オンボーディングで離職を防ぐ|第1回「オンボーディングとは何か?」

オンボーディングとは、企業が新規に採用した社員を対象として行う各種のプログラムのことで、社員が、できるだけはやく、社風になじみ、仕事に慣れ、良好な人間関係を形成することを目的として実施されますが、最近、重要な経営課題である離職防止への効果が注目されています。

この記事では、オンボーディングの意味、代表的な施策、及び有効な研修制度について全3回にわたって解説します。

連載第1回の今回は、「オンボーディングの意味、離職対策としてのオンボーディング及びテレワークの影響」について解説します。

オンボーディングで離職を防ぐ(前3回)
第1回「オンボーディングとは何か?」
第2回「オンボーディングの代表的な施策」
第3回「オンボーディングに有効な研修制度」

オンボーディングの意味

「オンボーディング」は、船や飛行機に乗っているという意味を持つ「オンボード: on-board」を語源としており、人事用語としては、新たに会社に入社した社員がうまく会社になじむことを目的として行われるさまざまな施策を意味します。

人事分野以外でも「オンボーディング」が用いられる例があります。

例えば、年間契約のクラウドサービスを提供する企業における業績指標としては、新規顧客の数も重要ですが、それ以上に年間契約の次年度更新率の方がより重要とされています。

このような企業では、新規に契約した顧客がうまく自社のサービスの使い方に慣れてもらうことが非常に重要であり、そのために行われる教育、サポート、コンサルティングの総称として「オンボーディング」が使用されます。

人事分野でのオンボーディングの具体的な施策には、入社時研修やOJTといった研修制度はもちろんのこと、上司や人事担当者との定期的な面談、経営層による経営理念や会社の沿革をテーマとした講義、経営目標と個人目標を紐づけた評価制度などさまざまなものがあります。

離職対策としてのオンボーディング

人事分野でのオンボーディングが注目される背景には、経営課題として新入社員の離職が重要性を増していることがあります。

厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)』のデータによると、新規高卒就職者の約4割、新規大卒就職者の約3割が、就職後3年以内に離職しています。

出典:厚生労働省プレスリリース「新規学卒就職者の離職状況(平成29 年3月卒業者の状況)を公表します」

近年、この離職率自体が特に増加しているわけではありませんが、少子高齢化に伴い就業人口が減少を続けている状況では、離職により企業が被る損失は相対的に増加し続けているといえます。

また、離職に至る理由としては、中小企業庁委託『中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査』のデータによると、第1位が「人間関係(上司・経営者)への不満」(18.8%)、第2位が「業務内容への不満」(10.2%)となっており、昇給・賞与、福利厚生といった従来からある一般的な施策だけでは、離職を防止する効果は期待できないことがわかります。

このような背景から、社員が、できるだけはやく、社風になじみ、仕事に慣れ、良好な人間関係を形成することを目的としたオンボーディングの実施が離職を防ぐためには非常に重要だといえます。

テレワークによる影響

働き方改革の一環として推進されてきたテレワークは、今回のコロナ禍により一気に増加しており、その影響として、会社と社員の目標共有の強さを表す「従業員エンゲージメント」の低下が懸念されています。

実際に、パーソル総合研究所が行った「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、テレワーク実施前後の変化として、

  • 36.4%の従業員が、組織の一体感が低下した
  • 25.6%の従業員が、組織へ貢献したい意欲・気持ちが低下した
  • 24.8%の従業員が、組織への帰属意識が低下した

と回答しています。

出典:パーソル総合研究所「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」

このようなテレワークの影響は、新入社員にとっては、入社後一度も出社していないといった極端な例も見られるように、より深刻なものといえるでしょう。

現時点では具体的なデータとしてはあらわれてはいませんが、新入社員の早期離職につながる可能性は否定できません。

コロナ禍の長期化が予想される今、オンボーディングの積極的な実施が望まれると同時に、実施方法についても、テレワーク環境を前提としたものを検討する必要があります。

まとめ

「オンボーディング」は、人事用語としては、新たに会社に入社した社員がうまく会社になじむことを目的として行われるさまざまな施策を意味します。

人事分野でのオンボーディングの具体的な施策には、研修制度はもちろんのこと、定期的な面談、経営層による講義、評価制度などさまざまなものがあります。

人事分野でのオンボーディングが注目される背景には、経営課題として新入社員の離職が重要性を増していることがあります。

厚生労働省他のデータによると、おおよそ3人に一人が就職後3年以内に離職し、その離職も、「人間関係(上司・経営者)への不満」や「業務内容への不満」となっており、昇給・賞与、福利厚生といった従来からある一般的な施策だけでは、離職を防止する効果は期待できないことがわかります。

このような背景から、社員が、できるだけはやく、社風になじみ、仕事に慣れ、良好な人間関係を形成することを目的としたオンボーディングの実施が離職を防ぐためには非常に重要だといえます。

今回のコロナ禍により一気に増加したテレワークの影響として、会社と社員の目標共有の強さを表す「従業員エンゲージメント」の低下が懸念されており、新入社員にとっては、入社後一度も出社していないといった極端な例も見られるように、より深刻なものといえるでしょう。

コロナ禍の長期化が予想される今、オンボーディングの積極的な実施が望まれると同時に、実施方法についても、テレワーク環境を前提としたものを検討する必要があります。 次回は、オンボーディングの代表的な施策について解説します。

オンボーディングで離職を防ぐ(前3回)
第1回「オンボーディングとは何か?」
第2回「オンボーディングの代表的な施策」
第3回「オンボーディングに有効な研修制度」

ABOUTこの記事をかいた人

平井 明夫

ソフトウエアベンダーやコンサルティング会社で20年以上にわたりコンサルティング、企業経営に携わる。現在は、IT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら、データ分析、人材管理、LMSなどに関する講演・執筆活動を行っている。