ITパスポートは、IT技術者だけを対象とした資格ではなく、ビジネス、IT、情報セキュリティ、コンプライアンスといった幅広い知識が身につく全ての社会人を対象とした資格です。
この記事では、ITパスポートの内容と、全社員がITパスポートを取ることで得られる企業のメリットを全4回にわたって解説します。
「ITパスポートを全社員に取らせるべき3つの理由(全4回)」
第2回:ITパスポートは幅広いビジネス知識が身につく
第4回:ITパスポートは情報セキュリティとコンプライアンス意識を高める
連載第2回の今回は、全社員がITパスポートを取得することで期待できる効果のひとつ「ITパスポートは幅広いビジネス知識が身につく」と題して解説します。
目次
自己啓発に依存しているビジネス知識の習得
ビジネスモデルが大きくかつ急速に変化している昨今のビジネス環境において、このような変化に企業が迅速に対応するためには、経営層はもちろんのこと一般社員に至るまで全社員が基礎的なビジネス知識を持っていることが必須となっています。
しかし、実際の企業内教育の現場では、ビジネス知識の教育は、経理部門であれば会計、マーケティング部門であればマーケティングというように業務に関連する範囲に限られており、それ以外の業務に関係ない分野まで含めた幅広いビジネス知識の習得は、社員一人一人の自己啓発に頼っているのが現状ではないでしょうか?
ITパスポートは、職種や職位を問わず全ての社会人を対象としており、経営・組織論から会計・財務にいたる幅広いビジネス知識を習得することで、社員全員がビジネスに対する理解を深めることができます。
ITパスポートで身につくビジネス知識とは
ITパスポートで身につくビジネス知識の主要な項目は、以下の6つになります。
1.経営・組織論
● 株主総会,決算,CSR,ディスクロージャ,監査といった企業活動に関する基本的な考え方
● ステークホルダ,ワークライフバランス,ダイバーシティ,OJT,Off-JT,e-ラーニング,メンタルヘルス,HR テックといった経営資源に関する基本的な考え方
● PDCA,BCP, BCM, リスクアセスメント, MBO,HRM,タレントマネジメントといった経営管理に関する基本的な考え方
● 事業部制,機能別組織,職能別組織,マトリックス組織,プロジェクト組織,カンパニ制,持株会社,CEO,CIOといった経営組織に関する基本的な考え方
2.OR(Operations Research)・IE(Industrial Engineering)
● パレート図,ABC 分析,PERT,散布図,レーダチャート,管理図,ヒストグラム,回帰分析といった業務分析と業務計画に関する基本的な考え方
● 特性要因図(フィッシュボーンチャート),シミュレーション,在庫管理,与信管理,発注方式といった効率的な意思決定に関する基本的な考え方
● ブレーンストーミング,デシジョンツリー,親和図法といった問題解決手法に関する基本的な考え方
3.会計・財務
● 利益,粗利益,営業利益,損益分岐点,原価,変動費,固定費,販売量,変動費率といった売上と利益の関係に関する基本的な考え方
● 貸借対照表,キャッシュフロー計算書,資産,負債,流動比率,収益性,効率性,安全性,投資利益率といった財務諸表や勘定科目などの種類と役割に関する基本的な考え方
4.経営戦略手法
● SWOT分析,PPM,外部環境,内部環境,3C分析といった経営情報分析手法に関する基本的な考え方
● 競争優位,イノベーション,コアコンピタンス,ニッチ戦略,アライアンス,アウトソーシング, M&A, OEM,ファブレス,フランチャイズチェーン,MBO,TOBといった経営戦略に関する基本的な考え方
5.マーケティング
● 市場調査,顧客満足,UX,4P・4C,RFM分析,セグメントマーケティング,ダイレクトマーケティング,オムニチャネル,リスティング広告,プッシュ戦略,プル戦略といったマーケティングに関する基本的な考え方
6.ビジネス戦略と目標・評価
● BSC,CSF,KGI,KPI,バリューエンジニアリングといったビジネス戦略立案及び評価のための情報分析手法に関する基本的な考え方
このようにITパスポートは、ビジネスに必要となる基礎知識を網羅的に身につけるためには、うってつけの資格であるといえます。
専門資格や専門研修よりも効率的に要点を学べる
ITパスポートで習得できるビジネス知識は基礎的な内容ですので、他の専門資格や専門研修でもカバーしている内容ばかりです。
しかし、ITパスポートのように基礎的な内容に絞って広い範囲を網羅した内容のものは他にはありません。
例として、「会計・財務」を見てみましょう。ITパスポートの出題範囲とその細目は以下のようになっています。
会計・財務知識とされる項目の中でも、売上と利益の関係と財務諸表や勘定科目などの種類と役割に関するものに絞り込まれており、経理や財務部門以外の一般的な社員が知っておくべき知識が効率的に身につくようになっています。
実際にeラーニングの大手であるKIYOラーニング社のITパスポート合格コースカリキュラムでも、「会計・財務」に関するコンテンツの再生時間は約30分で終わるようになっています。
このようなITパスポートの学習効率の良さは、他の専門資格と比較するとより明確になります。
例として、「会計・財務」関連の代表的な専門資格である簿記検定と比較してみましょう。
簿記検定は初級レベルから順に、3級、2級、1級の3段階の資格がありますが、ITパスポートでの「会計・財務」相当の知識が必要とされるのは、初級レベルの簿記3級ではなく、中級レベルの簿記2級になります。
簿記検定では、試験科目が商業簿記と工業簿記の2種類に分かれていて、それぞれの定義は以下のようになっています。
● 商業簿記
購買活動や販売活動など、企業外部との取引を記録・計算 する技能で、企業を取り巻く関係者(経営管理者・取引先・出資者等)に対し、適切、かつ正確な報告(決算書作成)を行うためのもの
●工業簿記
企業内部での部門別や製品別の材料・燃料・人力などの資源の投入を記録・計算する技能で、経営管理に必須の知識
企業が全社員に習得を期待するのは、経営管理のための会計・財務知識ですから、簿記検定でいうところの工業簿記がそれにあたります。
しかし、簿記3級では、工業簿記は受験科目に含まれておらず、ITパスポートと同等な知識を習得するためには簿記2級レベルの学習が必要となります。
ちなみに、eラーニングの大手であるKIYOラーニング社の簿記2級合格コースカリキュラムは、43講座で構成されており、学習時間の合計は約14時間となっています。
このように、ITパスポートは、通常は複数の専門の資格や研修にまたがった幅広い内容から、一般社員が必要とするエッセンスを集約して、効率的に学習できる資格だといえます。
まとめ
ビジネスモデルの変化に企業が迅速に対応するためには、全社員が基礎的なビジネス知識を持っていることが必須となっていますが、業務に直接関係ない分野まで含めた幅広いビジネス知識の習得は、社員一人一人の自己啓発に頼っているのが現状です。
ITパスポートは、職種や職位を問わず全ての社会人を対象としており、経営・組織論から会計・財務にいたる幅広いビジネス知識を習得することで、社員全員がビジネスに対する理解を深めることができます。
ITパスポートで身につくビジネス知識の主要な項目は、以下の6項目にわたり、ビジネスに必要となる基礎知識を網羅的に身につけるためには、うってつけの資格であるといえます。
- 経営・組織論
- OR・IE
- 会計・財務
- 経営戦略手法
- マーケティング
- ビジネス戦略と目標・評価
ITパスポートで習得できるビジネス知識は、他の専門資格や専門研修でも習得できますが、ITパスポートのように基礎的な内容に絞って広い範囲を網羅した内容のものは他にはありません。
例えば、「会計・財務」に関しては、ITパスポートでは、売上と利益の関係と財務諸表や勘定科目などの種類と役割に関するものに絞り込まれており、経理や財務部門以外の一般的な社員が知っておくべき知識が効率的に身につくようになっています。
一方、「会計・財務」の専門資格である簿記検定では、、ITパスポートでの「会計・財務」相当の知識が必要とされるのは、初級レベルの簿記3級ではなく、中級レベルの簿記2級になります。
このように、ITパスポートは、通常は複数の専門の資格や研修にまたがった幅広い内容から、一般社員が必要とするエッセンスを集約して、効率的に学習できる資格だといえます。
次回は、全社員がITパスポートを取得することで期待できる効果のうち「ITパスポートはITリテラシーを向上させる」について解説します。
「ITパスポートを全社員に取らせるべき3つの理由(全4回)」
第2回:ITパスポートは幅広いビジネス知識が身につく
第4回:ITパスポートは情報セキュリティとコンプライアンス意識を高める
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