オンボーディングとは、企業が新規に採用した社員を対象として行う各種のプログラムのことで、社員が、できるだけはやく、社風になじみ、仕事に慣れ、良好な人間関係を形成することを目的として実施されますが、最近、重要な経営課題である離職防止への効果が注目されています。
この記事では、オンボーディングの意味、代表的な施策、及び有効な研修制度について全3回にわたって解説します。
連載第2回の今回は、「オンボーディングの代表的な施策である定期的な面談、経営層による講義、評価制度」について解説します。
オンボーディングで離職を防ぐ(前3回)
第1回「オンボーディングとは何か?」
第2回「オンボーディングの代表的な施策」
第3回「オンボーディングに有効な研修制度」
上司や人事担当者との定期的な面談
第1回「オンボーディングとは何か?」で掲載したデータによると、就職後3年以内に離職する理由の第1位は「人間関係(上司・経営者)への不満」となっており、新入社員の(特に上司との)人間関係をいかに良好に保つか、あるいは、人間関係に対してする不満を早期に発見するかがオンボーディングにおける重要な課題となります。
これを解決するための代表的な施策が、上司や人事担当者との定期的な1対1面談です。
一般的な企業では、年に1、2回評価制度の一環としてこのような面談が行われますが、オンボーディングの施策としては頻度が少なすぎるため、毎月、隔月といったより頻度の高い実施が必要です。
しかし、このような1対1面談を頻繁に実施することは現実的には難しく、特に上司、人事担当者の側にとっては大きな負担となります。
そこで、最近注目されているのが、パルスサーベイです。
パルスサーベイとは、従来の従業員満足度調査より、高い頻度でアンケートを実施する従業員エンゲージメント測定方法です。
パルスサーベイの実施方法の詳細については、別の記事『従業員エンゲージメントを向上させる人材育成制度とは_第1回「従業員エンゲージメントとは何か?」』に詳細な解説がありますので、ぜひ、こちらの記事もお読みください。
パルスサーベイの実施に要する負荷は、1対1面談と比較すれば、はるかに低くなりますが、その一方で、アンケート項目の表示・入力から入力結果の保存・集計に至る一連のプロセスのシステム化が必要となります。
年度や半期に一度しか実施しない従来の従業員アンケートであれば、数か月かけて集計する、外部業者にデータを預けて集計してもらうなどの方法がとれましたが、週や月単位で実施される「パルスサーベイ」では、そうはいきません。
また、従来の従業員アンケートでは、入力及び集計結果を1回のアンケートごとにExcelファイルとして保存するやり方が一般的ですが、このやり方では、時系列変化を読み取ることができません。
このような実施頻度が高く、結果の時系列分析を必要とする従業員アンケートのシステム化には、LMSが適しています。LMSには、もともと研修受講後のアンケートや確認テストを実施する機能を持つものが少なくありません。
KIYOラーニング社がクラウドサービスとして提供するAirCourseも、その一つです。
AirCourseでは、PCだけではなく、スマートフォンからもアンケートや確認テストの入力を行うことができます。
入力されたデータは、クラウド上の研修管理データベースに格納されるとともに自動的に集計が行われますので、アンケート実施者の負担を大幅に軽減します。
また、実施時期が異なるアンケートであっても、全ての回答データが一つのデータベースに格納されますので、「パルスサーベイ」のような頻繁に行われるアンケートの回答結果を時系列に分析することも簡単です。
経営層による経営理念や会社の沿革をテーマとした講義
離職理由第1位の「人間関係(上司・経営者)への不満」には、経営者も対象として含まれますが、ある規模以上の会社で、全ての新入社員と経営者がリアルな人間関係を築くことは現実的ではありません。
そこで、よく用いられる施策が、経営層による経営理念や会社の沿革をテーマとした講義です。
新入社員が正しく、深く社風や企業文化を理解することで、会社への帰属意識を高め、間接的に経営層への親近感を醸成することができます。
しかし、テレワークが増大している今の状況で、従来の集合研修形式で講義を実施することは難しく、Web会議システムを使用するにしても、定期採用の新卒者はともかく、断続的に入社してくる不定期採用の中途採用者については、その都度、経営層が講義を行うことは難しいといえます。
現実的な解決策として行われているのが、講義を動画コンテンツとして作成し、LMSにより配信することです。これにより、新入社員は、自分の都合の良い時間に、都合の良いペースで受講することが可能になります。
ただし、テレワーク環境におけるLMSの導入にあたっては、クラウドサービス化とマルチデバイス対応が必須となります。
クラウドサービス化とマルチデバイス対応により、LMSはeラーニングコンテンツをオフィスでも自宅でも、PCでもスマートフォンでも受講できる環境を提供します。
例えば、KIYOラーニング社が提供するクラウドサービスAirCourseでは、研修受講者がスマートフォンで教材を再生するだけではなく、受講後すぐに同じスマートフォンで確認テストを受講することができます。
経営目標と個人目標を紐づけた評価制度
新入社員の会社への帰属意識を高めるもう一つの方法として、経営目標と個人目標を紐づけた評価制度があります。
この評価制度はOKRと呼ばれ、従来のMBOが昇進や昇給を決定する人事考課を目的に実施されるのに対して、企業と従業員が目標を共有することで従業員エンゲージメントを高めることを目的に実施されます。
OKRの開始にあたって必要となる作業が、達成目標(Objectives)と主要な成果(Key Results)データの設定ですが、OKRの特徴として全社の目標が設定、共有され、それに関連付けられるかたちで、部門や個人の目標が設定、共有されるということがありますので、ObjectiveとKey Resultsは、最上位の階層から下層に向かって、「全社→部門→個人」のような順番で設定されます。
この階層構造全体を新入社員も共有することで、自身の個人目標がどのように経営目標につながっているのかを理解し、会社への帰属意識を高めることができます。
OKRの詳細については、別の記事『従業員エンゲージメントを向上させる人材育成制度とは_第2回「従業員エンゲージメントを向上させる評価制度OKRとは」』に詳細な解説がありますので、ぜひ、こちらの記事もお読みください。
まとめ
新入社員の(特に上司との)人間関係をいかに良好に保つか、あるいは、人間関係に対してする不満を早期に発見するかがオンボーディングにおける重要な課題です。
これを解決するための代表的な施策が、上司や人事担当者との定期的な1対1面談ですが、オンボーディングの施策として毎月、隔月といった頻度での実施は、現実的には難しく、特に上司、人事担当者の側にとっては大きな負担となります。
そこで、最近注目されているのが、高い頻度でアンケートを実施する従業員エンゲージメントを測定するパルスサーベイです。
パルスサーベイのような実施頻度が高く、結果の時系列分析を必要とする従業員アンケートのシステム化には、研修受講後のアンケートや確認テストを実施する機能を持つLMSが適しています。
例えば、AirCourseでは、PCだけではなく、スマートフォンからもアンケートや確認テストの入力を行うことができ、入力されたデータは自動的に集計が行われるため、アンケート実施者の負担が大幅に軽減され、回答結果を時系列に分析することも簡単になります。
離職理由第1位の「人間関係(上司・経営者)への不満」には、経営者も対象として含まれますが、ある規模以上の会社で、全ての新入社員と経営者がリアルな人間関係を築くことは現実的ではありません。
会社への帰属意識を高め、間接的に経営層への親近感を醸成するための施策として、経営層による経営理念や会社の沿革をテーマとした講義がよく用いられますが、テレワークが増大している今の状況で、従来の集合研修形式で講義を実施することは難しく、さらに、不定期採用の中途採用者については、その都度、経営層が講義を行うことは難しいといえます。
現実的な解決策として行われているのが、講義を動画コンテンツとして作成し、LMSにより配信することですが、テレワーク環境におけるLMSの導入にあたっては、クラウドサービス化とマルチデバイス対応が必須となります。
新入社員の会社への帰属意識を高めるもう一つの方法として、経営目標と個人目標を紐づけた評価制度であるOKRがあります。
OKRは、企業と従業員が目標を共有することで従業員エンゲージメントを高めることを目的に実施されます。
OKRの特徴として全社の目標が設定、共有され、それに関連付けられるかたちで、部門や個人の目標が設定、共有されるということがありますので、自身の個人目標がどのように経営目標につながっているのかを理解し、会社への帰属意識を高めることができます。
次回は、「オンボーディングに有効な研修制度」について解説します。
オンボーディングで離職を防ぐ(前3回)
第1回「オンボーディングとは何か?」
第2回「オンボーディングの代表的な施策」
第3回「オンボーディングに有効な研修制度」