人材育成とは?目的や計画の立て方、階層別の育成ポイントを解説

会社に属したことがあれば、誰もが一度は人材育成の対象になるでしょう。人材育成を受ける立場では、ひとまず目の前の課題をこなしていくことが求められます。

一方で、いざ人材育成を行う立場に立つと、何から着手すれば良いか戸惑うことでしょう。なかには、さまざまなプロジェクトに責任を負っている状況で、他の社員のキャリアや組織の成長にも責任を負わなければならないことにプレッシャーを感じている人もいるのではないでしょうか。

また、自分に人材育成を行うだけのスキルが資質があるのか、疑問に感じている人もいるでしょう。

本記事は、以上のような不安や疑問を抱える、初めて人材育成を任された人が、人材育成の全体像を把握できるような内容となっています。本記事を読むことで、人材育成の目的や、効率的で失敗の少ない進め方、人材育成の手法やフレームワークなど、幅広い知識を身につけることができます。

あわせて人材育成計画の立て方も解説していますので、計画作成の参考としてご活用ください。

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外部環境の変化が激しい昨今に対応するために、組織開発や人材育成による社員の成長は欠かせない要素の1つとなっています。しかし「育成の時間や余裕がない」「育成ノウハウがない」など、多くの企業が課題を抱えています。

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目次

人材育成とは?

人材育成とは、「企業に貢献できる人材を育成すること」です。組織の成長や発展に寄与するため、個々の社員の能力を最大限に引き出し、育て上げる活動のことを指します。

重要なポイントは、どこでもなく「自社で貢献・活躍できるようにする」ということです。そのため人材育成計画は、どこでも使える普遍的なものにはなりません。自社の理念や戦略、現状の課題などに基づいた自社独自の計画を立てることが求められます。

人材育成のアプローチには、狭義では「OJT」や「自己啓発」「eラーニング」など、広義では「ジョブローテーション制度」や「人事評価制度」など、さまざまな手法があります。いずれも、社員一人ひとりが持つ可能性を伸ばし、そのスキルや知識を高め、より高いパフォーマンスを発揮できるように支援することを目指しています。

人材育成の目的

人材育成とは、単に社員に対してスキルや知識を付与することを指すのではありません。「企業に貢献できる人材を育成する」ということは、組織に対する高いエンゲージメントがあり、身につけたスキルや知識を、組織のために積極的に活用するモチベーションがある人材を育成するということでもあります。

そのため、人材育成の目的には「スキルや専門性の向上」だけでなく、「ビジネスマインドの醸成」「帰属意識の向上」といった要素も含まれるのです。

ビジネスマインドの醸成

企業理念や組織人としての心構え、ビジネスマナーなど「仕事の基本となる姿勢や考え方」を身につけます。姿勢や考え方は日々の行動と結果に影響するため、新入社員に限らずベテラン社員にとっても重要な要素です。

またビジネスマナーは、ステークホルダーとの良好な関係性を構築する上でも重要です。そのため、高いビジネスマインドを持った社員を育成することで、会社のブランド力強化にも貢献します。

スキルや専門性の向上

自社で活躍するためには、業務に求められるスキルと専門的な知識を身につける必要があります。実践的なスキルを身につけるためには実務を経験するのが近道です。実務を行うなかでの試行錯誤と状況に即した上司からのアドバイスが、部下のスキルと専門性を大きく向上させます。

また、IT技術の向上などによって仕事のあり方が目まぐるしく変わる時代においては、社員のリスキリングが重要です。最先端の知識やスキルを社員に身につけさせることで、企業は長期的に競争優位性を確保することができます。

帰属意識の向上

自社の理念や戦略を共有することで、「組織に属している」「社員みんなが仲間である」といった帰属意識・エンゲージメントを向上させます。また、キャリアアップに積極的な社員に対して、スキルアップができる機会を提供することでも、会社に対する愛着を高めることができるでしょう。

帰属意識やエンゲージメントが高ければ、社内課題の「自分ごと化」や退職防止にもつながります。また自分の目標を明確に認識することで、モチベーションアップにも良い影響を及ぼすでしょう。

人材育成計画の立て方

人材育成の目的は、自社で貢献・活躍できる人材を育成することであるため、まずは自社の課題を洗い出すところから始める必要があります。自社の事業課題や経営課題を明らかにし、目標から逆算して足りないスキルや能力を、人材育成を通じて獲得する戦略を立てなければなりません

基本的には以下のようなプロセスにしたがって人材育成の計画を立て、実践・フィードバックを繰り返して根気強く目標の達成を目指します。

  • 現状把握から目標設定を行う
  • 目標達成に必要なスキル・行動を整理する
  • 実践・フィードバックを繰り返す

現状把握から目標設定を行う

人材育成の育成計画書で最も重要なことは目標設定です。何を目指して教育するのか、目標を明らかにすることで必要な計画も具体的になります。

目標を立てるためには、まずどのような人材育成を目指すか、なにが不足しているか、といった現状の把握から行いましょう。そのためにも、組織の全メンバーに対するスキルや能力の評価が必要となります。

評価項目説明
学歴・資格一定の知識・スキルを保証するもの
経験年数実務での経験があるかどうか
業績過去の実績や成果

これらの評価をもとに目標設定を行います。個々のメンバーが必要とするスキルや能力、そして組織全体として達成すべき目標を設定することが重要です。

設定された目標は、明確で達成可能なものにすることが求められます。また、達成可能な目標は「こうなりたい」という理想だけでなく、予実管理における「実績値」を参考にするとよいでしょう。

例えば、組織全体の目標を「売上」に設定する場合、現状の組織形態・リソース状況で記録した実績をもとに、最も売上に貢献している業務や人材を洗い出します。その後、どの変数を増やすことで売上へのインパクトを最大化できるかを検討していきます。

検討の結果、「社員育成による人材の確保」が成果に最も貢献する可能性が高いと判断できれば、人材育成計画は組織全体の目標達成に紐付く施策として実行できます。

目標達成に必要なスキル・行動を整理する

目標を設定した後は、目標達成に必要な各職種・役職における必要なスキルを明確にしましょう。その上で、現状のスキルレベルを把握し、目標とのギャップを明らかにします。その差を埋めるために必要な行動を具体的にリスト化すると、具体的な育成プログラムが描けます。

例えば、支援会社における営業職の目標が「クライアントの信頼を勝ち取り、契約を増やす」であれば、以下のようにテキストで書き出して整理していきます。

【目標】

クライアントの信頼を勝ち取り、6ヶ月以内に契約を1つ増やす

【現状】

入社3ヶ月の社員。クライアントと弊社のこれまでの取り組みや現状の課題をおおよそ把握してはいるが、先方担当者との信頼関係が十分に構築されておらず、どのようなコミュニケーションをとればよいか分からない。ゆえに普段の業務もタスク単位でこなしており、指示された業務ばかり行っている。自身の業務がどれだけクライアントの成果に繋がっているのかも正確に把握できずにおり、日々の業務に一貫性がない。

【原因】

  • 前任の担当者から必要な情報を引き出せていない
  • 逆算思考が出来ていない
  • 達成すべき目標や日々の業務を自分の言葉で理解できていない
  • どうすれば信頼してもらえるか?を考え抜けていない

【必要なこと】

  • 前任担当者や上司とミーティングを組み、目標達成に向けた動きを確認する
  • 社内ナレッジや商材理解のインストール時間を設ける
  • 短期間で小さな実績を作り、それを踏まえたコミュニケーションを行う

このように分解して考えることで、現状と目標の間のギャップを可視化することができます。「クライアントの信頼を勝ち取り、6ヶ月以内に契約を1つ増やす」という目標だけを考えると、コミュニケーションスキルの向上やプレゼンテーションスキルの向上、といった課題が見つかりそうですが、現状の状態を踏まえると、それ以前の動き方やインストール、仕事の仕方に問題がある場合もあります。

計画段階では、こうした目標と現状の差分を明らかにするところに時間をかけ、必要なプロセスを1つずつ階段をのぼるように可視化していきましょう。

実践・フィードバックを繰り返す

人材育成計画は作成して終わりではありません。設定した目標達成に向け、実践とフィードバックを繰り返すことが大切です。

研修や教育プログラム等を実施した場合は、参加者がどの程度スキルを習得したかを確認します。フィードバックをコメント欄に記載するなどして、必ず人材育成研修の受講者に対してリアクションをしましょう。

そして、その結果をもとに反省点や改善点を洗い出し、再度実行に移します。このプロセスを定期的に行うことで、従業員一人ひとりのスキルアップを図ることができます。

育成計画の立て方について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてください。無料でダウンロードできる「育成計画書サンプル」も配布しております。

関連記事:人材育成計画の立て方|作成の手順やポイント、フォーマット

人材育成の手法

人材育成には、様々な手法が存在します。それぞれの特性を理解し、組織や個々の社員のニーズに合わせて柔軟に取り入れることが必要となります。

OJT

OJT(On-the-Job Training)とは、職場での実務経験を通じて知識やスキルを習得する育成方法です。主に新人を対象として、同じ部署の上司や先輩がトレーナー(育成担当者)となり育成を行います。

ただ、各部署とも日常業務に追われるなかで、明確な目的や計画もなく効果的なOJTを行うのは困難なのが実状です。先輩社員が新人に対して必要に応じて行う業務説明や指導までにとどまるケースも少なくありません。

そのためOJTを意図的・計画的・継続的に行うための取り決めである「OJT制度」を整える必要があります。

関連記事:OJT制度とは?構築時の注意点と効果を高める方法を解説

OJT研修

OJT研修とは「OJTを行うトレーナーを育成するための研修」です。「OJT」と「OJT研修」は混同されがちなため注意しましょう。

OJT研修の実施により「OJTの質」および「トレーナーとしての育成スキル」が向上します。さらに育成者・指導者としての経験が、管理職候補としての成長につながる点もメリットです。人材育成の大切なことである「育成担当者のスキル向上」を実現できる施策のひとつです。

関連記事:OJT研修とは?目的や手順、優秀なトレーナーを育成するポイント

OFF-JT

OFF-JT(Off The Job Training)とは、職場や通常業務から離れて特別な時間や環境において行う教育や訓練のことです。

体系的な学習を行えるため知識・スキルを整理しながら身につけられる点がメリットですが、反対に実務へ活かすための応用力が求められる点はデメリットといえるでしょう。

自己啓発支援

自己啓発支援とは、自発的に学習できる機会を設け、自己成長の習慣化を促すことを指します。例えば、以下のような施策で自己啓発を支援することができます。

  • 書籍購入支援:社員が希望する書籍を会社が購入して配布する
  • 資格取得支援:自社の業務に役立つ資格の取得を支援する

自己啓発の支援は、社員の知識・スキル・意欲・帰属意識の向上を期待できます。企業としてのイメージアップにつながり、採用活動時に有利に働く点もメリットです。

反対に相応のコストがかかる点や、支援制度の導入や運用面で担当部署の業務負担が増す点はデメリットといえます。社員からの要望や斬新さに囚われることなく、予算や担当部署の状況、人材育成目標に確実につながるかを勘案して導入を検討しましょう。

eラーニング

eラーニングとは「電子化(e)した学び(ラーニング)の形態」のことです。「パソコン、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器、インターネットを利用して教育、学習、研修を行うこと」とイメージすると理解しやすいでしょう。

eラーニングは、人材育成の手法として有効です。ネット環境さえあればいつでもどこでも受講できるため、受講者側は空き時間などを活用できます。他の手法と比較して、管理者側・受講者側の負担が少ない点がメリットです。

ただし、自社が人材育成で重視する内容が含まれているか、システムが使いやすいかはサービスによって異なります。

人材育成へのeラーニング活用について詳細を知りたい方は以下の資料をご確認ください。

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ジョブローテーション制度

ジョブローテーション制度とは、部署異動・職種の変更を定期的に行うことで、幅広い業務に対応できる人材を育成するための制度です。

さまざまな部署や職種を経験することで、適材適所の実現や部門を越えた社内ネットワークの構築、応用力の習得を期待できます。

ただし、移動直後は部署と社員の双方にパフォーマンス低下が生じやすい点、専門性を身につけづらい点はデメリットといえるでしょう。

人事評価制度

人事評価制度とは、各社員の「業績・能力・勤務態度や意欲」などを客観的指標により評価して、昇給や昇格に反映するための制度です。

人事評価制度は、社員を評価するためだけの制度ではありません。綿密に構築され、社員の納得度が高い評価制度は、人材育成の手法としても重要な役割を担います。具体的には、人事評価によって被評価者は「何が足りないのか」および「何を身につけるべきか」を明らかにでき、次回の目標設定に活用できるのです。

また、目標達成が具体的な評価や報酬と結びついていることで、社員のモチベーション維持・向上が期待できます。

関連記事:人事評価の項目とサンプル|目的や基準、実施手順を解説

目標管理制度

目標管理制度とは、各社員が個人目標を設定して、進捗や達成度合いを評価するための制度です。目標管理制度において、重要なポイントは2つあります。

1つ目は個人目標が、組織目標へとつながっていることです。人材育成の目的でもある「社員の成長を通じた企業の発展」を実現するためです。

2つ目は社員自らが目標を設定することです。有無を言わさず組織から課せられた目標はノルマでしかなく、自主性やモチベーションの維持は望めません。目標設定の過程では、社員に組織の目標を理解させることと、本人が納得した目標を設定することを重視しましょう。

関連記事:人材育成の目標とは?基本的な設定方法や管理のポイントを紹介

メンター制度

メンター制度とは、知識と経験のある先輩社員がメンター(育成担当者)となり、後輩社員(育成対象者)に対して指導・業務支援・メンタル面のサポートなどを行う制度です。

メンターには後輩社員と社歴や年齢が近い先輩社員が選抜されることが多くいため、後輩社員は「相談しやすい」、先輩社員も「後輩社員の悩みなどを想像・共感しやすい」といったメリットがあります。

ただし、メンターを担当する先輩社員の負担が増すこと、相性によっては悪い結果を招きかねないことはデメリットです。

メンター制度をスムーズに実施するためには、ペアとなった両者を必要に応じてフォローする上司の存在が欠かせません。少なくともメンターに任せきりとならないように注意が必要です。

【階層別】人材育成のポイント

会社の社員は属する階層によって、スキルや会社に対する帰属意識、役割にばらつきがあります。そのため、効果的に人材育成を進めるためには、階層別に人材育成のポイントを理解することが重要です。

新入社員の育成

新入社員は、まずは自社の経営理念から組織人としての心構え、ビジネスマナーなどの基礎を理解させることが大切です。また、離職率の高まりが指摘されるなかで帰属意識の向上も重要なテーマといえます。

以下では、新入社員の育成で大切なことを5つ紹介します。

自社への理解を深めてもらう

まずは組織に属して活動する上での基礎・基本である「自社への理解」を深めることが大切です。

  • 経営理念
  • 自社の歴史と今後のビジョン
  • 自社のビジネスモデル
  • 自社の組織構造
  • 業界の基礎知識

ポイントは組織や活動についての全体像をまず理解させることです。全体像をイメージできれば以降の経験で得る情報に対して「どの部分の話か」を認識できるため、知識として定着しやすく、不明点があれば質問もしやすくなります。

心構えやビジネスマナーを身につける

新入社員は、学生時代の感覚や習慣が残っていることも多いため、組織人としての心構えやビジネスマナーを学ばせる必要があります。具体的には以下のようなテーマが挙げられます。

  • 挨拶と表情
  • 動作や態度
  • 身だしなみ
  • 電話応対
  • 生活習慣
  • 言葉づかい(敬語)
  • 名刺交換
  • ビジネスメール

ポイントは、やらされ感や受け身にならないように「なぜ大切なのか」をセットで伝えることです。心構えやマナーは「自分ごと化」できて初めて身につきます。

業務遂行に必要な知識とスキルを習得させる

基本的な知識やマナーなどを身につけたら次は、業務遂行に必要な知識・スキルを習得させます。集合研修形式での学びも基礎知識の習得には有効ですが、スキルの習得にはOJTやメンター制度を通じた実践形式での学びが有効です。

また新しい環境で慣れない業務に忙殺されることも想定されるので、eラーニングを導入して、自分のペースで学習できる環境を整えるのも良いでしょう。

自らの役割を自覚させる

新入社員は、入社後しばらくは自社や業務について様々な知識習得に追われるため、自らの役割を自覚するまでには至らないことも少なくありません。

そこで、あらためて「自分は組織から何を期待されているか」や「自分はこの組織でどうなりたいのか」を考える機会を設けて「組織における自らの役割」を自覚させます。

自らの役割や目標が明確となることで、成長スピードの向上だけでなく、モチベーションや帰属意識の向上も期待できます。

メンタル面を意識した育成を行う

新入社員はこれまでと大きく異なる環境のなかで、慣れない業務へのチャレンジや失敗を経験するため、少なからずプレッシャーやストレスを感じています。こうした状況下ではメンタル面を意識した育成を行うことが大切です。

具体的には以下のような点を意識しましょう。

  • 定期的に面談の機会を設ける
  • 雑談など気軽なコミュニケーションを心がける
  • 良いことは具体的かつ直ぐに褒める
  • 悪いことも具体的かつ直ぐに指摘する
  • 人格や性格を否定しない
  • 指摘や指導の後にはフォローを行う

もちろん自らの経験を指導に活かすことは重要ですが、育成対象者は自分とは異なる性格や考え方をもった他人であることを忘れてはなりません。

相手の性格や考え方を尊重しつつ自己開示を交えたコミュニケーションを行えば、信頼関係を構築でき、結果として帰属意識の向上、ひいては定着率の向上にもつながります。

中堅社員の育成

中堅社員(入社4年目以降を想定)は、業務にも慣れて独り立ちし、部下や後輩もできる頃です。中堅社員に対しては、組織の中枢を担うことの自覚や育成担当者としてのスキル向上、管理職候補としてのマネジメントスキル向上などが必要となります。

組織の中枢を担っていることを自覚させる

中堅社員には、あらためて自分たちが組織の中枢を担う重要な存在であることを再認識させることが必要です。

中堅社員は、業務にも慣れて効率的に成果を上げられるようになるケースが多いでしょう。ただ一方で、「慣れ」がマンネリ化による効率ダウンや、モチベーション低下につながるケースも少なくありません。新入社員に比べると育成の対象となる機会が減少することも、こうした傾向を助長するのです。

そこで、自分たちは組織の大部分を占める階層であり、実績をつくる役割や新人をけん引する役割を担っていることを、あらためて自覚するよう促します。

具体的な育成手法としては、役員や管理職による啓発を目的とした研修や、個別面談によるヒアリングとキャリアプランの確認などが挙げられます。状況に応じて「ジョブローテーション」も活用しましょう。

育成担当者としてのスキルを向上させる

中堅社員になると部下や後輩の育成を担当する場面も増えていきます。そのため以下のような育成を行うのが良いでしょう。

  • 部下育成をテーマにした研修やeラーニングを受講させる
  • 得意分野で社内研修の講師を経験させる
  • メンターを経験せる
  • OJTでトレーナーを経験させる
  • OJT研修を受講させる

ただし、メンターやトレーナーを任せる場合は、育成担当者の負担増加に注意が必要です。周囲の業務支援や上司との定期的な面談などにより、育成担当者任せにしないようにしましょう。

関連記事:OJT研修とは?目的や手順、優秀なトレーナーを育成するポイント

マネジメントスキルを身につけさせる

中堅社員は、管理職候補としても期待されます。そのため「マネジメントスキル」を身につけていく必要があります。

そのためには、プロジェクトリーダーなどを任せることで現場で実際にマネジメントを経験させることが効果的です。もちろん先にリーダー補助などを経験させておく、いざという時の相談役を設けておくといった配慮は不可欠です。

マネジメントでは、以下のように様々なスキルが必要となります。

  • リーダーシップ
  • 目標管理能力
  • スケジュール管理能力
  • コミュニケーションスキル
  • ロジカルシンキング
  • ラテラルシンキング
  • クリティカルシンキング など

中堅社員の育成を担う上司は、各スキルが定着するように現場で生じた課題や経験と結びつけながら指導・育成を行いましょう。また、各スキルを研修やeラーニングなどの学習で補うとさらに効果的です。

管理職の育成

管理職は、企業理念や経営層の経営方針やビジョンを正しく理解して、目標達成に向け社員をマネジメントしていく役割です。管理職ではマンツーマンのような形式ではなく、実際のマネジメント業務や研修、自己啓発などを通じて自ら学びを得ていくケースがほとんどです。

以下では、管理職の育成で大切なことを4つにまとめて紹介します。

経営戦略や組織論などを学ばせる

管理職は、組織全体を俯瞰できる視野と経営的な視点を求められます。具体的には、以下のようなテーマへの理解を深める必要があります。

  • 経営に関わる数値
  • 組織構造や人員配置の展望
  • 業界全体の傾向
  • 競合他社の動向

育成手法としては、外部研修への参加や経営層による研修、代表が指定した書籍での学習などが挙げられます。

社員を評価および育成する能力を高める

社員に対する正当な評価と育成は組織の発展には欠かせません。管理職はそのどちらもを担う重要な立場です。

もしも「管理職が人事評価制度の運用方法を理解していない」や「人事評価を育成に活かせていない」といった状況がみられる場合は、人事評価研修の実施をおすすめします。

関連記事:人事評価研修とは?目的と実施手段、教育すべき内容を解説

コミュニケーションスキルを再確認する

管理職では、コミュニケーションスキルの再確認をおすすめします。とくに昨今はハラスメント問題が頻繫に取り沙汰されており、多くの部下をもつ管理職にとって不安な状況であることは間違いありません。

その他にも、コーチングやティーチングなど管理職に必要とされるスキルは多いため、あらためてコミュニケーションスキルについて学びなおす機会を設けることをおすすめします。

人材育成に活用できるフレームワーク

人材育成には、目標の設定やスキルの管理などさまざまなステップがあります。フレームワークを活用することで、これらを効率的に進めることができます。

目的有効なフレームワーク
目標管理ベーシック法
SMARTの法則
トレーナー選出・育成段階管理思考の6段階モデル
スキル管理カッツモデル
効果測定カークパトリックモデル

ベーシック法

ベーシック法とは、人材育成において必須である目標設定のフレームワークです。具体的には以下の4ステップで目標を立てます。

  • 目標項目の設定
  • 達成基準の設定
  • 期限の設定
  • 達成計画の設定

SMARTの法則

SMARTの法則とは、以下5つの視点で設定した目標の「質」を評価するために有効なフレームワークです。

  • Specific(具体性)
  • Measurable(計量可能)
  • Achievable(達成可能)
  • Realistic(関連性)
  • Time-bound(期限)

人材育成においては、設定した目標に対して「客観的に評価できるのか」「無理はないか」などを評価することで、目標そのもののクオリティ向上に役立ちます。

思考の6段階モデル

思考の6段階モデルとは、人が物事を記憶・理解して最終的に創造に至るまでを示したフレームワークです。人材育成では、トレーナーやメンターの選出基準や、育成対象者の育成段階の指標として活用できます。

  • レベル1:記憶→事実・言葉・方法などを知っている
  • レベル2:理解→解釈・説明・言い換えができる
  • レベル3:応用→得た知識を様々な場面で用いることができる
  • レベル4:分析→全体像をつかみ、要素の分類や区分ができる
  • レベル5:評価→内容を確認し評価できる
  • レベル6:創造→レベル1~5を用いて新しいものを生み出せる

カッツモデル

カッツモデルとは、役職ごとに求められるスキルの割合を示したフレームワークです。

カッツモデル(3つの階層と3つのスキル)

図の通り、3つのマネジメント層と3つのスキルで構成されています。人材育成においては、各階層(役職)における各スキルの割合により「階層ごとにどのスキルを重視すべきか」を把握するのに役立ちます。

カークパトリックモデル

カークパトリックモデルは、教育効果を以下の4段階に分けて計測するためのフレームワークです。

  • レベル1:reaction(反応)
  • レベル2:learning(学習)
  • レベル3:behavior(行動)
  • レベル4:result(結果)

人材育成においては、研修がどの程度の教育効果をもたらしたかを把握するために用います。具体的には、レベル1では研修の満足度、レベル2では研修の理解度、レベル3では研修後の行動変化、レベル4では業績の向上度をそれぞれ計測します。

人材育成ができる人の特徴・スキル

組織的かつ戦略的な人材育成を推進していくためには、OJTのトレーナーやメンター、研修の講師などを任命し、巻き込んでいく必要があります。しかし、人材育成を推進するための適切なスキルや経験がなければ、人材育成が失敗に終わる可能性もあるでしょう。

そのため、人材育成ができる人の特徴・スキルを把握し、それに基づいて最適な人材を見極め、アサインすることが大切です。

目標・目的を部下と共有している

マネジメントが上手な人は、チームの目標を部下に浸透させ、一つひとつの業務の目的を理解させることができています。目的が理解できている部下は、自分がどのようにチームに貢献できており、より効率的に目標を達成するために自分が何をすべきかを自発的に考えられるようになります。

このように、目標・目的を部下と共有し、部下のモチベーションを高めるマネジメントができている社員は、人材育成の場でも高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。

達成に向けた動き方を部下に考えさせている

人材育成に適している人は、常に部下に対して内省を促し、目標達成に必要なプロセスを部下自身に考えさせることができます。

タスクベースで細かく指示を出し、堅実に目標達成へとけん引する能力も会社にとっては価値のあることでしょう。しかし、このようなマネジメントでは、部下一人ひとりの自発的な成長を妨げる可能性があります。

そのため、部下にある程度の指示は行いつつも、作業やスケジューリングなど、ミッション達成に向けた動き方を考える余地を与え、自身はプロジェクトにおける達成目標に責任をもつことが理想です。

こまめにコミュニケーションやフォローを行なっている

こまめにコミュニケーションを取り、適切なタイミングでフォローを行うことも、人材育成を行う人に必要な資質です。日々の日常会話やチャットツール上でのこまめなリアクション、また成果に対する正当な評価やフィードバックを積み重ねることで、部下との信頼関係は構築されていきます。

一見すると簡単に思えますが、これらを部下一人ひとりに対して継続的に行うことは大変根気がいる作業です。それでも、組織の目標達成と部下の成長のために粘り強く努力し続けられる人は、人材育成にも向いているといえるでしょう。

人材育成のよくある課題と失敗例

1. 社員が忙しくて時間と余裕がない

人材育成を推進しようとしても、社員が忙しくて時間と余裕がないというケースは非常に多いです。現場の社員は日常業務や目標などに追われて、プラスアルファの時間を取りにくい状況がよく見られます。

また現場に限らず、人材育成を担う人事関連の部署も同様に忙しく、推進に向けた動きをとれない場合もあります。

2. 人材育成の知識やスキルが不足している

人材育成についての知識やスキルが社内に不足している場合もあります。事業の発展や業績アップに注力する一方で、人材を育成し、育てるための知識やスキルの習得が課題として残っているケースも少なくありません。

3. 社員が重要性を認識できていない

経営層や人材育成を担う部署が推進を図る一方で、その他の社員が人材育成の重要性を認識しておらず上手く巻き込めないパターンもあります。

「現場は研修どころではない」「研修参加は義務ですか?」のような声があがる場合、重要性の認識が不足している可能性が高いでしょう。

4. 人材育成そのものが目的化している

人材育成を行っているものの、施策そのものが目的化しているケースも見受けられます。

  • OJTを行っているが、具体的な目標は設けずにトレーナーを任命するだけになっている
  • 集合研修を行っているが、開催後の効果測定やフォローはしていない
  • ジョブローテーション制度を導入しているが、形式的な配置替えになっている

5. 計画的に行えていない

人材育成の目的が曖昧なまま不定期・単発で開催されたり、継続的な育成手法が中断されたりしている場合は、人材育成が計画的に実施されていないと考えてよいでしょう。計画的でない人材育成は、人件費がかさみ、かつきちんとした成果が期待できないという不信感に繋がってしまいます。

人材育成を推進する際は、はじめに人材育成に必要な準備を行い、人材育成計画を立てるところからスタートします。人材育成にはさまざまな工程があり、大きく分けると以下の5つに分かれます。

  • 目標設定
  • 実施する教育の内容
  • 現状の把握
  • 課題発見
  • フィードバック

育成担当者は、人材育成を行う目的や目標を明確にし、実行計画を策定しましょう。育成計画の立て方に迷う方は、フォーマットを活用することで育成計画のイメージを得ることができますので、下記の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:人材育成の育成計画書の作り方|無料のサンプルフォーマット付き

人材育成を成功に導くコツ

闇雲に知識やスキルを身につけさせるだけでは、人材育成は上手くいきません。計画的に進め、社員に対しては継続的なフォローを行い、場合によっては必要な制度を整備することも必要でしょう。

人材育成を成功させるためには、人材育成を1つの大きなプロジェクトとして捉え、組織的に取り組んでいく姿勢が求めれます。

目的を明確にする

人材育成はただ教育やトレーニングを行うだけではなく、その目的を明確にすることが非常に大切です。

目的を明確にすることで、各個人がその目的に向けて自己啓発を進めていく動機付けとなります。人材育成の目的例として以下があげられます。

  • ビジネスマインドの醸成
  • スキルや専門性の向上
  • 帰属意識の向上
  • 幹部候補人材の育成

各個人の目指すべき具体的なゴール設定とともに、これらの目的を追求することで、より有意義かつ効果的な人材育成が可能となります。

目標を設定・共有する

人材育成を行う上で、目標の設定は欠かせません。人材育成における目標とは、自社が理想とする人材像へ社員を成長させるための指標です。

社員それぞれが設定した目標の達成に向け取り組み、主に上司が管理・フォローを行います。人事・教育担当者は各部署からあがってきた目標を取りまとめ、研修・セミナーなどの育成施策の企画に活用します。

組織をあげた人材育成は、明確な目標があって初めて行えるのです。

また人材育成の目標は、「客観的に判断できる指標であること」「企業としての成果にもつながること」が重要です。

関連記事:人材育成の目標とは?基本的な設定方法や管理のポイントを紹介

スキルの可視化を行う

スキルの可視化は、各従業員の現在地を把握し、成長を図る上で重要です。可視化を行うことで、個々人のスキルレベルや育成の必要性が明らかになります。

一般的には、スキルマップを作成し、長所・短所を評価します。スキルマップは、各種業務スキルを軸にした表で、それぞれのスキルレベルを数値化します。各従業員のスキル状況が一目でわかるよう、採点やレーティングを行い、その結果をもとに育成計画を立てます。

また、スキルの可視化は、リーダーと部下のコミュニケーションを促進します。具体的なスキルとそのレベルを示すことで、共通の理解を深め、育成の方向性や目標を明確化することが可能です。

期日を決める

人材育成において、具体的なスキル獲得や能力開発のための期日設定は重要です。

まず育成計画を策定する際には、目標とするスキルや業績の向上度を明示し、それを達成するための具体的な期日を設定します。これにより、育成対象者は自身の成長を具体的にイメージしやすくなります。

また、期日設定は育成の進行管理にも寄与します。期日があることで、育成担当者と育成対象者の双方が進行状況や成果を確認し、必要に応じて育成計画を修正することが可能となります。

自主性・自発性を養う

人材育成において、育成対象者の「自主性・自発性」は不可欠です。成長は、本人の「成長したい」という思いがあって初めて実現します。いくら周りが成長させようとしても、本人に成長を望む気持ちが無ければ成り立ちません。そのため「自主性・自発性」を持っていることが前提となるのです。

なお「自主性」と「自発性」は似た言葉ですが、以下のような違いがあります。

  • 自主性:決められたことを自分の判断でこなしていくこと
  • 自発性:決められていなくても自ら進んで行うこと

自主性を養うには、育成対象者に自ら考える機会を多く与えることが有効です。一方で自発性を養うには、あるべき姿や理想とする状態を育成対象者に問いかけ、明確化させることが有効です。

モチベーションを管理する

人材育成では、育成対象者のモチベーション管理も大切です。モチベーションがなければ、成長につながる活動を行えません。

育成対象者のモチベーションを管理するためには、そもそも「モチベーションとは何か」を正しく理解する必要があります。モチベーションは単なる「やる気」と捉えられる場合も多いのですが、正確には「やる気を起こさせる動機づけ」のことです。「行動するための目的や理由」と表すとよりイメージしやすいでしょう。

また下表の通りモチベーションは「内的モチベーション」と「外的モチベーション」に分けられます。

内的なモチベーション外的なモチベーション
どうなりたいのか 何がしたいのか どう生きたいか …など給料アップ 報奨金 ライバルの存在 …など
~特徴~ 上がりにくく下がりにくい 外部の影響を受けにくい 自らコントロールしやすい (中長期)~特徴~ 上がりやすく下がりやすい 外部の影響を受けやすい 自らコントロールしにくい (短期)

人材育成においては、日々の指導や面談などを通じて「内的なモチベーション」を高めつつ、社内施策などで「外的なモチベーション」にも働きかけるのがポイントです。とくに内的なモチベーションは、外部の影響を受けにくく自らコントロールしやすいため、やる気を安定させるのに有効です。

「内的なモチベーション」と「外的モチベーション」それぞれに働きかける指導や施策を組み合わせて、社員のやる気が高まった状態を維持しましょう。

育成担当者のスキルを高める

人材育成を行う上では、育成担当者のスキル向上も欠かせません。

具体的には、設定した目標を達成できるようにする「目標管理能力」やティーチングやコーチングなどを含む「コミュニケーションスキル」、正確な状況把握と判断のために必要な「ロジカルシンキング」などです。

いずれのスキルも日々多忙な業務を遂行するなかで、並行して学び、適切な評価を下すことは困難を極めます。育成担当者のスムーズなスキルアップを図るならば、社員が好きなタイミングで学びを深められる「e-ラーニング」の活用がおすすめです。

オンラインで学習できるeラーニングシステムを使えば、時間や場所に縛られることなく、より広範囲な人材のスキルアップや教育の均質化を実現できます。

また、最新の情報に常にアップデートして学習コンテンツを提供できるため、新人向け・管理職向けといった階層別研修や、従業員のリスキリングなども幅広く対応可能です。

はじめてeラーニング導入・活用を検討される人事・教育担当者でもわかりやすく導入の手順・活用方法を学べる『eラーニング導入・活用 完全ガイド』を用意しましたので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

『eラーニング導入・活用 完全ガイド』をダウンロード(無料)

人材育成に対する正当な評価システムを設ける

人材育成の一環として、各個人の成長を評価するシステムが必要不可欠です。評価が不適切であったり、または全く行われていなかったりした場合、個人のスキルアップの進行具合を把握することが難しくなり、個々に合わせた指導ができない可能性も生じます。

一般的な評価システムでは、以下のような項目が設定されます。

項目評価基準
専門性専門知識、技術の習得度
コミュニケーションチーム内での意思疎通の取れ具合
リーダーシップチームを引っ張る能力
プロジェクト管理能力進行管理、予算管理等
積極性・主体性自身で課題を見つけ解決する能力

評価は定期的に行い、その結果をフィードバックとして育成に活用することで、個々の成長を具体的に可視化し、育成の方向性を定めることが可能になります。

適切なリソース、時間を割く

人材育成は、組織の中長期的な成功に直結する大切なプロセスです。しかし、日常業務の中で多忙を極める企業では、「人材育成に十分な時間を割けない」という問題がしばしば見受けられます。

短期的な業績追求や火急の課題解決などが優先され、結果として人材育成が後回しにされてしまうケースが多いのです。しかし、人材育成は時間と手間をかけた分、そのまま結果が現れる長期的な投資ともいえます。したがって、人材育成に必要な時間を確保し、計画的に取り組むことが重要です。

例えば、一定の時間を設けて定期的に育成プログラムを行ったり、日々の業務の中で育成を意識したマネジメントを行うなどの工夫が求められます。人材育成に必要な時間を確保することは、組織の成長と個々のスキルアップにつながるため、中長期的な視点で見る必要があります。

最適な育成スキームを選択する

人材育成を成功させるためには「最適な育成スキームの選択」が重要です。育成スキームの選択が適切でないと、時間やコストを無駄に消費し、結果として育成が進まないどころか、従業員のモチベーション低下を招くこともあります。

以下に示す表は、具体的な職位とそれに対応する育成スキームの例です。

職位育成スキーム
新入社員・OJT
・OFF-JT
・メンター制度
・eラーニング
中堅社員・OJT
・メンター制度
・eラーニング
・ジョブローテーション
マネージャー・eラーニング
・外部研修
・人事評価研修

新入社員には実務を通じた学習(OJT)、メンター制度が有効で、中堅社員には経験豊富なメンターから学ぶ制度やジョブローテーションが効果的です。マネージャーになると、多角的な視点を持つための外部研修や人事評価研修が推奨されます。

このように、育成スキームは個々の職位や能力によって最適な選択が異なるため、企業全体が推進する人材育成モデルの整備(最適な育成スキーム選び)が重要になるのです。

人材育成の成功事例

人材育成の定義は「企業に貢献できる人材を育成すること」であるため、「自社の課題・強みに対して貢献・活躍できる人材」を育成できれば、人材育成の成功事例と呼べるでしょう。ここでは人材育成の成功事例を紹介していきますが、これらの事例を見ていくと、各社が独自の課題に基づいて人材育成を進めていることがよくわかります。

ぜひ自社との共通点や違いを考えながら読み進めていただき、自社独自の人材育成計画を立てる参考にしてみてください。

スキマ時間を活用した動画研修で自発的に学習する風土が根付き始めた|株式会社フレスタ

株式会社フレスタは、「地域に密着した店舗展開」をテーマに、広島県を中心に岡山県・山口県含めて、63店舗(インタビュー時点)のスーパーマーケットを展開する会社です。「生鮮宅配サービス」など、お客様のライフスタイルに寄り添った独自のサービスを展開しています。

株式会社フレスタの人材育成プロジェクトにおける「課題」「成果」「今後の展望」を以下にまとめました。

課題新型コロナウイルス感染症の影響で、対面での集合研修ができなくなったが、継続的に人材育成を進める必要があった。その対策として、動画研修コンテンツを内製してみたが、イントラネットのデータ容量制限などが原因で、スムーズな移行ができなかった
成果・既製のコンテンツを提供しているeラーニングの導入。 ・振り返りシートに「動画研修を受講して、自分はいつまでにこういうことが出来るようになる」といった個人の目標を記載してもらい、上長にサインをもらって提出するという仕組みを運用することで、自発的に学習していく風土が根付き始めた
今後の展望eラーニングを情報配信プラットフォームとしても活用していきたい

株式会社フレスタの事例では、個人の目標管理を上手く取り入れ、高いモチベーションで学習を続けられる環境を整えることに成功しています。

事例記事:PC1人1台の環境でなくとも、AirCourseを活用して全従業員に教育機会を提供

属人化していたナレッジの共有・体系化で研修業務の50%の時間を削減|リノべる株式会社

リノべる株式会社は、個人や法人向けのリノベーション事業を主体としつつ、テクノロジーを使ったプラットフォームの展開も行なっている会社です。

リノべる株式会社の人材育成プロジェクトにおける「課題」「成果」「今後の展望」を以下にまとめました。

課題・社内の資料や動画コンテンツが散財し、「誰が」「何を」「どれくらい」学習しているのか把握できない状況だった。   ・遠隔地の内定者や、中途採用者の覚えるべき内容が多すぎた。
成果・自社コンテンツの作成が簡単なeラーニングの導入した結果、研修業務の50%の時間を削減することができた。   ・テスト機能や視聴履歴のレポート機能を活用し、進捗管理が行えるようになると、特定のレッスンを長時間視聴してたり、何回も繰り返し受講していることも可視化され、社員一人ひとりのウィークポイントも見えるようになった。そしてこれらの情報が、研修のアップデートに役立った。
今後の展望大小問わず、レコーディングした勉強会などをアーカイブ化し、ナレッジの蓄積、共有の強化を行なっていきたい、

リノべる株式会社の事例では、社員への継続的なフォローアップが、人材育成の効果を高めることにつながってた様子がよく分かります。

事例記事:AirCourse導入により研修業務の50%の時間削減を実現

動画コンテンツ視聴をKPIに含めて「自主学習」の習慣・風土を醸成|エフエムジー & ミッション株式会社

エフエムジー & ミッション株式会社は、化粧品および関連商品、栄養補助食品、ファッション関連品の製造・販売を行なっている会社です。

エフエムジー & ミッション株式会社の人材育成プロジェクトにおける「課題」「成果」「今後の展望」を以下にまとめました。

課題・マネジメント層からの「各社員のボトムアップ」「マネージャー層の育成」「会社方針の理解度向上」を図りたいという意向があった。   ・社員に対して、DXやリスキリングへの意識付けが必要だと感じていた。
成果充実したコンテンツの受講と、自社コンテンツの作成・配信が行えるeラーニングの導入し、動画コンテンツの受講をKPIに含めて継続的な学習を促すことで、自己学習の習慣・風土が醸成された。
今後の展望・さまざまな部署やテーマで活用範囲を広げたい   ・受講状況の一元管理を行い、タレントマネジメントに活かしていく体制を整えたい

エフエムジー & ミッション株式会社の事例は、目標管理や評価が社員のモチベーションを引き出すことがよく分かる事例です。

事例記事:自社コンテンツと組み合わせて「各種研修」から「会社方針の理解促進」までフル活用

まとめ

人材育成はさまざまな取り組みが集積する、一つの大きなプロジェクトとも言えます。このプロジェクトを成功に導くためには、「人材育成を通じて、社員がどのように会社に貢献できるようになるのか」という視点を常に持っておくことが大切です。

また、他の仕事とも並行しながら取り組まなければいけない社員にとって、いかに効率よく進めるかもポイントとなります。本記事では、人材育成のさまざまな手法やフレームワークも解説しましたので、ぜひこれらの方法を積極的に活用してみてください。

人材育成は大きな責任とプレッシャーのある役割です。しかし、明確な目的に基づいた育成計画を作成することができれば、失敗の少ない人材育成が行えます。ぜひ、何度も本記事に立ち返って、より良い人材育成に役立ててください。

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