社員研修とは?種類やテーマ例、効果的な進め方をプロが解説

企業の発展と継続的な成長のためには、社員一人ひとりの能力向上が不可欠です。そのための手段として活用されるのが、「社員研修」です。社員研修は、新入社員のオリエンテーションから管理職向けのリーダーシップ研修まで、さまざまな形で実施されます。

しかし、社員研修には時間とコストがかかるため、その効果が問われることも少なくありません。また、「なんとなく」行われている研修が多いという声も耳にします。実際、事前準備からフォローアップまでの一連のプロセスを適切に管理していなければ、十分な研修の成果を得ることは難しいでしょう。

そこで本記事では、社員研修の効果を最大限に引き出すための方法について解説します。具体的には、社員研修の目的や背景を再確認し、研修プログラムの設計方法や、既存の研修内容の見直しポイント、研修成果を高めるためのコツなどを紹介します。

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企業の発展に従業員の成長は欠かせませんが、多くの企業が「育成計画をどう立てたらいいか分からない」「そもそも育成の時間や余裕がない」などの課題を抱えています。

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社員研修とは

社員研修とは、企業が従業員のスキルや知識を向上させるために行う教育訓練のことです。これは新入社員がビジネスマナーや社内ルールを学ぶオリエンテーションから、中堅社員が新しい役割や技術を学ぶスキルアップ研修、リーダーシップを養うための管理職研修まで、幅広い範囲をカバーします。

また、社員研修の形式は様々で、伝統的な集合研修(座学)やオンライン研修、そして最近ではeラーニングといった自己学習型の研修があります。それぞれの研修形式には、その特性に応じた活用法や学び方があります。

社員研修は、企業の競争力を維持・向上させるために欠かせない活動です。適切な研修は、社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体としての成長を実現することが期待できます。

社員研修の目的

社員研修の根本的な目的は、「社員一人ひとりのスキルや能力の向上」を通じて、「企業全体の生産性や業績の向上」を実現することです。具体的な目的を以下の表に示します。

スキル・能力目的
専門スキル仕事の質・速度を向上させる
コミュニケーション能力チームの協調性を高める
リーダーシップチームの生産性を高める
プロジェクト管理プロジェクトの成功確率を上げる

これらのスキルや能力は、常に最新の状態に更新し、適切なレベルに保つ必要があります。新人社員は初めての業務に対応するための基礎知識やスキルを習得し、中堅社員は更なるスキルアップやリーダーシップの習得、管理職は組織のマネジメントスキルを向上させます。社員研修は、社員がこれらの目的を達成するための重要な手段です。

社員研修の見直しが必要な理由

社員研修は、企業の人材育成において重要な役割を担っています。しかし、近年の急速な社会環境の変化に伴い、従来の研修内容や方法では、必ずしも十分な効果が得られなくなってきました。

企業が継続的に成長するためには、社員研修の在り方を見直し、時代に合った形に進化させていく必要があります。ここでは、社員研修の見直しが求められる主な理由について詳しく見ていきましょう。

働き方の多様化

社員研修の見直しが必要とされる理由の一つに、働き方の多様化があります。近年、働き方改革やテクノロジーの進化に伴って、全員が同じ場所で同時に働くというスタイルが変化してきています。

一例として、テレワークやリモートワークが挙げられます。新型コロナウイルスの影響もあり、これらの働き方が一般化してきました。また、育児や介護等での勤務時間や働く形態が異なる社員も増えています。これらの社員に対しても、効果的な研修を提供する必要があります。

このような状況で、全員が同じ時間、同じ場所で研修を受けるという形式から、オンラインで自分の都合に合わせて受講できるeラーニング等、多様な働き方に適した研修形式へと移行することが求められています。

いずれにせよ、これらの現代的な働き方をサポートするために、社員研修の内容や形式の見直しは避けて通れません。

価値観の変化

近年、働き手の価値観が大きく変化していますが、これも社員研修の見直しが必要とされる要因の1つです。

かつては「一生涯同じ会社で働く」ことが一般的でしたが、現代では「自身の成長やキャリアアップを優先する」という価値観が広がっています。このような価値観の変化は、社員研修にも反映されるべきです。

たとえば、従来の教育研修では「会社のルールや業務フローを理解する」ことが一般的でしたが、現代の社員研修では「自己実現やスキルアップを図る」内容にシフトしていくことが求められています。

価値観の変化を理解し、それに応じた研修プログラムを作成することで、社員の満足度やモチベーションの向上、結果的にはパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。

DX推進の必要性

DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、現代企業が取り組むべき最重要課題の一つですが、その実現には社員一人ひとりのスキルアップが欠かせません。そこで重要になるのが「DX推進のための社員研修」です。

この研修の目的は、社員全員がDXの目的を理解し、DXを自分ごと化するように促したり、新しいツールを自身の業務に生かせるような力を養うことです。

また、DXは新しいビジネスモデルや働き方を生み出せるチャンスも秘めています。そのため、社員それぞれが自ら考え、提案できる「創造力」や「思考力」も大切です。これらも研修で鍛えるべきスキルと言えるでしょう。

社員研修の形式

社員研修を効果的に実施するためには、研修形式の特性を理解し、目的に応じて最適な方法を選ぶことが求められます。

代表的な研修形式には以下のようなものがあります。

  • 対面式の集合研修
  • インターネットを介したオンライン研修
  • 自学自習が中心のeラーニング

それぞれにメリットとデメリットがあるため、研修の目標や参加者の特性を考慮しながら、適切な形式を採用することが重要となります。

集合研修(座学研修)

集合研修、または座学研修は、社員研修の基本形ともいえます。これは、講師が前に立ち、参加者が座って聞くという形式を取ることから「座学研修」とも呼ばれます。

座学研修の一番の特徴は、全員が一斉に同じ内容を学べることです。これにより、共通認識の形成や全体のスキルアップが期待できます。例えば、企業の理念や方針、新たなビジネス戦略などを社員一同に伝える場合には特に効果的です。

しかし、全員が同じテンポで学ぶため、個々の理解度に差が出る可能性もあります。そのため、座学研修の効果を最大限に引き出すためには、受講者の理解度を確認したり、質疑応答の時間を設けるなど、受講者の理解度や吸収度を高める工夫が必要です。

また、参加者全員が同じ場所に集まる必要があるため、地方拠点や海外拠点の社員が参加する際には出張や時間調整が必要となる場面もあるでしょう。

オンライン研修

オンライン研修は、顔を合わせることなく自宅やオフィスなどから参加することが可能な研修形式です。近年では、新型コロナウイルスの影響や時間・場所の制約をなくすために導入する企業が増えています。

主な特徴としては、以下の3点が挙げられます。

特徴説明
柔軟性様々な場所や時間帯からアクセスが可能であり、自身の都合に合わせて学習が進められます。
コスト削減会場のレンタル料や移動費などが発生しないため、費用の削減を削減が期待できます。
安全性集団での研修に比べ、感染症のリスクが低いというメリットがあります。

ただし、物理的な距離があるため、参加者同士のコミュニケーションや、直接指導を受ける機会が少なくなるというデメリットも考慮に入れる必要があります。

そのため、適切なツールを使用し、参加者同士の交流や、質疑応答の時間を設けるなどの工夫を行うことが大切です。

eラーニング

eラーニングとは、インターネットを活用した学習形式の一つで、人材育成の研修においても重要な役割を担っています。パソコンやスマートフォンからアクセスすることで、場所や時間を選ばず、受講者の都合に合わせて学習を進めることができ、受講者がモチベーションを保ちやすい形式と言えます。

また、受講者の学習状況を管理システム上で確認することができるため、進捗や理解度のチェックも容易です。これらのデータは、自社の人材の傾向分析や教育施策の検討に活用することができます。

これらの点から、eラーニングは社員研修において非常に効果的な手法と言えるでしょう。

研修内で用いられる学習手法の種類

研修の成果を高めるためには、適切な学習手法を選択することが重要です。研修の目的や参加者の特性に合わせて、様々な学習手法を組み合わせることで、研修の効果を最大限に引き出すことができるでしょう。ここでは、社員研修でよく用いられる主な学習手法について詳しく見ていきます。

ロールプレイング

ロールプレイングは、社員研修において非常に効果的な学習手法です。具体的なシチュエーションを設定し、それぞれが役割を担いながら対話を展開することで、実務経験を積むことなく業務を想定した対応を体験できます。

例えば、新入社員向けのビジネスマナー研修では、先輩社員や上司、顧客などとのコミュニケーションを模擬体験することで、実際の職場で必要となるスキルを身につけることができるでしょう。

また、営業研修では、顧客との商談シーンを想定したロールプレイングなどが考えられます。具体的な商品説明や交渉技術はもちろん、臨機応変に対応を変える柔軟性や困難な状況に対する対処能力も養うことが可能です。

ロールプレイングは、自分がどのように振る舞うべきかを体感することで、実務に対する理解を深め、自己の行動改善に繋げる効果があります。ただし、ロールプレイングを効果的に行うためには、専門知識を持った研修講師が進行・フィードバックを行える環境を整えることが重要です。

グループワーク

社員研修における一つの学習手法として、グループワークがあります。これは、複数の社員が一つのチームを組み、共通の課題を解決する活動です。

グループワークの最大の特徴は、コミュニケーション力やチームワークを鍛えられる点です。異なる意見を比較し、議論を重ねる過程で、思考力や表現力を磨き、そして他者の理解も深めていきます。また実際の業務では、個々の職務だけでなくチームとしての成果も求められるため、グループワークは実務経験が少ない新入社員だけでなく、中堅社員や管理職にとっても有意義な学習手法と言えるでしょう。

以下に、具体的なグループワークの例を挙げます。

テーマねらい内容
新製品企画創造力・発想力市場調査から企画提案まで
社内改善案問題解決能力既存の問題を改善する提案

これらは参考例であり、目的や参加者のレベルによって、テーマや内容は無限に広がります。グループワークを活用することで、学習者の能力発揮と成長を促す有効な研修を実現できます。

個人ワーク

社員研修の学習手法の一つとして「個人ワーク」があります。個人ワークは、講師の説明を聞くだけでなく、参加者一人ひとりが主体的に考え、課題に取り組む手法です。具体的には、個人で問題を解いたり、ケーススタディに取り組んだり、自己分析を行ったりします。

個人ワークの主な目的は、以下の3点です。

  • 自分の考えを深める:個人ワークでは、自分の頭で問題を解決することが求められます。そのため、学んだ内容をより深く理解し、応用力を高めることにも繋がるでしょう。
  • 主体的な学習姿勢を養う: 個人ワークは、受動的に講義を聞くだけでなく、自ら積極的に学習に取り組むことを促します。この経験を通じて、主体的な学習姿勢を身につけることができます。
  • 実践的な問題解決能力を身につける:個人ワークで実際の業務で直面するような問題やケースを扱うことで、実践的な問題解決能力を養うことができます。

このように個人ワークを研修に取り入れることで、参加者の能動的な学びを促し、研修の効果を高めることができるでしょう。

チェックテスト

チェックテストは、社員研修の一部として重要な役割を果たします。これは参加者の理解度を測るだけでなく、学習内容がきちんと頭に残っているかを確認するためのツールです。

具体的には、研修の途中や終了時に、その日に学んだ内容に関連した問題を出題します。テスト形式は選択肢のあるクイズ形式、記述形式、実技試験など、研修内容に沿った形式を選択すると良いでしょう。

例えば、新人研修でビジネスマナーを学んだ場合、クイズ形式で「ビジネスシーンにおける適切な言葉遣い」や「挨拶の仕方」について問うことができます。また、商品知識を学んだ場合は、その商品の特徴や効果等について記述させることで知識を定着させることが可能です。

一方でチェックテストは、研修担当者にとってはフィードバックの一環となります。なぜなら、理解度や定着度といったデータは、研修内容の見直しや改善に活用することができるためです。

課題・宿題

社員研修における「課題・宿題」は、学んだ知識やスキルを自己のものにするための重要な手段です。これは、研修後も従業員が独自に学習を進めるきっかけを作り、理解を深めるために有効な方法です。

具体的には、研修で扱ったテーマに関連する実践的な課題を与え、受講者が自分で考え、解決策を見出すよう促します。例えば、マネジメント研修であれば、部下とのコミュニケーションを改善するための具体的な行動計画を立てる宿題を出すことができます。あるいは、営業スキル研修では、実際の顧客を想定したロールプレイングを課題とすることも有効でしょう。

研修効果を高めるためには、研修後にいかに学んだ内容を想起・実践させるかが重要です。そのための手段として課題・宿題を積極的に取り入れましょう。

【階層別】社員研修のテーマ・コンテンツ例

社員の階層に応じて、必要とされる知識やスキルは異なります。効果的な社員教育を行うためには、各階層に合わせた研修テーマやコンテンツを用意することが重要です。ここでは、新入社員から管理職まで、階層別の研修テーマとコンテンツ例を紹介します。

また、Aircourseが提供するeラーニングコンテンツも併せてご案内しますので、自社の研修プログラム設計にぜひお役立てください。

新入社員向け

新入社員(入社1から3年目を想定)では、ビジネスマナーやビジネススキルの基礎を固めることが大切です。この時期に基礎を固めておけば、実践経験を重ねるごとに知識やノウハウの定着や強化、自ら振り返りを行えるようになります。

また初めての業務・慣れない業務に翻弄されがちな時期でもあるため、セルフマネジメントに関する知識の習得もおすすめします。

具体的には以下の通りです。

  • ビジネスマナー(挨拶、言葉づかい、敬語、電話応対、来客応対、名刺交換など)
  • ビジネスマインド(社会人としての心構え、タイムマネジメント、セルフモチベーションなど)
  • コミュニケーション(報連相、伝え方と聞き方、プレゼンや発表のコツなど)
  • ビジネス文章の書き方(Eメール、企画書、稟議書など)
  • ITスキル(パソコン操作、社内システム操作)

Aircourseでは、新人社員向けに以下のようなeラーニングのコンテンツを提供しています。

講座名概要
コミュニケーション講座(社内編)  社内で必要なコミュニケーションの方法や目的を正しく学ぶことができます。 具体的なスキルをケーススタディを交えてわかりやすく解説しています。
情報セキュリティ基本知識【入門編】  最新情報も反映したコンテンツです。以下の内容を学ぶことができます。   ・情報セキュリティで「何を」守るのか?基本を学べます。 ・仕事や、プライベートなどで身近に使う物を取り上げ、具体的に「やった方が良いこと・やってはいけないこと」をレクチャーします。 ・新しく入社する社員全員が共通認識として持っておくべき知識を学びます。
新人社員の名刺交換の基本  名刺交換の一連の流れをNG例、OK例の動画でわかりやすく学びます。

新入社員の育成については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

新入社員の育成|具体的な方法やテーマから重要ポイントまで解説

中堅社員向け

中堅社員(入社4年目以降を想定)は、業務にも慣れて独り立ちし、部下や後輩もできる頃です。中堅社員に対しては、組織の中枢を担うことの自覚や育成担当者としてのスキル向上、管理職候補としてのマネジメントスキル向上などが必要となります。

具体的には以下の通りです。

  • 担当業務の専門性向上(営業研修、技術研修など)
  • メンター研修
  • OJT研修(OJTトレーナーのための研修)
  • マネジメント(管理職候補として)
  • リーダー研修
  • コーチング
  • プレゼンテーションスキル強化

Aircourseでは、中堅社員向けに以下のようなeラーニングのコンテンツを提供しています。

講座名概要
リーダーシップトレーニング①:リーダーシップの基本知識全4回のこのコースではリーダーシップの基本的な知識、概念を習得し、リーダーシップ強化の第一歩を踏み出すための実践トレーニングを行います。リーダーシップとは何なのかを明確にして、リーダーシップの強化の方向性を明確にします。
部下育成トレーニング①:部下育成の基本部下育成トレーニングシリーズ(全5回)の第1回目のコースです。   本コースでは、部下育成に関する基本知識を学び、効果的な育成をするためのマインドセットを実践的に行います。
  WIN-WINを実現する実践的交渉力:①交渉の基本知識  WIN-WINを実現する実践的交渉力(全5回)の第1回コースです。   交渉(ネゴシエーション)に関する基本知識を学び、仕事における様々な交渉場面に活用できる知識を理解できるようになります。WIN-WINの視点から社外との打ち合わせ、商談や社内の会議などで持つべき交渉の場面を想定し、その後、実践ワークを通じて、交渉の課題設定を行います。  

中堅社員向けの研修については、以下の記事でそれぞれ詳しく解説しているので、研修作りの参考にしてください。

OJT研修とは?目的や手順、優秀なトレーナーを育成するポイント

メンター研修とは?研修内容から実施前後のポイントまで解説

リーダー研修は意味あるのか?効果を出すための内容・カリキュラム設計とは

管理職向け

管理職は、企業理念や経営層の経営方針やビジョンを正しく理解して、目標達成に向けマネジメントを行う役割です。そのため経営やマネジメントスキルに関するテーマが中心となります。

具体的には以下の通りです。

  • 経営戦略
  • マネジメント(現役の管理職として)
  • 目標管理
  • 人事評価
  • 部下育成

Aircourseでは、管理職向けに以下のようなeラーニングのコンテンツを提供しています。

講座名概要
  中堅・管理職のためのダイバーシティ講座_①今なぜダイバーシティなのかその意義を知る  「ダイバーシティ=多様性を活かす」とは何なのか、その基本を適切に理解するとともに、ダイバーシティに着手・推進する意義を踏まえた具体策や行動へのマインドセットを整えます。
  ビジネスに役立つKPI分解の実践演習①KPIツリーの基礎とバランスト・スコアカード  データを可視化しビジネス成果につなげるためには、KPIという指標が欠かせません。本コースでは、KPIの必要性や、KPIツリーを作成する意図を学習します。また、KPIツリーを作成する際に意識したいバランスト・スコアカードについてもご紹介します。
【MBAシリーズ】経営戦略:001_経営戦略を学ぶ目的  本コースでは経営戦略を学ぶ目的を確認します。 様々な業種・立場・状況の方が経営戦略を学びますので、本コースを参考に、自分なりの学びの目標を立てましょう。

全社員向け

階層や入社時期など関係なく、全社員が学ぶべきテーマもあります。ハラスメント関連やコンプライアンスなど、法令やモラルに関するものが中心です。

具体的には以下の通りです。

  • 各種ハラスメント
  • コンプライアンス
  • 情報セキュリティ
  • チームビルディング

例外的に、チームビルディングは全階層・全社員が参加するゲームやスポーツのようなエンターテイメント要素が強いものがおすすめです。社内のチームワークの向上や、コミュニケーションの円滑化に寄与します。

Aircourseでは、全社員向けに以下のようなeラーニングのコンテンツを提供しています。

講座名概要
事例で学ぶ「しない・させない」ためのハラスメント総合研修  誰もが加害者にも被害者にもなる可能性を秘めている「ハラスメント」について、全社員共通の認識を持つことにより、しない・させない・ゆるさない職場づくりに役立てることができます。   わかってるつもりのパワハラ・セクハラについて定義から学び、マタハラやセカンドハラスメントまで理解を深めます。
ここが危ない著作権(著作物の引用・転載)業務の中に潜む著作権侵害の危険性をNG例の動画でわかりやすく学びます。
情報セキュリティの動向本コースでは、情報セキュリティ対策の実態や、対策を怠ることで被る被害を、調査データや事例をもとに学習します。あわせて、情報セキュリティに関連する法律・認証の概略を学習します。

社員研修のステップ

効果的な社員研修を実施するには、体系的な設計プロセスが重要です。ニーズ分析から目標設定、計画策定、実施、効果測定までの一連の流れを適切に管理することで、個人と組織のニーズに合致した研修を提供できます。各段階で重要なポイントを押さえながら、社員の成長と組織力の向上を目指しましょう。

ニーズ・課題の抽出

社員研修を設計する際に不可欠なのが、企業や組織のニーズと課題の抽出です。この段階では、「現状のスキルレベルはどうか」「何が足りないと感じているか」「これから必要となるスキルは何か」等を明確にすることが求められます。

課題抽出のためには、全社員を対象にスキルや知識の不足点や、研修の改善希望点を尋ねる「アンケート調査」や、上司・部下・同僚など複数人の評価者による授業員の評価を行う「360度フィードバック」などが有効でしょう。

これらはあくまで一例ですが、適切なニーズと課題の抽出を行い、それを研修の設計に反映させることで効果的な人材育成が可能となります。

研修目標の設定

研修を設計する際、研修目標の設定は重要なプロセスです。これは、研修を通じて達成したいスキル上達レベルや理解度を具体的に明示するものです。目標設定が明確でないと、受講者が何をどこまで学ぶべきか、また、達成感を感じるための基準が曖昧になってしまいます。

具体的な設定方法としては、”SMART”原則が有用です。

  • Specific(明確な):具体的に何をどの程度理解・習得するか。
  • Measurable(測定可能な):達成度を測定できる具体的な指標を設ける。
  • Achievable(達成可能な):現実的な目標を設定し、挫折しないようにする。
  • Relevant(関連性のある):ビジネス目標や個々の職務と関連付ける。
  • Time-bound(期限が明確な):達成までの期限を設定する。

これらを踏まえて設定した研修目標は、研修の振り返りを行う際にも重要な役割を果たします。研修は振り返りと改善を繰り返すことで、より良いものになっていきます。効果的な改善につなげるためにも、目標設定は慎重に行うようにしましょう。

研修計画の策定

研修目標の設定が完了したら、いよいよ具体的な研修計画の策定を行います。研修計画を立てる際は、以下のポイントを押さえると良いでしょう。

ポイント説明
研修の目的抽出した課題やニーズに基づいて、作成・見直しを行う研修の目的を考えます。
研修のターゲット研修の対象となる参加者を明確にします。職種、役職、経験年数などを考慮して設定します。
研修の場所研修を実施する場所を決定します。社内の会議室、外部の研修施設、オンライン上など、目的に合った場所を選びます。
研修の内容・テーマ研修の目的を達成するために必要な知識やスキルを習得できる内容を設定します。参加者のニーズや課題に合致したテーマを選定しましょう。
研修の日時参加者のスケジュールを考慮しつつ、研修の目的や内容に適した日程と時間帯を設定します。
研修の形式講義形式、グループワーク、ロールプレイ、e-ラーニングなど、研修の内容や目的に適した形式を選択します。

研修の実施

研修のコンテンツが固まったら、いよいよ本番の実施段階に入ります。研修を効果的に進めるためには、まず参加者全員に研修の目的や狙いを明確に理解してもらうことが不可欠です。事前に目的などを伝えていたとしても、全員が完全に把握しているとは限りません。

そこで、研修の冒頭で、なぜこの研修が企画されたのか、これからの時間で何を学ぶのかを丁寧に説明することが重要なのです。こうすることで、参加者一人ひとりが研修の意義を認識し、共通の目標に向かって学習に取り組むことができるようになります。

効果測定

研修の最終段階に位置する「効果測定」は、研修の有効性を検証する重要な工程です。

まず、具体的な研修の目標に対して、その達成度合いを定量的に評価することが求められます。例えば、営業スキル向上を目指す研修であれば、研修前後での売上実績の差分や顧客満足度の変動など、数値で捉えられる指標を用いて効果を測定します。

また、効果測定は参加者の視点からも行いましょう。研修終了後にアンケートを実施し、研修内容の理解度や満足度、今後の仕事への活用度などを確認します。

以下の表は効果測定の一例です。

測定項目測定方法
研修目標の達成度定量的指標による評価
研修内容の理解度参加者アンケート
研修満足度参加者アンケート

より効果的な人材育成を行うためには、これらのデータ分析に基づいて、研修の内容や進め方を改善していくことが大切です。

社員研修を効果的に行うためのポイント

既存の研修プログラムを惰性的に実行するだけでは、社員研修の成果を最大化することができません。ここでは、社員研修を効果的に行うためのポイントを紹介します。

事前にスキル・能力の現状把握を行う

効果的な研修を設計するためには、事前に参加者のスキル・能力の現状把握を行うことが不可欠です。

現状把握の具体的な方法としては、スキルマップの作成が有効です。スキルマップとは、職種や役割ごとに必要なスキルを一覧化し、各スキルの習得度を評価したものです。面談や過去の評価結果などを用いて、参加者一人ひとりのスキルマップを作成することで、個々のスキルレベルや強み、弱みを可視化できます。

このようなスキルマップを活用した現状把握によって、自社の課題やニーズに合致した研修プログラムを作成することができるようになるでしょう。

また、参加者自身にとっても、自分の課題を認識することで、研修への参加意欲も高まります。このように、スキルマップを用いた事前のスキル・能力の現状把握は、研修の効果を最大限に引き出すための重要な基盤となるのです。

研修の意義を周知し参加へのモチベーションを高める

研修の成果を最大化するためには、単に研修内容を受講するだけでは不十分です。社員自身が研修の意義を理解し、自発的に参加意識を持つことが重要となります。

まず、研修の目的や目標を社員全体に周知することから始めましょう。それが仕事にどのように活かせるのか、自分のスキルアップにどう繋がるのかを具体的に提示すれば、社員にとって研修が身近な存在になります。

次に、社員のモチベーション向上には、研修の進行形式も大切です。例えば、グループワークで互いの意見を共有したり、ロールプレイで実践的な経験を積むことで、学びの楽しさや達成感を感じることができます。

また、参加者の声を定期的に取り入れるフィードバックシステムも効果的です。研修後にアンケートを実施し、参加者の反応や意見を反映させることで、研修の質を高め、参加意欲を維持することが可能となります。

このように、研修の意義を明確にし、参加のモチベーションを高める取り組みを進めることで、研修の効果を最大限に引き出すことができます。

研修アンケートを実施し改善を繰り返す

社員研修では、その効果を把握し、継続的な改善を図るために、研修後にアンケートを実施することが推奨されます。具体的には、研修の内容、方法、講師の質、理解度など、様々な観点から参加者のフィードバックを得ることが重要です。

例えば、以下のような質問項目を設けてみます。

  • 研修へ参加する前に悩んでいたことは何ですか?
  • 研修に参加して何を得ることができましたか?
  • 研修で学んだことを活かして今日からどんな行動をしますか?
  • 今回の研修を100点満点で採点すると何点ですか?
  • 研修の運営に関して、ご意見やご要望を教えてください
  • 今後、受講したい研修のテーマを教えてください

このアンケート結果を基に、研修内容の見直しや教材の改善、講師選定などの方法を試みることで、研修の品質向上につなげます。また、参加者の意見を反映させることで、より具体的なニーズに対応した研修を提供できるようになるでしょう。

研修アンケートの作り方については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

研修アンケートの項目例・作り方のコツを紹介【無料テンプレ付】

実践の機会を設ける

研修を成功へと導くために欠かせないポイントのひとつが、実践の機会を設けることです。なぜなら、研修で得た知識が仕事の場で活かされなければ意味がないからです。研修で得た知識を「知っている」状態から、「使える」状態へと引き上げること。これも研修担当者の重要な役割と言えます。

具体的には、研修後にその内容を活用する機会をスケジュールに組み入れます。例えば、営業スキル研修を受けた後は、実際に顧客へのプレゼンテーションをスケジュールすると良いでしょう。

また、実践の場を設けることは、研修の成果が目に見える形で現れるため、受講者の達成感や自信を引き立てます。これにより、学習意欲を高め、受講者のさらなる自己成長を促すことができるでしょう。

社員研修の事例

社員研修の方法は多岐にわたりますが、近年ではeラーニングを取り入れ、社員研修を効果的に行なっている企業が増えています。eラーニングは時間や場所の制約を受けずに学習できる利点があり、社員のスキルアップや人材育成に有効です。

ここでは、実際にeラーニングを社員研修に活用している企業の事例を紹介します。

eラーニングが新規事業推進の重要インフラの1つに|株式会社エムエム総研

株式会社エムエム総研は、クリエイティブ制作、WEB支援、テレマーケティング、メディアプランニング、イベント企画など、マーケティングにおける複合的な要素をワンストップで支援する、BtoBマーケティングに特化した企業です。

最近では新規事業の根幹である、インサイドセールス・デジタルマーケティングのノウハウを伝え、インサイドセールス人材の育成に力を入れていましたが、事業拡大に向けて人材の工数確保や継続的な育成が課題となっていました。

そこで、eラーニングシステムを導入し、効果的な講義プログラム受講体制を確立。

その結果、ノウハウを伝える側の大幅な工数削減と継続的な社員の育成が可能となり、理想的な社内体制の構築が実現しました。

参考:マーケティングで「はたらく」を変える。│エムエム総研様導入事例

eラーニング導入で新人教育の負担軽減とスペシャリスト育成の高速化を|株式会社フィールドパートナー

株式会社フィールドパートナーは土壌汚染問題に向き合い、さまざまなリスク分析・評価しながら土壌汚染の専門家として課題を解決し続けてきました。

しかし、土壌汚染という「ニッチ」な業界であるため、経験者や有識者が少なく、どうしても未経験の社員を採用せざるを得ない状況のなか、事業の成長スピードに合わせて未経験者を即戦力にする方法の検討が求められました。

そこで、コストパフォーマンスや使いやすさといった観点からeラーニングシステムを導入し、優れた自社オリジナルコンテンツの作成や学習管理を徹底し、業務に関する学習を習慣化させています。

今後の展開として、「研修コースを作成し、受講の指示をする強制的な教育だけではなく、eラーニングシステムのコース作成(動画共有)の権限を現場の社員にも与え、現場で行っているOJTにeラーニングを活用したり、現場で日々培われているノウハウを共有したりするツールとしても活用していきたい」と語っています。

参考:スペシャリストに最速で育成するプロセス構築に向けて│フィールドパートナー様導入事例

eラーニングで研修の「場所と時間」の問題を解決|株式会社MS-JAPANMS-Japan

管理部門(経理・財務・人事・総務・法務・経営企画等)、スペシャリスト(公認会計士・税理士・弁護士・金融専門職)に特化した人材紹介サービスを提供し、人材紹介サービス業界内で独自のポジショニングを確立している株式会社MS-JAPAN。

2016年の東証マザーズ上場から約1年で東証一部に市場変更も達成しており、その後は業務拡大や社員数の増加、株式上場で組織の体制は大きく変化しました。

そのような社内体制のなか、社員の教育は不定期に集合研修をしたり、社員が作成したマニュアルをもとにOJTをしたりしているのみで、危機感を感じる方から不安の声が上がりました。

そこで階層別の研修制度を整えるために、月額制で受け放題の集合型研修のサービスを利用を開始しましたが、特に外回り中心の営業スタッフは勤務の時間や場所も不規則なため、全く研修が受講できず、内勤の従業員との間で教育格差が生じてしまっていたのです。

このような「場所と時間」の問題を解消するために、eラーニングシステムの『AirCourse』を導入し、企業理念やビジョンの共有、社内ナレッジ共有も独自の研修として作成しました。AirCourseでは、独自のeラーニングを簡単に作成できるため、研修受講者・管理者ともに使いやすいことが導入の決め手となったと語っています。

また、AirCourseには「標準コース」という作成済みのビジネス研修コースが備わっているため、ビジネススキルの研修や新人向けの研修など汎用的な研修は作成する必要がなく、eラーニングの導入がスムーズに進む要因となっています。

参考:教育体制強化を実現│MS-Japan様の導入事例

まとめ

本記事では、社員研修の目的、必要性、形式などを詳しく解説しました。社員研修は、新入社員から管理職まで、全ての社員がスキルを向上させるための重要な機会です。しかし、その効果を最大化するには、研修の目的設定、ニーズの抽出、計画策定、実施、そして効果測定など、一連のステップをきちんと踏まなければなりません。

また、研修を効果的に行うためには、事前のスキル把握や研修の意義周知、アンケート実施、実践機会の設け方など、工夫が必要です。さらに具体的な社員研修の事例を通じて、効果的な研修の進め方や結果を理解することもできます。

この知識を活用し、社員一人ひとりが自身のスキルを高め、組織全体としても成長するための社員研修を計画・実施することをお勧めします。

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企業の発展に従業員の成長は欠かせません。しかし、多くの企業が

  • 「人材育成を行う時間と余裕がない」
  • 「どのように人材育成を進めるべきかがわからない」
  • 「社員自身が人材育成の重要性を認識できていない」

といった悩みを抱えています。

社員が成長し、事業成果をあげるためには、時代の変化や企業課題にあわせた適切な育成手法の選択が欠かせません。

KIYOラーニングでは、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新の人材育成モデルやその実現ノウハウをまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』を公開しています。

社員の学習が習慣化する仕組みなど、人材育成を成功に導くポイントが詰まっていますのでぜひご活用ください。