活躍する社員を育てるためには、社員教育プログラムが非常に重要です。ただ一方で、結果が出るまでに長い時間を要するため、企業は中長期的に社員と向き合う姿勢が必要になります。
そこで本記事では「社員教育プログラムに適したテーマは?」「社員教育プログラムの重要なポイントは?」といった疑問を解消するため、社員教育プログラムの目的やおすすめのテーマ、プログラム作成時の重要ポイントなどを詳しくご紹介します。
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目次
社員教育プログラムとは
社員教育プログラムとは、全社員を対象とした中長期的な教育プログラムを指します。社員教育を丁寧に行うことで、社員個々人のスキルアップが期待できるだけではなく、会社への帰属意識向上などを期待することができます。結果として、会社に利益をもたらす人材として中長期に渡る活躍を期待できるのです。
社内研修プログラムとの違い
類似語として「社員研修プログラム」があります。社員教育プログラムが全社員を対象として、中長期的に実施するのに対し、社員研修プログラムは対象者を限定し、短期的に実施されるという特徴があります。
一般的には役職や階層別に研修内容が区別され、内容も具体的なものが多くなっています。したがって社内研修プログラムは、社員教育プログラムの一種ということができます。
社員教育プログラムを作る目的
社員教育プログラムを作る大きな目的は、会社の利益向上です。
会社の利益を向上させるためには、社員全員が同じ方向を向いてまい進する必要があります。また、常に一人ひとりがスキルアップを行い、日々のパフォーマンスを向上させていくことも必要になります。これらは短期的かつ限定的な社員のみを対象にしたプログラムでは補うことができないため、全社員に共通したプログラムを継続的に実施する必要があるのです。
また、リスクマネジメントやコンプライアンス順守など、一人の社会人として重要な事項も漏れなく伝達することができます。社員教育プログラムによって全社員の認識を統一することで、全社員の安心かつ安全な会社生活を保証することもできるのです。
社員教育プログラムに含めるべきテーマ
社員教育プログラムには実際にどのようなテーマに取り組むべきなのでしょうか。社員教育に含むべき代表的なテーマを10個ご紹介します。
理念やビジョン
まず大切になるのは、理念やビジョンをテーマにすることです。理念やビジョンは会社としての考え方の根底となるもので、理念やビジョンの理解が会社への帰属意識につながることも少なくありません。
また、会社の考えを明確に示すことができる理念やビジョンを、社員一人ひとりが正しく理解しておくことも非常に重要です。会社として何を正解とするのかが明確になるため、社員に主体的な行動を望むこともできます。
入社時のタイミングではテーマに挙がりやすいですが、日々の業務の中で内容を忘れてしまう人も少なくありません。今一度、改めてテーマとして設定してみるのはいかがでしょうか。
目標設定と目標達成
目標設定や達成について会社としてどのように捉えているのか、社員に伝える場として社員教育プログラムは非常に有効です。
適切な目標を設定するためには、まず会社全体の目標を正しく理解する必要があります。その上で自分が所属する部署やチーム、さらには個人がどのような役割を担うべきなのかを認識していくのです。しかし、社員一人ひとりが会社全体の目標を理解していなければ適切な目標設定はできません。
また、目標を達成することに意味を見出すのか、そうではなくプロセスも評価するのかといった点は、会社と社員が認識をすり合わせるべき事項だと言えるでしょう。
実際の目標設定は部署やチームで別途実施してもらうことを前提に、目標に対する会社のスタンス提示としておすすめのテーマです。
ビジネスマナー
新入社員向けのテーマとしておすすめなのが、ビジネスマナーです。ここで言うビジネスマナーには、挨拶や言葉づかい、敬語の使い方や電話応対などを含みます。
近年リモートワークが普及し、対尾での名刺交換の機会や来客応対の機会は減っているかもしれません。しかし社会人の常識として、正しく知識をインプットすることも会社の役目と言えるでしょう。
ビジネスマナーは毎年同じプログラムで実施するのではなく、その年の新入社員の認識に合わせた内容に微修正を加えていくのがおすすめです。マナーに対する価値観は年々変化しているため、価値観のすり合わせから行っておくのが安心といえます。
ビジネスマインド
こちらも新入社員向けのテーマとしておすすめなのが、ビジネスマインドについてです。ここで言うビジネスマインドとは、社会人としての心構えやタイムマネジメント、セルフモチベーションなどを指します。
セルフモチベーションについては、自分自身で日々学びの歩みを止めないことをきちんと伝えることが重要です。会社内に学びを支援する内容がある場合には、この機会にアピールし活用を促すのも良いでしょう。
コミュニケーション
報連相やプレゼンのコツといった新卒向けの内容はもちろん、リモートワークが増えた現在の状況を踏まえた内容をテーマに設定するのもおすすめです。
リモートワークと出社というように、勤務場所が分かれることで生じるコミュニケーションロスは少なくありません。したがって、どのように伝えると自分の意見と相違なく伝わるのかなど、コミュニケーションのテクニックのような内容もきちんと伝えておくのが良いでしょう。
働き方が多様になっているからこそ、全社員に対してあらゆる状況を想定したテーマを伝えておくことが大切です。
ビジネスシンキング
一人のビジネスマンとして、ビジネスシンキングについて正しく伝えることも大切です。
全社員に対する教育の場でビジネスシンキングについて伝えることで、全社員が共通言語を持つことができます。その結果、さらにスムーズな業務上のコミュニケーションを期待できるでしょう。
また、ビジネスを行う上で重要となるロジカルシンキングなど、あらゆる思考法について伝授することも大切です。言語だけではなく、共通の思考法をインプットすることでさらにビジネスをスムーズに行うことができるようになります。
各種ハラスメント
会社員として働いていく上で、各種ハラスメントについて正しい知識を持っておくことも大切です。正しい情報を会社が発信することで、あらゆる従業員が被害者になることはもちろん、加害者になることを防ぐことができます。
いわゆる「パワハラ」「セクハラ」などの代表的なハラスメントに留まらず、近年は「マタハラ」「アルハラ」など、様々なハラスメントがあります。昔は大きな問題にならなかったことも、現代では大きな問題になることが少なくありません。若手社員はもちろん、経験が長い社員についても積極的に情報をアップデートすることが大切です。
コンプライアンス
あらゆるものがオンラインに代替されるようになり、働き方も多様化したからこそ、コンプライアンスの重要性が強く問われるようになりました。コンプライアンスとは、行動規範や就業規則の遵守、情報漏洩の防止などが挙げられます。
会社ごとに万全の対策をしていたとしても、社員1人ひとりが守れていなければ意味がありません。なぜコンプライアンスを遵守する必要があるのか、また違反した場合には会社にとってどのようなリスクやマイナスがあるのか、きちんと解説することが大切です。
情報セキュリティ
情報セキュリティについても、働き方の変化とともにこれまで以上に重要性が問われるようになりました。オンラインでのやり取りが増えたことにより、情報が漏洩するリスクが高くなっています。また、働く場所についても制約が少なくなったことで、他社の人に情報が漏洩するリスクも高くなっています。
情報セキュリティは、日々変化する様々なリスクに対応するためにも、社員一人ひとりが日々意識する必要があります。また、内容によっては会社が多くの賠償金を払う必要などが生じる場合もあり、リスクヘッジの観点でも教育は重要です。
チームビルディング
メンバー一人ひとりの価値の最大化、チームとしての成果を高めるために、チームビルディングもテーマとしてよく取り上げられています。メンバーそれぞれの主体性を引き出すことはもちろん、このプログラムをきっかけに部署内のコミュニケーション量を増やすなど、副作用的な効果を期待することも可能です。
また、チームビルディングは1回の研修で結果が出るものではないため、中長期的に取り組む社員教育プログラムとしても適しています。
社員教育プログラムに用いる育成手法
社員教育プログラムにはどのような育成手法があるのでしょうか。
代表的なプログラムを幾つかご紹介します。
集合型研修
集合型研修は、文字通りプログラム参加者が集合して実施される研修です。会議室や研修室などを活用し、参加者が同じ空間にいながらプログラムに参加できる点が特徴です。
直接参加者同士のコミュニケーションが取れるため、議論が必要なテーマについても積極的に実施することが可能です。また、着席する座席を変えることで異なるメンバーとのコミュニケーションを容易に行うことができることから、メンバー構成を変えた議論も行いやすい点が特徴です。
また、ボディランゲージを活用した会話もできるため、コミュニケーションの細かなニュアンスも伝わりやすいと言えます。
オンライン研修
オンライン研修はオンライン上にプログラム参加者が集合し、実施される研修です。リモートワークの急速な普及と共に、オンライン研修の需要が急速に拡大しました。プログラム参加者は、各自の自宅などから参加できるため、気軽にプログラムへ参加することができます。
参加自体のハードルは下がる一方で、オンラインを介したコミュニケーションは時差や齟齬が生まれやすく、密な議論を行うことは難しいかもしれません。そのため、研修内容次第ではオンライン実施が難しいこともあるでしょう。
eラーニング
社員それぞれに対して研修を実施する場合におすすめなのが、eラーニングです。eラーニングはオンラインでの教育プログラムを指します。ただしオンライン研修とは異なり、社員それぞれが決められた期間内であれば、好きなタイミングで必要なプログラムを受講できます。
プログラムはオンライン上にあるため、何度も繰り返し復習することが可能です。そのため、社員一人ひとりに知識を付けてもらうことを促すような内容に適しています。ただし、基本的には個人学習向きに設計されていることが多く、複数人で同時受講するのは難しいでしょう。
社員教育プログラム作成の重要ポイント
社員教育プログラム作成の重要ポイントを見ていきます。ポイントを押さえたプログラムを作成することで、社員にとってより効果的な内容にすることができます。
新入社員から役員までを対象とする
対象者を決定する際には、特定の役職や階層に制限するのではなく、新入社員から役員までを広く対象にすることが大切です。受講対象者を制限しないことで、全社員に共通認識を持ってもらうことが可能です。前提知識が年次によって異なるテーマの場合には、プログラムの内容や受講日の調整を行いましょう。
教育を受け損ねる社員がでないようにする
全社員を対象に教育を行おうとしても、適宜入社者が発生するとコントロールすることが難しくなる場合があります。そのため、全員が同じプログラムを受けることができるよう、年間のプログラム設計はもちろん、入社者に順次対応するプログラム設計もしっかり立てておく必要があります。
1年から2年をひとつのサイクルとして、網羅的に全ての教育プログラムを受講できる環境づくりを行いましょう。
社員の負担に配慮する
プログラム実施には時間的拘束が伴うため、頻繁に実施してしまっては従業員の負担になりかねません。そのため、社員の負担には配慮して研修を実施する必要があるでしょう。
プログラムの時間を短くするのではなく、時間に猶予を持って開催を告知するなどの工夫も大切です。社員に快く参加してもらうために、社員負担を最小限にすることを心掛けましょう。
フォローまで考慮する
プログラム終了後は、学びが定着するようなフォローまで考慮に入れることが大切です。やって終わりであれば、せっかくの知識がすぐに忘れ去られてしまうかもしれません。そのため、継続的に学べるような工夫や、一定期間を空けて振り返りを行うなどの工夫が必要です。
また、フォロー体制は年次や役職によって変化を加えた方が良いかもしれません。内容を鑑みながら、最適な方法を見つけられるように工夫しましょう。
社員教育プログラムの例
では最後に、社員プログラムの例をご紹介します。
プログラム構成としては、全プログラムを半年から3年程度掛けて全て受講できるような設計がおすすめです。1年間で全て完結するプログラム設計にすると、途中で入社した人に対応することができず、教育を受け損ねる人が出てきてしまう可能性があります。そのため、一定期間をかけて全てのプログラムを受講できるように設計するのがおすすめです。
<例>
- 入社時:理念やビジョンに関するプログラム
- 入社年:各種ハラスメント・コンプライアンス・情報セキュリティ
- 2年目:コミュニケーション・チームビルディング
- 3年目:ビジネスマインド・ビジネスシンキング
このような内容にしておくことで、社員それぞれが均等に教育を受けることが可能です。
まとめ
本記事では、社員教育プログラムの目的やおすすめのテーマ、そしてプログラム作成時の重要ポイントなどをご紹介してきました。
社員教育プログラムを実施して、社内に文化として浸透させていくことは非常に大変です。時間や労力がたくさん掛かるものの、掛けた分だけ会社の力として活用することができるでしょう。
実行と共に変化を加えながら、ぜひ会社の特徴を活かした内容を準備してみてはいかがでしょうか。
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