません。従来型の対面型授業、人と人との授業と併用し、支え合うことで、教育効果の相乗効果も生まれます。最適なシーンで最適な方法を選択することが、これからのeラーニングの重要なポイントです。これらの「人」「もの」「学習形態」などを組み合わせた教育手法は、ブレンディッド・ラーニングと呼ばれます(ブレンド=異なる種類を混ぜ合わせる融合型)。
もっとも、IT技術の発展により、eラーニングでカバーできる範囲は着実に広がってきています。
例えば、以前は業務に必要な「動作」を教材コンテンツで伝えるのは困難でしたが、動画配信技術の向上により、今では熟練スタッフの動画を撮影して配信することで、手を使った細かな作業の仕方や体の動かし方などを、受講者にリアルに伝えることができるようになりました。ディスカッションやシミュレーション、実技確認が必要な学習についても、SNSやテレビ会議システム等を取り入れることで補完が可能です。
eラーニングとそれ以外の教育手法をどのように組み合わせて活用していくか、自社に最適な形を検討しましょう。
受講者のモチベーション維持に工夫が必要
eラーニングの導入により、集団性が失われる分、個人のモチベーション喚起や受講促進に苦労が生じる場合があります。一般的なLMSでは、進捗状況に応じてメール配信を行う(例えば未修了者だけにチアアップメールを送るなど)ことができますが、メンタリングの実施やランキング発表等を通じた学習する風土作り、集合研修との組み合わせ等、システムだけに頼らない工夫も大切です。
受講環境の整備が必要
これは注意点というよりは導入の大前提となりますが、eラーニングの利用には、インターネット環境と端末が必要です。自社のインフラの状況を確認し、必要に応じて投資が必要になります。なお、個人端末が支給されていなくても、受講サイト自体は個人ごとのログインアカウントで切り替えができるので、共用パソコンやタブレットを利用している例もみられます。
eラーニングのトレンドと大きな変化
eラーニングのメリットとデメリットを解説してきましたが、eラーニングは大きな変化をしています。ここでは、eラーニングのトレンドについて解説します。
具体的には、以下のような進化をeラーニングは遂げているのです。
- 講座受講以外にもテスト・アンケート・課題提出も可能に
- 進捗管理が10年前より簡単にできるようになっている
- 交流機能もついており、社員が自発的に学べる環境を提供可能
- クラウド型で最新の教育を簡単に導入できる
それぞれ詳しくみていきましょう。。
講座受講以外にもテスト・アンケート・課題提出も可能に
eラーニングは講座をただ受講するだけといったイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、現在のeラーニングシステムではテスト・アンケート・課題提出なども行えます。
そのため、講座満足度や知識定着度を簡単に測定できるため、教育の効果を可視化しやすくなりました。さらに講座内で実施したワークを課題として上司に提出し、上司から採点・フィードバックをもらえる機能などもあり、双方向型の学習も可能です。
従来の個別学習というメリットを最大限活かしつつ、双方向での学習にも対応できるようになっており、効果・効率ともに向上しています。
進捗管理が10年前より簡単にできるようになっている
現在のeラーニングは進捗管理機能が充実しており、10年前よりも簡単に管理できるようになっています。
10年前に社員教育の一貫として配信されるコンテンツを管理することは手間がかかり難しく受講状況すら分からなかったため効果測定が難しかったです。
最新のeラーニングは費用対効果も良くなっており安心して導入できるなど、導入の手間以上に得られるメリットが大きくなっています。進捗管理機能が向上したeラーニングをぜひ導入しましょう。
交流機能もついており、社員が自発的に学べる環境を提供可能
人材育成を進めていて大きな悩みは画一的な人材育成を行ってしまうことです。しかし、最新のeラーニングでは社員が交流できる機能がついており、学びたいコンテンツを自分で探すことができます。
他の社員が受けたコンテンツを知り、自分も学んでみたいという自発的な学習意欲を呼び覚ますことができます。自立型人材の育成にもつながるeラーニングシステムをぜひ試してみましょう。
クラウド型で最新の教育を簡単に導入できる
現在のeラーニングはクラウド型となっており、最新の教育を簡単に導入することができます。なぜなら、クラウド型はインターネット環境さえあれば常に最新のコンテンツを活用できるためです。
自動的に素早く最新の状態にアップデートされたコンテンツを受け取ることができるため、情報鮮度が常に高い状態で教育を実施できます。クラウド型で常に最新の教育を導入しましょう。
AI(人工知能)の登場により、これからのeラーニングは大規模な学習データを分析し、学習の効率を高めることができるようになりつつあります。また、VR(仮想現実)も導入されてきています。そのために、これまではeラーニングでは難しかった「実技についての学習」にも対応が可能になってきました。
このように、知識学習だけではなく、体験型学習がeラーニングの大きなトレンドになっています。
eラーニングの活用方法
eラーニングは個別教育だけではなく、教育の目的に合わせて様々な形態で教育を行うことができます。
例えば、以下のような形態があります。
- 階層別教育
- 全社一斉教育
- 専門スキル教育
それぞれについて解説します。
階層別教育
eラーニングは階層別教育に有効活用できます。eラーニングは対象者の属性に合わせてコンテンツを提供することができるためです。
例えば、課長職以上の管理職には経営層予備軍としてプロジェクトマネジメントのコンテンツを配信することが可能です。階層別教育を検討している方は、ぜひ活用してみましょう。
全社一斉教育
eラーニングは、全社一斉教育が可能です。例えば、情報セキュリティやコンプライアンスに対する認識は全社員共通認識を持つ必要があります。また、社内外に溢れる情報や社員の経験、技術やノウハウなどを集積し、全社員に共有することで新しい知識や文化の創造を目指せます。これらの企業における知識資産を全社的に共有・管理したり、新しい意思決定や行動に共有・管理している知識資産を生かすためのマネジメント方法のことを「ナレッジマネジメント」と言います。
コンテンツを指定し、期日までに受講完了を指示することで効率的な全社一斉教育を行えます。全社一斉教育研修にeラーニングは大きな効果を発揮するでしょう。
専門スキル教育
eラーニングは専門スキル教育研修を実施したい教育担当者の手助けとなります。eラーニングには職種ごとに必要な知識を学びとれるコンテンツが用意されています。
例えば、専門職を育成しようと人材育成担当者が努力しても職種の経験がなければ上手く知識を伝授することが難しいことがあります。専門知識・スキルが必要な職種に大きな効果を発揮する専門スキル研修はeラーニングが有効です。
当社サービスの導入事例
eラーニングシステム「AirCourse」を提供している当社では、以下の企業様が導入をしています。
- ぐるなび様
- 株式会社ニチイケアパレス様
- 株式会社SHIFT様
それぞれの導入事例を解説します。
株式会社ぐるなび様
株式会社ぐるなび様では、当社のeラーニングシステムを活用されています。
営業パーソン向けの教育として活用されており、育成の工数を大幅に削減できています。
詳細について知りたい方はぜひ、下記から記事を読んでみてください。
https://aircourse.com/case/gurunavi.html
株式会社ニチイケアパレス様
株式会社ニチイケアパレス様は「中途入社者へのオンボーディング」「資格試験対策」「福利厚生」と様々な場面でAirCourseを活用しています。従来の集合研修と比べて移動時間の削減など様々な効果を感じていらっしゃいます。
詳細についてはぜひ下記ページをご覧ください。
https://aircourse.com/case/nichii.html
株式会社SHIFT様
株式会社SHIFT様では、社内検定試験制度にAirCourseをご利用いただいています。教育の拠点間格差を解消し公平な学習機会を作るために同制度ははじまり、見事に運用に成功しています。
詳細については以下リンク先をぜひご覧ください。
https://aircourse.com/case/shift.html
まとめ
いかがだったでしょうか?
今さら聞けないeラーニングと題しまして、歴史や普及してきた背景などを解説致しました。メリット・デメリットも「雇用者・管理者側の視点」と「従業員・受講者側の視点」では、それぞれ大きく異なります。
現在すでにeラーニングを導入している企業、これからという企業もあると思います。
ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
またKIYOラーニングが提供するAirCourseはクラウド型のeラーニングサービスで初期費用0円&月額200円/名~の低コストで利用できます。自社オリジナルコースを作成しての運用はもちろん、受け放題の動画研修がついているためすぐに人材育成をスタートできます。
もしご興味ございましたらぜひ以下リンク先より詳細をご覧ください。
https://aircourse.com/