人材育成のよくある課題|5つの解決策と育成のポイント、成功事例を解説

人材育成は企業の発展に欠かせないものの、以下のような課題を抱えている企業様も多いのではないでしょうか。

  • 社員が忙しくて、人材育成を行う時間と余裕がない
  • 人材育成の知識やスキルが不足している
  • 社員が人材育成の重要性を認識できていない

こうした課題は、人材育成計画そのものに欠陥がある場合も多く、既存の人材育成計画が現場の状況を無視した古い体制運用を強いていることもあるため、早急に見直す必要があります。古い人材育成計画を現場の課題に即した内容へアップデートすることで、育成担当者・対象者の双方が実行に移しやすい環境が出来上がります。

まずは人材育成におけるよくある課題を整理し、解決のための具体策を把握しましょう。加えて企業の取り組み事例を知ることで、自社に最適な育成スキームを検討することができます。

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企業の発展に従業員の成長は欠かせません。しかし、「育成の時間や余裕がない」「どう進めるべきかがわからない」など、多くの企業が課題を抱えています。

そこで、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新の人材育成モデルやその実現ノウハウ、企業での成功事例をまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』をお届けします。

人材育成施策に欠かせない4つのポイントが詰まっており、 人事担当をはじめとした人材育成・教育に携わる方必見の内容です。

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人材育成の定義

人材育成とは、一言で表すと「企業に貢献できる人材を育成すること」です。具体的には個々の社員の能力を高め、企業の業績向上や組織的発展に寄与する人材に育てあげる活動のことを指します。

人材育成で重要なのは、「自社で貢献・活躍できるように育成する」ことです。そのため人材育成計画は自社の理念や戦略、現状の課題などに基づいた独自の内容であることが求められます。

人材育成のアプローチには、狭義では「OJT」「自己啓発」「eラーニング」など、広義では「ジョブローテーション制度」「人事評価制度」など、さまざまな手法があります。

いずれも社員一人ひとりが持つ可能性を伸ばすために個々のスキルや知識を底上げし、より高いパフォーマンスを発揮できるように支援することを目的に実施します。

近年、リモートワークやデジタル化の広がりに伴い、デジタル時代にあわせた人材育成のあり方も変化しています。ただ、オフライン、オンラインと一概に良し悪しがあるわけではなく、自社にあった育成モデルを選択することが大切です。

以下の資料では、人材育成モデルの変遷や育成のポイントについて、企業の取り組み事例も交えて解説しています。

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人材育成を行う目的

人材育成を行う目的は大きくわけて「ビジネスマインドの醸成」、「スキルや専門性の向上」、「帰属意識の向上」の3つです。

組織人として必要な心構え、ビジネスマナーなど、仕事に対する基本的な姿勢や考え方をはじめ、業務に必要な専門知識・スキルの習得や、チームワーク・帰属意識の醸成を、人材育成を通して行います。

人材育成の取り組みによって、モチベーションのアップや企業への貢献意欲などを高め、最終的には個々の成長の先に企業の成長・発展を期待して行います。

ビジネスマインドの醸成

企業理念や組織人としての心構え、ビジネスマナーなど「仕事の基本となる姿勢や考え方」を身につけます。姿勢や考え方は日々の行動と結果に影響するため、新入社員に限らずベテラン社員にとっても重要な要素です。

スキルや専門性の向上

自社で活躍するためには、業務に求められるスキルと専門的な知識を身につける必要があります。実践的なスキルを身につけるためには実務を経験するのが近道です。実務を行うなかでの試行錯誤と状況に即した上司からのアドバイスが、部下のスキルと専門性を大きく向上させます。

帰属意識の向上

「組織に属している」「社員みんなが仲間である」といった帰属意識を向上させます。帰属意識が高ければ、社内課題の「自分ごと化」や退職防止にもつながるのです。また自分の目標を明確に認識することで、モチベーションアップにも影響を及ぼします。

参考:人材育成の目標とは?基本的な設定方法や管理のポイントを紹介

人材育成のよくある5つの課題とその解決策

人材育成の課題には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、人材育成を進める上で生じがちな課題を5つ紹介します。解決策の前に、まずはどのような課題があるかを確認しましょう。

1. 社員が忙しくて時間と余裕がない

人材育成を推進しようとしても、社員が忙しくて時間と余裕がないというのは非常にありがちなケースです。現場の社員は日常業務や目標などに追われて、プラスアルファの時間を取りにくい状況がよく見られます。

また現場に限らず、人材育成を担う人事関連の部署も同様に忙しく、推進に向けた動きをとれない場合もあります。

人材育成は企業の将来を育む取り組みの一環です。そのため、企業全体でその重要性を理解し、育成期間の前後を含む一定期間は関連部署や担当者が育成に手をかけられるよう、通常業務などの調整を図り、育成時間を別に設けるようにしましょう。

育成時間を別に設けることが難しい場合は、e-ラーニングの導入がおすすめです。育成対象者の習熟度に合わせた学習提供が可能で、端末があればいつでもどこでも学習に取り組めます。

育成担当者は受講案内を行い、受講中は分からないところに対して回答するといったピンポイントの関わりでも育成が勧められます。そのため、育成のための時間が取りづらいケースに最適な手法といえます。

関連記事:eラーニングシステムの比較ポイント9選|活用例や注意点を解説

2. 人材育成の知識やスキルが不足している

人材育成についての知識やスキルが社内に不足している場合もあります。事業の発展や業績アップに注力する一方で「人に教え、育てる」ための知識やスキルの習得が課題として残っているケースも少なくありません。

業務で結果を出す能力と、育成に必要なスキルはまったくの別物です。そのため、人材育成の前段階として、教育担当者の育成にも力を入れなければいけません。教育担当者の育成は次のようなテーマでの実施がおすすめです。

  • OJTトレーナー:OJTを行うトレーナーとして「OJTの質」「育成スキル」の向上が図れる。管理職候補としての成長も見込める
  • メンター:知識と経験のある先輩社員がメンター(育成担当者)となり、後輩社員(育成対象者)に対して指導・業務支援・メンタル面のサポートを行うことで、自身もメンターとしての能力向上を図る
  • ティーチング:業務に対して経験豊富な人から経験が浅い人へ知識やノウハウを教えるためのスキルの向上を図る
  • コーチング:目標達成に向けた個人面談において、対話を通じて対象者の能力・気力を引き出し、自己成長や自発的な行動を促すためのスキル向上を図る
  • マネジメントスキル:組織が成果を上げるために経営資源(ヒト・モノ・カネ)を効率的に活用するための能力の向上を図る

教育担当者の苦手分野に合わせて、取り入れるテーマを変え、人材育成における総合的な能力を伸ばせるようにしましょう。

3. 社員が重要性を認識できていない

経営層や人材育成を担う部署が推進を図る一方で、その他の社員が人材育成の重要性を認識しておらず上手く巻き込めないパターンもあります。「現場は研修どころではない」「研修参加は義務ですか?」のような声があがる場合、重要性の認識が不足している可能性が高いでしょう。

人材育成の重要性を分かってもらうためには、現状課題と育成後の将来像を見せることが重要です。人材育成によるカリキュラムを受けることで、自身がどのように変化し、その変化が企業全体にどのような効果をもたらすのかを周知することで、人材育成に対する重要性の認識を高められます。

また、人事評価制度を見直すのも一つの手です。成長意欲に関する項目を設けることで自主的な参加を促せるでしょう。

4. 人材育成そのものが目的化している

人材育成を行っているものの、施策そのものが目的化しているケースも見受けられます。具体例は以下の通りです。

  • OJTを行っているが、具体的な目標は設けずにトレーナーを任命するだけになっている
  • 集合研修を行っているが、開催後の効果測定やフォローはしていない
  • ジョブローテーション制度を導入しているが、形式的な配置替えになっている

人材育成は育成後に企業が成長・発展しなければその意味を成しません。そのため、人材育成を通して、どのような変化を遂げたいのか「具体的な目標設定」が重要です。

また、育成期間中は充実した時間を過ごせたとしても、終了後に習得したスキル・知識を活かせなければ、その期間は無駄になります。スキルや知識は定着してこそ、効力を発揮します。そのため、育成期間中の振り返りはもちろん、終了後には「どのように業務に活かせたか」を共有する場を設け、スキル・知識の定着を図りましょう。

5. 計画的に行えていない

人材育成の目的が曖昧なまま不定期・単発で開催されたり、継続的な育成手法が中断されたりなど、計画性が不足していると研修内容が良くてもその効果は薄れます。計画的ではない人材育成は、費用や人などのコストがかかるだけでなく、育成対象社に人材育成に対する不信感を抱かせかねません。

人材育成を完遂し、社員の着実な成長に繋げるためには、育成計画書の作成が必須です。育成計画には5つのポイントがあります。

  • 目標設定
  • 実施する教育の内容
  • 現状の把握
  • 課題発見
  • フィードバック

人材育成を行う目的や目指す目標を明確にすることで、社員をどこに向かって育成すれば良いのか見失わずに済みます。また、計画書を基に振り返りを行いながら育成を進めることで、不足点を補いつつ社員の着実な成長を図れます。

さらに作成した計画書は記録として残るため、各社員の成長過程を記録・共有することが可能です。加えて、どのような育成を行ったのかという実績は、育成に関するノウハウとして組織の資産になるため、次回以降の人材育成に対しても効果的な方法を選択しやすくなるでしょう。

育成計画書の作り方が分からないという場合は、下記記事で詳細を解説しているので、あわせてご確認ください。また、無料のフォーマットも公開しているので、育成計画書の作成にお役立てください。

参考:人材育成の育成計画書の作り方|無料のサンプルフォーマット付き

とはいえ、「実際、何から手をつければ良いのか分からない」とお悩みの場合、企業での取り組み事例を知ることで、人材育成施策を進める上での具体的なイメージを持つことが重要です。

以下資料では、デジタル時代における人材育成の考え方や必要な育成施策、企業での取り組み事例を解説しています。どなたでも無料でダウンロードいただけますので、自社での取り組みイメージを具体化させる上で、ぜひご活用ください。

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効果的な人材育成を行うために大切なこと

育成計画の作成や具体的な手法の選択に入る前に、人材育成を行ううえで重要なポイントを抑えておきましょう。9つのポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

1. 目的を明確にする

人材育成はただ教育やトレーニングを行うだけではなく、その目的を明確にすることが非常に大切です。

目的を明確にすることで、各個人がその目的に向けて自己啓発を進めていく動機付けとなります。人材育成の目的例として以下があげられます。

  1. ビジネスマインドの醸成
  2. スキルや専門性の向上
  3. 帰属意識の向上
  4. 幹部候補人材の育成

各個人の目指すべき具体的なゴール設定とともに、これらの目的を追求することで、より有意義かつ効果的な人材育成が可能となります。

2. 目標を設定する

人材育成を行う上で、目標の設定は欠かせません。人材育成における目標とは、自社が理想とする人材像へ社員を成長させるための指標です。

社員それぞれが設定した目標の達成に向け取り組み、主に上司が管理・フォローを行います。人事・教育担当者は各部署からあがってきた目標を取りまとめ、研修・セミナーなどの育成施策の企画に活用します。

組織をあげた人材育成は、明確な目標があって初めて行えるのです。

また人材育成の目標は、「客観的に判断できる指標であること」「企業としての成果にもつながること」が重要です。

参考:人材育成の目標とは?基本的な設定方法や管理のポイントを紹介

3. スキルの可視化を行う

スキルの可視化は、各従業員の現在地を把握し、成長を図る上で重要です。可視化を行うことで、個々人のスキルレベルや育成の必要性が明らかになります。

一般的には、スキルマップを作成し、長所・短所を評価します。スキルマップは、各種業務スキルを軸にした表で、それぞれのスキルレベルを数値化します。各従業員のスキル状況が一目でわかるよう、採点やレーティングを行い、その結果をもとに育成計画を立てます。

また、スキルの可視化は、リーダーと部下のコミュニケーションを促進します。具体的なスキルとそのレベルを示すことで、共通の理解を深め、育成の方向性や目標を明確化することが可能です。

4. 期日を決める

人材育成において、具体的なスキル獲得や能力開発のための期日設定は重要です。

まず育成計画を策定する際には、目標とするスキルや業績の向上度を明示し、それを達成するための具体的な期日を設定します。これにより、育成対象者は自身の成長を具体的にイメージしやすくなります。

また、期日設定は育成の進行管理にも寄与します。期日があることで、育成担当者と育成対象者の双方が進行状況や成果を確認し、必要に応じて育成計画を修正することが可能となります。

5. 自主性・自発性を養う

人材育成において、育成対象者の「自主性・自発性」は不可欠です。成長は、本人の「成長したい」という思いがあって初めて実現します。いくら周りが成長させようとしても、本人に成長を望む気持ちが無ければ成り立ちません。そのため「自主性・自発性」を持っていることが前提となるのです。

なお「自主性」と「自発性」は似た言葉ですが、以下のような違いがあります。

  • 自主性:決められたことを自分の判断でこなしていくこと
  • 自発性:決められていなくても自ら進んで行うこと

自主性を養うには、育成対象者に自ら考える機会を多く与えることが有効です。一方で自発性を養うには、あるべき姿や理想とする状態を育成対象者に問いかけ、明確化させることが有効です。

6. モチベーションを管理する

人材育成では、育成対象者のモチベーション管理も大切です。モチベーションがなければ、成長につながる活動を行えません。

育成対象者のモチベーションを管理するためには、そもそも「モチベーションとは何か」を正しく理解する必要があります。モチベーションは単なる「やる気」と捉えられる場合も多いのですが、正確には「やる気を起こさせる動機づけ」のことです。「行動するための目的や理由」と表すとよりイメージしやすいでしょう。

また下表の通りモチベーションは「内的モチベーション」と「外的モチベーション」に分けられます。

モチベーション (やる気を起こさせる動機づけ=行動するための目的や理由)

内的なモチベーション外的なモチベーション
どうなりたいのか
何がしたいのか
どう生きたいか
…など
給料アップ
報奨金
ライバルの存在
…など
特徴
上がりにくく下がりにくい
外部の影響を受けにくい
自らコントロールしやすい
(中長期)
特徴
上がりやすく下がりやすい
外部の影響を受けやすい
自らコントロールしにくい
(短期)

人材育成においては、日々の指導や面談などを通じて「内的なモチベーション」を高めつつ、社内施策などで「外的なモチベーション」にも働きかけるのがポイントです。とくに内的なモチベーションは、外部の影響を受けにくく自らコントロールしやすいため、やる気を安定させるのに有効です。

「内的なモチベーション」と「外的モチベーション」それぞれに働きかける指導や施策を組み合わせて、社員のやる気が高まった状態を維持しましょう。

7. 育成担当者のスキルを高める

人材育成を行う上では、育成担当者のスキル向上も欠かせません。

具体的には、設定した目標を達成できるようにする「目標管理能力」やティーチングやコーチングなどを含む「コミュニケーションスキル」、正確な状況把握と判断のために必要な「ロジカルシンキング」などです。

いずれのスキルも日々多忙な業務を遂行するなかで、並行して学び、適切な評価を下すことは困難を極めます。育成担当者のスムーズなスキルアップを図るならば、社員が好きなタイミングで学びを深められる「e-ラーニング」の活用がおすすめです。

オンラインで学習できるeラーニングシステムを使えば、時間や場所に縛られることなく、より広範囲な人材のスキルアップや教育の均質化を実現できます。

また、最新の情報に常にアップデートして学習コンテンツを提供できるため、新人向け・管理職向けといった階層別研修や、従業員のリスキリングなども幅広く対応可能です。

はじめてeラーニング導入・活用を検討される人事・教育担当者でもわかりやすく導入の手順・活用方法を学べる『eラーニング導入・活用 完全ガイド』を用意しましたので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

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8. 人材育成に関する制度を整える

人材育成を安定して行うためには、人材育成に関する各制度を整備することが必要です。具体的には、OJT制度、研修制度、ジョブローテーション制度、人事評価制度、目標管理制度、メンター制度があります。

人材育成に関する制度を整えるためには、フレームワークを活用して既存の制度を見直すのも効果的です。

ただ、人材育成に関する各制度が完璧に整備されている企業は決して多くありません。

整える努力をすると同時に、少なくとも「制度が整っていないから人材育成を行えない」という認識をもたない・もたせないことが大切です。

日常業務における一つひとつの経験やコミュニケーションが人材育成の機会であり、制度はそれらの効果や効率をさらに高めるためのものという位置づけが好ましいでしょう。

KIYOラーニングでは、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新のオンライン育成手法やその実現ノウハウをまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』をお届けしています。人材育成を成功に導く4つのポイントを紹介していますので、ぜひご活用ください。どなたでも無料でダウンロードいただけます。

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9. 最適な育成スキームを選択する

人材育成を成功させるためには「最適な育成スキームの選択」が重要です。育成スキームの選択が適切でないと、時間やコストを無駄に消費し、結果として育成が進まないどころか、従業員のモチベーション低下を招くこともあります。

以下に示す表は、具体的な職位とそれに対応する育成スキームの例です。

職位育成スキーム
新入社員・OJT ・OFF-JT ・メンター制度 ・eラーニング
中堅社員・OJT ・メンター制度 ・eラーニング ・ジョブローテーション
マネージャー・eラーニング ・外部研修 ・人事評価研修

新入社員には実務を通じた学習(OJT)、メンター制度が有効で、中堅社員には経験豊富なメンターから学ぶ制度やジョブローテーションが効果的です。マネージャーになると、多角的な視点を持つための外部研修や人事評価研修が推奨されます。

このように、育成スキームは個々の職位や能力によって最適な選択が異なるため、企業全体が推進する人材育成モデルの整備(最適な育成スキーム選び)が重要になるのです。

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【階層別】人材育成のポイント

人材育成の課題と解決策を「階層別」で紹介します。より個別かつ具体的な内容となっていますので、参考にしてください。

新入社員の育成

新入社員における人材育成の課題としてあがりやすいのが「モチベーションマネジメント」です。

仕事に対するモチベーションは定着率にも影響しやすく、上手くマネジメントできないがゆえに離職に至ったというケースが後を絶ちません。慣れない環境や業務からくる不安をいかに解消するかが求められます。

解決策としては、育成対象者(新入社員)と育成担当者の両者が「モチベーションマネジメント」について学ぶことです。具体的には、以下の通りです。

育成対象者:

自らのモチベーションをいかに維持・向上させるかという視点でセルフマネジメントについて習得させます。組織としてしっかりと社員のモチベーションをマネジメントしつつ、「自らのモチベーションは自らでマネジメントする」ことの大切さを説きましょう

育成担当者:

部下や後輩のモチベーションには、自らの言動も大きく関わることを認識させることが大切です。例えば、部下に対して「期待を言葉にして表す・意見を求める・裁量権を与える」等を行うことで、部下は「期待されていることを実感」でき、成果向上にもつながります

なお、「周囲からの期待が高いと成果も高くなる傾向」はピグマリオン効果と称されています。以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。

参考:ピグマリオン効果とゴーレム効果の違い|ビジネスでの活用と注意点

育成対象者の「自らのモチベーションは自らでコントロールしないと」という思いと、育成担当者による「部下のモチベーションを高く維持するには、自分の言動も意識しなければ」という認識が合致することで、真価を得られるでしょう。

中堅社員の育成

中堅社員における人材育成の課題としてあがりやすいのが「管理職候補としての自覚・育成」です。ここには、育成担当者としてのスキルも含まれます。独り立ちしたプレーヤーからいかに管理職候補としての自覚を持たせるか、マネジメントスキルを向上させるかが課題です。

解決策としては、「OJTやメンター、プロジェクトリーダーとして抜てき」など、現場でのマネジメントが必要になる経験をさせることです。もちろん、任命・抜てきだけ行い、あとは本人任せというケースはあってはなりません。

例えば、OJTやメンターを行う前には、マネジメントする側および育成担当者としての学びを得るためのOJT研修やメンター研修の受講をおすすめします。

また中堅社員は担当する業務も増えており、育成担当者としての立場が追加されると業務過多となることも懸念されます。こうしたケースでは、育成担当中は周囲が一部業務を代理したり、育成対象者の予習や復習にeラーニングを活用して負担を軽減しましょう。

リーダーの育成

リーダーは部下を育成する立場であり、自らの人材育成力が問われます。リーダー層の人材育成は、組織の成長や業績向上に直結するため、特に重要視されます。

リーダーに求められる能力として、以下のようなものがあげられます。

能力内容
問題解決力課題を正しく認識し、解決策を立案・実行する力
意思決定力的確な判断のもと、迅速に意思決定する力
コーチング力部下一人ひとりに合わせて指導・育成する力
ファシリテーション力メンバーの意見をまとめ、最大限の能力を引き出す力

リーダー層の育成は、OJT(On the Job Training)と研修を組み合わせて行うことが一般的です。OJTでは先輩リーダーからの実践を通じた指導を、研修では座学による知識やスキルの習得を図ります。eラーニングの活用も有効な手段の一つとなります。

リーダー育成では、単に管理職としての知識やスキルを身につけるだけでなく、リーダーとしての自覚やマインドセットの醸成も重要になってきます。

管理職の育成

教育対象者となる機会は少ない管理職ですが、それゆえに組織から見れば自らも育成対象でもあることの自覚不足が生じるケースもあるでしょう。

解決策としては、以下の通りです。

  • 経営知識やハラスメントなど管理職にも必要な内容での研修に参加させる
  • 資格取得や書籍購入の補助など自己啓発の機会を与える
  • 部下が参加する研修にオブザーバーとして参加させる

管理職として自ら積極的に学ぶ姿勢を部下に示すことで、部下の学習意欲向上も期待できます。

管理職が身につけるべき主なスキルは以下のとおり。具体的な育成手法とあわせて理解しておきましょう。

  1. リーダーシップ
  2. 目標管理能力
  3. 部下育成力
  4. コミュニケーションスキル
  5. ロジカルシンキング(論理的思考)
  6. クリエイティブシンキング(水平思考)
  7. クリティカルシンキング(批判的思考)

参考:マネジメントスキルを高める人材育成手法|重視すべき部下育成力

人材育成の課題を解決した成功事例

最適なスキームを選択したことで人材育成の課題を解決できた事例を紹介します。課題発見から解決策までの流れをより具体的にイメージできるため、ぜひご参照ください。

社内中核人材育成研修と資格取得支援に力を入れたことで、働きながらの能力向上を実現|日研総業株式会社

業務請負や人材派遣・人材紹介、メディカルケア事業などを展開する日研総業株式会社では、人材育成で社内中核人材育成研修をはじめ、資格取得支援に注力したところ、働きながらの能力向上を実現しました。

具体的には全国の研修センターおよび本社研修室での中核人材育成研修(リーダー・管理者)や派遣常駐管理者研修などの研修を実施。時間がないなか、働きながらでも研修を受けられるスキルアップ支援を行っています。

また、スキルアップを希望するスタッフを募り、スクリーニングを行ったうえで受験費用の援助を実施。QC検定・自主保全士、機械保全技能士、第二種電気工事士、第1種衛生管理者などを対象に、個人のキャリアアップ支援として人材育成を図っています。

参考:厚生労働省 人材育成事例102「日研総業株式会社」

従業員の声を反映させた研修で人材育成に対する重要性の理解を促す|株式会社LIXIL シニアライフカンパニー

株式会社LIXILシニアライフカンパニーでは、経営陣や人事が主導して育成方針を作成していた従来の方法から、現場主導での人材発掘、育成の方針に変更することに決めました。

「やらされる側」から「手動する側」に回ることにより、人材育成に対する現場の意識が変化。スタッフ満足度調査で出た意見などを参考に、ツールの導入やスキルアップ支援のカリキュラムを作成するなどの取り組みを進めています。

参考:厚生労働省 人材育成事例019「株式会社LIXIL シニアライフカンパニー」

振り返りの機会を設けることで知識・スキルの定着を可能に|社会福祉法人 佑啓会 ふる里学舎

社会福祉法人 佑啓会 ふる里学舎では、 職員が職業人として生きていくうえで、仕事による自己実現とキャリア形成を行えるよう、年代・階層に応じた研修の機会を提供しています。

外部研修への積極的な参加を促すほか、新人、2〜3年目、中堅、役職者別に研修の実施や先進的な取組みをしている施設への視察研修を企画。障害者福祉について、多くの事業を実施している法人内の他事業所との交換研修を行うなど、別事業を見聞き経験する機会を作り、人材の成長を図っています。

また、経験年数に応じたグループ分けを行い、繰り返し継続して研修を実施することでスキル・知識の定着を促進。各研修後にはアンケートを実施し、研修内容の定着度を図る仕組みを構築しています。

参考:厚生労働省 人材育成事例016「社会福祉法人 佑啓会 ふる里学舎」

オフラインでの育成だけでなく、リモートワークも普及した現代ではオンラインとの掛け合わせや、オンライン完結での育成など多様な手法が広がっています。

より自社に適した育成の取り組みを行うためにも、ケース別の育成モデルや企業の成功事例を参考にしてみましょう。

以下資料では、これまでの育成モデルの変遷や、オンラインでの人材育成を推進するためのポイントを、企業事例も交えて解説しています。どなたでも無料でダウンロードいただけますので、自社で取り組む際の参考事例として、ぜひご活用ください。

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導入から運用まで失敗しない育成スキームを選択しよう

人材育成の課題は多種多様であり、その解決策も一概には定められません。しかし、その中でも成功を収めた事例を参考にすることで、より効果的な育成スキームを導入し、運用することが可能です。

まずは自社の課題を明確に把握し、それに対する具体的な解決策を設定しましょう。例えば、社員が育成の重要性を認識できていないならば、社員への教育と啓発が必要です。また、育成計画が計画的に行えていない場合は、専任の育成担当者を置くのも一つの手段となります。

そして、その解決策を具体化するために、eラーニングなどの最新のツールの活用も検討してみましょう。デジタル技術を駆使した育成は、一貫した教育基準と効率的な学習を実現します。

育成スキームの運用は、一度きりではなく継続的な改善が必要です。eラーニングの効果測定や社員からのフィードバックをもとに、スキームの改良を行いましょう。導入から運用まで失敗しない育成スキームを選択することが、最終的な人材育成の成功へと繋がります。

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企業の発展に従業員の成長は欠かせません。しかし、

  • 「人材育成を行う時間と余裕がない」
  • 「どのように人材育成を進めるべきかがわからない」
  • 「社員自身が人材育成の重要性を認識できていない」

といった悩みを多くの企業が抱えています。

社員が成長し、成果をあげるためには、時代の変化や企業課題にあわせた適切な育成手法が欠かせません。

そこで、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新の人材育成モデルやその実現ノウハウをまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』を公開しています。

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