従業員エンゲージメントを向上させる人材育成制度とは|第1回「従業員エンゲージメントとは何か?」

会社と社員の目標共有の強さを表す「従業員エンゲージメント」は、社員のモチベーションの維持、向上を目指す上での重要な概念とされていますが、コロナ禍により強制されたテレワーク環境の下で、その低下が懸念されており、人事担当者は、早急な対応が求められています。この記事では、従業員エンゲージメントの向上を目指す上で必要となる評価制度や研修制度のあり方について全3回にわたって解説します。

連載第1回の今回は、「従業員満足度と従業員エンゲージメントの違いと従業員エンゲージメントを測定するためのアンケート実施方法」について解説します。

従業員エンゲージメントを向上させる人材育成制度とは(全3回)

第1回「従業員エンゲージメントとは何か?」

第2回「従業員エンゲージメントを向上させる評価制度OKRとは」

第3回「従業員エンゲージメントを向上させる研修制度インターバル型研修とは」

テレワークの影響による従業員エンゲージメントの低下

「顧客エンゲージメント」が、顧客が自社ブランドや自社製品に対して、どの程度愛着を持っているかを表すことばであるのに対して、「従業員エンゲージメント」は、従業員が自社の経営理念や企業文化に対して、どの程度愛着を持っているかを表すことばです。

この従業員エンゲージメントが、今、新型コロナ対策の一環として推進されているテレワークの影響で、低下していると懸念されています。

実際に、パーソル総合研究所が行った「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、テレワーク実施前後の変化として、

  • 36.4%の従業員が、組織の一体感が低下した
  • 25.6%の従業員が、組織へ貢献したい意欲・気持ちが低下した
  • 24.8%の従業員が、組織への帰属意識が低下した

と回答しています。

出典:パーソル総合研究所「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」

テレワーク自体は、新型コロナ禍以前から働き方改革の一環として推進されており、仮にコロナ禍が収束したとしても、主要な労働形態の一つとして定着することは間違いなく、このような従業員エンゲージメントの低下をいかに食い止め、向上させていくかが、企業における重要な課題といえます。

従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い

従業員エンゲージメントの低下を食い止め、向上させていくための前提条件として、まずは、従業員エンゲージメントを測定することが必要です。

従業員エンゲージメントの測定には従業員アンケートが使用されますが、従来の従業員アンケートのやり方では、従業員エンゲージメントを測定することはできません。

それは、従来の従業員アンケートの目的が、従業員満足度の測定にあるからです。

従業員満足度が、主に、給与、役職といった自分に対する待遇や、仕事の内容が自身のスキルや興味に合っているかといった職務内容に左右されるのに対して、従業員エンゲージメントは、自社の経営理念への共感や企業文化への愛着、さらには、組織への貢献意欲といったものに左右されます。

したがって、従業員エンゲージメントを測定するためには、従来とは異なるやり方で従業員アンケートを実施する必要があります。

従業員エンゲージメント測定のためのアンケート実施方法

前項でご説明したように、従業員エンゲージメントを左右するファクターは、以前の従業員満足度とは異なるため、アンケートの質問項目自体を再考する必要があります。

従業員エンゲージメント測定のためのアンケート項目として参考になるのが、「ギャラップのQ12」です。

「ギャラップのQ12」とは、調査会社であるギャラップ社が企業の従業員エンゲージメントの測定に効果的と考えられる質問として、以下のような12項目を定義したものです。

  1. 職場で自分が何を期待されているのかを知っている
  2. 仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
  3. 職場で最も得意なことをする機会が毎日与えられている
  4. この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
  5. 上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれるようだ
  6. 職場の誰かが自分の成長を促してくれる
  7. 職場で自分の意見が尊重されるようだ
  8. 会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
  9. 職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
  10. 職場に親友がいる
  11. この6ヵ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
  12. この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

従業員満足度を目的としたアンケート項目とは、大きく異なることがわかります。

従業員エンゲージメント測定のためのアンケートにおいては、実施頻度も再考する必要があります。

従来の従業員アンケートは、年度または半期に一度行うことが一般的でしたが、「ギャラップのQ12」にあるような項目の測定には、より高い頻度でアンケートを実施し、時系列変化を読み取ることで、できるだけ早いタイミングで従業員エンゲージメントの低下といった問題の兆候を発見ことが必要です。

このような高い頻度でアンケートを実施する方法を「パルスサーベイ」と呼びます。

「パルスサーベイ」では、設問数を10項目前後に絞り、質問内容も全項目を数分以内で回答できるように単純化した上で、週または月の周期で定期的にアンケートを実施します。前述の「ギャラップのQ12」などは、この「パルスサーベイ」にうってつけの内容といえます。

しかし、「パルスサーベイ」の実施には、アンケート項目の表示・入力から入力結果の保存・集計に至る一連のプロセスのシステム化が必要となります。

年度や半期に一度しか実施しない従来の従業員アンケートであれば、数か月かけて集計する、外部業者にデータを預けて集計してもらうなどの方法がとれましたが、週や月単位で実施される「パルスサーベイ」では、そうはいきません。

また、従来の従業員アンケートでは、入力及び集計結果を1回のアンケートごとにExcelファイルとして保存するやり方が一般的ですが、このやり方では、時系列変化を読み取ることができません。

LMSを利用した従業員アンケート

実施頻度が高く、結果の時系列分析を必要とする従業員アンケートのシステム化には、LMSが適しています。LMSには、もともと研修受講後のアンケートや確認テストを実施する機能を持つものが少なくありません。

KIYOラーニング社がクラウドサービスとして提供するAirCourseも、その一つです。AirCourseでは、PCだけではなく、スマートフォンからもアンケートや確認テストの入力を行うことができます。

入力されたデータは、クラウド上の研修管理データベースに格納されるとともに自動的に集計が行われますので、アンケート実施者の負担を大幅に軽減します。

また、実施時期が異なるアンケートであっても、全ての回答データが一つのデータベースに格納されますので、「パルスサーベイ」のような頻繁に行われるアンケートの回答結果を時系列に分析することも簡単です。

まとめ

従業員が自社の経営理念や企業文化に対して、どの程度愛着を持っているかを表す従業員エンゲージメントが、今、新型コロナ対策の一環として推進されているテレワークの影響で、低下していると懸念されています。このような従業員エンゲージメントの低下をいかに食い止め、向上させていくかが、企業における重要な課題といえます。

従業員エンゲージメントの低下を食い止め、向上させていくための前提条件として、まずは、従業員エンゲージメントを測定することが必要ですが、従来の従業員アンケートのやり方では、その目的が従業員満足度の測定にあるため、従業員エンゲージメントを測定することはできません。

従業員エンゲージメントを測定するためには、アンケートの質問項目自体を再考する必要があり、その参考になるのが、「ギャラップのQ12」です。また、従業員エンゲージメント測定のためのアンケートは、従来の従業員満足度調査より、高い頻度でアンケートを実施する「パルスサーベイ」と呼ばれる方法が使われます。

週や月単位で実施される「パルスサーベイ」には、「パルスサーベイ」の実施には、アンケート項目の表示・入力から入力結果の保存・集計に至る一連のプロセスのシステム化が必要となります。それには、もともと研修受講後のアンケートや確認テストを実施する機能を持つLMSが適しています。

次回は、従業員エンゲージメントの向上を目指す上で必要となる評価制度としてOKRについて解説します。

従業員エンゲージメントを向上させる人材育成制度とは(全3回)

第1回「従業員エンゲージメントとは何か?」

第2回「従業員エンゲージメントを向上させる評価制度OKRとは」

第3回「従業員エンゲージメントを向上させる研修制度インターバル型研修とは」

ABOUTこの記事をかいた人

平井 明夫

ソフトウエアベンダーやコンサルティング会社で20年以上にわたりコンサルティング、企業経営に携わる。現在は、IT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら、データ分析、人材管理、LMSなどに関する講演・執筆活動を行っている。