人材育成で大切なこと8つ|必要なスキルやフレームワークを解説

人材育成を任されたものの、まず何から行動に移すべきかわからない担当者も多いのではないでしょうか。

人材育成の目的を達成するためには、人材育成で大切なポイントを押さえることが大切です。

そこで本記事では、人材育成に欠かせない大切な8つの要素を実行するために、具体的な手法や必要スキル、役立つフレームワークなどを解説していきます。

ポイントを網羅的に把握することで、人材育成の計画や実行にスムーズに取りかかることができます。

これから人材育成に取り組む、あるいは取り組んでいるご担当者はぜひ参考にしてください。

人材育成を成功に導く「最新育成モデル」を活用しませんか?

人材育成を成功に導くためには、育成過程の注力ポイントを知り、必要な成果に向けて適切なステップと育成スキームを選択することが重要です。

KIYOラーニングでは、「人材育成で大切な8つのこと」を仕組みでカバーできる『デジタル時代の人材育成モデル』をお届けしています。

社員が成長し、最終的に成果をあげるまでに必要な施策とその流れをモデル化したものになりますので、自社の状況と照らし合わせて育成方法を検討したい方はぜひご活用ください。

人材育成で大切な8つのこと

人材育成で大切なことは次の8つです。

  1. 目的を明確にする
  2. 目標を設定する
  3. スキルの可視化を行う
  4. 期日を決める
  5. 自主性・自発性を養う
  6. モチベーションを管理する
  7. 育成担当者のスキルを高める
  8. 人材育成に関する制度を整える

以下では、それぞれを具体的に解説します。

1. 目的を明確にする

人材育成はただ教育やトレーニングを行うだけではなく、その目的を明確にすることが非常に大切です。

目的を明確にすることで、各個人がその目的に向けて自己啓発を進めていく動機付けとなります。人材育成の目的例として以下があげられます。

  1. ビジネスマインドの醸成
  2. スキルや専門性の向上
  3. 帰属意識の向上
  4. 幹部候補人材の育成

各個人の目指すべき具体的なゴール設定とともに、これらの目的を追求することで、より有意義かつ効果的な人材育成が可能となります。

2. 目標を設定する

人材育成を行う上で、目標の設定は欠かせません。人材育成における目標とは、自社が理想とする人材像へ社員を成長させるための指標です。

社員それぞれが設定した目標の達成に向け取り組み、主に上司が管理・フォローを行います。人事・教育担当者は各部署からあがってきた目標を取りまとめ、研修・セミナーなどの育成施策の企画に活用します。

組織をあげた人材育成は、明確な目標があって初めて行えるのです。

また人材育成の目標は、「客観的に判断できる指標であること」「企業としての成果にもつながること」が重要です。

参考:人材育成の目標とは?基本的な設定方法や管理のポイントを紹介 

3. スキルの可視化を行う

スキルの可視化は、各従業員の現在地を把握し、成長を図る上で重要です。可視化を行うことで、個々人のスキルレベルや育成の必要性が明らかになります。

一般的には、スキルマップを作成し、長所・短所を評価します。スキルマップは、各種業務スキルを軸にした表で、それぞれのスキルレベルを数値化します。各従業員のスキル状況が一目でわかるよう、採点やレーティングを行い、その結果をもとに育成計画を立てます。

また、スキルの可視化は、リーダーと部下のコミュニケーションを促進します。具体的なスキルとそのレベルを示すことで、共通の理解を深め、育成の方向性や目標を明確化することが可能です。

4. 期日を決める

人材育成において、具体的なスキル獲得や能力開発のための期日設定は重要です。

まず育成計画を策定する際には、目標とするスキルや業績の向上度を明示し、それを達成するための具体的な期日を設定します。これにより、育成対象者は自身の成長を具体的にイメージしやすくなります。

また、期日設定は育成の進行管理にも寄与します。期日があることで、育成担当者と育成対象者の双方が進行状況や成果を確認し、必要に応じて育成計画を修正することが可能となります。

5. 自主性・自発性を養う

人材育成において、育成対象者の「自主性・自発性」は不可欠です。成長は、本人の「成長したい」という思いがあって初めて実現します。いくら周りが成長させようとしても、本人に成長を望む気持ちが無ければ成り立ちません。そのため「自主性・自発性」を持っていることが前提となるのです。

なお「自主性」と「自発性」は似た言葉ですが、以下のような違いがあります。

  • 自主性:決められたことを自分の判断でこなしていくこと
  • 自発性:決められていなくても自ら進んで行うこと

自主性を養うには、育成対象者に自ら考える機会を多く与えることが有効です。一方で自発性を養うには、あるべき姿や理想とする状態を育成対象者に問いかけ、明確化させることが有効です。

6. モチベーションを管理する

人材育成では、育成対象者のモチベーション管理も大切です。モチベーションがなければ、成長につながる活動を行えません。

育成対象者のモチベーションを管理するためには、そもそも「モチベーションとは何か」を正しく理解する必要があります。モチベーションは単なる「やる気」と捉えられる場合も多いのですが、正確には「やる気を起こさせる動機づけ」のことです。「行動するための目的や理由」と表すとよりイメージしやすいでしょう。

また下表の通りモチベーションは「内的モチベーション」と「外的モチベーション」に分けられます。

モチベーション
(やる気を起こさせる動機づけ=行動するための目的や理由)
内的なモチベーション 外的なモチベーション
どうなりたいのか
何がしたいのか
どう生きたいか
…など
給料アップ
報奨金
ライバルの存在
…など
~特徴~
上がりにくく下がりにくい
外部の影響を受けにくい
自らコントロールしやすい
(中長期)
~特徴~
上がりやすく下がりやすい
外部の影響を受けやすい
自らコントロールしにくい
(短期)

人材育成においては、日々の指導や面談などを通じて「内的なモチベーション」を高めつつ、社内施策などで「外的なモチベーション」にも働きかけるのがポイントです。とくに内的なモチベーションは、外部の影響を受けにくく自らコントロールしやすいため、やる気を安定させるのに有効です。

「内的なモチベーション」と「外的モチベーション」それぞれに働きかける指導や施策を組み合わせて、社員のやる気が高まった状態を維持しましょう。

7. 育成担当者のスキルを高める

人材育成を行う上では、育成担当者のスキル向上も欠かせません。

具体的には、設定した目標を達成できるようにする「目標管理能力」やティーチングやコーチングなどを含む「コミュニケーションスキル」、正確な状況把握と判断のために必要な「ロジカルシンキング」などです。

いずれのスキルも日々多忙な業務を遂行するなかで、並行して学び、適切な評価を下すことは困難を極めます。育成担当者のスムーズなスキルアップを図るならば、社員が好きなタイミングで学びを深められる「e-ラーニング」の活用がおすすめです。

オンラインで学習できるeラーニングシステムを使えば、時間や場所に縛られることなく、より広範囲な人材のスキルアップや教育の均質化を実現できます。

また、最新の情報に常にアップデートして学習コンテンツを提供できるため、新人向け・管理職向けといった階層別研修や、従業員のリスキリングなども幅広く対応可能です。

はじめてeラーニング導入・活用を検討される人事・教育担当者でもわかりやすく導入の手順・活用方法を学べる『eラーニング導入・活用 完全ガイド』を用意しましたので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

『eラーニング導入・活用 完全ガイド』をダウンロードする(無料)

8. 人材育成に関する制度を整える

人材育成を安定して行うためには、人材育成に関する各制度を整備することが必要です。具体的には、OJT制度、研修制度、ジョブローテーション制度、人事評価制度、目標管理制度、メンター制度があります。

人材育成に関する制度を整えるためには、フレームワークを活用して既存の制度を見直すのも効果的です。

ただ、人材育成に関する各制度が完璧に整備されている企業は決して多くありません。

整える努力をすると同時に、少なくとも「制度が整っていないから人材育成を行えない」という認識をもたない・もたせないことが大切です。

日常業務における一つひとつの経験やコミュニケーションが人材育成の機会であり、制度はそれらの効果や効率をさらに高めるためのものという位置づけが好ましいでしょう。

KIYOラーニングでは、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新のオンライン育成手法やその実現ノウハウをまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』をお届けしています。人材育成を成功に導く4つのポイントを紹介していますので、ぜひご活用ください。どなたでも無料でダウンロードいただけます。

【お役立ち資料】『デジタル時代の人材育成モデル』をダウンロードする(無料)

階層別のポイント

人材育成は、階層別(役職別)で重視すべきポイントが異なります。ここでは、新入社員・中堅社員・管理職の3つの階層ごとに人材育成において大切なことを紹介します。

新入社員の育成

新入社員は、まずは自社の経営理念から組織人としての心構え、ビジネスマナーなどの基礎を理解させることが大切です。また、離職率の高まりが指摘されるなかで帰属意識の向上も重要なテーマといえます。

以下では、新入社員の育成で大切なことを5つ紹介します。

自社への理解を深めてもらう

まずは組織に属して活動する上での基礎・基本である「自社への理解」を深めることが大切です。

  • 経営理念
  • 自社の歴史と今後のビジョン
  • 自社のビジネスモデル
  • 自社の組織構造
  • 業界の基礎知識

ポイントは組織や活動についての全体像をまず理解させることです。全体像をイメージできれば以降の経験で得る情報に対して「どの部分の話か」を認識できるため、知識として定着しやすく、不明点があれば質問もしやすくなります。

心構えやビジネスマナーを身につける

新入社員は、学生時代の感覚や習慣が残っていることも多いため、組織人としての心構えやビジネスマナーを学ばせる必要があります。具体的には以下のようなテーマが挙げられます。

  • 挨拶と表情
  • 動作や態度
  • 身だしなみ
  • 電話応対
  • 生活習慣
  • 言葉づかい(敬語)
  • 名刺交換
  • ビジネスメール

ポイントは、やらされ感や受け身にならないように「なぜ大切なのか」をセットで伝えることです。心構えやマナーは「自分ごと化」できて初めて身につきます。

業務遂行に必要な知識とスキルを習得させる

基本的な知識やマナーなどを身につけたら次は、業務遂行です。集合研修形式での学びも基礎知識の習得には有効ですが、スキルの習得にはOJTやメンター制度を通じた実践形式での学びが有効です。

自らの役割を自覚させる

新入社員は、入社後しばらくは自社や業務について様々な知識習得に追われるため、自らの役割を自覚するまでには至らないことも少なくありません。

そこで、あらためて「自分は組織から何を期待されているか」や「自分はこの組織でどうなりたいのか」を考える機会を設けて「組織における自らの役割」を自覚させます。

自らの役割や目標が明確となることで、成長スピードの向上だけでなく、モチベーションや帰属意識の向上も期待できます。

メンタル面を意識した育成を行う

新入社員はこれまでと大きく異なる環境のなかで、慣れない業務へのチャレンジや失敗を経験するため、少なからずプレッシャーやストレスを感じています。こうした状況下ではメンタル面を意識した育成を行うことが大切です。

具体的には以下のような点を意識しましょう。

  • 定期的に面談の機会を設ける
  • 雑談など気軽なコミュニケーションを心がける
  • 良いことは具体的かつ直ぐに褒める
  • 悪いことも具体的かつ直ぐに指摘する
  • 人格や性格を否定しない
  • 指摘や指導の後にはフォローを行う

ポイントは、各社員の性格や考え方を尊重することです。新入社員の指導では、つい「自分が新人の頃は」という感覚で考えがちです。

もちろん自らの経験を指導に活かすことは重要ですが、育成対象者は自分とは異なる性格や考え方をもった他人であることを忘れてはなりません。

相手の性格や考え方を尊重しつつ自己開示を交えたコミュニケーションを行えば、信頼関係を構築でき、結果として帰属意識の向上ひいては定着率の向上にもつながるのです。

中堅社員の育成

中堅社員(入社4年目以降を想定)は、業務にも慣れて独り立ちし、部下や後輩もできる頃です。中堅社員に対しては、組織の中枢を担うことの自覚や育成担当者としてのスキル向上、管理職候補としてのマネジメントスキル向上などが必要となります。

以下では、中堅社員の育成で大切なことを3つ紹介します。

組織の中枢を担っていることを自覚させる

中堅社員には、あらためて自分たちが組織の中枢を担う重要な存在であることを再認識させることが必要です。

中堅社員は、業務にも慣れて効率的に成果を上げられるようになるケースが多いでしょう。ただ一方で「慣れ」が、マンネリ化による効率ダウンやモチベーション低下につながるケースも少なくありません。新入社員に比べると育成の対象となる機会が減少することも、こうした傾向を助長するのです。

そこで、自分たちは組織の大部分を占める階層であり、実績をつくる役割や新人をけん引する役割を担っていることを、あらためて自覚するよう促します。

具体的な育成手法としては、役員や管理職による啓発を目的とした研修や、個別面談によるヒアリングとキャリアプランの確認などが挙げられます。状況に応じて「ジョブローテーション」も活用しましょう。

育成担当者としてのスキルを向上させる

中堅社員になると部下や後輩の育成を担当する場面も増えていきます。そのため以下のような育成を行うのが良いでしょう。

  • 部下育成をテーマにした研修やeラーニングを受講させる
  • 得意分野で社内研修の講師を経験させる
  • メンターを経験せる
  • OJTでトレーナーを経験させる
  • OJT研修を受講させる

ただし、メンターやトレーナーを任せる場合は、育成担当者の負担増加に注意が必要です。周囲の業務支援や上司との定期的な面談などにより、育成担当者任せにしないようにしましょう。

参考:OJT研修とは?目的や手順、優秀なトレーナーを育成するポイント

マネジメントスキルを身につけさせる

中堅社員は、管理職候補としても期待されます。そのため「マネジメントスキル」を身につけていく必要があります。

そのためには、プロジェクトリーダーなどを任せることで現場で実際にマネジメントを経験させることが効果的です。もちろん先にリーダー補助などを経験させておく、いざという時の相談役を設けておくといった配慮は不可欠です。

マネジメントでは、以下のように様々なスキルが必要となります。

  • リーダーシップ
  • 目標管理能力
  • スケジュール管理能力
  • コミュニケーションスキル
  • ロジカルシンキング
  • ラテラルシンキング
  • クリティカルシンキング など

中堅社員の育成を担う上司は、各スキルが定着するように現場で生じた課題や経験と結びつけながら指導・育成を行いましょう。また、各スキルを研修やeラーニングなどの学習で補うとさらに効果的です。

参考:マネジメントスキルを高める人材育成手法|重視すべき部下育成力

管理職の育成

管理職は、企業理念や経営層の経営方針やビジョンを正しく理解して、目標達成に向け社員をマネジメントしていく役割です。管理職ではマンツーマンのような形式ではなく、実際のマネジメント業務や研修、自己啓発などを通じて自ら学びを得ていくケースがほとんどです。

以下では、管理職の育成で大切なことを4つにまとめて紹介します。

経営戦略や組織論などを学ばせる

管理職は、組織全体を俯瞰できる視野と経営的な視点を求められます。具体的には、以下のようなテーマへの理解を深める必要があります。

  • 経営に関わる数値
  • 組織構造や人員配置の展望
  • 業界全体の傾向
  • 競合他社の動向

育成手法としては、外部研修への参加や経営層による研修、代表が指定した書籍での学習などが挙げられます。

社員を評価および育成する能力を高める

社員に対する正当な評価と育成は組織の発展には欠かせません。管理職はそのどちらもを担う重要な立場です。

もしも「管理職が人事評価制度の運用方法を理解していない」や「人事評価を育成に活かせていない」といった状況がみられる場合は、人事評価研修の実施をおすすめします。

参考:人事評価研修とは?目的と実施手段、教育すべき内容を解説

コミュニケーションスキルを再確認する

管理職では、コミュニケーションスキルの再確認をおすすめします。とくに昨今はハラスメント問題が頻繫に取り沙汰されており、多くの部下をもつ管理職にとって不安な状況であることは間違いありません。

その他にも、コーチングやティーチングなど管理職に必要とされるスキルは多いため、あらためてコミュニケーションスキルについて学びなおす機会を設けることをおすすめします。

人材育成の手法

人材育成の具体的な手法を紹介します。

OJT

OJT(On-the-Job Training)とは、職場での実務経験を通じて知識やスキルを習得する育成方法です。主に新人を対象として、同じ部署の上司や先輩がトレーナー(育成担当者)となり育成を行います。

ただ、各部署とも日常業務に追われるなかで、明確な目的や計画もなく効果的なOJTを行うのは困難なのが実状です。先輩社員が新人に対して必要に応じて行う業務説明や指導までにとどまるケースも少なくありません。

そのためOJTを意図的・計画的・継続的に行うための取り決めである「OJT制度」を整える必要があります。

参考:OJT制度とは?構築時の注意点と効果を高める方法を解説

OJT研修

OJT研修とは「OJTを行うトレーナーを育成するための研修」です。「OJT」と「OJT研修」は混同されがちなため注意しましょう。

OJT研修の実施により「OJTの質」および「トレーナーとしての育成スキル」が向上します。さらに育成者・指導者としての経験が、管理職候補としての成長につながる点もメリットです。人材育成の大切なことである「育成担当者のスキル向上」を実現できる施策のひとつです。

参考:OJT研修とは?目的や手順、優秀なトレーナーを育成するポイント

OFF-JT

OFF-JT(Off The Job Training)とは、職場や通常業務から離れて特別な時間や環境において行う教育や訓練のことです。

体系的な学習を行えるため知識・スキルを整理しながら身につけられる点がメリットですが、反対に実務へ活かすための応用力が求められる点はデメリットといえるでしょう。

自己啓発支援

自己啓発とは、自発的に学習機会を設けることです。知識やスキルを高めるための読書や資格の取得などが該当します。人材育成の手法として、これらの自己啓発を以下のような施策で支援します。

書籍購入支援:社員が希望する書籍を会社が購入して配布する

資格取得支援:自社の業務に役立つ資格の取得を支援する

自己啓発の支援は、社員の知識・スキル・意欲・帰属意識の向上を期待できます。企業としてのイメージアップにつながり、採用活動時に有利に働く点もメリットです。

反対に相応のコストがかかる点や、支援制度の導入や運用面で担当部署の業務負担が増す点はデメリットといえます。予算や担当部署の状況、本来の目的である人材育成に確実につながるかを勘案して導入を検討しましょう。

eラーニング

eラーニングとは「電子化(e)した学び(ラーニング)の形態」のことです。「パソコン、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器、インターネットを利用して教育、学習、研修を行うこと」とイメージすると理解しやすいでしょう。

eラーニングは、人材育成の手法として有効です。ネット環境さえあればいつでもどこでも受講できるため、受講者側は空き時間などを活用できます。他の手法と比較して、管理者側・受講者側の負担が少ない点がメリットです。

ただし、自社が人材育成で重視する内容が含まれているか、システムが使いやすいかはサービスによって異なります。

人材育成へのeラーニング活用について詳細を知りたい方は以下の資料をご確認ください。

「失敗しない『企業向けeラーニング』の始め方」を無料でダウンロードする

ここからは「広義の人材育成」に該当するものを紹介します。

ジョブローテーション制度

ジョブローテーション制度とは、部署異動・職種の変更を定期的に行うことで、幅広い業務に対応できる人材を育成するための制度です。

さまざまな部署や職種を経験することで、適材適所の実現や部門を越えた社内ネットワークの構築、応用力の習得を期待できます。

ただし、移動直後は部署と社員の双方にパフォーマンス低下が生じやすい点、専門性を身につけづらい点はデメリットといえるでしょう。

人事評価制度

人事評価制度とは、各社員の「業績・能力・勤務態度や意欲」などを客観的指標により評価して、昇給や昇格に反映するための制度です。

人事評価制度は、社員を評価するためだけの制度ではありません。人材育成の手法としても重要な役割を担います。具体的には、人事評価によって被評価者は「何が足りないのか」および「何を身につけるべきか」を明らかにでき、次回の目標設定に活用できるのです。

参考:人事評価の項目とサンプル|目的や基準、実施手順を解説

目標管理制度

目標管理制度とは、各社員が個人目標を設定して、進捗や達成度合いを評価するための制度です。目標管理制度において、重要なポイントは2つあります。

1つ目は個人目標が、組織目標へとつながっていることです。人材育成の目的でもある「社員の成長を通じた企業の発展」を実現するためです。

2つ目は社員自らが目標を設定することです。有無を言わさず組織から課せられた目標はノルマでしかなく、自主性やモチベーションの維持は望めません。目標設定の過程では、社員に組織の目標を理解させることと、本人が納得した目標を設定することを重視しましょう。

参考:人材育成の目標とは?基本的な設定方法や管理のポイントを紹介

メンター制度

メンター制度とは、知識と経験のある先輩社員がメンター(育成担当者)となり、後輩社員(育成対象者)に対して指導・業務支援・メンタル面のサポートなどを行う制度です。

メンターには後輩社員と社歴や年齢が近い先輩社員が選抜されることが多くいため、後輩社員は「相談しやすい」、先輩社員も「後輩社員の悩みなどを想像・共感しやすい」といったメリットがあります。

ただし、メンターを担当する先輩社員の負担が増すこと、相性によっては悪い結果を招きかねないことはデメリットです。

メンター制度をスムーズに実施するためには、ペアとなった両者を必要に応じてフォローする上司の存在が欠かせません。少なくともメンターに任せきりとならないように注意が必要です。

役立つ5つのフレームワーク

人材育成に役立つフレームワークを5つ紹介します。

1. ベーシック法

ベーシック法とは、人材育成において必須である目標設定のフレームワークです。具体的には以下の4ステップで目標を立てます。

  • 目標項目の設定
  • 達成基準の設定
  • 期限の設定
  • 達成計画の設定

参考:人材育成の目標とは?基本的な設定方法や管理のポイントを紹介 

2. SMARTの法則

SMARTの法則とは、以下5つの視点で設定した目標の「質」を評価するために有効なフレームワークです。

  • Specific(具体性)
  • Measurable(計量可能)
  • Achievable(達成可能)
  • Realistic(関連性)
  • Time-bound(期限)

人材育成においては、設定した目標に対して「客観的に評価できるのか」「無理はないか」などを評価することで、目標そのもののクオリティ向上に役立ちます。

3. 思考の6段階モデル

思考の6段階モデルとは、人が物事を記憶・理解して最終的に創造に至るまでを示したフレームワークです。人材育成では、トレーナーやメンターの選出基準や、育成対象者の育成段階の指標として活用できます。

  • レベル1:記憶→事実・言葉・方法などを知っている
  • レベル2:理解→解釈・説明・言い換えができる
  • レベル3:応用→得た知識を様々な場面で用いることができる
  • レベル4:分析→全体像をつかみ、要素の分類や区分ができる
  • レベル5:評価→内容を確認し評価できる
  • レベル6:創造→レベル1~5を用いて新しいものを生み出せる

4. カッツモデル

カッツモデルとは、役職ごとに求められるスキルの割合を示したフレームワークです。

図:カッツモデル(3つの階層と3つのスキル)

図の通り、3つのマネジメント層と3つのスキルで構成されています。人材育成においては、各階層(役職)における各スキルの割合により「階層ごとにどのスキルを重視すべきか」を把握するのに役立ちます。

参考:カッツモデルとは?育成や評価への活用から最新の傾向まで解説

5. カークパトリックモデル

カークパトリックモデルは、教育効果を以下の4段階に分けて計測するためのフレームワークです。

  • レベル1:reaction(反応)
  • レベル2:learning(学習)
  • レベル3:behavior(行動)
  • レベル4:result(結果)

人材育成においては、研修がどの程度の教育効果をもたらしたかを把握するために用います。具体的には、レベル1では研修の満足度、レベル2では研修の理解度、レベル3では研修後の行動変化、レベル4では業績の向上度をそれぞれ計測します。

人材育成において育成担当者に必要なスキル

人材育成において、育成担当者がとくに身につけておきたいスキルを紹介します。

目標管理能力

育成対象者が定めた目標を期限内に達成するために必要な対処を、考え実行する能力のことです。目標と現状の差を正確に把握するための現状把握能力も含みます。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルとは、相手と情報を正確にやり取りするための能力です。やり取りのなかで相手に与える印象や感情も重視されます。人材育成においても必須のスキルです。

ここでは、なかでも人材育成において重要な「ティーチングスキル」と「コーチングスキル」を紹介します。

ティーチングスキル

経験豊富な人から経験が浅い人へ知識やノウハウを教えるためのスキルです。分かりやすい説明ができるか、上手く手本を提示できるかなどが求められます。

コーチングスキル

主に対話を通じて対象者の能力・気力を引き出し、自己成長や自発的な行動を促すためのスキルです。上下関係を意識せず並走しながら目標達成を目指すスタンスが特徴です。

ロジカルシンキング(論理的思考)

ロジカルシンキングとは、物事の結果と原因を明確にとらえ、両者のつながりを考える思考法です。人材育成で生じる様々な問題を結果と原因に分解・整理して、本質を見極めるのに役立ちます。

クリティカルシンキング(批判的思考)

クリティカルシンキングとは、物事の本質を見極めるためにあえて疑いをもって考える思考法です。

「批判的思考」と和訳されますが、批判のために誤りや欠点を探すわけではありません。本来の目的は、本質を見極めて改善やリスク回避につなげることです。

人材育成においても「本当にこの教え方でよいのか」や「もっと効率的・効果的な方法があるのではないか」など、あえて疑いをもつことでより良い結果に導きます。

人材育成の注意点

人材育成が失敗する理由・原因をあらかじめ知っておくことで、人材育成の手法やフレームワークを使った効果的な育成計画を立てることができます。

育成担当者のスキル不足を補う

人材育成がうまくいかない一つの要因として、育成担当者のスキル不足があげられます。会社にとって人材育成は大切な経営課題であり、その役割を果たす育成担当者のスキルは成功に導く上で重要な要素です。

具体的には、指導力やコーチング能力、目標管理能力、ロジカルシンキング(論理的思考)、クリティカルシンキング(批判的思考)などがあげられます。

必要なスキルが不足すると、その影響は育成する側にもされる側にも及びます。育成担当者自身も継続的に自己成長を続け、必要なスキルを身につけることが求められます。

育成担当者・メンバー間で目標を共有する

人材育成の失敗原因として、育成担当者とメンバー間で明確な目標が設定されていないケースが見受けられます。目標が曖昧だと、具体的なスキル向上やパフォーマンス向上のためのアクションを計画することが難しくなります。

例えば、新入社員の育成プランを立てる際、「一般的なビジネスマナーを身につけさせる」という目標があったとしましょう。これでは何をどの程度身につければよいのか、期限はいつなのか、が不明確です。

これを「3ヶ月後にはビジネスメールの基本的な書き方をマスターし、ビジネス電話における対応もスムーズにできるようにする」と具体化することで、具体的なアクションを計画しやすくなります。

人材育成に対する正当な評価システムを設ける

人材育成の一環として、各個人の成長を評価するシステムが必要不可欠です。評価が不適切であったり、または全く行われていなかったりした場合、個人のスキルアップの進行具合を把握することが難しくなり、個々に合わせた指導ができない可能性も生じます。

一般的な評価システムでは、以下のような項目が設定されます。

項目評価基準
専門性専門知識、技術の習得度
コミュニケーションチーム内での意思疎通の取れ具合
リーダーシップチームを引っ張る能力
プロジェクト管理能力進行管理、予算管理等
積極性・主体性自身で課題を見つけ解決する能力

評価は定期的に行い、その結果をフィードバックとして育成に活用することで、個々の成長を具体的に可視化し、育成の方向性を定めることが可能になります。

適切なリソース、時間を割く

人材育成は、組織の中長期的な成功に直結する大切なプロセスです。しかし、日常業務の中で多忙を極める企業では、「人材育成に十分な時間を割けない」という問題がしばしば見受けられます。

短期的な業績追求や火急の課題解決などが優先され、結果として人材育成が後回しにされてしまうケースが多いのです。しかし、人材育成は時間と手間をかけた分、そのまま結果が現れる長期的な投資ともいえます。したがって、人材育成に必要な時間を確保し、計画的に取り組むことが重要です。

例えば、一定の時間を設けて定期的に育成プログラムを行ったり、日々の業務の中で育成を意識したマネジメントを行うなどの工夫が求められます。人材育成に必要な時間を確保することは、組織の成長と個々のスキルアップにつながるため、中長期的な視点で見る必要があります。

最適な育成スキームを選択する

人材育成を成功させるためには「最適な育成スキームの選択」が重要です。この選択が適切でないと、時間や資源を無駄に消費し、結果として育成が進まないどころか、従業員のモチベーション低下を招くこともあります。

以下に示す表は、具体的な職位とそれに対応する最適な育成スキームの例です。

職位育成スキーム
新入社員・OJT
・OFF-JT
・メンター制度
・eラーニング
中堅社員・OJT
・メンター制度
・eラーニング
・ジョブローテーション
マネージャー・eラーニング
・外部研修
・人事評価研修

新入社員には実務を通じた学習(OJT)、メンター制度が有効で、中堅社員には経験豊富なメンターから学ぶ制度やジョブローテーションが効果的です。マネージャーになると、多角的な視点を持つための外部研修や人事評価研修が推奨されます。

上表のように、育成スキームは個々の職位や能力によって選択を変える必要があります。そのため、企業全体が推進する人材育成モデルの整備(最適な育成スキーム選び)が重要になるのです。

人材育成を効果的かつ効率的に行う方法

人材育成においては、階層ごとに習得させるべきテーマが多岐にわたります。いずれも本来は個別で研修を開催しなければならないほど奥深く重要なテーマです。

ただ一方で「すべてを集合型研修やOJTで習得させるのは困難」と悩む人事担当者も多いのではないでしょうか。

そこで有効なのが、管理者側と受講者側のいずれも少ない負担で行える「eラーニング」です。

eラーニングなら受講者はネット環境さえあればいつでもどこでも受講できます。管理者も受講案内のみで、参加者全員のスケジュール調整を行う必要もありません。誰も無理をすることなく手軽に実施できる手法だからこそ、多岐にわたる受講テーマを網羅することができるのです。

負担を少なく効果的な人材育成を実現したい方は下記の資料をご覧ください。

失敗しない『企業向けeラーニング』の始め方|無料でダウンロードする

まとめ|人材育成を成功に導くには「最適な育成スキーム選び」が重要

人材育成で大切なことは、「目的や目標、達成期日の設定」「担当者自身のスキルやモチベーション管理」「制度の設計」など多岐にわたります。また、新入社員や管理職といった「階層別」でも異なるため、各階層に応じた人材育成を実施しましょう。

精度の高い人材育成を実施し、社員の成長ひいては組織のさらなる発展を実現させましょう。

人材育成を成功に導く「最新育成モデル」を活用しませんか?

人材育成を成功に導くためには、育成過程の注力ポイントを知り、必要な成果に向けて適切なステップと育成スキームを選択することが重要です。

KIYOラーニングでは、「人材育成で大切な8つのこと」を仕組みでカバーできる『デジタル時代の人材育成モデル』をお届けしています。

社員が成長し、最終的に成果をあげるまでに必要な施策とその流れをモデル化したものになりますので、自社の状況と照らし合わせて育成方法を検討したい方はぜひご活用ください。