人事の役割は「withコロナ時代の新しい働き方」でどう変わる?

新型コロナウイルスの影響により、働き方は大きな変化を余儀なくされました。従業員の働き方が変われば、当然ながら人事に求められることも変化していきます。

本コラムでは人事の主な役割を「労務」「採用・教育・評価」「組織づくり・その他」にわけて、どのような変化が起きているのかご紹介します。

【労務】

1. 勤怠管理

勤怠管理においては、正確な労働時間の把握が求められます。

これまでは原則としてオフィスに出社していたため、タイムカードの運用で問題ありませんでした。
しかしテレワークを行う上ではそうも言っていられません。

また従来は入退出の履歴や、周囲の目で概ねの出退勤時間を把握することはできていましたが、それも困難です。

このような背景から、システムの導入やルール設計などが急務となります。

2. 各種届出など

入退社に伴う保険関連の届出や、雇用契約の締結などはテレワークであっても回避することはできない業務です。

これらの業務についてもシステム導入がお勧めです。

現在、保険関係の電子申請や、雇用契約の締結をオンラインで行うサービスも登場しています。

コストや機能の兼ね合いから、適切なシステムをチョイスすることが重要です。

採用・教育・評価

1. 人材採用

採用に関しては、原則オンライン会議システムを使用すればこれまでよりも手軽に面談が可能なので、むしろ楽になったと言えます。

加えて遠隔地に居住するの人材も採用ターゲットになりえるので、メリットは大きいのではないでしょうか。

一方で課題としてよく耳にするのは「オンラインでは細かい部分まで見極められれない」という点です。

そのため採用はオンライン化しないという方針が根強く残る企業も多々あります。

この解決策の事例としては、最終面接のみをオフラインで行うという手法が挙げられます。

最終以外を適性検査やオンライン面接に切り替えることで、最小限の出社におさえることが可能です。

また面接手法だけでなく、雇用形態の工夫によっても解決が可能です。
例えば入社3か月までは業務委託の契約を結んだり、まずは一定期間の有期雇用契約を結ぶなどです。

これも多様な働き方の一環として、今後は導入が進むのではないかと考えられます。

2. 人材育成

現在、集合型の研修は実施が難しいと言わざるを得ない状況です。
しかしながら従業員の育成は、会社にとって大切な要素なのは変わりありません。

またリモートワーク下ではOJTもこれまでのように細かくフォローができず、難しい局面を迎えています。

そこでいま求められるのは、育成計画と実施方法の見直しです。

これまでの研修やOJTを単純にオンラインで実施するだけでなく、eラーニングや動画マニュアルの導入など抜本的な見直しと効果検証が必要です。

3. 人事評価

多くの会社において成果だけでなく、姿勢やプロセスを成果の基準にしていると思います。

しかしテレワークが進むと、判断材料が減ってしまい、成果以外の評価をつけるのが難しくなってしまいます。

そこでテレワーク下であっても不公平感が出ず、適正に運用できる評価制度を設計する必要があります。

評価制度を見直すのには、多大な労力がかかります。
しかし現在、そしてこれからの働き方の変化は、それすらも必要なほどの大きな変化であると理解してください。

もちろんこれを明日から刷新すべきと言っているのではありません。
今から数ヶ年計画でプロジェクトを進行し、中期的な目線をもって今から準備をすることが重要です。

組織づくり・その他】

1. チームワークの醸成

これまでは業務を通じてコミュニケーションをとり、マインドなどの目線合わせや、モチベーションの管理、仕事の動機づけなどを行ってきました。

ところがテレワークによってコミュニケーションの絶対量が減ってしまい、それも困難に。

そこで今注目されているのが社内イベントです。

数年前から経営理念やビジョンの浸透を目的にしたイベントの実施が流行し始めていましたが、いまこそ、その必要性が高まっています。

代表的なものとしてオンライン食事会であったり、オンライン謎解きゲームなどが挙げられますが、もう少し手軽なところでは朝礼なども有効と考えられます。

2. 役割やキャリアの見直し

これまで日本の会社組織では「総合職」という考え方が一般的であり、ITトレンドWP配信が強くありました。

しかし前述したような様々な課題にぶつかる中、特定の業務に特化したスペシャリストの存在が注目をされるようになっています。

一定の業務を極める方針に変えることで、育成計画はよりシンプルで効率的になります。

また評価も行いやすく、不公平感も解消されることが予想されます。
実際に一部の大手企業では、数年計画で組織体制の改革と、それに伴った評価制度の改革が進められています。

3. 健康管理

従業員の健康管理は、会社にとっての義務です。

しかし実際に顔をつき合わせない状況では、ちょっとした変化に気づくことは困難です。

逆に体調不良を自己申告されても、どの程度なのかという判断もつきづらく、一律で受け入れるしかありません。

さらにコロナうつや、テレワークうつも登場しており、問題は身体だけでなくメンタル面にも及んでいます。

これに対して、前述の「チームワークの醸成」が解決手段になりえると思います。

ただしこれだけでは不十分。加えて体調の報告ルールを作ったり、業務上直接関係のない(ステークホルダーではない)相談窓口を設置するなどが求められます。

まとめ

withコロナ時代の人事には、量においても、質においてもこれまで以上の役割が求められるようになりました。

そのため業務をどのようにこなすのかだけでなく、誰をどのように巻き込むのかを考えることも重要な要素です。

また各種のクラウドサービスをはじめとした業務システムの導入は不可欠
全て人力でどうにかするのは不可能です。

特に業務改善とコミュニケーションツールは無料~低コストのものも多数リリースされており、自社にあったものを組み合わせていくことで大幅な改革が実現できます。

また最近のサービスでは複数の業務をこなすための機能を併せ持っているケースもありますので、それぞれの特徴をしっかりと見極めることが成功のカギになります。

そして様々な部門とかかわりを持つ人事であるからこそ、不文律を排除し、細かい内容まで確認しあうという意識を大切にしたいところです。

これまではなんとなくで済んでいたコミュニケーションも今はその限りではありません。

例えばメールやチャットだけでは行間が読めないので、必要に応じて電話やオンライン会議システムを活用する。であったり、前提の部分からキッチリ共有するといった、丁寧なコミュニケーションを心がけていきましょう

ABOUTこの記事をかいた人

坂本 啓介

大学卒業後、人材系コンサルティング会社に就職し、従業員数10,000名を超える大企業から15名程度の中小企業までの採用に係るコンサルティングを歴任。その後、2011年に自ら考えられる人材を育てたいという想いを元に一念発起し、粋なり株式会社を創設する。自社コンテンツ「神保町大学」「就職課」などを立ち上げ、就職支援分野では多くの大学生を社会に送り出し、内定率100%、3年以内離職率5%未満の実績を持つ。