eラーニングシステム(LMS)の選定/比較検討6つのポイントを徹底解説!

新しい企業内研修インフラの中核としてeラーニングシステム(LMS*)が注目されていますが、従来のeラーニングシステム (LMS) とは、導入・利用形態の多様化、標準コンテンツの充実、管理機能の強化など多くの点で異なっています。

*LMS(Learning Management System)

直訳すると学習管理システムであり、各種学習コンテンツを配信し、受講者の学習状況やテスト・アンケート結果を管理できるeラーニングの基盤システムです。

管理者向けの学習管理機能だけでなく、受講者もシステム上でコンテンツを受講できる機能もついており、学習コンテンツ配信~受講~進捗管理まで一気通貫して行えます。

「eラーニングシステム」や「eラーニングプラットフォーム」などは学習管理システムと同義です。

この記事では、 eラーニングシステム(LMS) の導入を検討する企業がシステム選定において着目すべき項目と、比較検討する際のポイントについて徹底解説します。

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以下6つの軸でそれぞれポイントをご紹介します。

  1. 導入・利用形態
  2. 標準コンテンツ
  3. コンテンツの内製化
  4. 学習管理/研修管理
  5. 集計とレポート
  6. ナレッジ共有

選定/比較検討のポイント1 導入・利用形態

eラーニングシステム(LMS)は導入形態・利用形態 によって特徴が大きく異なるため、選定前に整理しておくことが大切です。

クラウドサービスか、オンプレミスか

以前のeラーニングシステム(LMS)は、ベンダーからソフトウエア・パッケージを購入し、顧客が別途準備したインフラにインストールを行うオンプレミス型と呼ばれる導入形態がほとんどでしたが、他のITソリューションと同様に、最近ではクラウドサービスの導入が主流となりつつあります。

クラウドサービスのメリットは、なんといっても迅速な導入が可能になるという点にあり、導入ステップを比較しても、オンプレミス型で必要な、インフラのサイジング、ハードウエアの購入と設置、ソフトウエアのインストールといったステップを省略することができます。

従って、現在では、完全に外部からのアクセスを遮断することが必要な秘匿性の高いコンテンツを管理する必要がある場合を除いては、クラウドサービスの導入を前提にソリューションの選定を行うことが一般的といえます。

加えて、コロナ禍によりテレワークが急速に普及したことも、クラウドサービスへの移行を後押ししています。研修コンテンツの再生は、ネットワークに大きな負荷をかけますが、オンプレミス型のeラーニングシステム(LMS)は一般的に企業内LANを介しての利用を想定しており、インターネットを経由した研修の受講が標準的な形態である場合、ネットワーク性能がボトルネックになるケースがありますので、注意が必要です。

さらに、クラウドサービスには、別のクラウドサービスとの連携が進んでいるというメリットがあります。コロナ禍により、大多数の企業がZoomなどのWeb会議システムを使って集合研修をオンライン化しています。このような企業においては、オンライン研修をeラーニングにより研修と同様にeラーニングシステム(LMS)により一括管理できるようにすることには研修関連業務の工数削減などの大きなメリットがあります。

例えば、KIYOラーニングが提供しているクラウド型eラーニングシステム「AirCourseは、Zoomとの連携機能(オンライン研修機能)を提供しており、AirCourse上でZoomを用いたオンライン研修の設定・実施・管理を完結できるようになっています。

具体的には、このオンライン研修機能を使って、AirCourseのコース作成時に、Zoomミーティングの詳細設定を行ったり、受講者はAirCourseのマイページ上からワンクリックでZoomを起動し、オンライン研修に参加したりすることができます。

マルチデバイスへの対応

モバイルデバイス、特にスマートフォンの性能の発達とともに、教材コンテンツの再生デバイスも多様化してきており、現在では、ほとんどのeラーニングシステム(LMS)製品でマルチデバイス対応が行われています。

AirCourseでは、研修受講者がスマートフォンで教材を再生するだけではなく、受講後すぐに同じスマートフォンで確認テストを受講することができます。しかし、すべてのeラーニングシステム(LMS)がこのような機能を持っているわけではなく、スマートフォンで、コンテンツ動画の再生はできるが、確認テストの回答入力はできないといったような場合もあります。

このように、スマートフォン対応を謳っているeラーニングシステム(LMS)の間でも、細かな機能差が存在しますので、実際の選定にあたっては、注意が必要です。

選定/比較検討のポイント2 標準コンテンツ

まずは標準コンテンツとは何かからご説明していきます。

標準コンテンツとは

従来、eラーニングベンダーにとって、eラーニングコンテンツの販売が重要な収入源でした。

しかし、クラウド型のeラーニングが主流になったことで、サブスクリプション・モデルに基づくeラーニングシステム(LMS)利用料が、ベンダーの主な収入源となりました。これにより、従来別売だったeラーニングコンテンツが、利用契約内で受講し放題となる標準コンテンツとして提供されるようになりました。

初期の標準コンテンツは、新卒研修で使われるような初歩的な内容のコンテンツが中心でしたが、質、量ともに充実する傾向にあり、最近では、中堅・管理職・経営層向けも含め、さまざまテーマのコンテンツが提供されています。

例えば、AirCourseでは、新人から経営層までの各層をターゲットとした400以上の標準コンテンツが提供されています。テーマもビジネスマナーのような基本的なものからコンプライアンス、ITスキルといった専門的なものまで広くカバーされており、営業や人事・労務といった特定の部門、職種を対象としてコンテンツも用意されています。

標準コンテンツの活用例

それでは、標準コンテンツの活用が特に効果を発揮する例を3つほどご紹介していきましょう。

1. 全社員研修

最初は、コンプライアンス教育などの全社員を対象とした研修です。

全社員研修には、全社員を同じ場所・同じ時間に集めることの工数負荷が高い、欠席者/中途入社者への個別対応が必要となる、理解度テストなどは別システムで管理しなければならないといった課題がありますが、標準コンテンツとそれを管理するeラーニングシステム(LMS)の機能を活用することで解決することができます。

標準コンテンツであれば、各自が好きな時間に受講できるので社員の受講負担を軽減できますし、欠席者/中途入社にも適宜対応できます。また、eラーニングシステム(LMS)の機能により、組織別の受講状況などをシステム上で把握でき、受講からテストまでを同じシステム内で実施でき、結果も一元管理できます。

2. 新卒社員/中途入社者向け研修

新卒社員および中途入社社員への入社時研修には、基本的に毎年、毎月同じ内容を研修として繰り返し行う必要がある、インプット量が多く復習したいが、集合型だと復習が難しいといった課題がありますが、標準コンテンツとそれを管理するeラーニングシステム(LMS)の機能を活用することで解決することができます。

ルールや基本説明などインプット形式の研修は、標準コンテンツによって教える側の工数を削減できます。また、受講する側にとっても学習のペースをコントロールすることができるため、集中力を保ちながら学ぶことができ、必要な時に必要な箇所だけを効率的に復習することが可能になります。

3. 階層別研修における知識インプット

階層別研修には、知識インプットまで集合研修やオンライン研修を行おうとすると、
・本来実施したいディスカッションや発表などのアウトプット時間を確保できない
・そもそも知識インプットのみのテーマに関しては毎回同じ内容なので工数がもったいない
という課題が出てきます。

この課題は標準コンテンツとそれを管理するeラーニングシステム(LMS)の機能を活用することで解決することができます。事前インプットを標準コンテンツの受講で済ませておくことで、集合研修やオンライン研修においてアウトプット中心の内容にすることができます。また、知識インプットを目的としたテーマは標準コンテンツを利用することで講師側の工数削減につながります。

標準コンテンツと内製コンテンツの使い分け

いかに標準コンテンツが充実していても、全ての研修を標準コンテンツでカバーすることはできません。可能な限り標準コンテンツを有効活用した上で、必要最小限の範囲で内製コンテンツを作成するといった使い分けが重要です。ここでは、コンプライアンス教育を例にとって、標準コンテンツと内製コンテンツの使い分けについて説明します。

コンプライアンスに関する標準コンテンツは、前述のAirCourseでは、以下のようなものが提供されています。

・情報セキュリティ基本知識【入門編】
・情報セキュリティ基本知識【継続学習編】
・「個人情報保護法」の基礎知識研修
・個人情報保護法の理解①~⑤
・ここが危ない著作権
・セクシュアルハラスメント防止研修①~④
・ハラスメント防止研修(マタハラ・モラハラ)
・一般社員のためのパワーハラスメント防止研修【パワハラ防止法対応】①~②
・管理職のためのパワーハラスメント防止研修【パワハラ防止法対応】①~④
・事例で学ぶ「しない・させない」ためのハラスメント総合研修
・事例で学ぶコンプライアンス違反をなくすために知っておきたいこと
・30分で学ぶ「しない・させない」ためのセクシュアルハラスメント研修
・30分で学ぶ「しない・させない」ためのパワーハラスメント研修

上記からも分かるように、セキュリティ、個人情報保護からハラスメントまで幅広いテーマのコンテンツが提供されていますので、標準コンテンツでコンプライアンス教育の大部分をカバーすることができます。

しかし、それでも内製コンテンツを作成せざるを得ないケースは出てきます。コンプライアンス教育で内製コンテンツが必要となる代表的なケースを3つほどご紹介します。

1つ目は、社内独自規定にかかわる内容です。例えば、ISMSやプライバシーマークを取得している企業では、個人保護に関して独自規定が必ずありますので、これに関わる研修を行うためには、内製コンテンツの作成が必要になります。

2つ目は、ソフトウエアの操作や扉の施錠といった物理的な行動・行為を伴う内容です。これらは、使用しているソフトウエアやオフィス設備の仕様に依存してしまいますので、内製コンテンツの作成は避けて通れません。

3つ目は、忘れられがちですが、取引先の規定に関する内容です。取引先との物品の授受や、情報・データの電子的なやり取りについては、多くの場合、先方の規定に従った対応が求められますので、重要度の高い取引先については、内製コンテンツの作成が必要になる場合があります。また、取引先のオフィスで作業を行うような業務形態の場合は、取引先が提供するコンテンツでの研修受講が求められるケースもあるでしょう。

選定/比較検討のポイント3  コンテンツの内製化

では次にコンテンツの内製化を行う際に気を付けるべきポイントを見ていきましょう。

マイクロラーニングという考え方

コンテンツの内製化を考える際に陥りがちなのが、
高いクオリティの動画制作にはコストがかかる
長時間の動画を撮影し編集するには設備・ツールと高いスキルが必要
といった問題です。

確かに、前回ご紹介したような標準コンテンツと同レベルのものを制作しようとすると、内製化へのハードルは高いと思われます。しかし、標準コンテンツではカバーできない最小限の範囲でコンテンツを内製化するという前提であれば、コストや作業工数も最小限に抑えられるコンテンツ制作の方法を工夫するべきでしょう。

このような制作方法を実現するためのヒントになるのが「マイクロラーニング」という考え方です。

マイクロラーニングの定義として、よく使われるのが、「短時間の動画で構成される教材コンテンツを(マイクロコンテンツと呼びます)多数揃えた上で、スマートフォンで受講する形式の研修実施スタイルをあらわし、従来型研修の予習、復習用とすることで研修効率を上げる、もしくは、忙しいため従来型研修が受講できない従業員が、 通勤時間帯などの「スキマ時間」に受講できるようにすることで研修の受講率を上げる。」という内容です。

この考え方に沿ったコンテンツの制作であれば、数分程度の短いコンテンツを多数作成し、それを組み合わせて研修コンテンツとして提供することができます。

ただし、この制作方法を実現するためには、eラーニングシステム(LMS)に多数のマイクロコンテンツを管理し、それらの組合せを簡単に設定し、研修コンテンツとして提供するための機能を持ったeラーニングシステム(LMS)を導入する必要があります。

AirCourseでは、動画だけではなく、スライド資料やフィードバック用コンテンツを素材として登録しておき、それらを自由に組み合わせて、オリジナルコースとして提供できるようになっています。

内製コンテンツ制作の流れ

それでは、内製コンテンツ制作の流れを見て行きましょう。

最初は、素材コンテンツの作成です。スライドであればパワーポイントなどで作成できますが、動画の場合は撮影が必要です。しかし、最新のeラーニングシステム(LMS)では、スマートフォンで録画した動画をSNSにアップロードするのと同じ感覚でeラーニングシステム(LMS)にコンテンツとして登録できるようになっています。

例えば、前述のAirCourseの場合、社内研修や会議での説明、OJTの様子などを、スマートフォンで撮影して、AirCourseのクラウド上にアップロードするだけで、手軽に動画を配信できるようになっています。

単一の動画を研修コンテンツとして提供するのであれば、これで制作は完了です。動画以外のコンテンツも同様に登録・配信することができます。

AirCourseの場合、動画以外の素材コンテンツとして、パワーポイント・スライド、PDFスライド、Webテキストを登録することができ、これにテストやアンケートといったフィードバック用コンテンツを組み合わせてオリジナルコースを設定し、配信することができます。

テストとアンケートの重要性

内製コンテンツの制作において、テストやアンケートといったフィードバック用のコンテンツは軽視されがちですが、これらの作成機能が充実していないと思わぬ手間がかかってしまいますので、注意が必要です。

テストは、学習効果を高め、理解度を測定するものですが、AirCourseの場合、単純なテスト作成機能だけではなく、合格ラインの設定出題形式の選択(〇×式、選択式、空欄記述式)、ランダム出題制限時間の設定、解答後すぐに自動採点といった機能も用意されています。

アンケートは、受講者の意見や満足度などを収集するものですが、AirCourseの場合、単純なアンケート作成機能だけではなく、アンケート集計結果と個別回答を参照・ダウンロードする、各種アンケートのテンプレートを利用する、コース内の任意の場所にアンケートを設置するといった機能も用意されています。

AirCourseの場合は、テスト、アンケートに加えて、提出課題機能が提供されています。この機能は、受講者に課題を与えて理解度を確認、評価者が採点・評価し個別指導するためのもので、課題はコース内の任意の場所に複数設置することができます。さらに、「提出課題」の合格ライン・終了基準を設定したり、評価者が個別に評価・採点し、フィードバックし、状況に応じて再提出させることも可能です。

選定/比較検討のポイント4 学習管理/研修管理

冒頭ご説明したようにLMSは学習管理システムですので、管理に関する機能も確認しておく必要があります。

ユーザ管理と組織、グループの設定

ユーザ毎にIDとパスワードを割り当てるユーザ管理は、eラーニングシステム(LMS)の基本的な機能といえ、あらゆる製品・サービスが持っています。

しかし、eラーニングシステム(LMS)のユーザは企業の全ての社員が対象になることが多いため、中小規模の企業でない限り、一般的なユーザ数は数百~数千、場合によっては数万以上となります。このような多数のユーザを管理するには、単純な機能だけでは管理負荷が大きくなりますので注意が必要です。

多数のユーザをスムーズに管理するために必要な機能の中で、もっとも重要なものが組織、グループの設定です。

ユーザをグループ化することで、グループに一括してコース割当を行ったり、マネージャがグループの受講状況を確認したりすることができます。例えば「営業グループ」というグループを作って営業員を全て登録しておけば、「営業グループ」に一括でコース割当を行ったり、全営業員のレポートをマネージャが参照したりすることができます。

しかし、大規模な企業では、営業部の下層に製品や地域ごとの営業課があったり、さらにその下の組織階層が存在したりする場合があります。このような企業では、「コースによっては営業部全員に受講させたいが、コースによっては特定の営業課のみ受講させたい」といったような場合、「グループ機能」だけでは階層構造に対応できません。このような問題を回避するために、最新のeラーニングシステム(LMS)の中には、組織階層を設定できるものが登場しています。

そのためAirCourseでは、組織設定に階層構造を持たせる「組織階層機能」を提供しています。

学習の進捗管理

eラーニングシステム(LMS)の管理機能で、もう一つ重要なものが進捗管理です。

進捗管理とは、受講者の学習の進捗状況を確認する機能で、コースの完了状況、テストの点数、学習時間などを、個人ごとだけでなく、組織やグループごと、コースごとに確認することができます。

AirCourseには、「ユーザ進捗レポート」機能があり、ユーザごとのコース完了率や、完了/学習中/未着手の数などの進捗状況を確認することができるようになっています。

集合・オンライン研修も含めた管理

従来のeラーニングシステムでは、管理対象はeラーニングコンテンツの受講に限定されていましたが、最新のeラーニングシステム(LMS)では、集合研修も管理対象とすることができます。AirCourseには、研修の出欠管理やリマインド、研修の配布物の共有、アンケート集計と分析、研修受講履歴の記録と照会などの機能があり、集合研修を管理するための作業負荷を大幅に軽減できるようになっています。

さらに、最近ではWeb会議システムを使ったオンライン研修が急激に増加していますが、最新のeラーニングシステム(LMS)の中にはWeb会議システムと連携可能なものも登場しています。

AirCourseの場合は、「ポイント1 導入・利用形態」でも触れたように、Zoomとの連携機能(オンライン研修機能)を提供しており、AirCourse上でZoomを用いたオンライン研修の設定・実施・管理を完結できるようになっています。

テレワークへの移行や、コロナ禍対策のために、ほとんどの企業で集合研修とオンライン研修が併用されるようになっているため、Web会議システムとの連携機能は、今後はeラーニングシステム(LMS)の必須機能といえます。

選定/比較検討のポイント5 集計とレポート

学習管理とも大きく関連してくるところですが、データ集計とレポートについても確認しておきましょう。

進捗状況の可視化

前章でも触れましたが、コースの受講やテストの受験の進捗状況を可視化することは、eラーニングシステム(LMS)にとって大変重要な機能ですす。

まず、ユーザ毎の進捗状況の確認ですが、これにもいろいろなレベルがあります。割り当てられた複数コースの受講が、それぞれ完了したかどうかのレポートは最低条件ですが、完了率(割り当てられたコースの数と完了したコースの数の比率)や、確認テストの点数などが同時に表示されていると便利です。

また、最新のeラーニングシステム(LMS)の中には、コースを構成する章ごとに完了したかどうかまで見ることのできるものがあります。AirCourseでは、コースを構成する章はレッスンと呼ばれ、「ユーザ進捗(レッスン別)レポート」により、該当コースに含まれるレッスン毎の進捗状況を確認することができます。

また、ユーザ管理にグループ設定機能がある場合は、グループ単位での進捗状況が確認できるかどうかも重要です。前述のAirCourseでは、「グループ進捗レポート」により、設定されたグループ毎の進捗状況が確認できます。

コンプライアンス教育のような全社員に受講を義務付けるコースについては、コース単位での進捗状況が確認できないといけません。AirCourseでは、「コース進捗レポート」により、設定されたコースごとの進捗状況が確認できます。

受講履歴からの学習量の集計と分析

受講履歴の管理とレポートは、eラーニングシステム(LMS)の機能としては標準的なものですが、単に過去にだれがどのコースを受講したかの情報だけでは、単なる確認のためのレポートにしかなりません。

受講履歴をデータとして定量的に分析するためには、いくつのコースを受講したか、どのくらいの時間学習したかのデータを集計、レポートする機能が必要です。前述のAirCourseでは、「ユーザ学習量レポート」などにより、ユーザ毎、グループ毎、コース毎に学習量(受講コース数や学習時間など)を集計し、分析することができます。

レポートのカスタマイズと外部出力

レポートは、通常定型的な形式で表示されるものですが、条件によってデータを絞り込む、ソートする、表示する列の項目を追加・変更・削除するといったカスタマイズ機能があると大変便利です。

また、eラーニングシステム(LMS)に蓄積されたデータをExcelなどのツールで別途分析したい場合は、CSVファイルなどの形式でデータが出力できる機能が必要となります。AirCourseでは、以下のような機能が用意されています。

  • フィルタ(条件指定) – 様々な条件でデータを絞り込むことができる。
    例えば、「特定の組織」「特定のカテゴリのコース」など、複数の条件を組み合わせることが可能。
  • 表の項目の選択・並び替え – 表に表示する項目を自由に選択したり、列を自由に並び替えたりすることができる。
  • 表の行の並び替え – 表の行に表示されているデータを、ある項目の昇順・降順を指定して並び替えることができる。
  • グラフの選択 – レポートの上部に表示されるグラフの種類を選ぶことができる。
  • データのエクスポート – 表に表示されているデータを、CSVファイルやEXCELファイルにエクスポートできる。
  • カスタムレポート(レポートの保存) – フィルタや列の選択等によりカスタマイズしたレポートを、名前をつけて保存できる。これにより、毎回レポートをカスタマイズすることなく、見たいデータを迅速に確認することができる。

選定/比較検討のポイント6 ナレッジ共有

それでは、最後のポイント「ナレッジ共有」についてご紹介します。

ソーシャルラーニングという考え方

ソーシャルラーニングとは、TwitterやLineといったSNSをツールとして活用する学習方法のことで、SNSでのやりとりを通じて行うため、職場の人間関係に限定されず、業務上の接点がない人、全く面識のない人でも、同じSNSに参加する人なら、誰とでも学び合うことが可能な学習形態です。

ソーシャルラーニングは、コミュニティの範囲が同じオフィスにいる先輩や同僚に限定される従来の集合研修やeラーニングよりも、学びの幅や可能性は圧倒的に大きなものになります。

このような特徴を持つソーシャルラーニングに期待される効果としては、以下のようなものがあります。

  • 集合研修やeラーニングで発生した疑問点を、SNSで質問し、解決することで、
    受講した研修の効果を高めることができる
  • コミュニティにさまざまな分野のエキスパートが参加することで、
    最先端の知識や最新情報に触れることができる
  • 業務の上でわからないことについて誰かがSNSで質問し、
    大勢の人から知見やノウハウが寄せられると、
    それらを会社全体で共有できるナレッジとして蓄積することができる
  • 直面している課題をSNSで投げかけ、
    同じ課題意識を持つコミュニティメンバーを集めて議論をしたり、
    新しい企画を投稿して、実現性や問題点について意見や評価をもらったりすることで、
    企業内でのイノベーション創出につながる

ソーシャルラーニングについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事にて解説しています。

ソーシャルラーニングとは何か?|ソーシャルラーニングを実現するためのITインフラとは?

eラーニングシステム(LMS)に求められるナレッジ共有機能

ナレッジ共有には「フロー」型と「ストック」型があり、「フロー」型のナレッジ共有とは、基本的にその場限りの情報共有で、情報を資産として蓄積(ストック)するのではなく、ある一定の短い期間に限定して情報を共有するということです。「ストック」型のナレッジ共有とは、情報を棄てることなく再利用を想定して、長期間にわたって資産として蓄積(ストック)して情報を共有します。

企業内教育を目的とした「ストック」型のナレッジ共有の機能は、最新のeラーニングシステム(LMS)で実現され始めています。

AirCourseでは、「ストック」型のナレッジ共有を行う機能を「ナレッジ共有機能」と呼んでいます。「ナレッジ共有機能」の最初の操作は、教える内容を整理した文書ファイルや動画を「コンテンツ」として、クラウドにアップロードすることです。

アップロードされた「コンテンツ」は、自動的に整理され簡単に検索できるようになります。もちろん、手動でタグ付けしたり、複数のコンテンツ間の関連付けを行ったりすることもできます。

アップロードしたコンテンツに対しては、「いいね」をつけたり、コメントを入力したりすることもでき、グループ内でのナレッジ共有を実現できるようになります。このような機能があれば、毎年繰り返される新入社員向けの教育も、その大部分が「コンテンツ」の再利用することで大幅に効率化することができます。

以上のように、「フロー」型のナレッジ共有を目的としたSlackだけで理想的なソーシャルラーニング環境をつくることはできませんが、最新のeラーニングシステム(LMS)にみられる「ストック」型のナレッジ共有を行う機能を併用あるいは連携させることで、理想の環境にかなり近づけることができます。

まとめ

かなり長文となりましたが、eラーニング選定/比較検討のポイントはご理解いただけましたでしょうか?

多くのeラーニングシステムがある中で、迷ってしまうことも多いかと思います。そんなときの拠り所として本記事でご紹介したポイントをお役立ていただけますと幸いです。

また今回触れられていない料金体系やコスト関連のお話しは別記事にて詳しく解説しています。
ご興味ある方はぜひこちらもご覧ください。

eラーニングシステム(LMS)の料金体系とは|導入・運用のコスト見積における注意点を解説

冒頭ご紹介いたしました、実際の検討に使える選定比較シートもございます。
イチからすべて作るのはとても大変ですので、一度ダウンロードしてみて使えそうな部分があれば、ぜひご活用ください。Excel形式でダウンロードできますので編集も可能です。

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自社に最適なeラーニングシステムを選定し、人材育成がさらに加速化することを祈っています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

ABOUTこの記事をかいた人

ソフトウエアベンダーやコンサルティング会社で20年以上にわたりコンサルティング、企業経営に携わる。現在は、IT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら、データ分析、人材管理、LMSなどに関する講演・執筆活動を行っている。