eラーニングでコンプライアンス教育を行う4つのメリット

企業に属して働くということは、社員は企業の看板を常に背負っていることになります。
そのため、自身の行動・言動がどういう影響を与えるか、しっかりと考える必要があります。

しかし企業として何もしなければ、社員がこうした意識を持つのは難しいでしょう。

そこで求められるのが「コンプライアンス教育」です。

本記事ではコンプライアンス教育にeラーニングを活用するメリットと実施のポイントについてご説明します。

コンプライアンス教育が必要な理由

まずは改めてコンプライアンス教育が求められる理由を見ていきます。

「コンプライアンス研修」への関心のいま

2021年)10月18日公表された一般社団法人日本能率協会『日本企業の経営課題 2021』調査結果速報【第7弾】 によりますと、

研修・人材育成において重視しているテーマのトップ3は、
階層別研修
第 1 位: 「中堅社員の業務遂行能力の向上」(87.8%)
第 2 位: 「新入・若手社員の業務遂行能力の向上」(86.3%)
第 3 位: 「課長層のマネジメント力の向上」(85.9%)
そして、
「ハラスメント研修」「コンプライアンス研修」を重視する比率も8割を超える”

『日本企業の経営課題2021』調査結果【第7弾】研修・人材育成”. 一般社団法人日本能率協会KAIKA研究所. 2021-10-18.

とあります。コロナ禍によるテレワークが定着しつつある中、依然関心の高い項目であることが伺えます。

時代とともに拡大・多様化する「コンプライアンス」の概念

私が実務としてコンプライアンス研修に関わり始めたのは今から20年近く前のこと。新入社員受入教育時に、いわゆる「法令順守」と社としての「行動指針」を教える程度でした。

しかしその後「CSR」の概念が定着しつつある中で、時代の変化により、その広さや深さは拡大する一方です。

そしてその対象も多様化してきました。

消費者コンプライアンス消費者の期待に応えること。
(例)安全・安心、高品質、合理的価格
従業員コンプライアンス従業員の会社に対する期待に応えること
(例)安全確保(安全配慮義務)、適正な労働時間管理、
    公正な賃金、差別のない職場、各種ハラスメントのない職場
取引先コンプライアンス取引先の期待に応えること
(例)取引契約を順守してくれること、取引関係が「公正」に行われること
社会コンプライアンス社会全体の期待に応えること
(例)社会参画、社会貢献、「CSR」(企業の社会的責任)、ESG、SDGs
株主コンプライアンス株主の期待に応えること
(例)事故や不祥事を起こさないようにコンプライアンスを尊重して
   『企業価値』の維持・向上を目指すこと、「株主平等の原則」

テレワークの浸透と就業価値観の多様化

一方、2021年11月19日リリースされた株式会社野村総合研究所「第9回『生活者1万人アンケート調査』」 によりますと、テレワークの浸透等により就業価値観が多様化する傾向が伺えます。

働き方や就業価値観の多様化は、「働き方改革」そして「一億総活躍社会」実現へのキーワードです。

しかしその一方、機密漏洩やモラルハザード、ひいてはコーポレートガバナンスへの危機をもたらす側面も否定出来ず、各企業の実態に合わせた備えが求められています。

コンプライアンス教育の実施方法

教育研修の枠組みにおいて、「コンプライアンス教育」とそれ以外とで、何か特別な差異があるわけではありません。ここではいわゆる「ADDIEモデル」を用いて考えてみることにします。

ADDIEモデルとは

通常、業績向上や、業績目標の達成ために、PDCAサイクルを回しながら業務を改善していく、というように、教育という枠組みの中で、よりよい教育を行っていくためにADDIEモデルを使用します。

Analysis(分析)

あるべき姿と自社の現状とを勘案し、5W2Hで検討します。
例えば自社として初めてコンプライアンス教育に取り組む場合で考えると、

  • When(いつ?) :20○○年○月末までに
  • Where(どこで?) :全社・全拠点で
  • Who(誰が?) :全社員が
  • What(何を?) :自社におけるコンプライアンス事案○件以内
  • Why(なぜ?) :利害関係者(ステークホルダー)の期待に応えるため
  • How(どうやって?) :コンプライアンス教育実施により
  • How much(いくらで?):○,○○○千円以内

といった軸で、目的や目標を定義していきます。

Design(設計)

もし自社として初めて「コンプライアンス教育」を実施される場合、
例えば、

  • トップマネジメントからのメッセージ
  • コンプライアンスの重要性
  • コンプライアンスを守るメリット
  • コンプライアンスを守る態度
  • コンプライアンス違反の事例、
  • 「コンプライアンス・コール」等、当社の取り組み

といった内容を全社で共通認識化することが求められます。

一方、これまでの経験やノウハウをお持ちの企業でしたら、

  • 階層別(経営者~管理監督者~一般社員、協力会社等自社の看板で仕事をしていただいている方々)、
  • 職能別(管理部門、営業部門、技術開発部門、生産部門、等)、
  • 職場別(部、室・課・グループ、等)

といった切り口で、それぞれの時宜に合ったテーマ(例えば上記「消費者コンプライアンス」「従業員~」等)を適切と思しき提供方法(対面、オンライン、eラーニング等)とを勘案し策定します。

Development(開発)

上記Designで設計した提供方法に基づき、道具立てを進めていきます。

まずは講師をどなたに(内外製等)、どんなかたちでお願いするか(コンテンツ作成から研修まで一貫で、もしくは共通コンテンツの講師持回対応、等)。

また従来からの対面式やオンラインによる形態であれば、講義や配布資料としてのパワーポイント、演習用問題・解答用紙、アンケート用紙の作成をしていきます。

またeラーニングに代表されるオンデマンドの形態であれば、講義等の収録に必要な編集作業が加わることもあります。

Implementation(実施)

上記を具体的に実施していきます。実施の流れも他の教育研修と何ら変わるところはありません。

Evaluation(評価)

受講者より取った実施後アンケート、講師やオブザーバー参加したスタッフからの所感により短期的な実施後評価を行います。さらにこの教育による行動変容の状況を数か月から1年程度モニターし、ADDIEモデルに反映します。

eラーニングでコンプライアンス教育を行う4つのメリット

前章の実施方法を参考に、コンプライアンス教育をeラーニングを行うメリットを4つご紹介します。

1. 提供者が教える内容を標準化出来る

集合研修やオンライン研修のデメリットとして存在するのが、同じテーマであっても講師によって指導内容にバラツキが出てしまうことです。

e ラーニングを活用すれば、こうした課題を解決し、従業員数に関係なく同じ内容の学習をさせることが可能です。

2. 提供者が国内外問わず多拠点・同一内容による研修が出来る

勤務地にとらわれない同一品質の研修内容の提供が可能となります。

また、勤務地等の関係から普段対面でのコミュニケーションが難しい社員同士も e ラーニングシステムを使用することでメリットに転換出来る可能性もあります。

3. 受講者が「いつでも」「どこでも」「繰り返し」学習出来る

e ラーニングは、隙間時間や移動時間を効率的に活用出来たり、分からなかったところを再度復習したりと、自分のペースで学習可能です。

いつでも LMS ※上で復習が出来るため、効率的かつ確実な学習が可能となります。

※LMS(学習管理システム:Learning Management System)とは  インターネットを通じて、eラーニングを配信するプラットフォームのことを指します。「受講者と教材の管理」と「学習進捗の管理」機能を持っており、「どの受講者にどの講座を割り当てるか」、「どの受講者がどれくらい講座を進めているか」といった学習管理を行うことが出来ます。

4. コスト削減と量・質的向上との両立が出来る

教育研修事務局担当者は、日々の定型業務や他研修の運営と兼任であることが殆どかと思います。またこの教育は新卒のみならず中途入社や協力会社等からの新人受入時に欠かせなくなることから、回数や時間といった量的な負荷もそれなりに掛かってきます。

eラーニング化によりこれらの負担が大幅に削減出来、同モデルにおけるEvaluation(評価)~Analysis(分析)~Design(設計)に注力することで、スピードアップと量・質的向上との両立が可能となります。

eラーニングでコンプライアンス教育を行うときのポイント

もし上記ADDIEモデルを踏襲出来れば、eラーニング用に何か特別な手順を踏む必要はありません。
ただし、ツール面で従来の対面やオンライン研修と異なる部分がありますので、そのポイントについてご説明します。

ポイント1 自社のニーズに合わせたシステム選定

自社のニーズに見合ったシステムを選択することにより、コンテンツの充実に注力しやすくなります。

例えばかつてはオンプレ型(顧客先サーバーにインストールするタイプ)が主流で、費用やメンテナンスの工数から、導入に二の足を踏むことが少なくありませんでした。しかし現在主流となりつつあるクラウド型のeラーニングシステム(LMS)では、初期導入も容易で、一般的に保守コスト等も比較的安価と言われています。

その他にも例えば、コンテンツを登録するのにベンダー(システム提供会社) に依頼しないとアップロード出来ないシステムがあります。これでは更新の度に手間がかかり、「無用の長物」となる懸念があるため、使い勝手も重視して選ぶとよいでしょう。

ポイント2 自社コンテンツと既製コンテンツを使い分ける

会社独自の重要なノウハウ等は、自社でコンテンツを作っていく必要があります。

しかし、上述の通り、限られた工数の中での対応になりますので、一般的な知識やスキルは既製コンテンツを上手く活用するのが得策です。

ポイント3 短時間で学習出来る工夫をする(マイクロラーニング化)

eラーニングはネット環境さえあれば、いつでも・どこでも受講できるので移動時間や業務のスキマ時間に受講するケースも少なくありません。

そのため、1動画を5~15分程度の細切れにするマイクロラーニング化が最近では主流です。自社で作成する場合はもちろん、既製コンテンツがマイクロラーニング化されているかは確認しておくとよいでしょう。

ポイント4 コンテンツ制作に凝りすぎない

コンテンツは、受講者への理解を進め、研修の成果である行動変容に導く道具に過ぎません。

そのためにはあくまで「わかりやすさ」そして「目的」「目標」に集中し、上述の「PDCAサイクル」を速く回して改善に努めることが賢明です。

まとめ

「コンプライアンス教育」、とくに初めて取り組まれる場合においては、全社一斉かつ同一品質での研修が可能となるeラーニングはとても有用な武器と言えます。また従来と異なり、クラウド化の進展により費用やメンテナンス工数も大幅に改善されてきています。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ソフィアコミュニケーションズ講師。大手自動車部品メーカーにて全社約6,000名を対象とした人材育成制度改革に取組み、計画的OJTの制度化や教育コンテンツの「インストラクショナル・デザイン」による有効性向上に尽力。新卒・中途新入社員「3年離職率」半減に大きく貢献。その後外資系医薬品メーカー等の人材開発担当マネージャーを歴任し、2020年より現職。問題解決手法や現場改善指導、組織人材開発周辺業務の支援にも携わる。