人材育成に役立つ資格とは?必要なスキルやポイントを解説

企業の人事部門において命題となっている人材育成。企業に貢献してくれる人材をどうやって育成していくかという課題に、育成担当者の方は苦心していることでしょう。

人々の価値観の多様化や情報のオープン化が急速に進んでいる現代において、人材育成においてもさまざまな角度からのアプローチが求められる時代となりました。そのため、人材育成を担う育成担当者にも専門的な知識を習得する必要性が高まっています。

そこで本記事では、人材育成に役立つ資格とスキル、人材育成を成功させるための重要ポイントを解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

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人材育成担当者が資格を取得するメリット

人材育成担当者が資格を取得するメリットを3つ解説します。

従業員の成長を促せる

1つ目は、従業員の成長を促せることです。育成担当者が資格を取得することで、専門的な知識やエビデンスにもとづいた正確な指導ができるのです。

成長する過程の中で、ただやみくもに努力するだけでは限界があるでしょう。大切なことは、正しい方向に向かって努力することです。

しかし、実際は自分で努力の方向性を確認しながら進むのは難易度が高いため、ときには育成担当者が軌道修正してあげる必要が生じます。この際に、育成担当者が専門的な知識をもとにした指導ができれば、従業員は成長のきっかけを掴みやすくなるでしょう。

また、育成担当者が資格を持っていることで、従業員が素直にアドバイスを聞き入れてくれやすくなる側面もあります。

資格を取得することで、指導力と信用力を獲得できるのがメリットの1つです。

企業の成果向上を期待できる

2つ目は、企業の成果向上を期待できることです。育成担当者が資格を取得することで専門的な知識をもとにしたアドバイスが可能になるため、従業員のパフォーマンスが自ずと高まります。

従業員のパフォーマンスが上がれば成果を出す確率も上がるため、企業全体の業績向上が期待できるでしょう。

企業の業績は従業員一人ひとりの成果の結集となるため、従業員のパフォーマンス向上は欠かせません。そのためにも、育成を担う立場として資格の取得を通じて専門的な知識を得るのが大切だといえるでしょう。

離職率の低減につながる

3つ目は、離職率の低減につながることです。資格を持った育成担当者による的確なアドバイスができれば、従業員もやるべきことや進むべき道が明確になるでしょう。

それにより、従業員が仕事に価値を見出してくれるため、結果として離職率の改善にもつながります。

実状として、従業員が会社を辞めたくなる理由には、以下のような内容が挙がりがちです。

  • 会社の指導方針が理解できない
  • 上司からほったらかされている
  • 指導は受けるが具体性や実現性がほとんどない

このように、会社の指導に嫌気がさして離職する従業員は後を絶ちません。

的確な育成ができれば従業員の定着率が上がります。定着率が上がれば、採用コストの削減や従業員の育成にかかった投資コストが回収できるフェーズに移るでしょう。

育成担当者が資格を取得して専門的な知識を得ることで、定着率を高めるきっかけを作れるのです。

人材育成に役立つ資格

人材育成に役立つ資格を5つ挙げました。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントとは、2016年4月に国家資格となったキャリアコンサルティングの専門家です。企業やハローワーク、教育機関など幅広い分野で活躍できる資格となります。

企業内における役割としては、主に従業員のスキルアップ支援や従業員同士のコミュニケーションの向上促進などがあります。

また、昨今の多様化する価値観や働き方の変化に企業が対応する際に、社内規則の設計などにもキャリアコンサルタントの知見を取り入れることが可能です。

産業カウンセラー

産業カウンセラーとは、心理学的手法を用いて働く人々のさまざまな問題を自力で解決できるようサポートする資格です。民間資格であり、日本産業カウンセラー協会が認定しています。

企業内における産業カウンセラーの役割は、以下のようなものがあります。

  • メンタルヘルス対策へのサポート
  • キャリア開発へのサポート
  • 職場の人間関係開発へのサポート

メンタルヘルス・マネジメント検定

大阪商工会議所の登録商標で、正式には「メンタルヘルス・マネジメントⓇ検定試験」といいます。メンタルヘルス・マネジメント検定は、人々の心の健康を保つために必要な知識を得られます。

受験資格は無いため、誰でも挑戦できます。そのため、職場のリーダーやマネジメントを行う立場にある育成担当者は積極的に受験するのが望ましいでしょう。試験は高難易度のⅠ種から合格しやすいⅢ種までの3種類があります。

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ビジネスキャリア検定

ビジネスキャリア検定とは、中央職業能力開発協会が認定する検定です。公的資格ではあるものの国家資格ではありません。

ビジネスキャリア検定は、まさに人材育成・評価を目的とした試験です。試験はレベル別にBASIC・3級・2級・1級とあり、キャリアの段階に応じて取得できるのが特徴です。

新人研修の一環としてBASICを全員に受験させ、業務の基礎知識を身につけてもらうのも可能です。

コーチング

じつはコーチングにも資格が存在しています。一般財団法人コーチ連盟が運営する民間資格であり、コーチ技能検定試験に合格することで有資格者となれるのです。

コーチングの技術を習得することで、従業員が本来持っている能力を伸ばし、秘めたる可能性を引き出すための支援の方法を体得することができるでしょう。

人材育成において資格以外で身につけたいスキル

人材育成において資格以外で身につけたいスキルは、以下の5つです。

目標管理能力

1つ目は、目標管理能力です。設定した目標を達成するために必要な対処を考え、実行できるスキルのことを指します。

従業員を教育する立場である育成担当者にとっては、目標管理能力が最も大切なスキルの1つです。自分の目標を適切に管理できない人材が他者の育成などできるはずがないため、最初に身につけておきたいスキルだといえるでしょう。

コミュニケーションスキル

2つ目は、コミュニケーションスキルです。コミュニケーションスキルとは、他者と円滑にやり取りするためのスキルのことを指します。

コミュニケーションで求められることは、他者とのかかわりの中で過不足なく正確なやり取りができることです。

勘違いを起こしがちなのが、明るくて話し上手な人=コミュニケーションスキルが高いわけではないということです。相手の気持ちを汲み取ることが円滑なコミュニケーションには重要となるため、むしろ聞く能力を鍛える必要があるでしょう。

ロジカルシンキング(論理的思考)

3つ目は、ロジカルシンキングです。物事の原因と結果の結びつきを捉え、矛盾なく考える思考法のことをいいます。

ロジカルシンキングは、問題の原因特定や課題解決に役立つと同時に、自分の考えを相手にわかりやすく伝えようとする際にも役立ちます。まさに人材育成において育成担当者には必須のスキルだといえるでしょう。

クリティカルシンキング(批判的思考)

4つ目は、クリティカルシンキングです。物事の本質を捉えるために「あえて」疑った角度から考える思考法のことです。

日本語で批判的思考と訳されますが、欠点を探して批判するためのものではありません。進んでいる物事や今起きている現象に対して「これで本当に正しいのか」と振り返り、より正しい論理に導いていく思考法のことをいいます。

例えば、従業員向けに勉強会を開催し、最後にアンケートを実施したとしましょう。そして集めたアンケートのほとんどが「勉強になった」とか「これから活かしたい」など良い回答ばかりだったとします。

この結果だけをみると、勉強会は成功したから今後も同じように開催していこうとなりますが、ここでクリティカルシンキングを活用するのです。

  • 本当に従業員の身になっているのか
  • 会社や上司の評価を気にして本音を書いていないのではないか

あえて反対の視点を持つことにより、勉強会が本当に価値があったのかを確認するアクションに繋がるでしょう。

クリティカルシンキングが備わることで、表面に見えている部分ではなく本質の部分に近づく機会を増やせます。人材育成においては欠かせないスキルの1つだといえるでしょう。

人材育成を成功させるための重要ポイント

人材育成を成功させるための重要ポイントは、以下の5つです。

1.目標を設定する

1つ目は、目標を設定することです。育成する社員にどうなってほしいのかを事前に決めておく必要があるのです。目標設定が明確になることで、育成する側にとっては社員に一貫性のある教育ができるメリットがあると同時に、社員もどこに向かって努力すればよいか理解しやすくなるでしょう。

目標を設定する際は、3段階に分けてみることをおすすめします。具体例は、以下のとおりです。

  • 大目標:残業の平均時間を1時間削減する
  • 中目標:事務処理能力を引き上げる
  • 小目標:書類、資料作成スキルを高める

大目標達成のために中目標があり、中目標達成のために小目標があるといったイメージで組み立てます。これにより「残業の平均時間を1時間削減するために事務処理能力を引き上げる」、「事務処理能力を上げるために書類、資料作成スキルを高める」という図式が成り立ちます。

「業務を行う意味」を社員が理解できるよう組み立てることが、育成担当者の腕の見せ所だといえるでしょう。

また、人材育成における目標設定で大切なことは「あくまで会社の業績や生産性が向上する指標を大目標に定める」ことです。

いくら人材育成といっても、会社の業績や生産性の向上に繋がらない教育を行ったところで意味がありません。そのため目標設定の際は十分注意が必要です。

2.自主性・自発性を養う

2つ目は、自主性・自発性を養うことです。人材育成における根幹になりますが、自主性や自発性が育った社員は、会社が手厚い教育を施さなくても社員自らの力で成長していくでしょう。

しかし、実際には「指示待ち人間」という言葉があるように、指示された分しか行動しない・あるいは指示されたことすら実行できない社員もいるのが現状ではないでしょうか?

これではどんなに質の高い教育を施したとしても社員の成長には結びつきにくいでしょう。

では、どのようにして社員の自主性・自発性を引き出すかというと「社員にとってのベネフィット」を明確にすることです。また「社員自らが考えて実行する機会を与える」ことが重要となります。

自分が成長することで得られる将来像を見せつつ、それに向かって自分で切り拓いていく経験を積ませることで、社員自身が仕事に価値を見出すようになるでしょう。

また、社員の自主性・自発性が養われれば、人材育成にかかる工数やコストが抑えられる上に会社の生産性向上が期待できます。

自主性・自発性を育てることは、人材育成を成功させるために最も重要なポイントの1つであり、組織運営においては常に追い求めるべき部分だといえるでしょう。

3.モチベーションを管理する

3つ目は、モチベーションを管理することです。モチベーションは「やる気」とも言い換えられます。人材育成においては、社員のモチベーションによって育成方法や研修内容を変えることが求められるでしょう。

自主性・自発性のパートと類似しますが、社員のモチベーションが下がっている状態で育成担当者や上司がいくら懸命に教育を施しても、残念ながら社員はついてきません。

つまり非効率だと言わざるを得ないでしょう。そのため、教育担当者は社員がどのような精神状態にあるのかを確認することが大切です。

例えば、以下のような方法などがあります。

  • 社員へのヒアリング
  • 各部署の上司へのヒアリング
  • 従業員満足度アンケート

これらを定期的に実施し、社員のモチベーションが上がらない理由を調査するのも1つです。モチベーションや自主性・自発性といった土台がしっかりしていることが人材育成において重要になるため、技術的な教育以前に意識しておきましょう。

4.育成担当者のスキルを高める

4つ目は、育成担当者のスキルを高めることです。よい教育を施すにはスキルが高い育成担当者が必要になるのは言うまでもありません。

では、ここでは育成担当者にどのようなスキルが求められるのかを3つ紹介します。

  • 立てた目標を管理する能力
  • コミュニケーション能力
  • 論理的思考力・客観的な判断能力

理想としては、以上3つに加えて以下の2つがあると望ましいです。

  • 実務で高い成果を残したことがある
  • さまざまな困難や課題を解決してきた実績がある

教育を受ける側は、無意識のうちに「誰の指導なら素直に聞き入れられるのか」を判別しています。そのため、同じ教育内容でも実績のある人が指導に回ったほうが効果が得られやすいのです。

ただし、これはあくまで教育を受ける側に与える影響であって、決して「実績がある人=育成スキルが高い人」ではないことは理解しておきましょう。そのため、実績がある人を育成担当者に据える場合も、育成スキルを高める訓練は必要となります。

5.人材育成に関する制度を整える

5つ目は、人材育成に関する制度を整えることです。人材育成といっても、どのように育成計画を立てればよいか分からないといった場合に、仕組みを整えることで円滑な育成管理が可能となるでしょう。

具体的には、以下のようなフレームワークがあります。

  • OJT制度
  • 研修制度
  • 人事評価制度
  • 目標管理制度
  • メンター制度
  • ジョブローテーション制度

また、仕組みを整えたら会社全体で共通認識を持っておくようにしましょう。こういった制度があることを前面に押し出して会社全体で共有しておくことで、上司の協力も得やすくなるなどメリットがあるため人材育成の下地が整ってくるでしょう。

人材育成に必要な知識やスキルについて効率的に学ぶ方法

ここまで人材育成に必要なスキルについて解説してきました。しかし、実際には知識やスキルを資格取得や研修で身につけるのは難しいのが現実ではないでしょうか。

そこでおすすめなのが「eラーニング」の活用です。eラーニングとは、インターネットを使った学習システムのことで、パソコンやスマホからいつでも学習できます。

教材や学習カリキュラムを企業が選択・設定できるため、各従業員の育成ステップに応じた研修やテストが実施できます。

なにより、属人性が高くなりがちな人材育成を仕組みで対応できるようになるため、受講者側・開催側双方の負担軽減につながり、効率的な人材育成が実現できるでしょう。

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まとめ

この記事では、人材育成に役立つ資格とスキル、人材育成を成功させるための重要ポイントを解説してきました。

人材育成に役立つ資格は「キャリアコンサルタント」「産業カウンセラー」「メンタルヘルス・マネジメント検定」「ビジネスマネジメント検定」「コーチング」の5つです。

資格以外で身につけておきたいスキルは「目標管理能力」「コミュニケーションスキル」「ロジカルシンキング」「クリティカルシンキング」の4つです。

そして、人材育成を成功させるための重要ポイントは「目標を設定する」「自主性・自発性を養う」「モチベーションを管理する」「育成担当者のスキルを高める」「人材育成に関する制度を整える」の5つでした。

人材育成は、過去の経験値やこれまでの価値観のみに頼るのではなく、適切な知識を習得して実践することで目的達成に近づくでしょう。ぜひこの記事を参考にして日々の活動に役立ててみてください。

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