いまさら聞けない!「テレワーク導入」よくある課題と解決策

新型コロナウイルスの影響で、テレワーク導入が急務となりました。

これまでも導入が推奨されながらも定着が進まなかった同制度ですが、コロナ禍をきっかけに大転換期を迎えたと言えると思います。

しかし十分な準備期間もないままに実施へと移行したことにより、様々な問題点が浮き彫りになってきました。

そこで今回はテレワークを導入するうえでよく出る課題と解決策について解説していきます。

テレワーク推進おいて解決するべき問題

テレワークに関する問題は大きく2つに大別されます。

1.ハード面の問題(労働環境の整備、ツールの拡充など)

2.ソフト面の問題(マネジメントの方法、勤務制度、社内ルールなど)

緊急事態宣言以降、感染拡大防止の観点から出社を自粛せざるを得ない状況が続き、ハード面の致命的な問題は解決されつつあるようです。

しかし多くの場合「家でも仕事ができる」という所にとどまっている感は否めず、社会的にもテレワークが推進され続ける以上は、より生産性を高める、最低限オフィスワークと同水準に達するための取り組みが必要となります。

やむを得ずテレワーク」から「テレワークでも問題なし」。

そして「テレワークによる生産性向上」を目指し、ソフト面の問題にも本格的に取り組まなくてはならない時期がやってきたと言えるでしょう。

ソフト面における課題とは?

テレワークを行う際の課題の中で注目すべきソフト面の課題は、次の3つが挙げられます。

1.マネジメントに関する課題

①業務管理が難しい

通常のオフィスワークであれば、メンバーの仕事ぶりを見てまわることもできますし、優秀なマネージャーであればちょっとした機微に気が付くことができます。

しかしテレワーク下ではそういったフォローも難しく、原則として成果ベースでの管理を余儀なくされてしまいます。

そのため業務プロセスの中にある問題を迅速に発見・修正しづらく、生産性の低下につながるリスクが想定されます。

②評価をするのが難しい

多くの企業では、従来の評価基準がテレワーク仕様になっていません。
特に日系企業に多く見られる特徴は、プロセス評価が重視されていること。

成果主義とプロセス評価の特徴については割愛しますが、テレワーク下では意欲や姿勢といった、いわゆる「情意評価」の部分を測ることは非常に難しいと言わざるを得ません。

また成果が定数・定量化しづらい業務の多少で、評価に大きなブレが起こることが想定されます。その結果、評価への不公平感が生じる可能性が高いと考えられます。

マネジメント課題を解決するには?

このような課題については、新たな制度設計が理想であると考えられます。
しかし現実問題として、いきなり制度を大幅に変更することは簡単ではありません。

そこで推奨されるのが、業務の細分化と見える化です。

これまでの業務の中で特に明文化されていなかったプロセスを明確にし、報連相の方法やタイミングなどのルールを設定することで業務管理を行います。

この際に管理をする上司の方から報連相を促すなど、よりスムーズに新ルールの運用ができるように働きかけることが求められます。

評価についても、細分化されたそれぞれのタスクに対して評価を行い「目に見えない業務」をなくすことで、可能な限りフェアな評価を行うことが重要です。

また中長期的な目線では、業務の特性を切り分けて、専門性ごとのジョブファミリーを形成する新たな評価制度を検討することも有効です。

2.コミュニケーションに関する課題

①気軽なコミュニケーションがとりづらい

これまでのチームワークは「阿吽の呼吸」といったような、お互いに察しあうコミュニケーションが当たり前に行われてきました。

これは業務の中だけでなく、何気ない会話などの中からもお互いのパーソナリティを理解し、少しずつ培ってきたものに他なりません。

しかしテレワークの環境下では、どのタイミングで、どのようなコミュニケーションをとれば良いのか判断に困るケースが多発しています。

その結果、一人で仕事をする(またはそのように感じてしまう)事が増え、チームでの仕事に支障をきたすことにつながります。

また新入社員などの新しいメンバーを受け入れた際には、これまでの暗黙の了解が通用せず、浸透させることも難しいというのも大きな課題です。

コミュニケーション課題を解決するには?

このような課題を解決するには、オンライン上でいかにコミュニケーションをとっていくかが重要と考えられます。

例えば何かのイベントを実施したり、研修や勉強会、社内プロジェクトチームの発足など、これまでより積極的な働きかけが必要です。

実際にオンライン上のイベントで「謎解きゲーム」を実施したり、オンライン飲み会を開催することでチームビルディングを目指す企業は増えています。

このような課題が出てくるという事は、テレワークを推進するとはいえども、一定のオフィスワークは必要なのではないか。という意見はごもっともです。

しかしながら、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大防止のような観点から考えると、そうも言ってはいられません。

加えて、世の中にテレワークが当たり前なものとして浸透してくれば、遠隔地(他県や海外など)からの従業員を受け入れるというケースも珍しくなくなります。

このような時代の流れを鑑みると、抗うのではなく、前向きに変化を受け入れる方が得策ではないでしょうか。

3.モチベーションに関する課題

①仕事とプライベートの境がわからなくなる

テレワークが進む中で、多くの人から「オン・オフが上手くつけられない」という声が聞かれます。

人によっては「仕事モードに切り替わらず仕事が思うように進まない」と言い、またある人は「どこまでも仕事の延長線で休まる暇がない」と言います。

いずれもモチベーションの低下や、必要以上の疲労感に襲われ、最終的には生産性の低下につながるリスクをはらんでいます。

②移動時間が無くなることによるデメリット

テレワークの最大の特徴の一つとして、移動時間が無くなり、距離の制約が無くなるという事が挙げられます。もちろんこれは浮いた時間を活用して、読書をするなど、大きなメリットであることは言うまでもありません。

しかし少なからずデメリットも存在しているようです。
それは隙間なく商談や会議を入れられることにより、時間的・心理的余裕が無くなっているという事。

実際に耳に入るのは「営業と営業の間に移動しながら頭の切り替えができたが、移動がなくなり、逆にしんどくなった」や「必要以上に会議への同席が求められるようになった」などです。

あまり言い出せない人が多いようですが、このようなストレスを感じている人は一定数いることは間違いありません。

モチベーション課題を解決するには?

このような課題に対しては、会社として時間のメリハリをしっかりつける管理体制が重要です。

例えば、始業時間と終業時間を遵守させること
始業時間の徹底は多く見られますが、まだまだ終業時間の徹底については改善の余地があるように考えられます。

また管理監督者がしっかりとスケジュールを確認しながら、無理のない業務ができているのかを確認することも有効です。

余談ですが、元々このような課題はフリーランスとして働く人によく見られた課題で、言ってしまえば「自己管理」の問題です。

しかし現在のように一律でテレワークを求められる時代においては、このような管理を行うことが企業の役割と言えます。

まとめ

新型コロナウイルスの影響により、半ば強制的に進んだテレワークですが、現在そのステージは次へと進もうとしています。

最低限のハード面の確保から、さらに効率的なツールなどの拡充。
そしてソフト面を改善することで、働ける環境から、働きやすい環境へのシフトが至上命題です。

これから10年先の組織の在り方を描きながら、適切なソリューションを選択していくことがテレワーク推進の急先鋒である人事の役割と言えるでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

大学卒業後、人材系コンサルティング会社に就職し、従業員数10,000名を超える大企業から15名程度の中小企業までの採用に係るコンサルティングを歴任。その後、2011年に自ら考えられる人材を育てたいという想いを元に一念発起し、粋なり株式会社を創設する。自社コンテンツ「神保町大学」「就職課」などを立ち上げ、就職支援分野では多くの大学生を社会に送り出し、内定率100%、3年以内離職率5%未満の実績を持つ。