報連相の基本と実践|ビジネスで成功するためのコミュニケーション技術

報連相とは「報告」「連絡」「相談」の頭文字をとったもので、仕事を円滑に進めるうえで必要不可欠なスキルです。

また報告・連絡・相談の意味を知って実行するだけにとどまらず、心構えやマナーなども重要視されることが多いとされています。

◆報連相それぞれの意味は大きく以下のように分類されます。

報告:仕事の進捗具合や結果について上司や先輩等に伝えること

連絡:仕事の情報や今後の予定を他者(関係者・上司等)に発信すること

相談:疑問や問題が生じたときに上司や先輩、時に同僚等からアドバイスをもらうこと

それぞれ難しい事ではないと思われることが多いですが、実際のビジネスシーンでは上手く機能していないことも少なくありません。

これは報連相の仕組みが機能していない場合や、人間関係によって阻害されている場合などがあります。

単純明快なスキルであると同時に、裏にあるボトルネックに目を向けなければ機能しないという事に留意することが重要です。

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報連相の目的と重要性

報連相の目的は総じて「情報の伝達・共有」にある

多くの企業がそうであると思いますが、仕事を1人または1社のみで完結させるのは容易ではありません。

少なからずステークホルダーが存在し、その中での情報共有の正確さとスピードはビジネスの成果を大きく左右することは周知の事実です。

共有されない情報に価値は生まれないと言われるほど、現代のビジネスにおいて情報は重要なものであることから、報連相はビジネスに価値を生み出す大原則といえます。

また報連相は仕事を進めるうえで、何かのトラブルや不都合が起こった場合に効果を発揮します。

細かな報連相を行う事で仕事の進捗を共有することで、1人では気が付かなかったミスに気が付くことができます。

このようなミスを早期発見することで、迅速な対策を講じることができ、その後のクレームや事故、やり直しによる収益性の低下などのリスクを回避することにつながります。

1:報告の目的と成果

報告は主に業務の指示に対して、進捗や結果の情報を共有することです。

これはゴールに向かってミスがないか、計画通りに進行しているかを判断する材料となり、状況に合わせて計画の修正や改善が行われます。

報告の際は事実の報告と同時に今後の見通しや、現状での成果や課題を踏まえて行う事が効果的であると言われています。

またミスは隠しておきたいというのが人の常です。

しかしながらリスク回避の観点から考えると、どんなに小さくともミスの情報こそ正確に素早く手に入れたいものです。

そのため報告をしやすい仕組みや環境づくり、重要性の教育を徹底することが重要であると言えます。

2:連絡の目的と成果

連絡は迅速かつ、正確に情報を伝達することが求めらます。

報告よりも重要度と緊急度の度合いが幅広いことが多く、時に「関係ないかな」という思い込みで流されてしまう事もしばしばあります。

そのため連絡においては、必要に応じて情報の受け取りまで確認する必要があります。

特にメールなどの連絡は要注意です。

また緊急度や重要度に合わせて連絡手法や書式、情報量等の工夫も重要であり、目的に応じた適切な手段を選択することが重要となってきます。

3:相談の目的と成果

相談の目的は困ったことや自身で判断できない際に、アドバイスや指示をもらう事です。

もちろん相談者にとっては効率的に業務を進めるうえで、非常に効果的な手段であることは間違いありません。

一方で相談される側にとっては少なからず負担がかかるため、相談に対して

「自分で考えろ!」

「そんな下らない事ことを相談するな!」

といったようにトラブルが起こることも少なくありません。

前述の通り、報連相は信頼構築や環境づくりといった要素も重要となる為、質問者の意図を汲みながら対応をしていくことが必要なのは大前提です。

逆に相談者はできる限り相手の負担を減らすため、相談する内容を明確にしておく必要があります。

具体的には・・・

「相談の背景、ゴールを明確に伝えた上で」、「現在の状態と」、「試行錯誤した結果など」の要点を簡潔にまとめたメモを作成することが推奨されます。

報連相における重要事項

1:事実と意見を分ける

原則として報連相は事実を正確に把握することが重要です。

もちろん意見を交えることが重要な場面も多々ありますが、この両者が混ざってしまうことで事実を歪曲してしまう可能性があります。

そうすると正確な判断が行えず、後々大きなトラブルを引き起こすきっかけになってしまうため、きちんと切り分けてアウトプットすることが重要であると言えます。

2:適切なタイミングで行う

報連相は受ける側も自分の業務に忙殺されている事が想定されますそのため報連相を行う際にはどのくらいの時間を要し、いま行なって良いのかを確認する必要があります。

加えてその状況に合わせて口頭で行うべきかメール、書面で行うべきかを判断することも重要です。

また報連相に抜け漏れが起こらないよう、実施のタイミングをルール化するなどの仕組み作りも有効と言えます。

3:ミスが起こった時ほど迅速に報告を受ける

業務が問題なく進行していれば、報連相が漏れていても大事には至り辛いものです。

しかし小さくとも問題が起こった際には、後々の大きなリスクにつながる可能性があります。

そのためミスや小さな違和感は、例え話し辛くとも報連相させることを常態化する必要があります。

事例に学ぶ報連相

ここからは、実際にあったビジネスシーンでの事例をご紹介します。

報連相を正しく行わないと、問題が起きてしまいます。どうするべきだったという解説もしておりますので、参考にしてみてください。

事例1:〆切間近の資料作成

ある日の朝、A部長から資料の作成を依頼された。

「明日の会議で使う資料を作成してほしい。データはここにある書類を参考にしてほしい。」

その日は自分の業務もあったため、18時以降に残業をして資料の作成を行う事を決め、資料作成業務を引き受けた。

夕方、A部長から「資料を会議参加者に共有するからデータを送って欲しい」との連絡を受ける。

当然、18時以降で作業をしようと考えていたため資料作成には着手していない。そこでA部長には「自分の業務が忙しく、未だ着手していません。」との報告をすると、それでは困るとの回答があり、結局資料はA部長が作成することになった。

◎現状の業務と自身の作業スケジュールを報告する必要があった

◎〆切の確認とそれに伴うスケジュールの相談が必要だった

事例2:商談の日程調整

部長が同行する商談の日程を調整した。

来週の水曜日で日程調整は確定できていたが、月曜日に商談相手から連絡がありリスケを依頼される。

社内スケジュールを確認しても部長の予定は空いていたため、応諾することにした。

翌日のお昼、部長との打ち合わせでその旨を伝えると、「その日はどうしても外せない打ち合わせが入ってしまった。」との報告を受ける。

やむを得ず自分一人で商談に行くことになったが、商談はあまりうまく進まなかった。

結果、部長ともどこかぎくしゃくした雰囲気になってしまった。

◎自分で勝手な判断をするのではなく相談をするべきだった

◎迅速な報連相のため、電話、メールなど適切なツールの利用を検討すべきだった

◎社内でのガイドラインを作るなどルールを徹底すべきだった

事例3:請求書作成

ある金曜日、営業担当Aから「悪いんだけど、この会社の請求書を急ぎで作成してもらえるかな?」という依頼を受けた。

週明けの月曜日の始業時間までに作成することを約束し、依頼を引き受けた。

夕方、自分の業務を全て終わらせ、請求書の作成に取り掛かったところ、見慣れない会社向けの請求書であることが分かった。

「はじめてみる会社だなぁ」と思いながらも、退勤時間が迫っていることに加えてAは外出中ということもあり、特に気にすることなくいつも通りに請求書を作成した。

月末、青ざめた顔のAが「請求書の事なんだけど…」と駆け寄ってくる。

当該の会社から入金がないようだ。

原因を調べると、請求書の支払期日が翌月末になっていたためであった。通常、自社の支払ルールは翌月末であるが、当月末支払いの駆け込み発注であった。

◎時間がない中での重要事項連絡は口頭だけでなく書面にして確認すべきだった

◎新たな仕事の依頼に対して「だろう」でなく細かに確認を行うべきだった

◎イレギュラーな対応についてチェックフローの仕組みを作るべきだった

事例4:クライアントからの依頼

クライアントから納品物の仕様変更を依頼された。

非常に切迫した様子であったため、どうにかしたいという気持ちで応諾した。

しかし実際に変更の手続きを行ったが思うように進まない。

納期まではまだ余裕があったため「まだ大丈夫」と判断し納品に向けて奔走した。

納期ギリギリになり、このままではオーダーに応えられないことに気づき上司に相談を行ったが時すでに遅く、結局クレームになってしまった。

◎仕様や契約の変更の判断には相談を行うべきだった

◎仕様や契約の変更の場合、早急に報告を行うことをルール化すべきだった

◎プロジェクトの進捗管理において報連相を促す仕組みを構築すべきだった

事例5:クライアントへの依頼

展示会で使用するパネルの制作を外注した。

デザイン、内容ともに確認を済ませ、配送スケジュールも確認して上長の確認も完了した。

納品の3日前、会社から会場までのパネル搬入が難しいことがわかり配送先の変更をメールで依頼した。

展示会前日、パネルが届いていないことがわかりあわてて確認をとった。

すると既に配送の手続きが完了しており、配送先の変更はできなかったとのこと。加えてその旨はメールで返信をされていた。

結局、展示会でパネルを使用することはできず、成果も今一つだった。

  • 緊急度、重要度が高い依頼はメールだけでなく電話で確認を行うべきだった
  • 直前の変更依頼は決定事項でなく、何ができるのかを相談するべきだった
  • 変更が発生した段階で、難しかった際のリスクヘッジを上長に相談しておくべきだった

まとめ

如何でしたでしょうか?

報連相の目的や意味をお伝えしましたがまめな報告・連絡・相談は信頼のアップにもつながります。

逆に、正しく行わないと信頼を失ってしまいます。

ぜひ、信頼を得られるような報告・連絡・相談を意識していただけたらと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

大学卒業後、人材系コンサルティング会社に就職し、従業員数10,000名を超える大企業から15名程度の中小企業までの採用に係るコンサルティングを歴任。その後、2011年に自ら考えられる人材を育てたいという想いを元に一念発起し、粋なり株式会社を創設する。自社コンテンツ「神保町大学」「就職課」などを立ち上げ、就職支援分野では多くの大学生を社会に送り出し、内定率100%、3年以内離職率5%未満の実績を持つ。