「OJTトレーナー研修」とは「OJTを行うトレーナーを育成するための研修」であり、効果的なOJTを行うためには欠かせません。
しかし、OJTトレーナー研修の実施を検討するうえで
「そもそもOJTトレーナー研修とはなんだろうか?どんな成果が期待できるのだろうか?」
「OJTトレーナー研修で失敗しないためには、どんな手順で実施すればよいのだろうか?」
とお悩みではないでしょうか?
そんな方に向けて本記事では、OJTトレーナー研修の目的や実施メリット・デメリット、OJTトレーナーに向いていない人の特徴やOJTトレーナー研修の実施手順について徹底解説します。
さらに、OJTトレーナー研修で優秀なトレーナーを育成するためのポイントを、起こりがちな問題の解消方法とあわせて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
OJTトレーナー研修とは
OJTトレーナー研修とは「OJTを行うトレーナーを育成するための研修」です。
「OJT」と「OJTトレーナー研修」は混同されがちなため注意しましょう。
そもそも「OJT」は「On-the-Job Training」の略で、職場での実務経験を通じて知識やスキルを習得する育成方法です。主に新人を対象として、同じ部署の上司や先輩がトレーナーとなり育成を行います。
OJT対象者とトレーナーの二人一組で実務を行いながら、定期的な振り返り面談を行います。習得レベルに応じてOJT対象者が1人で実務を行い、トレーナーとは面談のみを行うケースもあるでしょう。
一方「OJTトレーナー研修」では、トレーナー(上司や先輩社員)が効果的なOJTを行えるように、人事担当者や外部講師などが研修を担当します。もしくはトレーナーとしての経験が豊富な上司が研修を担当する場合もあるでしょう。
OJTトレーナー研修は、OJTとは実施形式が異なります。講師1人に対してトレーナー複数人での座学形式で行うのが一般的です。OJT開始後においてはトレーナー育成のために、個別で振り返り面談を行う場合があります。
まとめると以下の通りです。
項目 | OJT | OJTトレーナー研修 |
---|---|---|
対象者(教えられる側) | 新人など | トレーナー(上司や先輩社員) |
担当者(教える側) | トレーナー(上司や先輩社員) | 人事担当者、外部講師、 トレーナー経験が豊富な上司など |
実施形式 | 実務+面談 | 座学+面談 |
またOJTと関連する用語にOFF-JT(Off The Job Training)があります。職場外での訓練を指しており、研修やeラーニングなどの形式で行なわれます。OJTトレーナー研修はトレーナーを対象としたOFF-JTにあたりますので意味の違いを押さえておきましょう。
OJTトレーナー研修の目的と必要性
OJTトレーナー研修の目的は主に2つです。
1つ目は「トレーナーが効果的なOJTを行えるようにすること」です。
OJTにおいてトレーナーは、新入社員など対象者の知識・スキル習得および早期戦力化を求められます。
ただし、トレーナー本人が十分に知識やスキルをもっており実務で成果を上げていても、育成者としてすぐに活躍できるとは限りません。
そこでOJTトレーナー研修により、「トレーナーとしての役割・考え方」や「指導の仕方」、「OJT対象者のモチベーションの保ち方」などをトレーナーに教える必要があるのです。
2つ目は「トレーナー自身の育成スキルを向上させること」です。
OJTを行うにあたってはOJT対象者の育成に目がいきがちですが、トレーナーにおいても貴重な育成の機会となります。
そこで、OJTを通じてトレーナーが育成者および指導者として着実にスキルアップできるよう座学での研修やeラーニング受講、面談を行うのです。
人材育成の機会としてOJTを最大限に活かすために、OJT対象者とあわせてトレーナーの教育にも注力しましょう。
OJTトレーナー研修のメリット
OJTトレーナー研修の実施により「OJTの質」および「トレーナーとしての育成スキル」が向上します。こうした主目的以外に得られるOJTトレーナー研修のメリットを以下で2つ紹介します。
トレーナーを担当する社員の不安を解消できる
OJTのトレーナーを担当する社員が「自分一人での業務は問題ないが、部下や後輩に教えながら業務を行えるのだろうか」と不安を抱くケースも少なくありません。
OJTトレーナー研修を通じて、OJTの進め方や具体的な育成方法、他業務と両立させる方法などを事前に学ぶことによりトレーナーの不安を解消できます。
不安解消はトレーナーとしての自信につながり、OJT対象者からの信頼も得やすくなるでしょう。
管理職候補の育成につながる
次期管理職の育成を課題とする企業も多いのではないでしょうか。
OJTトレーナー研修は、管理職に求められる部下の「管理・指導・育成」に関するスキルを身につける機会としても有効です。若手・中堅社員をトレーナーに据える場合は、管理職になるうえでの登竜門として位置づける企業もあるほどです。
OJTでは、状況に応じたOJT対象者への指導やモチベーション管理、トラブルのフォローなどが必要となります。
こうした育成者・指導者としての経験が、管理職候補としての成長につながるのです。
OJTトレーナー研修のデメリット
OJTトレーナー研修には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
以下では、OJTトレーナー研修のデメリットを2つ紹介します。
トレーナーを担当する社員の拘束時間が増える
OJTトレーナー研修を行うことで、トレーナーが研修を受講するための時間確保が必要となります。
現場で成果をあげている社員の活動時間の一部を研修に充てると、どうしても生産性は一時的に低下します。
研修を行いたくても「現場社員が忙しくて開催できない」「通常業務を差しおいて時間を確保してもらうのが難しい」と悩む上司や人事担当者も少なくありません。
まずは経営層や幹部層から会社方針としてOJTトレーナー研修の実施を打ち出し、あわせてトレーナー候補者に目的や主旨の理解を促しましょう。
また必ずしも対面研修で全てを行う必要はありません。トレーナーとしての心構えや指導のポイントなど知識インプットはeラーニングで済ませ、指導ロープレといったアウトプットを研修で行えば時間を有効活用できます。
研修を行うための運営業務が発生する
OJTトレーナー研修を開催するにあたり、さまざまな運営業務が発生します。
具体的には、開催の案内、講師の依頼、関係各位とのスケジュール調整、カリキュラムの作成、マニュアル等の資料作成、会場準備などです。
外部講師に依頼すれば、カリキュラムやマニュアルの作成、講師を担当する社員のスケジュール確保などを省けます。外部講師への依頼費用と、社内講師の人件費・拘束時間などのコストを総合的に比較して判断しましょう。
ただし、いずれにしても開催に向けた準備や社内調整は必要なため、組織としてのリソースを割くことには変わりありません。
1つ目のデメリットでもご紹介した「知識インプットのeラーニング化」を行えば、2年目以降のOJTトレーナー研修はコンテンツを使いまわせるため準備工数を大幅に削減できます。
OJTトレーナーに向いていない人の特徴
OJTトレーナーは誰でもできるわけではなく、新人を教育する立場としての業務適正が求められます。
ここからは、OJTトレーナーに向いていない人の特徴を3つ紹介します。
コミュニケーションスキルが低い
新人に業務を教える場合には、トレーナーが円滑にコミュニケーションをとりながら疑問点や不明点を解消していかなければなりません。
また、日々新人とのやり取りを重ねて信頼関係を構築する必要もあります。
そのため、コミュニケーションスキルが低いあまり、新人に進んで仕事を教えられない、もしくは新人の意見を気軽に受け入れられる関係性を構築できない方はOJTトレーナーに向いていないといえるでしょう。
自分の指導方法に固執している
OJTトレーナー研修で大切なことは、新人に業務の手順やコツを教えて自主性を育てることです。
しかし、トレーナーの考え方やペースで業務を押し付けてしまうと、新人の自主性は育たないうえにモチベーションが低下してしまう可能性があります。
そのため、自分のやり方に固執して、自分のやり方を押し通してしまうような方はOJTトレーナーに向いていない可能性が高いといえるでしょう。
自分の業務で手一杯になっている
OJTはトレーナーの普段の業務に加えて、教育のための工数を確保しなければなりません。
しかし、トレーナーが自分の業務で手一杯になっていると普段の業務も教育も中途半端な状態になってしまったりして、どちらも成果が出ないといった事態を招いてしまいます。
そのため、時間や労力を普段の業務だけでなく、教育に割り当てられる余裕がないとトレーナーとしての責務を全うできない可能性があります。
OJTトレーナー研修の実施手順
OJTトレーナー研修を実施するにあたり、どのような手順で進めれば良いのかを迷う方も多いのではないでしょうか。
以下では、OJTトレーナー研修を実施するための具体的な手順を「研修前」「研修当日」「研修後」に分けて解説します。
研修前:トレーナーを選出する
OJTトレーナー研修を開催する前に、まずはトレーナーを選出します。
トレーナーの候補としては、以下に該当する社員がよいでしょう。
担当業務を問題なく行える社員
実務のなかでOJT対象者を育成するため、自身が担当する業務を問題なく行えている必要があります。
ただし業績がトップであったり、ミスが皆無であったりする必要はありません。OJTを通じて自らの不足点に気づくことが、トレーナー自身の成長につながるためです。
一通りの業務はこなせるものの伸び悩む社員をトレーナーの任に就かせることで、気づきと成長を促す機会としても活用できます。
管理職候補として育成したい社員
OJTのトレーナーを担当することで、管理職に求められるスキルを磨くことが可能です。管理職としての活躍を期待する社員を選出しましょう。
管理職やリーダーを育成するための研修を別途行うよりも、少ないコストで実践的な学びの機会を設けることが可能です。
研修当日:トレーナーがOJTを実行できるようにする
1.OJTトレーナー研修の目的・全体スケジュールを説明する
OJTトレーナー研修では、はじめに「OJTトレーナー研修の目的・全体スケジュール」をトレーナーに説明します。
OJTトレーナー研修の目的は「トレーナーが効果的なOJTを行えるようにすること」「トレーナー自身の育成スキルを向上させること」の2点です。
とくにトレーナー自らの成長を期待していることもしっかりと伝えましょう。
あわせてOJTトレーナー研修の全体スケジュールも共有します。OJTを実行するなかでOJTトレーナー研修の振り返りは、いつどのように行うかなど全体の流れをトレーナーへ説明します。
以上により、トレーナーはOJTトレーナー研修の全体像を理解でき、安心してOJTに取り組めるようになるのです。
2.OJTの目的を共有する
トレーナーがOJTトレーナー研修の全体像を理解できたら、次に「OJTの目的」を共有します。
そもそも「なぜOJTが必要かつ重要なのか」を共有することでトレーナーの使命感と責任感を醸成します。
OJTの目的は以下の通りです。
- OJT対象者の早期戦力化(実務に必要な知識・スキルの習得)
- OJT対象者の業務に対するモチベーションアップ
- OJT対象者の帰属意識の向上(退職防止)
OJTの目的については以下の記事もご参照ください。
3.OJTの目標を立てさせる
OJTを成功させるためには、具体的な目標設定が必要です。
OJT終了時点で、OJT対象者がどのような社員になっていてほしいかを明確にします。企業や各部署が理想とする人材像を基に設定しましょう。
目標は「いつまでに・何を・どのくらい」について明確に設定します。
とりわけ「どのくらい」を数値で表すのが困難な場合は、「客観的に判断できる指標や状態」で表すとよいでしょう。
なお目標の数は複数でも構いません。
- 良い例
〇上半期終了までにテレアポを月に5件以上獲得できるようにする
〇今期終了までに受注から納品までを1人で行えるようにする - 悪い例
✕今よりも多くの業務を行えるようにする
✕営業活動を一通り行えるようにする
またOJTトレーナー研修でトレーナーが定めた目標は、OJT対象者との初回面談時に必要に応じて調整を行います。
最終的にはOJT対象者およびトレーナーの上司から承認を得て目標決定となります。
4.OJTの計画を立てさせる
トレーナーに、OJT対象者が目標を達成するための計画を立てさせます。
計画に必要なのは「中間目標(マイルストーン)」と「達成手段」の設定です。
まずOJT終了時点の目標から逆算して、「いつまでに・何が・どのくらい」できている必要があるかを考えて中間目標を設定します。
次に、中間目標を達成するための手段を具体化します。
達成手段については、実施時間や頻度、関係者までを明確にしましょう。
・中間目標と達成手段の例
目標:上半期終了までにテレアポを月に5件以上獲得できるようにする
↓
中間目標:第1四半期までにテレアポを月に2件以上獲得できるようにする
↓
達成手段:毎日10時から30分間、見込み客リストを用いてテレアポを行う
毎週金曜は9時30分から30分間、トレーナーとロープレを行う
5.OJTの進め方を説明する
どのようにOJTを進めればよいのかをトレーナーに説明します。
OJTの基本手法である「4つのステップと3つのポイント」を基に育成を行いましょう。
OJT4つのステップ
OJTは以下の4ステップを意識するとスムーズに行えます。
- Show(やってみせる):実際に手本を見せて具体的なイメージを持ってもらう
- Tell(説明・解説する):手本について理由(なぜそうしたか)などを説明する
- Do(やらせてみる):OJT対象者に実行させる
- Check(評価・指導をする):フィードバックを行うことで知識として定着化させる
OJT3つのポイント
OJTでは以下を意識することが大切です。
- 意図的:どのような目的や目標でそのトレーニングを行うのかを明確にすること
- 計画的:十分に設計された計画に基づいてトレーニングが行われること
- 継続的:単発ではなく、反復的、段階的にトレーニングが行われること
4つのステップと3つのポイントについては以下の記事もご参照ください。
研修後:OJTの実行と振り返り
OJTトレーナー研修にてトレーナーが目標と計画を定めて進め方を理解したら、いよいよOJTのスタートです。
また、OJTスタート後も進捗確認やフォローを行うために、定期的な振り返りの機会を設けましょう。
OJTを実行させる
トレーナーはOJTトレーナー研修で定めた目標に向かい、計画に沿って4つのステップ(Show・Tell・Do・Check)と3つのポイント(意図的・計画的・継続的)を意識しながら進めます。
基本的にはトレーナーに一任しますが、進捗が芳しくない場合やトラブル発生時などには、すぐに相談できる体制が必要です。実務上の判断を要する場合があるため、OJT対象者およびトレーナーの上司を相談役とするのが好ましいでしょう。
振り返りの機会を設ける
OJTトレーナー研修もOJTと同様に「Check(評価・指導)」の段階が必要です。定期的な振り返りの機会を設けます。
実施形式は、大きく3パターンです。
1つ目は研修形式で、初回のOJTトレーナー研修と同様に座学で行います。
トレーナー同士が集まるため、グループ毎で進捗報告・事例共有・互いにアドバイスを行えるのがメリットです。ただし、トレーナー各位のスケジュールを確保する必要がある点や個別の指導を行いにくい点はデメリットです。
2つ目は面談形式で、トレーナーと上司もしくは人事担当者が面談を行います。
個別面談のため、悩みを共有しやすく、トレーナーへの個別指導を行える点はメリットです。一方で、面談を担当する社員の負担が大きい点がデメリットです。
3つ目はアンケート形式で新人、もしくはトレーナーにアンケートを実施してOJTでできたこと・できなかったことを振り返ります。
新人とトレーナーの双方向からの視点でOJTを見直せるため、改善がしやすいという点がメリットとして挙げられますが、アンケートの記入や集計作業に時間がかかってしまう点はデメリットであるといえます。
研修アンケートの作り方については以下の記事もご参照ください。
研修アンケートの項目例・作り方のコツを紹介【無料テンプレ付】
3パターンとも行うのが理想的ですが、困難な場合はどちらかを実施しましょう。
OJTトレーナー研修で優秀なトレーナーを育成するポイント
OJTトレーナー研修で優秀なトレーナーを育成するためにおさえるべきポイントが3つあります。
以下でそれぞれを紹介します。
トレーナーとしての心構えを理解させる
優秀なトレーナーに必要な心構えは次の2つです。
OJTはトレーナーも成長できる機会である
OJTのトレーナーを担当すれば、業務負担の増加は避けられません。
ただし負担ととらえずに「自らが成長できるチャンス」と考えることで、OJTへのモチベーションは向上します。
OJTトレーナー研修時には、冒頭や折にふれて自己成長の機会であることをトレーナーに伝えましょう。
OJT対象者の理解度を重視する
理解するスピード、得意なこと・苦手なことはOJT対象者によって異なります。
トレーナーは、自らのペースや決まった教え方に固執せず、OJT対象者の理解が追いついているかを気にかけながらの育成が求められます。
OJT対象者と同じ頃にトレーナー自身がつまずいた点や不安に思っていた点を思い返すのも有効です。
OJTトレーナー研修においては、業績が良いトレーナーほどOJT対象者にも同じレベルを求めてしまう傾向があるため注意しましょう。
トレーナーに必要なスキルを習得させる
優秀なトレーナーを育てるためには、スキルの習得も大切です。
ここでは、OJTで必要とされる2つの育成スキルを紹介します。
1つ目は「ティーチング」スキルです。
経験豊富な人から経験が浅い人へ知識やノウハウを教えるためのスキルです。分かりやすい説明ができるか、上手く手本を提示できるかなどが問われます。
2つ目は「コーチング」スキルです。
主に対話を通じて対象者の能力・気力を引き出し、自己成長や自発的な行動を促すためのスキルです。上下関係を意識せず並走しながら目標達成を目指すスタンスが特徴です。
いずれも重要なスキルですが、習得のためには個別で研修を開催しなければならないほど奥深いテーマです。そのためOJTトレーナー研修のカリキュラムのなかでの実施は困難といえるでしょう。
こうした「重要なテーマなのに教える時間を確保できない」ような場合には、eラーニングの活用がおススメです。
eラーニングであれば個別で集合研修を開催する必要もなく、各自の好きな時間にweb上で受講できます。
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トレーナー同士のつながりをつくる
トレーナーが気軽に悩みや喜びを共有できるようにトレーナー同士のつながりをつくりましょう。
OJTが始まるとトレーナーはOJT対象者と1対1で過ごす場面が多くなり、定期的なOJTトレーナー研修上での振り返りや面談ではフォローしきれないケースもでてきます。
そのため、業務の合間などで気軽に相談できるトレーナー仲間は心強い存在です。
また成功事例の共有は、他のトレーナーへの良い刺激となり、互いのスキルアップにもつながります。
OJTトレーナー研修時にトレーナー間でコミュニケーションをとる機会を設ける、社内のチャットツールにトレーナー限定グループを作成するなどでトレーナー同士をつなげましょう。
OJTをトレーナー任せにしないためのポイント
OJTの課題として「トレーナー任せになってしまう」点がよく挙がります。
重要な課題である一方で、OJTトレーナー研修のみではフォローが困難です。
そこで以下では、OJTをトレーナー任せにしないためのポイントを5つ紹介します。
OJTの実施目的を明確に示す
OJTは、「意図的・計画的・継続的」なOJTを通じて、OJT対象者の「早期戦力化・業務へのモチベーションアップ・定着率の向上」を実現させることを目的に実施されます。
トレーナー1人に任せ、目的や計画のないままOJTを進めてしまうと、日々の業務の説明や指導のみとなってしまい、効果的なOJTを実施できません。
誰をどう育成するために実施するのか、組織全体で共通認識を持ってOJTを進めていくことが大切です。
トレーナーの業務負担を軽減する
トレーナーを担当していない社員が、一部業務を代理で行うなどの支援を行うことでトレーナーの業務を軽減します。
具体的には、同部署の社員がOJTに関係ない業務を一部受け持つ、サポート部門が事務処理を代行するなどです。
OJTに限らず「人材育成は組織全体で行う」という意識を全社員がもち、積極的に支援を提案できる風土づくりを目指しましょう。
OJTについてトレーナーが相談できる機会を設ける
トレーナーがOJTについての悩みや課題を相談できる機会を用意しましょう。
OJTにおいてトレーナーはOJT対象者から頼られる存在となるため、自らで解決しようと悩みや課題を抱えこみがちです。トレーナーが1人で悩みこむことなく、相談できる体制を整える必要があります。
実務内容を理解しているOJT対象者およびトレーナーの上司が相談役となり、個別面談を週1回など定期的に行うのが理想的です。
もし同じ部署内のトレーナー人数が多く、個別での面談が難しい場合は、部署内で「トレーナーミーティング」を定期開催する方法もあります。ただし個別面談に比べて、悩みや困りごとを打ち明けにくいため配慮が必要です。
また、日報や週報を取り入れている企業であれば「相談事項があれば遠慮なく記載する」などをルール化しておき、記載があったトレーナーに対して個別面談を実施するのもよいでしょう。
もちろん、現場でのトラブルなど緊急度が高い事案の相談先を明確にしておくことは必須です。
eラーニングでOJT・OJTトレーナー研修の負担を軽減する
eラーニングを活用することで、「OJT」および「OJTトレーナー研修」におけるトレーナーの負担を軽減できます。
まず、OJTでの負担軽減についてです。
OJTで行う業務の基礎知識についてまとめた動画マニュアルを作成し、eラーニングで配信します。
OJT対象者が動画で予習しておくことで、トレーナーは当日に重要ポイントを確認するのみで業務に取り掛かることが可能となります。
次に、OJTトレーナー研修での負担軽減についてです。
OJTと同様に、OJTトレーナー研修用の動画マニュアルを作成し、eラーニングで配信します。
トレーナーは好きなタイミングかつオンライン上での動画学習が可能です。
また、そもそもOJTトレーナー研修を行えていない企業も、実施の負担や手間が少ない「eラーニングを用いたOJTトレーナー研修」であれば開催できる可能性があるでしょう。
効果的かつ効率の良いOJT・OJTトレーナー研修を実施したい場合は下記の資料をご覧ください。
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他の人材育成手法も取り入れる
人材育成を効果的に進めるには、OJTだけでなく、複数の手法を組み合わせて実施することが効果的です。様々な手法がありますが、ここでは2つの人材育成手法を紹介します。
OFF-JT
OFF-JTとは、職場から離れた外部環境で行われる教育・訓練のことです。例えば基本的なビジネスマナーや名刺の交換方法など、ビジネスシーンで求められるスキルの土台を醸成するのに役立てることができます。
人材育成で大切なこと9つ|必要なスキル、ポイント、具体例を解説
自己啓発支援
自己啓発とは、社員が自発的に学習する機会を設けることを指します。例えば社員の業務に役立つ資格の取得を支援したり、書籍を購入して配布したりすることで、社員の知識・スキル・意欲・帰属意識の向上が期待できます。
まとめ
OJTトレーナー研修について、目的や実施メリット・デメリット、OJTトレーナーに向いていない人の特徴やOJTトレーナー研修の実施手順、優秀なトレーナーを育成するためのポイントなどを解説しました。
OJTトレーナー研修の目的は「OJTの効果を高めること」と「トレーナー自身の成長」です。
しかし、上記の目的を達成するには、人事担当者としてOJTトレーナー研修の実施手順やポイントを把握したうえで、定期的な面談による悩みの解消や、一部業務の代行などで支援していく必要があります。
また、OJTがトレーナー任せにならないように「人材育成は組織全体で行う」という意識で取り組み、即戦力となる人材を育成しましょう。
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- 「人材育成を行う時間と余裕がない」
- 「どのように人材育成を進めるべきかがわからない」
- 「社員自身が人材育成の重要性を認識できていない」
といった悩みを抱えています。
社員が成長し、事業成果をあげるためには、時代の変化や企業課題にあわせた適切な育成手法の選択が欠かせません。
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