研修の種類を形式別・主要テーマ別・階層別に解説

研修の種類は、集合型かオンラインか等の「形式別」や、ビジネスマナーやハラスメント等の「テーマ別」で分類されます。

理想とする人材像を実現するための育成、ひいては組織のさらなる発展のためには、研修の種類を正しく把握・網羅した上で、適切な育成手法の選択が欠かせません。しかし、多くの場合は慣れている実施形式や、毎年同じようなテーマで研修を行っているのが実状ではないでしょうか。

そこで本記事では、研修の種類について「形式別」と「テーマ別」でそれぞれ紹介した上で、階層別のおすすめ研修テーマ、研修内で用いられる学習手法、研修以外の人材育成手法を解説します。

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研修の種類|形式別

研修の種類について「形式別」に紹介します。形式別では、どういった開催手法で研修を行うかで分類しています。主要な形式3つをメリットとデメリットとあわせてご確認ください。

集合型研修(座学研修)

研修と聞いて最もイメージしやすいのが「集合型研修」ではないでしょうか。基本的には、特定の会場内で講師1人に対して受講者複数人が集まって実施します。受講者が着座して講義形式で行われるケースが多いことから「座学研修」と称される場合もありますが、どちらも同じ意味です。

集合型研修のメリットとデメリットは以下の通りです。

集合型研修のメリット

  • 業務から離れ、落ち着いた空間で学習に集中できる
  • 一度に複数人に対して均等な教育を行える
  • グループワークやロールプレイングを行いやすい
  • 対面のため集中力を維持しやすい
  • 一堂に会することで一体感が生まれる

集合型研修のデメリット

  • 会場の確保やセッティングなどの手間がかかる
  • 同日同時刻かつ同じ場所で実施するため、関係者のスケジュール調整が困難になりがち

オンライン研修

「オンライン研修」は講師や受講者が同じ場所に集合せず、オンライン上で開催される研修です。 講師と受講者ともにパソコンやスマートフォンを用いて参加します。ZoomやTeamsなどのWeb会議システムを用いて実施されることが多いです。

オンライン研修のメリットとデメリットは以下の通りです。

オンライン研修のメリット

  • 場所を選ばずどこからでも参加できる
  • 一度に複数人に対して均等な教育を行える
  • 録画による共有を行いやすい
  • リアルタイムでの資料共有やファイル共有を行える
  • チャットを用いた質問を行える
  • 会場の手配が不要

オンライン研修のデメリット

  • 講師の目が行き届きにくく集中力を保ちにくい
  • 受講者がパソコンを用いた別作業を行いやすい環境である
  • 対面と比べるとグループワークやロールプレイングが行いにくい
  • 通信環境の整備や通信トラブルへの対応が必要

eラーニング

「eラーニング」とは、電子化(e)した学び(ラーニング)のことです。パソコンやスマートフォンのデジタル機器とインターネットを利用して、オンライン上で共有された学習コンテンツ(研修動画やチェックテストなど)で学びます。

eラーニングのメリットとデメリットは以下の通りです。

eラーニングのメリット

  • 時間と場所に縛られず、いつでもどこでも受講可能
  • 会場の手配やスケジュール調整が不要
  • 確認テストの実施や採点、集計等を容易に行える※
  • 自社で作成した研修動画などオリジナルコンテンツを共有できる※
    ※eラーニングシステムの機能によります

eラーニングのデメリット

  • 質問に対してリアルタイムでの回答はできない
  • グループワークやロールプレイングはできない
  • eラーニングシステムによって機能に差があるため選定が必要

運営側も受講側も負担が少ないメリットがある一方で、eラーニングシステムによって機能に差がある点は注意が必要です。

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研修の種類|主要テーマ別

研修の種類について「テーマ別」に紹介します。テーマ別は、何を題材とした研修かで分類します。ここでは、とくに企業で取り上げられる主要なテーマを挙げています。自社をより強化できるテーマはないか、もしくは不足しているテーマは無いかといった観点でご確認ください。

ビジネスマナー研修

挨拶・言葉づかい・敬語・電話応対・来客応対・名刺交換など、ビジネスを行う上で必須となるマナーについて学びます。新入社員向けに実施されるケースが多いですが、不足が見られれば中堅社員以上を対象に実施すべきでしょう。

ビジネスマインド研修

社会人としての心構え・姿勢など、ビジネスを行うための基礎を構築します。仕事に対する意欲を高く維持するためのセルフモチベーションコントロールや、効率的に業務をこなすためのタイムマネジメントなども含みます。

コミュニケーション研修

報連相・伝え方と聞き方・プレゼンテーションのコツなど、一言にコミュニケーションといっても内容は多岐にわたります。ビジネスを行う上では、説明や発表、交渉などあらゆる場面でコミュニケーションスキルが求められるため、欠かせない研修のひとつです。

ビジネスシンキング研修

ロジカルシンキングやラテラルシンキング、クリティカルシンキングなど、ビジネスの課題をスムーズに解決するための思考法や考え方のフレームワークを学びます。ここではよく用いられる3つの思考法を紹介します。

ロジカルシンキング(論理的思考)

ロジカルシンキングとは、物事の結果と原因を明確にとらえ、両者のつながりを考える思考法です。様々な事象を結果と原因に分解・整理し、本質を見極めるのに役立てます。

ラテラルシンキング(水平思考)

ラテラルシンキングとは、前提を設けず水平方向に発想を広げる思考法です。固定観念や既存の手法にとらわれず自由に考えることで、新しい発想につなげます。

クリティカルシンキング(批判的思考)

クリティカルシンキングとは、物事の本質を見極めるためにあえて疑いをもって考える思考法です。

「批判的思考」と和訳されますが、批判のために誤りや欠点を探すわけではありません。本来の目的は、本質を見極めて改善やリスク回避につなげることです。「本当にこの方法でよいのか」や「もっと効率的・効果的な方法があるのではないか」など、あえて疑いをもつことでより良い結果に導きます。

ハラスメント研修

2022年4月に中小企業を含む全ての事業所を対象に施行されたパワハラ防止法などを背景に、ハラスメントへの関心や警戒が高まっています。そのため、各企業もハラスメントに関する理解や予防対策のために、ハラスメント研修を実施するケースが増えています。

以下は、ビジネスの現場で起こり得るハラスメントのうち主なものを一覧にしたものです。

パワーハラスメント:役職などの優位性を利用して精神的や身体的な苦痛を与える行為
セクシュアルハラスメント:容姿などについての不要な発言や身体に不用意にふれる行為
ジェンダーハラスメント:男らしさ女らしさの強要や人員配置の根拠に性別を用いる行為
モラルハラスメント:無視や仲間外れなど精神的な苦痛を与える行為
パーソナルハラスメント:個人的な趣向やクセなどを取りあげて非難する行為
セカンドハラスメント:ハラスメントを訴える人に対してバッシング等をする行為
リモートハラスメント:Web会議に呼ばない・映った背景を細かくチェックする等の行為
アルコールハラスメント:飲酒の強要や酔っての暴言等、飲酒に関連する迷惑行為
スメルハラスメント:口臭・体臭・強い香りの香水などで他人を不快にさせる行為
マタニティハラスメント:妊娠・出産・子育てを理由とした嫌がらせや不利益な取り扱い
テクノロジーハラスメント:ITスキルが低い人に対して専門用語でまくしたてるような行為

ハラスメント研修については、すべての項目について細かに取り上げるのは困難です。パワハラやセクハラなど主だったハラスメントを取り上げるなかで、自社で起こり得るもしくは同様の事象がみられるハラスメントについて言及するのが良いでしょう。

コンプライアンス研修

コンプライアンスは「法令遵守」と表されます。不祥事の防止や自社の評価を高めるために、社員へコンプライアンスの重要性や違反のリスク、遵守すべき法令、就業規則を理解させるために行う研修です。

特に昨今は、不適切な販売方法やSNSの炎上などで信頼を失うケースも見られます。自社および社員を守るためにも優先して取り上げるべきテーマです。

ITスキル・情報セキュリティ研修

現代のビジネスにおいて、パソコンやインターネットを一切用いない分野はごく稀であり、ITに関する知識やスキルは欠かすことができません。そのため、企業の重要な情報をオンライン上でやり取りする機会等も多く、情報セキュリティに関する理解も同様に求められます。

利便性が高いがゆえに、簡単に大きな影響を及ぼすことが可能なIT技術を、正しく活用しプラスの作用のみを企業にもたらすためには、ITスキル・情報セキュリティは必須といえます。

職種別研修

営業研修や技術研修、事務研修など、特定の職種に特化した研修です。各部門や部署において、より高度な知識が必要となった際、新たな手法・技術・システムを導入した際、担当者の業務の幅を広げる際などに実施されます。

マネジメント研修

管理職候補や現役の管理職を対象として、目標管理や部下のモチベーションマネジメント等を学ぶために実施します。ただし、マネジメントスキルはリーダーシップや目標管理能力、部下育成力など様々なスキルによって成り立つため、テーマを細分化して研修を行うケースもあります。

チームビルディング研修

互いを尊重・信頼し、組織内のチームワークを高めるために行う研修です。

チームワークを高めるために必要な知識やノウハウを座学で学ぶパターンや、ゲームやスポーツなどを通じて、チームワークを直接構築していくパターンがあります。なおマネジメント研修との違いは、チーム構成員も対象となるという点です。

コーチング研修

主に対話を通じて対象者の能力・気力を引き出し、自己成長や自発的な行動を促す「コーチング」を習得するための研修です。

コーチングは、上下関係を意識せず並走しながら目標達成を目指すスタンスが特徴です。上司がコーチングスキルを身につけ、業務や個人面談の際に用いることで、部下の自己成長を促すことができます。

OJTトレーナー・メンター研修

OJTトレーナーやメンターなど、育成担当者向けの研修です。部下や後輩の育成を効果的に行うために実施されます。OJTやメンター制度の育成効果の向上やスムーズな運用が主な目的ですが、育成担当者自身が成長できる機会にする目的もあります。

OJTトレーナー・メンターの違いは以下の通りです。

OJTトレーナー
実務内で育成対象者に知識やスキルを教育する役割。自部署の先輩社員が担うケースが多い。 

メンター
実務内に限らず育成対象者の成長促進と離職防止を担う役割。他部署の先輩社員が担うケースが多い。

人事評価研修

人事評価研修とは、評価者(評価を行う側)が人事評価制度を正確に理解し、公正・公平な評価と人材育成を行えるようにするための研修です。「評価者研修」や「考課者研修」と表現されることもあります。

人事評価研修についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
人事評価研修とは?目的と実施手段、教育すべき内容を解説

経営戦略研修

組織が経営目的・目標を達成するために、経営資源(ヒト・モノ・カネ)をいかに分配すべきかなどについて学びます。組織内に関することだけでなく、市場や競合企業などの外部環境や将来性までを加味して、大局的な視点で方針や計画を考える能力を身につけるための研修です。主に管理職以上が対象となります。

研修の種類|階層別のおすすめテーマ

テーマ別でみた研修の種類は多種多様であり、どの研修を行うべきかを迷うケースも少なくありません。

そこで、ここでは階層(新入社員・中堅社員・管理職)別におすすめのテーマを紹介します。学習に適したタイミングなどが無く全階層に推奨すべきテーマは、最後に「全社員向けのテーマ」として紹介しています。各階層ごとに強化や補強が必要なテーマはないかという観点でご確認ください。

また階層ごとに紹介していますが、上の階層はそれまでの階層にあるテーマを習得できている前提です。そのため、例えば管理職がビジネスマナーを受講するケースもあってしかるべきでしょう。

新入社員向けのテーマ

新入社員(入社1から3年目を想定)では、ビジネスマナーやビジネススキルの基礎を固めることが大切です。この時期に基礎を固めておけば、実践経験を重ねるごとに知識やノウハウの定着や強化、自ら振り返りを行えるようになります。

また初めての業務・慣れない業務に翻弄されがちな時期でもあるため、セルフマネジメントに関する知識の習得もおすすめします。

具体的には以下の通りです。

  • ビジネスマナー(挨拶、言葉づかい、敬語、電話応対、来客応対、名刺交換など)
  • ビジネスマインド(社会人としての心構え、タイムマネジメント、セルフモチベーションなど)
  • コミュニケーション(報連相、伝え方と聞き方、プレゼンや発表のコツなど)
  • ビジネス文章の書き方(Eメール、企画書、稟議書など)
  • ITスキル(パソコン操作、社内システム操作)

中堅社員向けのテーマ

中堅社員(入社4年目以降を想定)は、業務にも慣れて独り立ちし、部下や後輩もできる頃です。中堅社員に対しては、組織の中枢を担うことの自覚や育成担当者としてのスキル向上、管理職候補としてのマネジメントスキル向上などが必要となります。

具体的には以下の通りです。

  • 担当業務の専門性向上(営業研修、技術研修など)
  • メンター研修
  • OJT研修(OJTトレーナーのための研修)
  • マネジメント(管理職候補として)
  • コーチング
  • プレゼンテーションスキル強化

管理職向けのテーマ

管理職は、企業理念や経営層の経営方針やビジョンを正しく理解して、目標達成に向けマネジメントを行う役割です。そのため経営やマネジメントスキルに関するテーマが中心となります。

具体的には以下の通りです。

  • 経営戦略
  • マネジメント(現役の管理職として)
  • 目標管理
  • 人事評価
  • 部下育成

全社員向けのテーマ

階層や入社時期など関係なく、全社員が学ぶべきテーマもあります。ハラスメント関連やコンプライアンスなど、法令やモラルに関するものが中心です。

具体的には以下の通りです。

  • 各種ハラスメント
  • コンプライアンス
  • 情報セキュリティ
  • チームビルディング

例外的に、チームビルディングは全階層・全社員が参加するゲームやスポーツのようなエンターテイメント要素が強いものがおすすめです。社内のチームワークの向上や、コミュニケーションの円滑化に寄与します。

研修内で用いられる学習手法の種類

研修内で用いられる学習手法にも様々な種類があります。ここでは、各研修をより効果的なものにするための学習手法を4つ紹介します。

ロールプレイング

ロールプレイングは、現場や実際に近い場面を疑似的につくり、その中で自らの役割を演じることで、知識やスキルを習得する学習手法です。ロープレと略して呼ばれています。

例えば、対面での営業スキル向上を目的としたロールプレイングを行う場合、実際の商談場面を想定して、営業担当役がお客様役に対して本番のように商談を行います。ロールプレイングの効果を高めるため、お客様役に「一旦は断る」「反応が薄い」などの設定を付与するのも良いでしょう。営業担当役は本番を想定して真剣に取り組む、お客様役は役になり切りリアルな状況を再現するという点がポイントです。

もちろんこの他にも、接客や商品説明、カウンセリング、web商談など様々な場面を想定して活用できる学習手法です。

グループワーク

グループワークは研修内で課せられるテーマに対して、受講者複数名のグループに分かれて協議や課題解決、発表などを行う学習手法です。グループワークは以下の通り3つの型に分かれます。

自由討論型

自由討論型は、与えられたテーマに対して、グループ内で自由に討論(ディスカッション)を行い結論を出します。自由な発言を前提とするため、個々の考え方の傾向や参画意識、積極性などが見て取れます。結論の質よりも結論を導くまでの過程を観察したい場合や、まずは研修の場を活性化させたい場合などに有効です。

課題解決型

課題解決型は、与えられたテーマ(課題)に対して、グループ内で協議して解決策を導き出します。テーマ(課題)は、業務上で起こりがちな問題の解決や新しい施策の立案など様々なものを設定できます。課題解決を目指す過程で、コミュニケーションスキルやロジカルシンキング、リーダーシップなどを磨くことが可能です。

グループ対抗ディベート型

グループ対抗ディベート型では、1つのテーマに対して2グループに分かれてディベートを行います。正否が曖昧なテーマや必ず意見が分かれるテーマを設定するのがポイントです。

相手グループの主張をしっかりと受け止めつつ、自グループ内で協議して論理的に勝る意見をまとめなければならないため、他2つの型よりもさらに高度なスキルを求められます。

また時間も要するため、研修に取り入れる場合はディベートをメインにプログラムを構築する必要があるでしょう。

個人ワーク

個人ワークは、研修のなかで与えられたテーマに対して1人で取り組む学習手法です。例えば、個人目標の設定や自己分析、自己体験の振り返りなどを行う場面で用いられます。またグループワークの時間を十分に確保できない場合や、多くの意見を集めたい場合などにも有効です。

チェックテスト

チェックテストは、研修で学んだ内容について、項目の区切りやもしくは研修終了後にどの程度習得できたかを確認するために行う学習手法です。受講者の評価のためではなく、理解できている点といない点を、本人または講師・運営側が把握する目的で行うケースがほとんどです。不足点などを明らかにすることで「どこを補足すべきか」が明確となるのです。

課題・宿題

課題や宿題も研修における有効な学習手法です。研修の最後に次回までや今後の課題・宿題を課すことで、当日に学んだ内容を復習・実践する機会を設けることができます。研修効果を高めるためには、研修後にいかに学んだ内容を想起・実践させるかが重要です。そのための手段として課題・宿題を積極的に取り入れましょう。

研修の種類にとらわれない「人材育成の手法」

研修には様々な種類があります。ただ「人材育成」を目的する場合は、そもそもの手法は研修に限りません。ここでは、研修という形式にとらわれず、人材育成を行うために有効な手法を紹介します。

OJT制度

そもそも「OJT」とは「On-the-Job Training」の略で、職場での実務経験を通じて知識やスキルを習得する育成方法です。主に新人を対象として、同じ部署の上司や先輩がトレーナーとなり育成を行います。「OJT制度」とは、OJTが現場任せや自然発生的に行われるのではなく、「意図的・計画的・継続的」に行うための取り決めのことです。

実状として、OJTを制度化せず日常業務や引継ぎなどで自然発生する教育をOJTとしている企業も少なくありません。ただ自然発生的なOJTでは、せっかくの実務経験や現場での指導が知識として定着しにくい、教える社員によって教育内容が異なるなど、さまざまな問題が発生しがちです。

こうした問題を発生させないためには、「OJT制度」を構築して意図的・計画的・継続的にOJTを行う必要があります。OJT制度が整うことで、本来の目的であるOJT対象者の「早期戦力化・業務へのモチベーションアップ・定着率の向上」も実現しやすくなるでしょう。

OJT制度についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
OJT制度とは?構築時の注意点と効果を高める方法を解説

メンター制度

メンター制度とは、知識と経験のある先輩社員がメンター(育成担当者)となり、後輩社員(育成対象者)に対して指導・業務支援・メンタル面のサポートなどを行う制度です。

メンターには後輩社員と社歴や年齢が近い先輩社員が選抜されることが多くいため、後輩社員は「相談しやすい」、先輩社員も「後輩社員の悩みなどを想像・共感しやすい」といったメリットがあります。ただし、メンターを担当する先輩社員の負担が増すこと、相性によっては悪い結果を招きかねないことはデメリットです。

メンター制度をスムーズに実施するためには、ペアとなった両者を必要に応じてフォローする上司の存在が欠かせません。少なくともメンターに任せきりとならないように注意が必要です。

自己啓発支援

自己啓発とは、自発的に学習機会を設けることです。知識やスキルを高めるための読書や資格の取得などが該当します。人材育成のために、これらの自己啓発を以下のような施策で支援します。

書籍購入支援:社員が希望する書籍を会社が購入して配布する
資格取得支援:自社の業務に役立つ資格の取得を支援する

自己啓発の支援は、社員の知識・スキル・意欲・帰属意識の向上を期待できます。企業としてのイメージアップにつながり、採用活動時に有利に働く点もメリットです。

反対に相応のコストがかかる点や、支援制度の導入や運用面で担当部署の業務負担が増す点はデメリットといえます。予算や担当部署の状況、本来の目的である人材育成に確実につながるかを勘案して導入を検討しましょう。

ジョブローテーション制度

ジョブローテーション制度とは、部署異動・職種の変更を定期的に行うことで、幅広い業務に対応できる人材を育成するための制度です。

さまざまな部署や職種を経験することで、適材適所の実現や部門を越えた社内ネットワークの構築、応用力の習得を期待できます。

ただし、移動直後は部署と社員の双方にパフォーマンス低下が生じやすい点、専門性を身につけづらい点はデメリットといえるでしょう。

人事評価制度

人事評価制度とは、各社員の「業績・能力・勤務態度や意欲」などを客観的指標により評価して、昇給や昇格に反映するための制度です。

人事評価制度は、社員を評価するためだけの制度ではありません。人材育成の手法としても重要な役割を担います。具体的には、人事評価によって被評価者は「何が足りないのか」および「何を身につけるべきか」を明らかにでき、次回の目標設定に活用できるのです。

人事評価の詳細についてはこちらの記事もご覧ください。
人事評価の項目とサンプル|目的や基準、実施手順を解説

目標管理制度

目標管理制度とは、各社員が個人目標を設定して、進捗や達成度合いを評価するための制度です。目標管理制度において、重要なポイントは2つあります。

1つ目は個人目標が、組織目標へとつながっていることです。人材育成の目的でもある「社員の成長を通じた企業の発展」を実現するためです。

2つ目は社員自らが目標を設定することです。有無を言わさず組織から課せられた目標はノルマでしかなく、自主性やモチベーションの維持は望めず、育成効果も高まりません。目標設定の過程では、社員に組織の目標を理解させることと、本人が納得した目標を設定することを重視しましょう。

目標設定の具体的な手順についてはこちらの記事も参考にしてください。
人材育成の目標とは?基本的な設定方法や管理のポイントを紹介

まとめ

研修の種類について本記事では、「形式別」と「テーマ別」で紹介した上で、階層別のおすすめ研修テーマ、研修内で用いられる学習手法、研修以外の人財材育成手法を解説しました。

まず「形式別」においては、「集合型研修(座学研修)」「オンライン研修」「eラーニング研修」の3種類に分かれます。グループワークなど対面のメリットを重視したい場合は集合型研修、参加ハードルを下げつつリアルタイムでデータ共有を行いたい場合はオンライン研修、リアルタイムにこだわらず運営側と受講側の負担は最小限で研修効果を得たい場合はeラーニングなど、目的や自社の状況によって使い分けましょう。

次に「テーマ別」においては、何を題材とした研修かで分類するため種類は無数です。そのため本記事では、とくに企業で取り上げられる主要なものを14テーマ挙げました。自社をより強化できるテーマ、もしくは不足しているテーマのヒントとしてご活用ください。

さらに階層(新入社員・中堅社員・管理職)別におすすめのテーマを紹介しました。あわせて全階層に推奨すべきテーマも紹介しています。各階層ごとに必要な研修テーマを確認したい際に役立つでしょう。

また研修内で用いられる学習手法にも種類があります。今回は主な手法である「ロールプレイング」「グループワーク」「個人ワーク」「チェックテスト」「課題・宿題」の5つを紹介しました。各研修形式および研修テーマとの相性があるため、どうすれば最も高い研修効果を期待できるかという観点で採用しましょう。

最後に、研修の種類にとらわれず「人材育成」を行うために有効な手法を紹介しています。社員を育てる手段は研修には限りません。OJT制度やメンター制度、ジョブローテーション制度、目標管理制度などを含めて、自社の目的達成や課題解消に適した手段を選択することが最も大切です。研修の種類を正確に把握および網羅した上で、ありたい姿やゴールからの逆算によって最適な手段を選択しましょう。

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社員が成長し、成果をあげるためには、時代の変化や企業課題にあわせた適切な育成手法が欠かせません。

そこで、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新の人材育成モデルやその実現ノウハウをまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』を公開しています。

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