eラーニングシステムの比較ポイント9選|効果的な活用例を紹介

新人研修や全社員を対象としたコンプライアンス研修などに、eラーニングシステムを活用
する企業が増えています。

インターネット環境さえあれば、時間や場所を選ばずに研修が実施できるため、コストの削
減や担当者の負担を大幅に減らすことができます。また、研修の参加状況や進捗・テストの
結果などをシステム上で管理できるため、個々の従業員の習熟度を高めるアプローチがしや
すくなります。

本記事では、eラーニングの基礎知識から自社に導入するメリット・デメリット、具体的な
活用シーン
を解説します。

なお、eラーニングシステムを初めて導入する企業にとって、自社とマッチしたシステムを
選定するのはかんたんなことではありません。eラーニングシステムを38の項目で比較でき
る「eラーニングシステム選定比較シート」を無料で用意していますので、ぜひご活用くだ
さい。

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eラーニングシステムとは?

eラーニングシステム(LMS:Learning Management System)とは、直訳すると「学習管理シ
ステム」であり、各種学習コンテンツを配信し、受講者の学習状況やテスト・アンケート結
果を管理できるシステムです。

管理者向けの学習管理機能だけでなく、受講者もシステム上でコンテンツを受講できる機能
もついており、学習コンテンツの配信〜受講〜進捗管理まで一気通貫で行えます。別名、
「イーラーニングシステム」「eラーニングプラットフォーム」「LMS」などと表記されるこ
ともあります。

eラーニングシステムの主な機能

eラーニングシステムの主な機能として、以下の4つが挙げられます。

1. 学習機能 ⚫ テキスト教材で学ぶ
⚫ 動画教材を視聴する
⚫ テストを受ける
⚫ レポートを提出する
2. 受講者管理 ⚫ 受講者を登録する
⚫ 受講者グループを作成する
⚫ 学習結果を確認する
⚫ 受講の進捗を確認する
3. 講座管理 ⚫ 教材を登録する
⚫ 教材を作成する
⚫ テスト問題を作成する
4. コミュニティ管理 ⚫ 受講者同士でチャットをする
⚫ 講師に質問をする

企業に必要とされる理由

そもそも、eラーニングシステムはなぜ企業で必要とされているのでしょうか。eラーニング
システムが多くの企業で求められる3つの理由を解説します。

従業員の自律したキャリアを形成できる

eラーニングシステムは従業員の自己学習を促進して、自律したキャリア形成の促進に役立
ちます。利用するeラーニングシステムによっては、個々のスキルと紐づけて学習指針を設
定することも可能です。

従業員が今後のキャリアのためにスキルアップすべきことを明確にできるため、自律的なキ
ャリア形成に役立てられます。

さらに、eラーニングシステムの活用によってスタッフが進捗を管理できるようになり、自
分の学習スケジュールを作成しやすくなるといった利点があります。

ほかにも、従業員が自己学習で必要なスキルや知識を評価し、その後のトレーニングを調整
するといったこともできます。eラーニングシステムは自己成長の促進や従業員のモチベー
ション向上、自律的なキャリアの形成をサポート
してくれるツールだと言えます。

人的資本経営に取り組める

eラーニングシステムを活用すれば、人的資本経営に取り組めます。

人的資本経営とは、企業が従業員を資本として捉えて従業員のスキル・知識・能力を最大限
に活用し、企業の長期的な成功に貢献することを目的とした経営手法を指す言葉です。サス
テナブルな企業価値の向上のために人的資本経営への関心が高まっており、実現する手段と
してeラーニングシステムの導入が広がっています。

eラーニングシステムを有効に活用すれば、企業は従業員のスキルと知識を適切に評価で
き、その後のトレーニングや開発計画の立案も可能です。

こうした人的資本経営に成功すれば従業員の定着率やモチベーションを高められ、生産性や
企業価値の向上につながることが期待できます。

参考:人的資本経営とは?具体的な取り組み方や他社事例を紹介

人材育成の負担を軽減できる

eラーニングシステムを導入すれば、人材育成にかかる企業の負担を軽減できます。従来の
教育研修では、従業員を研修会場に集めたり、講師を呼んだりする必要があり、準備には費
用や手間がかかります。また、従業員は研修期間中に業務を一時中断しなければならず、場
合によっては生産性の低下も避けられませんでした。

しかし、eラーニングシステムを利用すれば、従業員はオフィスや自宅からインターネット
に接続して研修を受けられます。

そのため、従業員が研修会場に移動する必要がなく、時間や費用を節約できます。また、e
ラーニングシステムは従業員が自分のペースで学習できるように設計されているため、業務
時間を割いて研修を受ける必要がなく、生産性の低下も最小限に抑えられます。

人事担当・管理者側の導入メリット

eラーニングシステムの導入は、人事担当・管理者側と受講者側で異なるメリットをもたら
します。ここでは、人事担当・管理者側のメリットについて解説します。

スケジュール調整が不要になる

eラーニングシステムは、インターネット上での受講が可能となるため、スケジュール調整
を必要としません。

部署や部門をまたぐ大規模なオフライン研修を実施する場合、受講者全員のスケジュールを
調整する必要があり、参加人数に応じて、会場と日程の調整を行わなければいけませんでし
た。また、どうしても参加できない従業員がいた際には、追加で研修を実施するなどの対応
に迫られました。

eラーニングシステムでは事前に収録した映像や教材を登録しておくだけで、オンライン上
で研修が実施できるため、スケジュール調整が不要となり担当者の負担を大幅に軽減するこ
とができます。

教材の配布や更新がしやすい

従来の研修では紙媒体の教材を用いることが一般的で、内容を変更する際には、プリントア
ウトをし直さなければなりませんでした。

eラーニングでは、デジタル形式の教材のため、プリントアウトや内容を変更する際の工数
を削減できます。特に、法律やコンプライアンスに関わる分野では、頻繁に法改正が行われ
るため、毎年のように教材の更新が必要となります。

eラーニングを導入することによって、担当者の負担を減らし、教材の作成や研修の企画な
どに時間を費やすことができます。

オフラインの研修に比べてコスト削減につながる

eラーニングシステムを活用することで、会場の手配やスケジュール調整が不要になりま
す。また、受講者リストの作成や管理もシステム内で行えるため、別途エクセル等のファイ
ルを作成する必要がありません。

そのため、会場を抑えるためのコストや、担当者の人的コストを削減することに繋がりま
す。

受講者側のeラーニングの導入メリット

研修を受ける受講者側のメリットについてみていきましょう。

場所や時間を選ばずに受講できる

eラーニングシステムは、インターネット環境があればスマホやタブレット・PCから研修を
受講することができます。リモートワークにも対応できるため、普段の業務が忙しくないタ
イミングで自宅で研修に参加することも可能です。

個人のレベルに合わせた研修を受講できる

従来のオフライン研修では、個人の習熟度にかかわらず同じ内容の研修を一律で受講しま
す。そのため、個人によって研修の理解度が異なり、「内容についていけない」「もうすで
に知っている内容でも研修を受ける必要がある」といった問題が発生していました。

eラーニングでは、個人のレベルに合わせて異なる研修を受講できるため、研修を全く理解
できなかった・知っている内容を繰り返し受講するといったことを防ぐことができます。

理解を深めるまで繰り返し受講できる

eラーニングは、過去に受講したコンテンツを何度も繰り返し見返すことができます。その
ため、研修内容の振り返りや復習をすることができ、習熟度を高めることが可能です。

導入する際の注意点

eラーニングシステムを導入する際には、以下の3つのポイントについて注意する必要があり
ます。

内製のコンテンツ制作に時間がかかる

ビジネスマナーや業界の基礎的な知識といった一般的な内容のコンテンツであれば、市販さ
れている教材を購入することですぐに研修を始められます。しかし、自社で独自の内容の教
材が必要な場合、学習コンテンツを内製する必要があります。

コンテンツの内製には制作の機材や撮影のノウハウなどが必要となり、時間やコストがかか
ることを頭に入れておく必要があります。

実技の研修がしづらい

eラーニングは、コンプライアンスやビジネススキルといった学習には向いているものの、
実技を伴う学習には不向きです。しかし、最近では、ビデオ会議ツールと連携することで、
受講者の様子を確認しながら研修を実施できるeラーニングシステムも増えています。

接客トレーニングやクレーム対応など実技の研修を行いたい場合は、このようなビデオ会議
ツールと連携可能なシステムを選ぶと良いでしょう。

受講者同士のコミュニケーションが不足する

オフラインでの研修とは異なり、eラーニングシステムを活用した研修では受講者同士のコ
ミュニケーションが不足しがちです。受講者同士で情報交換や親睦を深めることによって、
研修の付加価値を高めることができます。

eラーニングで研修を実施する際には、チャット機能で受講者同士のコミュニケーションを
深めることや、オフラインで交流できる機会を別途設けるといった対応が必要です。

効果的な活用例

ここからは、eラーニングの導入にあたって実際にどのようなシーンで活用するのが効果的
なのか、代表的な3つの活用例について解説します。

コンプライアンス教育など全社員研修

eラーニングシステムの導入で活用されるケースが多いのが、コンプライアンス研修など全
社員が受ける必要がある研修です。

全社員に対して同様の内容の研修を実施するため、オフラインで開催すると場所の確保が難
しく、複数回に分けて実施することが多くなるため、担当者や講師の負担が大きくなりま
す。

eラーニングシステムを活用して全社員研修を実施することで、時間やコストを削減できる
とともに、出欠の確認やテスト結果の管理などがしやすくなります。

参考:eラーニングでコンプライアンス教育を行う7つのメリット

新入社員への研修

新入社員への研修は、一般的にどの会社でも同じ内容の研修を毎年実施します。新入社員へ
の研修は、会社の基礎知識や業界のルール・ビジネスマナーなど、インプット形式の学習が
多くなります。

インプット形式の学習は、習熟するまでに何度も視聴することが求められるため、eラーニ
ングが向いている領域です。また、毎回同じことを教えるような場合は動画コンテンツを一
度作ってしまえば、その後の負担が大きく削減できます。

参考:新人研修にeラーニングを活用する6つのメリットとは?注意点もあわせて解説

離れた拠点や店舗での研修

全国展開しているような企業では、離れた拠点や店舗での研修の際にeラーニングを活用す
るのが効果的です。

オフラインでの研修を実施する場合には、講師を拠点・店舗に派遣する必要があり交通費の
負担が大きくなることや、研修を完了するまでに時間を要します。

全ての拠点・店舗で共通のマニュアル動画を制作することで、研修を実施するコストや期間
の短縮に寄与します。

選定/比較検討のポイント

それでは、eラーニングシステムの選定/比較検討のポイントを見ていきましょう。eラーニ
ングシステムは導入形態・利用形態 によって特徴が大きく異なるため、選定前に整理して
おくことが大切です。

1.クラウドサービスか、オンプレミスか

以前のeラーニングシステムは、ベンダーからソフトウエア・パッケージを購入し、顧客が
別途準備したインフラにインストールを行う「オンプレミス型」と呼ばれる導入形態がほと
んどでしたが、他のITソリューションと同様に、最近では「クラウドサービス」の導入が主
流となりつつあります。

クラウドサービスのメリットは、なんといっても迅速な導入が可能になる点にあり、導入ス
テップを比較しても、オンプレミス型で必要な、インフラのサイジング・ハードウエアの購
入と設置・ソフトウエアのインストールといったステップを省略できます。

従って、現在では、完全に外部からのアクセスを遮断することが必要な秘匿性の高いコンテ
ンツを管理する必要がある場合を除いては、クラウドサービスの導入を前提にソリューショ
ンの選定を行うことが一般的です。

加えて、コロナ禍によりテレワークが急速に普及したことも、クラウドサービスへの移行を
後押ししています。研修コンテンツの再生は、ネットワークに大きな負荷をかけますが、オ
ンプレミス型のeラーニングシステムは一般的に企業内LANを介しての利用を想定しており、
インターネットを経由した研修の受講が標準的な形態である場合、ネットワーク性能がボト
ルネックになるケースがありますので、注意が必要です。

さらに、クラウドサービスには、別のクラウドサービスとの連携が進んでいるというメリッ
トがあります。

コロナ禍により、大多数の企業がZoomなどのWeb会議システムを使って集合研修をオンライ
ン化しています。このような企業においては、オンライン研修をeラーニングにより研修と
同様にeラーニングシステムにより一括管理できるようにすることには研修関連業務の工数
削減などの大きなメリットがあります。

例えば、KIYOラーニングが提供しているクラウド型eラーニングシステム「AirCourse」は、
Zoomとの連携機能(オンライン研修機能)を提供しており、AirCourse上でZoomを用いたオン
ライン研修の設定・実施・管理を完結できるようになっています。

具体的には、このオンライン研修機能を使って、AirCourseのコース作成時に、Zoomミーテ
ィングの詳細設定を行ったり、受講者はAirCourseのマイページ上からワンクリックでZoom
を起動し、オンライン研修に参加できます。

モバイルデバイス、特にスマートフォンの性能の発達とともに、教材コンテンツの再生デバ
イスも多様化してきており、現在では、ほとんどのeラーニングシステムでマルチデバイス
対応が行われています。

AirCourseでは、研修受講者がスマートフォンで教材を再生するだけではなく、受講後すぐ
に同じスマートフォンで確認テストを受講することができます。しかし、すべてのeラーニ
ングシステムがこのような機能を持っているわけではなく、スマートフォンで、コンテンツ
動画の再生はできるが、確認テストの回答入力はできないといったような場合もあります。

このように、スマートフォン対応を謳っているeラーニングシステムの間でも、細かい機能
差が存在しますので、実際の選定にあたっては、注意が必要です。

2.コンテンツ・プログラムの内容

従来、eラーニングベンダーにとって、eラーニングコンテンツの販売が重要な収入源でし
た。

しかし、クラウド型のeラーニングが主流になったことで、サブスクリプション・モデルに基づくeラーニングシステム利用料が、ベンダーの主な収入源となりました。これにより、従来別売りだったeラーニングコンテンツが、利用契約内で受講し放題となる標準コンテンツとして提供されるようになりました。

初期の標準コンテンツは、新卒研修で使われるような初歩的な内容のコンテンツが中心でしたが、質、量ともに充実する傾向にあり、最近では、中堅・管理職・経営層向けも含め、さまざまテーマのコンテンツが提供されています。

例えば、AirCourseでは、新人から経営層までの各層をターゲットとした400以上の標準コンテンツが提供されています。テーマもビジネスマナーのような基本的なものからコンプライアンス、ITスキルといった専門的なものまで広くカバーされており、営業や人事・労務といった特定の部門、職種を対象としてコンテンツも用意されています。

参考:AirCourse – 社員教育をカンタンに。クラウド型eラーニング

標準コンテンツの活用が特に効果を発揮する例をご紹介します。

・全社員研修

全社員研修には、全社員を同じ場所・同じ時間に集めることの工数負荷が高い、欠席者/中
途入社者への個別対応が必要となる、理解度テストなどは別システムで管理しなければなら
ないといった課題がありますが、標準コンテンツとそれを管理するeラーニングシステムの
機能を活用することで解決することができます。

標準コンテンツであれば、各自が好きな時間に受講できるので社員の受講負担を軽減できま
すし、欠席者/中途入社にも適宜対応できます。また、eラーニングシステムの機能によ
り、組織別の受講状況などをシステム上で把握でき、受講からテストまでを同じシステム内
で実施でき、結果も一元管理できます。

・新卒社員/中途入社者向け研修

新卒社員および中途入社社員への入社時研修には、基本的に毎年、毎月同じ内容を研修とし
て繰り返し行う必要がある、インプット量が多く復習したいが、集合型だと復習が難しいと
いった課題がありますが、標準コンテンツとそれを管理するeラーニングシステムの機能を
活用することで解決することができます。

ルールや基本説明などインプット形式の研修は、標準コンテンツによって教える側の工数を
削減できます。また、受講する側にとっても学習のペースをコントロールできるため、集中
力を保ちながら学ぶことができ、必要な時に必要な箇所だけを効率的に復習することが可能
になります。

・階層別研修における知識インプット

階層別研修には、知識インプットまで集合研修やオンライン研修を行おうとすると、
・本来実施したいディスカッションや発表などのアウトプット時間を確保できない
・そもそも知識インプットのみのテーマに関しては毎回同じ内容なので工数がもったいない
という課題が出てきます。

この課題は標準コンテンツとそれを管理するeラーニングシステムの機能を活用することで
解決することができます。

事前インプットを標準コンテンツの受講で済ませておくことで、集合研修やオンライン研修
においてアウトプット中心の内容にすることができます。また、知識インプットを目的とし
たテーマは標準コンテンツを利用することで講師側の工数削減につながります。

3. コンテンツの内製化・更新性

次にコンテンツの内製化を行う際に気を付けるべきポイントを見ていきましょう。

コンテンツの内製化を考える際に陥りがちなのが、以下の問題です。
⚫ 高いクオリティの動画制作にはコストがかかる
⚫ 長時間の動画を撮影し編集するには設備・ツールと高いスキルが必要

確かに、前回ご紹介したような標準コンテンツと同レベルのものを制作しようとすると、内
製化へのハードルは高いと思われます。しかし、標準コンテンツではカバーできない最小限
の範囲でコンテンツを内製化するという前提であれば、コストや作業工数も最小限に抑えら
れるコンテンツ制作の方法を工夫するべきでしょう。

このような制作方法を実現するためのヒントになるのが「マイクロラーニング」という考え
方です。

マイクロラーニングとは

マイクロラーニングの定義として、よく使われるのが、「短時間の動画で構成される教材コ
ンテンツを(マイクロコンテンツと呼びます)多数揃えた上で、スマートフォンで受講する形
式の研修実施スタイルをあらわし、従来型研修の予習、復習用とすることで研修効率を上げ
る、もしくは、忙しいため従来型研修が受講できない従業員が、 通勤時間帯などの「スキ
マ時間」に受講できるようにすることで研修の受講率を上げる。」という内容です。

この考え方に沿ったコンテンツの制作であれば、数分程度の短いコンテンツを多数作成し、
それを組み合わせて研修コンテンツとして提供することができます。

ただし、この制作方法を実現するためには、eラーニングシステムに多数のマイクロコンテ
ンツを管理し、それらの組合せをかんたんに設定し、研修コンテンツとして提供するための
機能を持ったeラーニングシステムを導入する必要があります。

AirCourseでは、動画だけではなく、スライド資料やフィードバック用コンテンツを素材と
して登録しておき、それらを自由に組み合わせて、オリジナルコースとして提供できるよう
になっています。

内製コンテンツ制作の流れ

最初は、素材コンテンツの作成です。スライドであればパワーポイントなどで作成できます
が、動画の場合は撮影が必要です。しかし、最新のeラーニングシステムでは、スマートフ
ォンで録画した動画をSNSにアップロードするのと同じ感覚でeラーニングシステムにコンテ
ンツとして登録できるようになっています。

例えば、AirCourseの場合、社内研修や会議での説明、OJTの様子などを、スマートフォンで
撮影して、AirCourseのクラウド上にアップロードするだけで、手軽に動画を配信できるよ
うになっています。

単一の動画を研修コンテンツとして提供するのであれば、これで制作は完了です。動画以外
のコンテンツも同様に登録・配信することができます。

AirCourseの場合、動画以外の素材コンテンツとして、パワーポイント・スライド、PDFスラ
イド、Webテキストを登録することができ、これにテストやアンケートといったフィードバ
ック用コンテンツを組み合わせてオリジナルコースを設定し、配信することができます。

テストとアンケートの重要性

内製コンテンツの制作において、テストやアンケートといったフィードバック用のコンテンツは軽視されがちですが、これらの作成機能が充実していないと思わぬ手間がかかってしまいますので、注意が必要です。

テストは、学習効果を高め、理解度を測定するものですが、AirCourseの場合、単純なテスト作成機能だけではなく、合格ラインの設定出題形式の選択(〇×式、選択式、空欄記述式)、ランダム出題制限時間の設定、解答後すぐに自動採点といった機能も用意されています。

アンケートは、受講者の意見や満足度などを収集するものですが、AirCourseの場合、単純なアンケート作成機能だけではなく、アンケート集計結果と個別回答を参照・ダウンロードする、各種アンケートのテンプレートを利用する、コース内の任意の場所にアンケートを設置するといった機能も用意されています。

AirCourseの場合は、テスト、アンケートに加えて、提出課題機能が提供されています。この機能は、受講者に課題を与えて理解度を確認、評価者が採点・評価し個別指導するためのもので、課題はコース内の任意の場所に複数設置することができます。

さらに、「提出課題」の合格ライン・終了基準を設定したり、評価者が個別に評価・採点し、フィードバックし、状況に応じて再提出させることも可能です。

4. 学習管理/研修管理機能

eラーニングシステムの導入には、管理に関する機能も確認しておく必要があります。

ユーザ管理と組織、グループの設定

ユーザ毎にIDとパスワードを割り当てるユーザ管理は、eラーニングシステム(LMS)の基本的な機能といえ、あらゆる製品・サービスが持っています。

しかし、eラーニングシステム(LMS)のユーザは企業の全ての社員が対象になることが多いため、中小規模の企業でない限り、一般的なユーザ数は数百~数千、場合によっては数万以上となります。このような多数のユーザを管理するには、単純な機能だけでは管理負荷が大きくなりますので注意が必要です。

多数のユーザをスムーズに管理するために必要な機能の中で、もっとも重要なものが組織、グループの設定です。

ユーザをグループ化することで、グループに一括してコース割当を行ったり、マネージャがグループの受講状況を確認したりすることができます。

たとえば「営業グループ」というグループを作って営業員を全て登録しておけば、「営業グ
ループ」に一括でコースの割り当てや、全営業員のレポートの参照ができます。

しかし、大規模な企業では、営業部の下層に製品や地域ごとの営業課があったり、さらにその下の組織階層が存在したりする場合があります。このような企業では、「コースによっては営業部全員に受講させたいが、コースによっては特定の営業課のみ受講させたい」といったような場合、「グループ機能」だけでは階層構造に対応できません

このような問題を回避するために、最新のeラーニングシステム(LMS)の中には、組織階層を設定できるものが登場しています。

そのためAirCourseでは、組織設定に階層構造を持たせる「組織階層機能」を提供しています。

学習の進捗管理

eラーニングシステム(LMS)の管理機能で、もう一つ重要なものが進捗管理です。

進捗管理とは、受講者の学習の進捗状況を確認する機能で、コースの完了状況、テストの点数、学習時間などを、個人ごとだけでなく、組織やグループごと、コースごとに確認することができます。

AirCourseには、「ユーザ進捗レポート」機能があり、ユーザごとのコース完了率や、完了/学習中/未着手の数などの進捗状況を確認することができるようになっています。

集合・オンライン研修も含めた管理

従来のeラーニングシステムでは、管理対象はeラーニングコンテンツの受講に限定されていましたが、最新のeラーニングシステム(LMS)では、集合研修も管理対象とすることができます。AirCourseには、研修の出欠管理やリマインド、研修の配布物の共有、アンケート集計と分析、研修受講履歴の記録と照会などの機能があり、集合研修を管理するための作業負荷を大幅に軽減できるようになっています。

さらに、最近ではWeb会議システムを使ったオンライン研修が急激に増加していますが、最新のeラーニングシステム(LMS)の中にはWeb会議システムと連携可能なものも登場しています。

AirCourseの場合は、「ポイント1 導入・利用形態」でも触れたように、Zoomとの連携機能(オンライン研修機能)を提供しており、AirCourse上でZoomを用いたオンライン研修の設定・実施・管理を完結できるようになっています。

テレワークへの移行や、コロナ禍対策のために、ほとんどの企業で集合研修とオンライン研修が併用されるようになっているため、Web会議システムとの連携機能は、今後はeラーニングシステム(LMS)の必須機能といえます。

5.集計・レポート

学習管理とも大きく関連してくるところですが、データ集計とレポートについても確認しておきましょう。

進捗状況の可視化

前章でも触れましたが、コースの受講やテストの受験の進捗状況を可視化することは、eラーニングシステム(LMS)にとって大変重要な機能ですす。

まず、ユーザ毎の進捗状況の確認ですが、これにもいろいろなレベルがあります。割り当て
られた複数コースの受講が、それぞれ完了したかどうかのレポートは最低条件ですが、完了
率(割り当てられたコースの数と完了したコースの数の比率)や、確認テストの点数などが
同時に表示されていると便利です。

また、最新のeラーニングシステムの中には、コースを構成する章ごとに完了したかどうか
まで見ることのできるものがあります。AirCourseでは、コースを構成する章はレッスンと
呼ばれ、「ユーザ進捗(レッスン別)レポート」により、該当コースに含まれるレッスン毎
の進捗状況を確認することができます。

また、ユーザ管理にグループ設定機能がある場合は、グループ単位での進捗状況が確認でき
るかどうかも重要です。前述のAirCourseでは、「グループ進捗レポート」により、設定さ
れたグループ毎の進捗状況が確認できます。

コンプライアンス教育のような全社員に受講を義務付けるコースについては、コース単位で
の進捗状況が確認できないといけません。AirCourseでは、「コース進捗レポート」によ
り、設定されたコースごとの進捗状況が確認できます。

受講履歴からの学習量の集計と分析

受講履歴の管理とレポートは、eラーニングシステム(LMS)の機能としては標準的なものですが、単に過去にだれがどのコースを受講したかの情報だけでは、単なる確認のためのレポートにしかなりません。

受講履歴をデータとして定量的に分析するためには、いくつのコースを受講したか、どのくらいの時間学習したかのデータを集計、レポートする機能が必要です。前述のAirCourseでは、「ユーザ学習量レポート」などにより、ユーザ毎、グループ毎、コース毎に学習量(受講コース数や学習時間など)を集計し、分析することができます。

レポートのカスタマイズと外部出力

レポートは、通常定型的な形式で表示されるものですが、条件によってデータを絞り込む、ソートする、表示する列の項目を追加・変更・削除するといったカスタマイズ機能があると大変便利です。

また、eラーニングシステム(LMS)に蓄積されたデータをExcelなどのツールで別途分析したい場合は、CSVファイルなどの形式でデータが出力できる機能が必要となります。AirCourseでは、以下のような機能が用意されています。

  • フィルタ(条件指定) – 様々な条件でデータを絞り込むことができる。
    例えば、「特定の組織」「特定のカテゴリのコース」など、複数の条件を組み合わせることが可能。
  • 表の項目の選択・並び替え – 表に表示する項目を自由に選択したり、列を自由に並び替えたりすることができる。
  • 表の行の並び替え – 表の行に表示されているデータを、ある項目の昇順・降順を指定して並び替えることができる。
  • グラフの選択 – レポートの上部に表示されるグラフの種類を選ぶことができる。
  • データのエクスポート – 表に表示されているデータを、CSVファイルやEXCELファイルにエクスポートできる。
  • カスタムレポート(レポートの保存) – フィルタや列の選択等によりカスタマイズしたレポートを、名前をつけて保存できる。これにより、毎回レポートをカスタマイズすることなく、見たいデータを迅速に確認することができる。

6. ナレッジ共有

eラーニングでは、学習した内容を他の人と共有するナレッジ共有に関する機能を有してい
るシステムがあります。

ソーシャルラーニングという考え方

ソーシャルラーニングとは、TwitterやLineといったSNSをツールとして活用する学習方法のことで、SNSでのやりとりを通じて行うため、職場の人間関係に限定されず、業務上の接点がない人、全く面識のない人でも、同じSNSに参加する人なら、誰とでも学び合うことが可能な学習形態です。

ソーシャルラーニングは、コミュニティの範囲が同じオフィスにいる先輩や同僚に限定される従来の集合研修やeラーニングよりも、学びの幅や可能性は圧倒的に大きなものになります。

このような特徴を持つソーシャルラーニングに期待される効果としては、以下のようなものがあります。

  • 集合研修やeラーニングで発生した疑問点を、SNSで質問し、解決することで、
    受講した研修の効果を高めることができる
  • コミュニティにさまざまな分野のエキスパートが参加することで、
    最先端の知識や最新情報に触れることができる
  • 業務の上でわからないことについて誰かがSNSで質問し、
    大勢の人から知見やノウハウが寄せられると、
    それらを会社全体で共有できるナレッジとして蓄積することができる
  • 直面している課題をSNSで投げかけ、
    同じ課題意識を持つコミュニティメンバーを集めて議論をしたり、
    新しい企画を投稿して、実現性や問題点について意見や評価をもらったりすることで、
    企業内でのイノベーション創出につながる

参考:ソーシャルラーニングとは何か?|ソーシャルラーニングを実現するためのITインフラとは?

eラーニングシステム(LMS)に求められるナレッジ共有機能

ナレッジ共有には「フロー」型と「ストック」型があり、「フロー」型のナレッジ共有とは、基本的にその場限りの情報共有で、情報を資産として蓄積(ストック)するのではなく、ある一定の短い期間に限定して情報を共有するということです。「ストック」型のナレッジ共有とは、情報を棄てることなく再利用を想定して、長期間にわたって資産として蓄積(ストック)して情報を共有します。

企業内教育を目的とした「ストック」型のナレッジ共有の機能は、最新のeラーニングシステム(LMS)で実現され始めています。

AirCourseでは、「ストック」型のナレッジ共有を行う機能を「ナレッジ共有機能」と呼んでいます。「ナレッジ共有機能」の最初の操作は、教える内容を整理した文書ファイルや動画を「コンテンツ」として、クラウドにアップロードすることです。

アップロードされた「コンテンツ」は、自動的に整理され簡単に検索できるようになります。もちろん、手動でタグ付けしたり、複数のコンテンツ間の関連付けを行ったりすることもできます。

アップロードしたコンテンツに対しては、「いいね」をつけたり、コメントを入力したりすることもでき、グループ内でのナレッジ共有を実現できるようになります。このような機能があれば、毎年繰り返される新入社員向けの教育も、その大部分が「コンテンツ」の再利用することで大幅に効率化することができます。

以上のように、「フロー」型のナレッジ共有を目的としたSlackだけで理想的なソーシャルラーニング環境をつくることはできませんが、最新のeラーニングシステム(LMS)にみられる「ストック」型のナレッジ共有を行う機能を併用あるいは連携させることで、理想の環境にかなり近づけることができます。

7. UI・使いやすさ

UIはeラーニングシステムの使いやすさに直結するポイントです。そもそもUIとはユーザー
インターフェースの略で、サービスやシステムなどを操作するために使用する、視覚的・聴
覚的・触覚的なインターフェースを指します。

もし、学習内容が充実しているeラーニングシステム (LMS)だとしても、UIに問題があれ
ば社内で活用が広がりません。一方、誰でも扱いやすいUIであれば、サービスを使用するハ
ードルが下がります。優れたUIは学習へのモチベーションを高める効果もあるため、効果的
な社内学習を推進するためにも重視したいポイントです。

8. サポート体制

サポート体制についてもチェックしましょう。具体的なポイントは以下の通りです。

  • サポート窓口の有無

eラーニングシステム を導入すると、運用上の問題やトラブルが発生する可能性がありま
す。そのため、サポート窓口が設けられていると安心です。

  • サポートの種類

提供するサポートの種類について確認する必要があります。例えば、メール・電話・チャットなど、どのようなサポートが提供されるかを確認しましょう。

  • サポートが提供可能な時間帯

eラーニングシステム (LMS)の利便性を高めるためにも、サポートが提供可能な時間帯をチェックしましょう。

  • サポートスタッフのスキル

サポートスタッフのスキルや専門性も重要なポイントです。トラブルや問題に遭遇した際にスムーズな対応を行うためにも、サポートスタッフの対応を見極めましょう。

9.導入実績

eラーニングシステム の提供企業の導入実績も確認しましょう。具体的には以下の項目をチ
ェックしておくと、検討中しているeラーニングシステム の導入後のイメージを掴めます。

  • 対象のeラーニングシステム (LMS)を導入した企業の数
  • 導入企業の体験談

導入実績の少ないeラーニングシステム (LMS)の導入には不安も感じるはずです。自社と規模感や課題が似ている企業の体験談を参考にして、最適なeラーニングシステム (LMS)を選定するヒントにしてみましょう。

導入の流れ

最後にeラーニングシステム (LMS)を導入する流れを確認しておきましょう。

1. システムを選定する

eラーニングシステム にはさまざまな種類があるため、まずは自社に最適なサービスを選定
することからスタートしましょう。解説した選定と比較検討のポイントをまとめると以下の
通りです。

  • 導入・利用形態
  • 標準コンテンツ
  • コンテンツの内製化
  • 学習管理/研修管理
  • 集計とレポート
  • ナレッジ共有
  • UI/UX
  • サポート体制
  • 導入実績

自社にマッチするeラーニングシステム (LMS)を選ぶために、複数のサービスの比較検討を行いましょう。

2. 契約を締結する

eラーニングシステム の選定が完了したら、次は契約を締結します。まず、契約内容には、
利用期間・利用料金・機能・保守サポートなどが含まれます。契約内容をよく確認して、自
社の要件を満たしていることを確認しましょう。

次に、長期間の契約を締結する場合は契約期間中にアップデートや機能拡張が行われるか、
価格が変更されるかなど、将来的な変更点を必ず確認してください。なお、契約締結におい
ては法務部門や契約担当者と相談をしておくとスムーズに進められます。

3. 環境を構築する

eラーニングシステム (LMS)を導入するためには、適切な環境を構築する必要があります。

一般的には以下の手順で環境構築を進めます。

  • サーバーの準備
  • データベースの設定
  • インストール
  • ネットワークの設定
  • セキュリティの設定

なお、クラウドサービスを利用する場合はサーバーの準備は不要ですが、オンプレミスで稼働させる場合にはサーバーの用意が必要です。eラーニングシステム (LMS)の種類や規模によって、環境構築の方法は異なるためベンダー側と協力して準備を進めましょう。

4. 運用の準備を行う

続いて、eラーニングシステム (LMS)の運用準備を行いましょう。

主に行うべき内容は以下の通りです。

  • 権限の付与
  • パスワードの設定
  • アカウント作成
  • 学習コースの設定
  • テストの設定
  • ユーザーガイドの作成

運用の準備が完了したら、本番を想定したテスト運用も実施してください。テスト運用によって問題点を明確にして、必要に応じて修正を行いましょう。

5. 運用スタート

ここまでの準備が整ったら、いよいよeラーニングシステム (LMS)の運用スタートです。まずは、従業員にeラーニングシステム (LMS)が運用開始したことを知らせ、アクセス方法を伝達しましょう。

eラーニングシステム (LMS)での学習がスタートしたらコースの進捗状況の確認して、フィードバックや評価結果を参考にしてコンテンツの改善を実施します。問い合わせやトラブル対応も想定されるため、社内のサポート体制を充実させておくと安心です。

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まとめ

本記事では、eラーニングの導入を検討している企業に向けて、システムの基礎知識や導入
のメリット・デメリット、活用例などについて解説しました。

eラーニングシステムは多くのベンダーから提供されているため、選定に迷うケースも多い
ですが、今回ご紹介したポイントを踏まえて、自社とマッチしたシステムを導入することが
大切です。

冒頭にご紹介した、実際の検討に使える選定比較シートもございます。

イチからすべて作るのはとても大変ですので、一度ダウンロードしてみて使えそうな部分が
あれば、ぜひご活用ください。Excel形式でダウンロードできますので編集も可能です。

ABOUTこの記事をかいた人

ソフトウエアベンダーやコンサルティング会社で20年以上にわたりコンサルティング、企業経営に携わる。現在は、IT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら、データ分析、人材管理、LMSなどに関する講演・執筆活動を行っている。