理想のソーシャルラーニング環境に近づける方法|ソーシャルラーニングを実現するためのITインフラとは?第3回

SNSを利用したコミュニティによる学習方法であるソーシャルラーニングが、新しい企業内研修形態として注目されています。

しかし、TwitterやLINEといったパブリックSNSの使用は、セキュリティやコンプライアンスの面で問題があります。また、SNSにもそれぞれ特徴があり、ソーシャルラーニングに必要な機能を全て持っているとは限りません。

この記事では、企業内研修形態としてのソーシャルラーニングの特徴と、それを実現するためのITインフラについて全3回にわたって解説します。

第1回:ソーシャルラーニングとは何か?
第2回:ソーシャルラーニングのためのITインフラ
第3回:理想のソーシャルラーニング環境に近づける方法(本記事)

連載第3回の今回は、Slackではカバーできない部分を補完して理想のソーシャルラーニング環境に近づける方法を考察します。

企業内SNS (Slack)の限界

Slackは、企業内の社員同士のコミュニケーションツールとして多くのメリットを持ち、その特徴の一つであるグループ設定としてのチャンネルと、そこでのスレッドの管理の機能を活かして、企業内研修でのソーシャルラーニング環境として大きな効果を発揮します。

しかし、Slackにも限界はあります。

例えば、ある年度の新入社員の教育にSlackを活用した場合、その年度の間は問題なく運用できるでしょう。
しかし、次の年度に入り、別の新入社員が教育の対象となった場合はどうでしょうか。

おそらく、1年前に発生したスレッドの多くが、よく似た内容で繰り返されることになるでしょう。

手間はかかりますが、1年前のスレッドを探して参照することや、コピペして同じ内容の繰り返しの手間をある程度は省くことは可能でしょうが、それにも限界はあります。

「フロー」型と「ストック」型の情報共有

なぜこのようなことになるのでしょうか。
これは、Slackがもともと「フロー」型の情報共有を行うようにできているからです。

「フロー」型の情報共有とは、基本的にその場限りの情報共有で、情報を資産として蓄積(ストック)するのではなく、ある一定の短い期間に限定して情報を共有するということです。

Slack以外には、電子メールLINE「フロー」型の情報共有の例といえます。これらは全て「会話」の内容を記録することで情報を共有するタイプのものといえます。

情報共有の形式において、「フロー」の反対の意味を持つことばが「ストック」です。

「ストック」型の情報共有とは、情報を棄てることなく再利用を想定して、長期間にわたって資産として蓄積(ストック)して情報を共有するということです。

「ストック」型では、情報を文書ファイルや動画といった「コンテンツ」として記録することで情報を共有します。

つまり、理想的なソーシャルラーニング環境をつくるためには、Slackがカバーする「フロー」型の情報共有だけではなく、「ストック」型の情報共有も必要だということです。

「ストック」型の情報共有の実現例

企業内教育を目的とした「ストック」型の情報共有の機能は、最新のLMS(学習管理システム)で実現され始めています。例えば、LMSクラウドサービスのAirCourseでは、すでに、このような「ストック」型の情報共有を実現しています。

AirCourseでは、「ストック」型の情報共有を行う機能を「ナレッジ共有機能」と呼んでいます。「ナレッジ共有機能」の最初の操作は、教える内容を整理した文書ファイルや動画を「コンテンツ」として、クラウドにアップロードすることです。

アップロードされた「コンテンツ」は、自動的に整理され簡単に検索できるようになります。
もちろん、手動でタグ付けしたり、複数のコンテンツ間の関連付けを行ったりすることもできます。

アップロードしたコンテンツに対しては、「いいね」をつけたり、コメントを入力したりすることもでき、グループ内でのナレッジ共有を実現できるようになります。

このような機能があれば、毎年繰り返される新入社員向けの教育も、その大部分が「コンテンツ」の再利用することで大幅に効率化することができます。

以上のように、「フロー」型の情報共有を目的としたSlackだけで理想的なソーシャルラーニング環境をつくることはできませんが、最新のクラウドサービスにみられる「ストック」型の情報共有を行う機能を併用あるいは連携させることで、目標とする理想の環境にかなり近づくことができるのではないでしょうか。

まとめ

3回にわたって、ソーシャルラーニングを実現するためのITインフラについて解説してきました。

従来の集合研修やオンライン研修といったう育成手法だけでなく、今回ご紹介した「ソーシャルラーニング」の環境を構築することで学びの幅が広がっていきます。

その環境を構築するためのオススメのITインフラがLMS(学習管理システム)です。

AirCourseであれば「ナレッジ共有機能」を活用することで、ストック型の情報共有を行うことができます。
また、共有したコンテンツに対して「いいね」や「コメント」ができる仕組みも整っているため学習者同士の交流を活発化させることも可能です。

ぜひ新しい企業内研修形態であるソーシャルラーニングを活用し、学びを加速させてください。

ABOUTこの記事をかいた人

ソフトウエアベンダーやコンサルティング会社で20年以上にわたりコンサルティング、企業経営に携わる。現在は、IT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら、データ分析、人材管理、LMSなどに関する講演・執筆活動を行っている。