会社と社員の目標共有の強さを表す「従業員エンゲージメント」は、社員のモチベーションの維持、向上を目指す上での重要な概念とされていますが、コロナ禍により強制されたテレワーク環境の下で、その低下が懸念されており、人事担当者は、早急な対応が求められています。
この記事では、従業員エンゲージメントの向上を目指す上で必要となる評価制度や研修制度のあり方について全3回にわたって解説します。
連載第2回の今回は、「従業員エンゲージメントの向上を目指す上で必要となる評価制度としてOKR」について解説します。
従業員エンゲージメントを向上させる人材育成制度とは(全3回)
第2回「従業員エンゲージメントを向上させる評価制度OKRとは」
第3回「従業員エンゲージメントを向上させる研修制度インターバル型研修とは」
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OKRとは
OKRとはObjectives and Key Resultsの略で、従来のMBO(Management By Objectives)とは違った新しい目標管理の手法として注目されています。
従来のMBO と比較した場合、OKRの大きな特徴は4つあります。
1:従業員エンゲージメントが目的
従来のMBOが昇進や昇給を決定する人事考課を目的に実施されるのに対して、OKRは企業と従業員が目標を共有することで従業員エンゲージメントを高めることを目的に実施されます。
2:全社がスコープ
従来のMBOにおいては、目標が上司と部下の間で設定され、共有されるのに対して、OKRでは、まず全社の目標が設定、共有され、それに関連付けられるかたちで、部門や個人の目標が設定、共有されます。
3:目標達成率60~70%が合格基準
従来のMBOにおいては、目標を100%達成することが合格基準であるのに対して、OKRでは、あえて高い目標を設定し、60~70%達成すれば合格水準に達したと考えます。
4:進捗確認と評価を頻繁に行う
従来のMBOでは、評価は半期または年度に1回しか実施されないのに対して、OKRでは、月に1回、四半期に1回というように頻繁に進捗確認と評価が行われます。
このような特徴を持つOKRは、GoogleやFacebookといったグローバルな先進企業で採用されたことで、いっそう注目されるようになり、日本でも多くの企業で導入が検討されている状況です。
OKRの開始
OKRの開始にあたって必要となる作業が、達成目標(Objectives)と主要な成果(Key Results)データの設定です。
Objectiveは定性的な目標として、Key Resultsは定量的な指標として設定します。
また、1つのObjectiveに対して、2~5個程度のKey Resultsを設定しますので、ObjectiveとKey Resultsは1対多の関係になります。それぞれのObjectiveとKey Resultsについて、目標値が設定されます。
OKRの特徴として全社の目標が設定、共有され、それに関連付けられるかたちで、部門や個人の目標が設定、共有されるということがありますので、ObjectiveとKey Resultsは、最上位の階層から下層に向かって、「全社→部門→個人」のような順番で設定されます。
あたりまえのことですが、目標を考案するのは、「全社」、「部門」、「個人」の目標それぞれに責任を持つ担当者や社員です。
慣れないうちは、目標を考案するのが難しかったり、考案した目標が運用段階で、うまく評価できなかったりするかもしれません。
そのような場合に、参考になるのがSMARTの法則とFASTの法則です。SMARTの法則もFASTの法則も、どちらもOKRに限らずさまざまな目標設定に適用される汎用的な考え方です。
SMARTの法則は、目標設定の際に、
- Specific(具体的である)
- Measurable(測定可能である)
- Assignable(誰がやるのか割り当てることができる)
- Realistic(現実的である)
- Time-related(期限が明確である)
の基準を設けることで、適切な目標を設定できるという考え方です。
一方、FASTの法則は、目標設定の際に従うべき基準として、
- Frequent(ゴールは頻繁に議論される)
- Ambitious(不可能ではない範囲で野心的である)
- Specific(具体的な指標とマイルストーンで計測できる)
- Transparent(組織の全員から見えるよう透明性がある)
の4つが設定されています。
どちらが良い悪いというわけではありませんので、自分にとって取り入れやすい方、あるいは双方の良いところをピックアップした上で参考にするとよいでしょう。
OKRの運用
ObjectiveとKey Resultsの設定が完了し、OKRの運用が開始されると、進捗確認と評価の実施と結果の記録が必要になります。
OKRは、MBOのように人事考課が目的ではなく、従業員エンゲージメントを高めることが目的ですから、進捗確認や評価の結果は、達成率のような定量的なデータだけではなく、進捗確認や評価におけるグループ内でのやりとりの内容といった定性的な情報が記録されることが重要です。
また、従来のMBOでは、評価は半期または年度に1回しか実施されないのに対して、OKRでは、月に1回、四半期に1回というように頻繁に進捗確認と評価が行われます。
つまり、MBOとは違い、OKRでの進捗確認や評価は短い頻度で複数回行われますので、進捗確認や評価の結果は、最終的なもので上書きされるものではなく、時系列に記録される必要があるということになります。
まとめ
OKRは従来のMBOとは違った新しい目標管理の手法として注目されており、従来のMBOが昇進や昇給を決定する人事考課を目的に実施されるのに対して、OKRは企業と従業員が目標を共有することで従業員エンゲージメントを高めることを目的に実施されることが特徴です。
OKRの開始にあたって必要となる作業が、達成目標(Objectives)と主要な成果(Key Results)データの設定です。Objectiveは定性的な目標として、Key Resultsは定量的な指標として設定され、1つのObjectiveに対して、2~5個程度のKey Resultsが設定されます。
OKRの運用が開始されると、進捗確認と評価の実施と結果の記録が必要になります。
OKRは、従業員エンゲージメントを高めることが目的ですから、定量的なデータだけではなく、進捗確認や評価におけるグループ内でのやりとりの内容といった定性的な情報が記録されることが重要です。
また、OKRでは、月に1回、四半期に1回というように頻繁に進捗確認と評価が行われ、その結果は、時系列に記録される必要があります。
次回は、「従業員エンゲージメントの向上を目指す上で必要となる研修制度としてインターバル型研修」について解説します。
従業員エンゲージメントを向上させる人材育成制度とは(全3回)
第2回「従業員エンゲージメントを向上させる評価制度OKRとは」
第3回「従業員エンゲージメントを向上させる研修制度インターバル型研修とは」
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