本コラムは、会議室など参加者全員が一か所に集まって行う対面型の会議よりも、職場の自席や自宅のパソコンから参加するオンライン会議の割合が増えている方のために、オンライン会議をスムーズに進行して、対面型の会議と同等の効果を得るために必要な知識とコツをお伝えします。
今回は実践編、オンライン会議の進行で心がけたいことを、3つの場面「事前準備」「会議中」「会議終了時」に分けて解説いたします。
成功させるオンライン会議│実践編
オンライン会議の進行で心がけたいこと
1.事前準備
事前準備のポイントは4つです。
1)全員がストレスなく参加できる環境を用意する
2)会議のゴールを設定する
3)役割分担を決める
4)オンライン会議のルールを決める
1)全員がストレスなく参加できる環境を用意する
環境面と運営面、2つの切り口で解説いたします。
まずは環境面です。
①通信回線の速度と安定性を確保する
音声が途切れたり、ビデオが固まって動かなくなったりするのを避ける
②できるだけ画面の大きいパソコンを用意する
会議参加者全員の表情や様子がはっきり見えるようにする
③音声がクリアに伝わるようにする
周囲の音やキーボードをタッチする音などがマイクに入らないようにする
④カメラ映りを工夫する
カメラの位置を目線と合わせる、顔が暗く映らないようにする
※対策詳細はコラム「成功させるオンライン会議│基本編」を参照
次に運営面です。
①リマインダー(開催確認連絡)を漏れなく行う
会議参加者から「オンライン会議のURLがわからない」と会議開始直前に問い合わせが来ないように、メールやチャット、メッセンジャーなどで、オンライン会議のURLを確実に伝える工夫をしましょう。
②オンライン会議を早めに立ち上げる
オンライン会議に慣れていない参加者が会議開始直前に「アクセスできない」と慌てないように、オンライン会議のURLを早めに立ち上げておきましょう。
不安な方には早めにアクセスしてもらうように案内することで、うまく接続できなくても余裕を持ってトラブルシューティングを行うことができます。立ち上げ時刻の目安は会議開始5分前がおススメです。
もし、ストレスなく参加できる環境づくりのために何をやればいいかで迷ったら、この質問を自分自身に問いかけてください。
「全員がストレスなく参加できるにはどうしたらよいか?」
この質問の答えを一つひとつ解決することで、今の状態よりも安心して参加できるオンライン会議の環境ができるはずです。
2)会議のゴールを設定する
意思決定を行う、新しい企画のアイデア出しを行う、全員の理解を合わせるなど、会議のゴールはさまざまです。ゴールは大きく2つに分けられます。
ひとつは成果のゴール、そして、もうひとつは時間のゴールです。
- 成果のゴール
まずは何を会議のゴールにするかを明確にしましょう。意思決定を行うのであれば、何を意思決定するのか。
アイデア出しを行うのであれば、拡散まででよいか、収束まで行うか、といった感じです。ゴールが明確であれば、本題から外れてしまったり、途中で脱線してしまったりしても、すぐに本題に戻すことができます。 - 時間のゴール
時間のゴールは2つです。
ひとつはタイミング。この会議をいつまでに開催する必要があるか。
もうひとつは所要時間。この会議を何分かけてやるか。多くの仕事を抱えるメンバーの貴重な時間を割いて開催するため、無駄のないスケジュールを組む必要があります。
3)役割分担を決める
オンライン会議で最も大切な役割はファシリテーター(進行役)です。
会議の進め方の設計、意見の引き出し、論点の整理、合意形成といった、会議のゴールを達成するための推進役を担います。
オンライン会議の成否はファシリテーターにかかっているといっても過言ではありません。
もしオンライン会議に慣れていない場合は、予定時間内に話し合いが終わるようタイムマネジメントを行うタイムキーパーや、論点や議事内容を記録する書記を、ファシリテーターとは別に割り当てて、ファシリテーターが会議のゴール達成に集中できる環境を用意するとよいでしょう。
4)オンライン会議のルールを決める
参加者がオンライン会議に慣れていない場合、どうふるまったらよいかわからず、意見や反論があるのに発言を控えたりする場合がよくあります。
参加者の発言を漏れなく引き出すためにおススメなのが、会議の最初にオンライン会議のルールを周知することです。
例えば、
・カメラはオンで参加する
・発言しない時はマイクをオフ(ミュート)にする
・発言したいときの意思表示を決めておく(挙手、チャットなど)
・名前を名乗って発言する
・語尾をはっきり伝える
・発言は「以上です」で終える
発言は「以上です」で終える、をルールに含めたのは、オンライン会議における発言中の沈黙は、何かを考えているのか、発言が終了したのか、どちらを意味しているかがわかりにくいからです。
発言が終わったら「以上です」で締めることをルールにしておけば、沈黙は考えているという意思表示となり、ファシリテーターが焦って発言を促すことがなくなるからです。
これからオンライン会議を本格的に導入するのであれば、最初にオンライン会議のルールを参加者全員で議論して決めるのもおススメです。
自分が関わって決めたルールであればしっかり守ろうという意識が働きます。
2.会議中
会議中のポイントは4つです。
1)最初に発言しやすい雰囲気を作る
2)会議の目的、ゴールを共有する
3)チャットを活用する
4)資料共有を活用する
1)最初に発言しやすい雰囲気を作る
オンライン会議は対面型の会議と比べると発言が出にくい傾向があります。発言が出ないと会議が活性化しないため、気軽に発言できる雰囲気を作る必要があります。おすすめなのがチェックインというテクニックです。
テーマを1つ決めて、全員が短く(30秒~1分程度)話を回していく、ただそれだけです。
テーマは、例えば「最近うれしかったこと」「最近おもしろかったこと」など、誰でも話しやすいテーマを設定するのがおススメです。
会議の本題に入る前に自己紹介を兼ねて全員に語ってもらうことで、オンライン会議の本番に向けた発言の練習にもなり、本番の会議も盛り上がることでしょう。
2)会議の目的、ゴールを共有する
先ほど1.事前準備の「2)会議のゴールを設定する」で紹介した2つのゴール、成果のゴールと時間のゴールを会議の冒頭でファシリテーターから共有します。
最初に会議のゴールを共有しておくことで、本題から外れたときや脱線したときに軌道修正しやすくなります。
3)チャットを活用する
オンライン会議で、誰かの発言中に割って入るまでではないけど伝えたいことがある場合、おススメなのがチャットの活用です。
「意見があります」「質問があります」「提案があります」といったような意思表示をチャットで伝え、ファシリテーターがタイミングを見計らってチャットを取り上げることで、発言者以外の意思表示を汲み取って全員参加で会議を進めることができます。
4)資料共有を活用する
対面型の会議の場合、資料は事前に印刷して配布しないと全員で共有することはできませんが、オンライン会議の場合は、オンライン会議システムが提供する資料共有という機能を使えば自分のパソコンにある資料や、ブラウザで検索したページや動画などを、瞬時に共有することができます。
3.会議終了時
会議中のポイントは「振り返りを行う」です。
・決定事項の確認
・宿題がある場合、誰(担当者)が、いつまでに(期限)行うか
・次回会議を開催する場合は、開催日時と出席者
会議終了時に振り返りを行うことで、会議の成果ならびに次のアクションに対する全員の認識を合わせることができます。
オンライン会議システムの便利な機能
最もよく使われているZoomを題材に、オンライン会議システムが提供している便利な機能を紹介します。
- 画面共有
自分のパソコンの画面を参加者に見せることができる - ホワイトボード
フリーハンドで書いたイメージや数字などを、黒板やホワイトボードに書いているような感じで会議参加者に伝えることができる - チャット
会議参加者に文字メッセージを送ることができる - 反応
「いいね」や「拍手」など、いまの気持ちを直感的に伝えることができる - レコーディング
オンライン会議の様子を録画できる - ブレークアウトセッション
会議中に、設定した小部屋で個別の会議を行うことができる
まとめ
今回は実践編ということで、オンライン会議の進行で心がけたいことを、3つの場面「事前準備」「会議中」「会議終了時」に分けて解説いたしました。
よかったらご活用くださいませ。
成功させるオンライン会議│実践編