eラーニングシステム(LMS)の料金体系とは|導入・運用のコスト見積における注意点を解説

新しい企業内研修インフラの中核としてeラーニングシステム(LMS)が注目されていますが、ライセンス・サブスクリプション方式や受け放題の標準コンテンツなど新しい料金体系が採用されており、従来のeラーニングシステムとは異なるコスト見積方法が必要となります。

この記事では、eラーニングシステム(LMS)の導入を検討する企業が初期導入及び運用にかかるコストの見積もりにおいて注意すべき項目と、コスト見積のポイントについて詳しく解説します。

eラーニングシステム(LMS)の料金体系

eラーニングシステム(LMS)の料金は以下3つの軸で変わってきます。

  • 買取か、サブスクリプションか
  • 個別購入コンテンツと受け放題の標準コンテンツ
  • ユーザー数などによる料金の変動

それぞれ解説していきます。

買取か、サブスクリプションか

以前のeラーニングシステム(LMS)は、ベンダーからソフトウエア・パッケージを購入し、顧客が別途準備したインフラにインストールを行うオンプレミス型と呼ばれる導入形態がほとんどでした。

この導入形態の場合、料金体系はライセンス買取方式が一般的で、初期導入時にライセンスコストの全額が発生することになります。さらに、買取方式の場合は、次年度以降もライセンス保守費用という名目でライセンス金額の20から25%の費用が発生しますので注意が必要です。

ライセンス保守は、契約上は必須でない場合もありますが、これを支払わないとベンダー・サポートが受けられない、バージョンアップ版が入手できないといった制約が発生しますので、事実上は必須といってよいでしょう。

一方で、最近のeラーニングシステム(LMS)はクラウドサービス型の導入形態が主流となっています。

この導入形態の場合、料金体系はサブスクリプション方式が一般的です。この方式では、あらかじめクラウド上に構築されたeラーニングシステム(LMS)環境をベンダーがサービスとして提供し、それを一定の月額料金を支払って利用することになります。

ただし、料金表示においては月額であっても、実際の契約では半年や1年といった最低契約期間が設けられていることがありますので注意が必要です。

買取方式とサブスクリプション方式では、目に見える金額の違いだけではなく、会計上の資産/費用計上での違いもあります。買取方式では、最初にライセンス金額の全額を支払いますが、会計上ではこの金額はいったん資産として計上され次年度以降減価償却されていきます。

一方、サブスクリプション方式では、最初から費用として計上され、いわゆる「経費」としての扱いになります。資産計上の良し悪しは、その企業の会計方針によって異なりますので、経理・財務部門の見解を聞く必要があります。

個別購入コンテンツと受け放題の標準コンテンツ

オンプレミス型の導入形態とライセンス買取方式の料金形態が主流であった時代には、eラーニングコンテンツは別売されており、その販売がeラーニングシステム(LMS)を提供するベンダーにとっての重要な収入源でした。

しかし、eラーニングシステム(LMS)がクラウドサービスとして提供されるようになると、サブスクリプション・モデルに基づくeラーニングシステム(LMS)の利用料が、ベンダーの主な収入源となりました。

これに合わせて、従来別売されていたeラーニングコンテンツが、利用契約内で受講し放題となる標準コンテンツとして提供されるようになりました。

初期の標準コンテンツは、新卒研修で使われるような初歩的な内容のコンテンツが中心でしたが、質、量ともに充実する傾向にあり、最近では、中堅・管理職・経営層向けも含め、さまざまテーマのコンテンツが提供されています。

例えば、代表的なクラウドeラーニングシステム(LMS)サービスの一つであるAirCourseでは、新人から経営層までの各層をターゲットとした400以上の標準コンテンツが提供されています。

テーマもビジネスマナーのような基本的なものからコンプライアンス、ITスキルといった専門的なものまで広くカバーされており、営業や人事・労務といった特定の部門、職種を対象としてコンテンツも用意されています。

eラーニングシステム(LMS)導入・運用のコスト見積においては、eラーニングコンテンツの購入費用も含めて検討すべきであり、検討対象のeラーニングシステム(LMS)に含まれる標準コンテンツがどの程度利用できるかどうかは、全体的なコストの算出に大きな影響を与えますので注意が必要です。

ユーザー数などによる料金の変動

eラーニングシステム(LMS)のライセンス料金やクラウドサービス利用料金は、ユーザー数に応じて変動するものがほとんどです。

これに、機能差のある複数のライセンス種別やサービスプランが用意されていて、その選択とユーザー数の見積もりによって、ライセンス/サービス利用料金を算出するのが標準的な見積もり方法です。

前述のAirCourseでは、無償のフリープランと有償のベーシック及びコンテンツプラスの計3種類のサービスプランが用意されています。ベーシックとコンテンツプラスの違いは受け放題の標準コースの有無だけで、それ以外の機能差はありません。

月額利用料金は、1ユーザーあたりベーシックが360円(消費税別)コンテンツプラスが600円(消費税別)に設定されていますので、例えば、ベーシックプランを50ユーザーで利用する場合は、360円×50ユーザー×12カ月=216,000円(消費税別)が1年間の利用料金合計となります。

ユーザー数の多い企業に対しては、ボリュームディスカウントが設定されている場合があります。AirCourseでは、100ユーザーを超える企業に対してボリュームディスカウントが用意されています。

AirCourseの料金を詳しく知りたい方はこちら

オリジナルコンテンツの制作コスト

ここからは運用にかかわるコストを見ていきましょう。

コンテンツ品質の要求レベルと制作コストの関係

オリジナルコンテンツの制作コストを考える場合、
「高いクオリティの動画制作にはコストがかかる」
「長時間の動画を撮影し編集するには設備・ツールと高いスキルが必要」
なのが当然であり、制作コストはコンテンツ品質の要求レベルに比例して増大します。

オリジナルコンテンツの制作方法は、大別すると内製化するか、外部に制作を依頼するかの二者択一になります。

どちらを選択するかは、要求されるクオリティレベルに社内のスキルレベルが対応できるか、外部委託する際に発生する費用は予算措置が可能かの2点が大きく影響します。

後者については、業者を選定し見積もりを得ることが必要となりますが、コンテンツ制作業者は多数存在し、概算見積もりを依頼するのがためらわれる場合もあります。

このような場合は、eラーニングシステム(LMS)ベンダー自体がコンテンツ制作サービスを行っている場合もありますので、積極的に利用するとよいでしょう。

例えば、上述したAirCourseの提供ベンダーであるKIYOラーニング社は、「研修動画制作・配信おまかせパック」という名称でコンテンツ制作サービスを提供しています。

研修動画制作・配信おまかせパックを詳しく知りたい方はこちら

制作コストを最少化するには

オリジナルコンテンツの制作コストを最少化する方法としては、標準コンテンツを最大限利用した上で、それでもカバーできない最小限の範囲で、「マイクロラーニング」方式に基づいたコンテンツの内製化を行うことが考えられます。

マイクロラーニングとは、「マイクロコンテンツ(短時間の動画で構成される教材コンテンツ)を多数揃えた上で、スマートフォンなどで受講する形式の研修実施スタイルをあらわし、従来型研修の予習、復習用とすることで研修効率を上げる、もしくは、忙しいため従来型研修が受講できない従業員が、 通勤時間帯などの「スキマ時間」に受講できるようにすることで研修の受講率を上げる。」という考え方です。

このマイクロコンテンツは何も動画だけである必要はなく、PDFやパワーポイント形式で作成した研修スライドや、確認テスト・受講者アンケートといったフィードバック用コンテンツも含まれるでしょう。

これらの素材コンテンツを多数用意し、それらを組み合わせることで、個々のマイクロコンテンツの制作だけではなく、研修コンテンツ全体の制作工数も削減することが可能になります。

ただし、この制作方法を実現するためには、eラーニングシステム(LMS)に多数のマイクロコンテンツを管理し、それらの組合せを簡単に設定し、研修コンテンツとして提供するための機能を持ったeラーニングシステム(LMS)を導入する必要があります。

例えば、AirCourseでは、動画だけではなく、スライド資料やフィードバック用コンテンツを素材として登録しておき、それらを自由に組み合わせて、オリジナルコースとして提供できるようになっています。

テストやアンケートもコンテンツの一部

前項でマイクロコンテンツの一部としてあがった、確認テスト・受講者アンケートといったフィードバック用コンテンツは、オリジナルコンテンツ制作のコスト見積において見落とされがちな部分です。

これらフィードバック用コンテンツには、思わぬ手間がかかってしまいがちですので、注意が必要です。eラーニングシステム(LMS)を使ったオリジナルコンテンツ制作を前提に考える場合、eラーニングシステム(LMS)の持つフィードバック用コンテンツの作成機能を確認することが重要になります。

前述のAirCourseの場合、テスト・アンケート作成機能として基本的なものはもちろん、合格ラインの設定、出題形式の選択(〇×式、選択式、空欄記述式)、ランダム出題や制限時間の設定、解答後すぐに自動採点する、アンケート集計結果と個別回答を参照・ダウンロードする、各種アンケートのテンプレートを利用する、コース内の任意の場所にアンケートを設置するといった機能も用意されています。

AirCourseの場合は、テスト、アンケートに加えて、提出課題機能が提供されています。この機能は、受講者に課題を与えて理解度を確認、評価者が採点・評価し個別指導するためのもので、課題はコース内の任意の場所に複数設置することができます。

さらに、「提出課題」の合格ライン・終了基準を設定したり、評価者が個別に評価・採点し、フィードバックし、状況に応じて再提出させることも可能です。

社内担当者の作業コスト

前章では、ベンダーや委託業者に対する支払が発生するコストを中心に解説しました。

しかし、全体的なコストを見積るためには、社内で発生する作業工数も考慮に入れる必要があります。単にライセンスやサービス利用料金が安いという理由でeラーニングシステム(LMS)を選択した場合、たとえ目に見えるコストが低く抑えられたとしても、eラーニングシステム(LMS)の機能不足などにより社内の作業工数が大幅に増大するようであれば、トータル・コストは高くなりますので注意が必要です。

eラーニングシステム(LMS)の導入における作業工数

eラーニングシステム(LMS)導入時の社内作業は、導入形態がオンプレミス型か、クラウドサービス型かによって大きく異なります。

オンプレミス型の場合、eラーニングシステム(LMS)のソフトウエアを動作させるためのサーバーを準備する必要があります。サーバーの設置からソフトウエアのインストールとセットアップに至る一連の作業は、IT担当者が行うことになります。一方、クラウドサービスの場合は、これらの作業は発生しません。

従って、オンプレミス型の導入ではIT担当者のまとまった作業工数が発生しますので、検討段階からIT部門を巻き込んでいないと、導入作業時にIT担当者の作業工数が確保できないという事態になりかねませんので注意が必要です。

オンプレミス型、クラウドサービス型に共通して発生する導入時作業が、マスターデータの登録作業です。eラーニングシステム(LMS)の主なマスターデータには、ユーザと講座がありますが、ユーザのデータは導入時にまとめて登録する必要があります。

ユーザ登録の基本なやり方は画面からの登録ですが、初期導入時には多数のユーザをまとめて登録することになります。したがって、登録画面を介することなく、ファイルを読み込んで複数のユーザを一括で登録する機能がないと、導入時に多大な工数が発生しますので注意が必要です。

例えば、AirCourseでは、「ユーザ一括処理」と呼ばれる機能があり、既定のフォーマットに従ったCSVファイルを作成すれば、そのファイルを読み込んで自動的に全ての初期ユーザを一択して登録することができます。

eラーニングシステム(LMS)の運用における作業工数

eラーニングシステム(LMS)の運用において、作業工数がeラーニングシステム(LMS)の機能に最も左右されるのは、ユーザ管理における組織、グループの利用の可否です。

eラーニングシステム(LMS)のユーザは企業の全ての社員が対象になることが多いため、中小規模の企業でない限り、一般的なユーザ数は数百~数千、場合によっては数万以上となります。このような多数のユーザを管理するには、単純な機能だけでは管理負荷が大きくなりますので注意が必要です。

多数のユーザをスムーズに管理するために必要な機能の中で、もっとも重要なものが組織、グループの設定です。ユーザをグループ化することで、グループに一括してコース割当を行ったり、マネージャがグループの受講状況を確認したりすることができます。

例えば「営業グループ」というグループを作って営業員を全て登録しておけば、「営業グループ」に一括でコース割当を行ったり、全営業員のレポートをマネージャが参照したりすることができます。

しかし、大規模な企業では、営業部の下層に製品や地域ごとの営業課があったり、さらにその下の組織階層が存在したりする場合があります。

このような企業では、「コースによっては営業部全員に受講させたいが、コースによっては特定の営業課のみ受講させたい」といったような場合、「グループ機能」だけでは階層構造に対応できません。このような問題を回避するために、最新のeラーニングシステム(LMS)の中には、組織階層を設定できるものが登場しています。

例えば、前述のAirCourseでは、組織設定に階層構造を持たせる「組織階層機能」を提供しています。

業務効率化により削減される作業コスト

eラーニングシステム(LMS)導入・運用のコスト見積を行う際、同時に行うべきなのが業務効率化により削減される作業コストの計算です。

削減されるコストとコスト見積により積み上げられた費用を比較しROIを計算することで、eラーニングシステム(LMS)導入の企画に定量的な根拠を得ることができます。

業務効率化により削減される作業工数を担当者の人件費に換算したものが、コスト見積により積み上げられた費用に匹敵する金額になれば、これだけで、ROIが損益分岐点に到達することになり、導入予算の承認を促すことができます。

業務効率化による工数削減効果がeラーニングシステム(LMS)の機能に最も影響を受けるのは、研修ワークフローのオンライン化です。

理想的にオンライン化された研修ワークフローは、以下の5つのステップが、メールやExcelファイルのやり取りではなく、全てシステム上の画面で実施できるというものですので、これを基準に工数削減効果を測定するとよいでしょう。

1.  人事担当者による社外・社内研修フロー設定
・ワークフローのフェイズ(ステップ)を設定する
・フェイズごとにコメント入力をさせるか、上司の承認/却下を行うかなどを設定する

2.  一般社員による研修受講申し込み
・システムに登録されている研修情報の中から、希望に合う研修を検索する
・タスクに関連する研修を検索、詳細を参照して受講申し込みを行う

3.  マネージャによる受講承認
・画面に表示される申請に対して承認処理を行う

4. 研修受講

5. 一般社員による研修内容の評価入力
・評価レポート、口コミ情報を入力する

まとめ

eラーニングシステム(LMS)には様々な種類があり、迷ってしまうことも少なくありません。

今回ご紹介した料金以外にも機能面やコンテンツ面など比較すべき項目は様々あります。

別記事にて、以下6つの軸での比較検討のポイントを詳しく解説していますので、ぜひそちらもご覧ください。

  • 導入・利用形態
  • 標準コンテンツ
  • コンテンツの内製化
  • 学習管理/研修管理
  • 集計とレポート
  • ナレッジ共有

eラーニングシステム(LMS)の選定/比較検討6つのポイントを徹底解説!


まずは自社の要件を洗い出したうえで最適なサービスを選ぶようにしましょう。

選定のときに外してほしくないポイントが「システムの使いやすさ」です。どんなに高機能であっても使いにくいシステムでは継続して活用するのが難しくなってしまいます。

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ABOUTこの記事をかいた人

ソフトウエアベンダーやコンサルティング会社で20年以上にわたりコンサルティング、企業経営に携わる。現在は、IT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら、データ分析、人材管理、LMSなどに関する講演・執筆活動を行っている。