人材育成のフレームワークとは?活用するための6STEP!

「人材育成のフレームワークを活用したいと考えているが、効果は本当にあるのだろうか」
「人材育成にフレームワークを導入することで、どのようなメリットが企業側にあるのだろうか。
セミナーなどに参加してみたかピンとこない」

と気になりませんか。

人材育成にフレームワークを活用することで、迷いなく適切な人材育成施策を実行しやすくなるというメリットがあります。なぜなら、フレームワークは人材育成における成功例をモデル化したものだからです。

例えば、自社で優秀な人材を育てようと考えたとき、フレームワークを活用することでどのような教育を行うことが適切なのかどうかを判断することができます。

また、フレームワークはツールとして利用でき、システムのように何をするべきなのかという整理された情報も用意してあるため、効率的な人材育成を実現できるでしょう。

ただし、注意するべき点として、フレームワークに頼りすぎると柔軟性のない人材育成を行ってしまうというデメリットもあります。

この記事を読むことによって、フレームワークを人材育成に活用するメリットとデメリットを理解することができ、自社の人材育成に活用することができます。

人材育成のフレームワークについて気になっている人事担当者や教育担当者、経営者の方はぜひ、最後までご覧ください。

【重要】人材育成のフレームワークは、企業の経営目標・人材育成方針と合ったものを選ぼう

最も重要なポイントとして、人材育成のフレームワークは企業の経営目標・人材育成方針に合ったものを選ぶ必要性があるということです。

なぜなら、事業の経営目標や人材育成方針と合わないフレームワークを採用しても、人材育成が効率的に進まないためです。

例えば、人材育成のフレームワークにはカッツ理論というものがあります。

カッツ理論は上司である管理職層やリーダークラス・経営者に対して、階層別に研修や教育を施すフレームワークですが、トップダウン傾向の強い組織には有効である一方、役職など関係なく全社員が経営参画するような企業では合わない可能性があります。

そのため、人材育成のフレームワークは企業の経営目標と人材育成方針に合ったものを選ぶことが重要です。

フレームワークとは?

フレームワークとは、日本語では枠組みのことを指します。

特定の仕事や教育を継続して行う際には、フレームワークによって作業継続を楽に行うことが可能です。

フレームワークと少し違う事例となる可能性もありますが、例えば自動車業界において車を作る場合、どのようにして車を作ることが理想的なのかを示した手順書や、熟練工の思考や作業上重要な要素を反映した要領書という資料が存在します。

この手順書や要領書をもとに、高品質な自動車を何百万台も作ることが可能です。

つまり、ゼロベースで物事を考えるよりも成功パターンをモデル化したフレームワークを活用することで、より良いアウトプットを期待でき、それは人材育成においても同様です。

フレームワークを取り入れることで、人材育成上の視点も広がるため、育成担当者の能力も強化されます。

人材育成におけるフレームワークの重要性

人材育成におけるフレームワークの重要性として、社内に知見が無くても質の高い育成施策を実施できる点が挙げられます。

なぜなら、フレームワークを設定することによって、学者や他社がこれまで培ってきた知見を活かして、効率的な教育実施が可能となるためです。

例えば、人材育成において階層別教育をしっかりと行い、組織としてのマネジメント能力を強化したいと考えているとしましょう。

カッツ理論では階層別にテクニカルスキルなど求められる能力を整理できます。上記のように自社がどのようになりたいのか、社員の可能性をどうすればもっと伸ばせるのかを考えることによって、マッチするフレームワークを見つけることが可能です。

社員を守り管理するために人事制度などが存在するように、フレームワークが一定のルールを作ってくれるということです。また、人材育成上に起こるトラブルを解決する最適解などもフレームワークによっては用意されています。

つまり、自社に合ったフレームワークを選ぶことで質の高い教育を実施できるという点でフレームワークは重要なのです。

人材育成を企業が行う目的とは?3つの主目的

「人材育成を企業が行う目的は何なのだろうか」と気になりませんか。

企業ごとに人材育成を行う目的は異なりますが、重要なことは社員のスキルをアップさせ、会社として目指している目標を達成することが重要です。

なぜなら、人材育成を行うことによって、会社が乗り越えなければならない課題を乗り越えられる可能性が高くなるためです。

企業が人材育成を行う目的は以下の3つです。

・社員のスキルとモチベーションアップ
・人事戦略の達成
・中長期経営目標の達成

それぞれについて解説します。

社員のスキルとモチベーションアップ

人材育成を行うことによって、社員のスキルとモチベーションがアップする可能性があります。

なぜなら、人材育成を行うことで、社員の仕事への着眼点や仕事の進め方が変化するなどの良い変化が期待できるためです。

社員自身がどのような段階にいまいるのか、仕事を効率的に進めるにはどうすれば良いのかなどを体系的に理解できるようになっていきます。

そのため、学んだことを実際の仕事に活かすタイミングで仕事の取り組み方に工夫が出てくるため、スキルやモチベーションがアップしていきます。

人事戦略の達成

人材育成を行う上で重要なことは、人事戦略の達成と実現です。

なぜなら、人事戦略を達成することによって経営目標の達成に近づくためです。

例えば、ホテルを経営する企業において10年後までに海外にホテルを30拠点作りたいと考えているとしましょう。ところがこれまで国内での事業展開がメインだったため、外国語が堪能な正社員が育っていないという問題を抱えています。

そこで、外国語教育を人材育成で行いつつ、海外拠点を任せられるようなリーダーシップのある人物を育成することにしました。もし、人材が育たなければ新たな拠点は出せない可能性が高く、経営目標の達成も困難となります。

何ができるのか、どんな人材が必要なのかから逆算して人材育成を行う必要性があります。人事戦略達成と実現のため、人材育成を行いましょう。

中長期経営目標の達成

人材育成を行う目的として重要なことは、中長期経営目標の達成です。

なぜなら、中長期経営目標が達成できなければ、事業の成長が止まってしまう可能性が高いためです。

例えば、中長期経営目標において10年後までに100店新規出店を達成したいと考えたとします。各店舗には部下を管理監督できる人材が必要であり管理職クラスの人材を10年後までに100人育てなければなりません。

もし適切な人材が育成できなければ、新規店舗を出す機会が消失し、本来上げられた利益を上げることができずに終わってしまいます。

人材育成を行い中長期経営計画の達成を目指すようにしましょう。

ここまでは、人材育成におけるフレームワークの役割や、目的について解説しました。
次は、人材育成にフレームワークを取り入れるメリットとデメリットについて解説していきます。

人材育成にフレームワークを取り入れるメリット

「人材育成フレームワークを取り入れるメリットは何なのだろうか」と気になっていませんか。

人材育成にフレームワークを取り入れるメリットには、以下の2つがあります。

・人材育成方法が確立できる
・人材育成が効率的に行える

それぞれ解説します。

人材育成方法が確立できる

人材育成にフレームワークを取り入れることによって、人材育成方法が確立できます。

人材育成方法における骨組みがフレームワークを活用することで手に入るためです。

フレームワークにより、指導方針が明確化するため、自然と人材育成施策が形になっていきます。

人材育成をフレームワークに取り入れることによって、人材育成方法が確立可能です。

人材育成が効率的に行える

人材育成にフレームワークを取り入れることによって、人材育成が効率的に行えるようになります。

フレームワークを設定することによって、計画的に指導をすることが可能になるためです。

計画的に指導を行うことが出来るようになれば効率的な人材育成ができます。

フレームワークの導入によって、計画的な指導が可能となり人材育成が効率的に行えます。

人材育成にフレームワークを取り込むデメリット

「人材育成にフレームワークを取り入れることで、どんなデメリットがあるのだろうか」と気になりませんか。

人材育成にフレームワークを取り入れることによって、以下の2つのデメリットが発生します。

・フレームワークに頼りすぎると、人材育成が硬直化する
・会社の経営目標の変化に敏感になる必要性がある

それぞれについて解説します。

フレームワークに頼りすぎると、人材育成が硬直化する

人材育成でフレームワークに頼りすぎると、人材育成が硬直化する可能性があります。

なぜなら、フレームワークに沿ったやり方に頼りきりになってしまう可能性があるためです。

フレームワークを取り入れたらそれに固執することなく、柔軟に対応していく必要性があります。

フレームワークに頼りすぎず、自社の状況に併せて柔軟に施策を検討するようにしましょう。

会社の経営目標の変化に敏感になる必要性がある

人材育成でフレームワークに頼りすぎると、会社の経営目標の変化などに対応できなくなる可能性があります。

なぜなら、昨今の経営環境は突然経営状態が変化して経営目標が変わることも多いためです。

経営陣の意向を読んで人材育成プランの変更をしっかりと行う必要性があります。

フレームワークごと変えてしまう必要性があることを常に認識し、経営目標の変化に対応するようにしましょう。

人材育成のフレームワーク5選

ここまでご説明してきて「人材育成のメリット・デメリットを理解できたので、具体的なフレームワークを知りたい!」と思っていただけたのではないでしょうか。

人材育成のフレームワークには以下の5つがあります。

・HPI (Human Performance Improvement)
・SMARTの法則
・カッツ理論
・カークパトリックモデル
・70:20:10フレームワーク

それぞれについて解説します。

HPI (Human Performance Improvement)

HPI (Human Performance Improvement)という人材育成のフレームワークでは、人材の現状から組織のあるべき姿を洗い出して改善することに重点を置いています。

人事的な視野だけで終了せず経営計画と連結しているところが大きなポイントです。

具体的には達成すべき目標が年商100億円であれば、年商100億円を達成するために営業職はどんな能力を身に着ける必要性があるのかを分析して育成・指導します。

SMARTの法則

SMARTの法則は、目標設定手法の1つです。
SMARTの法則は以下の5つの頭文字を取っています。

・Specific (具体性)
・Measurable(計量可能)
・Achievable(達成可能)
・Realistic(関連性)
・Time-bound(期限)

SMARTの法則の優れた点は、目標設定レベルを少しずつアップして人材育成が可能な点です。

人材育成計画が細かくなる傾向にはありますが、社員のレベルに合わせて評価をし、具体的な目標を作り、期限までに達成し、また新たな目標を設定することができます。

具体的には2021年12月までに売上目標1億円を達成しなければならないとして、達成するためにはどんな仕事の進め方が必要なのかといった問題を整理していきます。

カッツ理論

カッツ理論は、米国の経済学者であるロバート・カッツ氏が提唱したマネジメント層のスキルと役職の関連性について言及した理論です。

カッツ理論では以下の3つのスキルがあります。

・テクニカルスキル(業務遂行能力)
・ヒューマンスキル(人間関係構築能力)
・コンセプチュアルスキル(概念化能力)

また、以下の3つのマネジメント層があります。

・ロワーマネジメント(リーダーなど下級管理職)
・ミドルマネジメント(課長や部長など中間管理職)
・トップマネジメント(社長や役員など経営職層)

各マネジメント層にテクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルが必要な割合がカッツ理論では示されており、管理職が身に着けるべき知識を示しているのが特徴です。

カッツ理論は役職に連動して身に着けるべき能力が示されており、トップダウン型組織で教育効果が出やすいとされています。

カークパトリックモデル

カークパトリックモデルは、米国の経済学者であるカークパトリックが提唱した理論です。

4つの段階に分けて、教育の効果を計測することができます。

・レベル1:reaction(反応)
・レベル2:learning(学習)
・レベル3:behavior(行動)
・レベル4:result(結果)

上記4段階に分けており、各レベルで教育や研修の効果を測定します。

レベル1では研修の満足度を測り、レベル2では研修の理解度を測り、レベル3では研修を受けての行動がどう変わったのかを計測し、レベル4では業績の向上度を計測します。

人材育成の成果と業績との関連を数値で出せるため、費用対効果を出せるという大きなメリットがあります。もし費用対効果が出せないため人材育成に踏み切れないと悩んでいるのであれば、おすすめのフレームワークです。

70:20:10の法則

70:20:10の法則は、米国のミロンガー社が提唱した考え方です。

ミロンガー社は経営者を調査し、リーダーシップ発揮のためにどのようなことが役に立ったのかを尋ねたところ以下のような割合で役に立ったと回答したとされています。

・70%は仕事の経験
・20%は他者からのくんとう
・10%は研修

つまり、仕事経験があり、他者との関わり合いがあり、最後に知識吸収などに研修が役に立つということです。

企業においては仕事をしながら研修に参加させることが重要だということであり、OJTをメインにする企業では有効なフレームワークです。

ここまでは、人材育成に活用できるフレームワークの種類などを解説しました。

次は、実際に人材育成にフレームワークを取り入れる具体的な方法について解説します。

人材育成にフレームワークを取り込む具体的な6STEP

「具体的に自社ではどのようにフレームワークを使っていけばよいのか」とご興味が湧いてきたかと思います。

人材育成にフレームワークを取り入れるにあたっては、以下の6STEPを参考にしてみましょう。

・STEP1:現場における育成状況の把握
・STEP2:経営目標の最終確認
・STEP3:採用するフレームワークを決定
・STEP4:人事部門主導で、人材育成計画を作成
・STEP5:人材育成計画を管理職(部長職・課長職)と協議し最終確定
・STEP6:人材育成を開始

それぞれについて解説します。

STEP1:現場における育成状況の把握

フレームワークを取り入れる前に現場における育成状況を把握しましょう。

現状把握を正確にしなければ、役員や経営者との話し合いがスムーズにいかないことが多々あるためです。

また、製造業など現場部門が強い発言力を持っている企業では「現場はどうなっていてどのような意見を持っているのか」など経営陣からしっかりと現場の代弁を求められることが多い傾向にあります。

現場社員の育成状況の把握は必ず行いましょう。

STEP2:経営目標の最終確認

STEP2では、社長、役員(専務〜執行役員)などと人事部門で直接協議をし、経営目標の最終確認を行いましょう。

なぜなら、経営目標とリンクしていない人材育成を行っても目に見えた成果が出せず途中で人材育成そのものが頓挫する可能性があるためです。

同時に自社の求める人材像の最終確定させ、どのような社員が育つことが必要なのかを決定しましょう。

経営目標の最終確認は必ず丁寧に行ってください。

STEP3:採用するフレームワークを決定

STEP3では、人材育成に採用するフレームワークを決定しましょう。

経営目標と求める人物像がSTEP2で確認出来ているため、どのフレームワークが自社に合っているのかを最終確認します。

例えば、実践を通して社員を育成していくという方針の企業であれば、70:20:10フレームワークなどが適用できます。

採用するフレームワークは自社にマッチしたものを決定しましょう。

STEP4:人事部門主導で、人材育成計画を作成

フレームワークが決定したら、人事部門主導で人材育成計画を作成しましょう。

人材育成計画がしっかりとしていなければ、運用途上でトラブルが発生する可能性があるためです。

具体的な日付を決め、何月何日までに何名の人材にどのようなスキルが身についているのかを考えて人材育成計画を作りこみましょう。

人材育成計画書は人材育成の要であるため、しっかり作成しましょう。

STEP5:人材育成計画を管理職(部長職・課長職)と協議し最終確定

人材育成計画を管理職(部長職・課長職)と協議し最終確定します。

STEP5で管理職も交えて最終確定させる理由は、現場の納得感を得るためです。

現場の意見を聞かずに管理部門が勝手に人材育成計画を決めてしまったとなれば、人材育成に積極的でなくなる言い訳を与えてしまう可能性が高くなります。

現場の意見も大切にしつつ、最終的に経営側の意見が通るように調整するようにしましょう。

STEP6:人材育成を開始

人材育成計画が出来たら、人材育成を開始しましょう。

特に重要なことは、人材育成を開始したら記録を付けることです。

どのようなトレーニングを行い、社員がどのような気づきを得たのかを蓄積することで再度同じトレーニングを行う際も精度が高まります。

人材育成にフレームワークを活用する際の注意点

人材育成にフレームワークを活用する際の注意点として、以下の2つがあります。

・社員に急な能力成長を求めすぎない
・フレームワークにこだわりすぎず、人材育成計画を遂行する

それぞれについて解説します。

社員に急な能力成長を求めすぎない

人材育成にフレームワークを取り入れる際には、社員に急な能力成長を求めないようにしましょう。

なぜなら、人材育成の効果はすぐに出ないことが多いためです。

急に成長を求めるのではなく、フレームワークに沿って指導を行いながら、じっくりと経過を見守ることが大切です。

フレームワークにこだわりすぎず、人材育成計画を遂行する

フレームワークにこだわりすぎず、人材育成計画を遂行するようにしましょう。

フレームワークにこだわりすぎることで計画遂行速度が落ちる可能性があるためです。

計画遂行速度が落ちると、成果が出るスピードも落ちることになります。

途中で「あまり成果が出ない」と手を止めてしまうと、計画を達成できないでしょう。

フレームワークにこだわりすぎず、人材育成計画を淡々と遂行しましょう。

まとめ

今回は、人材育成担当者の方に向けて人材育成のフレームワークについて解説しました。

特に注目して欲しい点として、フレームワークを選ぶ際には、経営目標と人材育成計画をしっかりと連動させた上で選ぶという点です。

経営目標と人材育成計画がしっかり連動していないと、人材育成において成果を上げることが難しくなります。

しっかりと経営目標と人材育成計画が連動していれば、人材育成で効果を高めることができます。

フレームワークとしては以下の5つを目次として紹介しました。

・HPI (Human Performance Improvement)
・SMARTの法則
・カッツ理論
・カークパトリックモデル
・70:20:10フレームワーク

自社に合ったフレームワークを選び、成果を上げましょう。