■御社の事業・サービス内容、ご担当者様の業務内容を教えてください。
1996年に飲食店情報サイト「ぐるなび」を開設し、詳細なメニュー情報や今日のおすすめ情報等を事前に確認してから飲食店に行くという外食のスタイルを定着させました。
現在ぐるなびは「食でつなぐ。人を満たす。」という存在意義(PURPOSE)のもと、日本の外食の健全な発展の一助となるべく、飲食店情報サイトの領域以外でも事業を展開しています。具体的には、外食業界の生産性向上に貢献することを目指し、ITの力による店舗業務の効率化、人材関連の支援、業務代行など、飲食店経営をトータルにサポートする幅広い事業に取り組んでいます。
私たちが所属しているセールスイネーブルメントグループでは、営業活動の様々なサポートをしている中で、営業メンバーの成長・育成支援を中心に担当しています。具体的にはスキルアップのためのコンテンツやカリキュラムの構築、運用などを行っています。
■AirCourse導入前の状況や抱えていた課題を教えてください。
AirCourse導入前、営業メンバーの育成は集合研修で行っており、新入社員研修/中途社員研修/フォローアップ研修の実施はもちろん、新商品や商品リニューアルに関する勉強会も高頻度で開催していました。集合研修といっても営業メンバーは全国の営業所にいて物理的には集まれないため、Web会議システム等で中継を繋ぎ、講師が対応するという研修スタイルで行っていました。
当時抱えていた課題として、「中途社員向けの研修」を例に挙げると、毎月5日間の時間的な拘束が受講者・管理者ともに発生し、その後のフォローアップ研修でも、講師の日程調整をしたり、会議室を押さえたりなど、研修実施のためだけに多くの調整と工数がかかっていました。
また勉強会などでは、数百名いる営業メンバーの管理をする必要があるので、複数ファイルでのExcel管理になっていて、そこが一番煩雑になっていましたね。営業は外回りが多く、アポが入っていて決められた日時での参加ができないことがよくあったため、再研修の日程調整や受講管理などでも膨大な手間が生じていました。
その他の課題としては、商品や営業活動など様々なナレッジが社内に分散していたので、何か一つのプラットフォームに情報を集約していきたいなと考えていました。
■AirCourse導入の経緯、および導入の決め手などを教えてください。
AirCourse導入前は別のeラーニングシステムを使用していたのですが、「会社のPCでしか受講ができない」「資料のダウンロードができない」「動画は掲載できない」など様々な課題がありました。そのため既存システムの契約更新のタイミングで新しいシステムを導入したい、ということから具体的に検討をスタートしました。
新しいeラーニングシステムでは、ナレッジを集約できるプラットフォームという使い方も想定していたため、動画・プレゼン資料・テスト・アンケートなど様々な形式に対応していること、また利用動向の分析・フィードバックができることを要件に設定し導入検討を進めました。
AirCourse含めて複数社の話を聞いて比較検討をしましたが、AirCourseは求める要件をすべて満たしていたことと、受け放題の動画研修コンテンツ(標準コース)の中で基本的なビジネススキルに関するテーマが充実していたことが導入の決め手でしたね。特にAirCourseで提供されている標準コースに関しては「これならすぐに使えるね」と検討時からとても好評でした。
また導入にあたり初期費用がかからないのも、意思決定の後押しになりました。既存のeラーニングシステムからのリプレイスになるので、上申するうえでもスイッチングコストがかからないのは非常に良かったです。
■ 現在のAirCourseの具体的な活用方法、内容などを教えてください。
もともと営業メンバー向けに導入したため、主な活用方法は、営業向けの導入研修やフォローアップ研修、勉強会動画の共有などです。
導入してまず行ったことは、AirCourseというシステムの認知度を上げるため、標準コースを展開して営業メンバー各々のスキルアップに活用してもらいました。最初でしたので、「受講するコースを事前に報告し、期間内に受講してもらったうえで、アンケートを取る」という強制力を一部持たせつつの運用でした。
結果として営業メンバーの中でAirCourseの認知度はかなり高い水準になっているので、その点は良かったと考えています。実際に受講していたテーマは、コーチングや目標達成、コミュニケーション系など営業に関連するものが多かったですね。
ー 自社ではどのようなオリジナルコースを作成して運用されていますか?
以前のeラーニングシステムでも使っていた外食産業全般についての深い知識を習得するための教材を、AirCourseに移行して好きなタイミングで受講できるようにしています。そのほかにも、新商品などの勉強会については録画したものをAirCourse上にアップロードしているので、リアルタイムで参加できなかった人が後から視聴できるような環境を作っています。
また最近注力しているのが、営業のスキルアップを目的とした「営業パフォーマンス」という動画コンテンツの作成です。 営業のプロセスを細かく分解し、各プロセスにおける活動内容を整理したうえでポイントを紹介する動画を作成しています。プロセスは「案件探し」から、「社内システムの使い方」「契約後の手順」まで多岐にわたっています。
作成したいコンテンツは基礎から応用まで様々あるのですが、まずは基礎編から進めていまして、例えば「商談前の情報収集」というテーマですと、「『競合の状況』『エリア情報』『相手の決裁者の方はどういう方なのか』をWebやSNSで調べたうえで商談に臨みましょう」など、具体的な活動を言語化するようにしています。
■運用中に注意している点、意識されている点などがあれば、教えてください。
育成対象者が営業メンバーということもあり、日々の仕事は非常に忙しいです。特に弊社の場合、クライアントは飲食店様になるので、提案できる時間帯がどうしても制限されてしまいます。
具体的にはランチタイムが終わって、ディナーが始まるまでの午後2~5時がゴールデンタイムになるため、午前中は提案資料の作成や営業チーム内でのミーティング、そして午後はアポイント獲得や商談、そしてスキマ時間で勉強会なども入ってくるので、かなり詰め詰めのスケジュールです。
そういう状況下のため、「自己研鑽の必要性は理解しているものの、『AirCourseで動画を受講する』という行動が十分でない」メンバーもまだ多いですね。
「いつでも見てもらえるという手軽さ=いつまでも見てもらえない可能性がある」と認識しているので、「どうすれば自発的に受講してくれるのか」「楽しんで受講してもらうためにはどうすればよいか」を試行錯誤しながら運用を進めています。
ー 自発的な受講を促すために、具体的にどのような点を工夫されていますか?
ちょっと手間はかかりますが、講座や勉強会動画をリリースする際には一斉メールでメンバー全員に送るのではなく、事業部ごとに周知を行ったり、丁寧にリマインドを行うなどは日頃から工夫しています。
また動画コンテンツを作成するときには、資料の見せ方や動画の長さなど、「いかに見てもらいやすいコンテンツにするか」というのも視聴率を上げるために重要だと考えています。
■ AirCourse導入・活用により、実感された効果などがあれば教えてください。
運営・管理側の工数削減としては、とても効果が出ています。やはりAirCourse上で様々な情報を一元管理できるという点で、動画を作ってアップロードさえしてしまえば、受講の進捗状況確認からアンケート結果管理、レポーティングまで完結するのは大変助かっていますね。
特にレポート機能は、色々な条件で抽出できるのが便利で、営業の各組織に進捗状況をフィードバックしたり、アンケート結果はパワーポイントにまとめて共有したりと幅広く活用中です。
また営業メンバーの中でも真面目で向上心のある方は積極的に受講をしていますし、ある管理者の方は標準コースを自身で100本受講して「おすすめコース一覧」の資料を用意しメンバーに紹介する、といった事例なども出てきています。「動画でいつでも学べる環境ができてよかった」という声は受講しているメンバーからも上がっていますね。
■今後の展開・展望を教えてください。
AirCourseの浸透施策として、オリジナルコースをさらに充実させる仕組みづくりを検討しています。利用実態などの分析結果から、ニーズに即したコンテンツを最短で制作できる仕組みの社内展開をはじめ、コンテンツ制作側を表彰するなどのイベント性も持たせたクオリティの向上、全社的にナレッジが共有できる環境づくりなど、様々な場面でAirCourseを活用していきたいと考えています。
また、これまでは直接飲食店様に対して販促支援や業務効率化、コスト削減などを行う営業メンバーの育成が中心でした。しかし社内には、食材を卸しているメーカーへの営業をはじめ、省庁自治体が飲食店を支援する施策を受託するための営業、ニーズが一気に高まっているデリバリー・テイクアウト領域の営業、食材発注のデジタル化に関する営業など、「営業職種」と呼ばれるメンバーはその他にたくさんいます。
将来的には「営業」と名の付くメンバー全員に対して、研修の提供やスキルアップができる環境をAirCourse上で構築していきたい、というのが展望です。
*本事例の内容は、取材日(2021年6月)時点の情報です