研修をやりっぱなしにすると、どうなるの?│研修を「やりっぱなし」から「役に立つ」に変えるには? 第1回

「やりっぱなし」で終わっているといわれる企業内研修を「役に立つ」研修に変える方法として学習を行動に活かす「研修転移」の考え方が注目されています。

この記事では、ハイブリッド研修を活用して、「研修転移」を実現する方法を全3回にわたって解説します。

連載第1回の今回は、「やりっぱなし」研修の問題点とそれを変えるための研修評価のやり方について解説します。

 

研修を「やりっぱなし」から「役に立つ」に変えるには?(全3回)

第1回:研修をやりっぱなしにすると、どうなるの?

第2回:学習を行動に活かす【研修転移】

第3回:ハイブリッド研修のすすめ

研修の効果は約1割?

多くの企業では、研修を実施した後、受講者がその研修で学んだことを現場で実践し、成果を出しているかどうかは評価されておらず、そのため、改善しようにもその方法もわからない「やりっぱなし」状態になっているのではないでしょうか。

研究機関による調査では、研修で学習した内容を現場で実践する割合は、10%~40%に過ぎないという結果が出ています。

また、別の調査では、研修直後には、約半数が学習した内容を現場で実践しているが、1年後には約1割しか実践しなくなるという結果も出ています。

つまり、研修を「やりっぱなし」にすると、その効果は時間が経つにつれて減少し、最終的には1割程度にしか過ぎなくなってしまうということです。

研修評価の4段階モデル

研修を「やりっぱなし」にしないための最初の対策は評価を行うことです。

多くの企業では、研修直後にアンケートを実施して、その結果を研修評価としています。

しかし、研究機関の調査結果を見ても、研修の効果は時間が経つにつれて減少していきますから、研修直後の1回だけの評価だけでは不十分といえます。

それでは、どのタイミングで研修の評価を行えば良いのでしょうか。研修評価のタイミングとやり方を考えるうえで参考になるのが、カークパトリックの「4段階評価モデル」です。

このモデルでは、研修評価のタイミングと方法を4段階に分類しています。

 

レベル1:反応(Reaction)

受講者の研修に対する印象や感想による評価で、受講者の自己申告による「満足度」、「有用度」、「理解度」などが評価項目になります。研修直後にアンケート形式で行われるのが一般的です。

レベル2:学習(Learning)

受講者が知識や技術を獲得したかどうかによる評価で、研修内容に沿った知識の有無やスキルレベルが評価項目になります。研修中、もしくは研修直後に行われる確認テストやロールプレイング形式で行われるのが一般的です。

レベル3:行動(Behavior)

研修によって行動が変化したか、研修内容を現場で実施しているかどうかによる評価で、研修内容の現場での活用度が評価項目になります。受講者や上司に対するアンケートやヒアリングを研修終了後長期間にわたって継続的に行う必要があります。

レベル4:成果(Results)

研修によって行動が変化した結果、ビジネスにどのような影響を与えたかによる評価で、営業成績(売上)や離職率などが評価項目になります。確立された評価手法はなく、長期にわたって多数のデータを集めて統計的に関係性を評価する必要があります。

例えば、代表的なクラウドLMSのひとつであるAirCourseの場合、マルチデバイスで遠隔地でも受講可能なので、レベル1:反応レベル2:学習などは、eラーニングに置き換えて教育するのもいいでしょう。

研修後の現場での行動評価が重要

カークパトリックの「4段階評価モデル」に基づいて現状を見てみましょう。

ほとんどの企業が、研修後のアンケート調査は毎回行っており、研修の内容によっては、確認テストやロールプレイングを実施しているというのが現状ではないでしょうか?

これは、「4段階評価モデル」におけるレベル1とレベル2の中間ということになります。

確認テストやロールプレイングが一部の研修に限定される理由は、おそらく、評価の実施に必要な作業工数やコストが十分ではないためでしょうから、人員と予算さえつけば、レベル2までは到達できることになります。

問題は、レベル1とレベル2のどちらも研修中、もしくは研修直後に行われる評価であって、研修の効果が現場で発揮されているかどうかの評価にはならないという点です。

研究機関の調査結果を見ても、研修の効果は時間が経つにつれて減少していきますから、本当に必要な評価は、レベル3の行動評価といえます。

行動評価を行うためには、研修内容の成果として期待される行動の変化を定義した上で、受講者や上司に対するアンケートやヒアリングを研修終了後長期間にわたって継続的に行う必要があります。

しかし、仮に行動評価が実施できたとしても、時間が経つにつれて研修効果が減少しているという結果が出る可能性が高いことは、研究機関の調査結果を見ても明らかです。

したがって、行動評価の仕組みを作るのと同時に、研修で学習した内容を行動につなげる施策の実施が必要となります。

まとめ

研修を「やりっぱなし」にすると、その効果は時間が経つにつれて減少し、最終的には1割程度にしか過ぎなくなってしまいます。

研修を「やりっぱなし」にしないための最初の対策は評価を行うことですが、カークパトリックの「4段階評価モデル」に沿って現状を見ると、レベル1の反応評価とレベル2の学習評価のレベルにとどまっています。

これでは、研修の効果が現場で発揮されているかどうかの評価にはなりませんので、レベル3の行動評価の実施が重要となります。

しかし、行動評価の評価の実施だけでは、研修で学習した内容を行動につなげる施策としては、不十分といえます。

 

次回は、学習を行動に活かすための「研修転移」の考え方と、それを実現するためにやるべきことについて解説します。

 

研修を「やりっぱなし」から「役に立つ」に変えるには?(全3回)

第1回:研修をやりっぱなしにすると、どうなるの?

第2回:学習を行動に活かす【研修転移】

第3回:ハイブリッド研修のすすめ

 

ABOUTこの記事をかいた人

平井 明夫

ソフトウエアベンダーやコンサルティング会社で20年以上にわたりコンサルティング、企業経営に携わる。現在は、IT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら、データ分析、人材管理、LMSなどに関する講演・執筆活動を行っている。