テレワークを余儀なくされる社会情勢の中で、各社様々な施策を取り入れており、今なお試行錯誤が続いています。
その中で成果を上げる施策と、そうでない施策があるようです。
いま求められる施策とはどのようなものなのでしょうか。
ぜひ自社の施策の振り返りも兼ねてお読みください。
目次
実は不評かもしれない、3つの施策
1. 常にカメラONで業務を行う
テレワークではマネジメントと、従業員自身の自己管理の難しさという観点から、「仕事をしている様子を見られる環境を作りたい」とおっしゃるマネジメント層が非常に多いのは事実です。
マネージャーからすれば、普段みんなが周りにいる中で働いているのだから、みんなとオンラインでつながった状態で仕事をするのは普通じゃないか。
という理屈も十分に理解することができます。
しかしこの施策は失策に終わることが多いようです。
その理由は「チームでつながっている」という感覚よりも、「監視されている」という感覚が上回るからだそうです。
常に正面からまじまじと覗き込まれているような気分になるというのは納得できますし、何よりも信頼していないと言われているように捉えられてしまうのでしょう。
また現状でテレワークが行われる場所はそのほとんどが自宅です。
つまり業務中常にカメラをONにするという事は、私生活の一端が覗かれる(書斎などがあれば別ですが…)と思われるケースもあります。
実際に「テレハラ」「リモハラ」などという言葉が登場するなど、メリット以上にデメリットの多い施策と言えそうです。
2. 手厚すぎる設備・備品の提供
一見、成果が上がるようにしか見えない本施策も、必ずしもそうとは言えないようです。
例えば「モバイルPCでは画面が小さい」→「モニターを支給しよう!」や、「資料を印刷して確認したい」→「プリンターを貸与しよう!」といったケースです。
このように従業員のニーズに素早く対応する姿勢は、企業としては素晴らしく、頭が下がります。しかしその実情として、導入してみると使い勝手が悪かったりと不評な面も多いようです。
その理由は「業務上あった方が便利」であることは間違いないのですが、業務を行う場所が自宅であるという所に誤算がありました。
機器を支給されたのは良かったのですが、置くスペースが無いという事。仕事中は問題ありませんが、そこは仕事場であると同時に家でもあり、生活する上では「邪魔でしかない」というわけです。
結果、箱から出されずいわゆる箪笥の肥やしと化している事も。しかし会社に言うわけにもいかず、隠れた無駄なコストになっているかもしれません。
3. 様々な会議への参加
テレワークによってオンライン会議が当たり前に普及し始めたことで、会議が場所や移動時間の制約を受けずに開催できるようになりました。これ自体は非常に良いことです。それでは何が問題なのでしょうか。
それは「会議が増えた」ことです。
今までであれば、会議室のスペースや前後の予定との兼ね合いで、重要度が高くない会議には参加しないという事も間々ありました。
しかしオンライン会議では場所や移動時間の制約を受けないため、予定が丸被りしていなければ参加可能。
それだけでなく、気軽に会議を行えることから「もしかすると、念のため、聞いておいてもらった方が良いかも」というレベルの会議にもアサインされる事が増えているようです。
もちろんアサインする側は良かれと思っての行動なので、悪意などはありません。しかし結果としてあまり関係のない会議にも参加せざるを得なくなり、業務が進まないという問題も。
便利なツールも使い方によっては毒にも薬にもなるようです。
ぜひ取り組みたい、3つの施策
1. オンラインランチ会の開催
前項で「常にカメラON」は監視されているようで嫌だと感じる人が多いと書きました。
しかし「報連相のタイミングがつかめない」「一人で仕事をしているように感じる」という意見もたくさん存在します。
そこでいま導入する企業が増えているのが「オンラインランチ会」です。
ランチタイムという限られた時間を設定し、その中でチーム内のコミュニケーションを取っていこうという取り組みです。
この取り組みでコミュニケーションを活性化させることができるのに加え、仕事の相談や進捗確認も気軽に行えるようになります。
また子どもが家にいるなどの理由から参加できない人に配慮して、特定の時間だけ全員がオンラインで仕事をするようにしたり、週に1度くらいの頻度で業務時間中に「チーム雑談会」を開催しているいる企業も登場してきました。
ランチ会に限らず、このような取り組みが新しい時代のマネジメントスタイルになっていくのかもしれません。
2. テレワーク手当の導入
業務に最低限必要な設備・備品は提供する必要があります。
しかし一方で、従業員各々の住環境によって必要とされるものは若干異なります。
前述のケースではモニターやプリンターを取り上げましたが、既にモニターやプリンタを持っていると言った場合には、付属品や消耗品を支給するほうが有効であったりします。
また業務の必需品ではありませんが、人によってはテレワークの環境整備をするうえで、イスとテーブルの導入なども重要な要素になります。
このように個々人の細かいニーズに応え、生産性の向上に資するための援助として、一律の手当を支払う事例もあります。
従業員数や業務内容により、各社によってベストな対応は異なると思いますが、それぞれの課題に対して柔軟性のある支援を行うことは有効であると考えられます。
3. リモート朝礼の実施
毎朝特定の時間を定めて、全社朝礼を行います。
ありきたりな施策のように思われるかもしれませんが、テレワーク下の環境において、その効果は非常に大きいと考えられます。
まず朝礼を行うことで業務開始のメリハリがつきます。オン・オフの切り替えが難しいと言われるテレワークにおいて、一つの解決策ではないでしょうか。
またある企業では毎朝、社長がお話をしているそうです。
コミュニケーション不足によるチームワークの低下が問題視される中、トップからのメッセージを日々伝えることで、理念の浸透や仲間意識の醸成に一役買っています。
このような手法は企業規模や拠点数に拘わらず導入できることが特徴です。
テレワークにおいてはインターネット環境があることと、オンライン会議システムが導入されていることが前提にあると言っても過言ではなく、まさにテレワーク時代ならではの手法であると言えるでしょう。
ただし、メリハリをつけるために比較的短い時間で、ダラダラと行わないことが秘訣のようです。非常に有効な取り組みではありますが、やりすぎは禁物という事です。
まとめ
テレワークにおいて様々な取り組みが行われる中で、会社主導で従業員を牽引することは不可欠です。
しかしながら現場で働く個人を置き去りにした施策や、性悪説にとらわれた施策では中々効果は出ないようです。
まずは自社の社員を信じ、寄り添い、必要なフォローを必要な分だけ行う事。
そしてトライアンドエラーを繰り返し、時にはこれまでの決定や施策を覆す決断も必要になってきます。