オンライン研修のポイント~研修実施時の役割分担と研修本番で気を付けること編~

前回の「対面型研修との違いと必要な事前準備編」では、オンライン研修を実施するまでに必要なポイントをお伝えしてまいりました。本コラムでは実践編ということで、実際に研修実施の具体的なポイントをご紹介します。

会議室など参加者全員が一か所に集まって受講する対面型研修の講師を務めたことはあるけど、職場の自席や自宅のパソコンから受講するオンライン研修の講師を務めたことがない方には特にお役立ていただける内容です。

今回は実践編その1です。

基礎編 対面型研修との違いと必要な事前準備編
実践編その2 研修実施前後の取り組み編

効果的なeラーニング導入を始めてみませんか?

オンラインで学習できるeラーニングシステムを使えば、より広範囲な人材のスキルアップや教育の均質化を実現できます。

時間や場所に縛られることなく、また、最新の情報に常にアップデートして学習コンテンツを提供できるため、新人向け・管理職向けといった階層別研修や、従業員のリスキリングなど幅広く導入されています。

『eラーニング導入・活用 完全ガイド』では、eラーニングにご興味をお持ちの人事・教育担当者に向けて、基本的なメリット・デメリット、実際の導入手順や運用のコツなどを詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

どなたでも無料でダウンロードいただけます。

研修実施時の役割分担

まず押さえておきたいのが、研修実施時の役割分担です。

・直前の問い合わせや欠席連絡
・オンライン研修のURLにアクセスしたが接続できない
・遅れて参加する方への対応
・質問など、セミナー中に受講者が意思表示した際の対応

など、オンライン研修は受講者側も慣れていないことが多いため、研修運営、とくに受講者のフォローに予想以上の負荷がかかります

もしあなたがオンライン研修の講師を務めることに慣れていない場合は、受講者フォローを担当してくれる方を手配するなど、あなたが講師として講義に集中できる環境を整える必要があります。

研修本番で押さえておきたいこと

次に研修本番で押さえておきたいことを紹介します。ポイントは3つです。

1.飽きさせない
2.迷わせない
3.疲れさせない

具体的に解説いたします。

1.飽きさせない

オンライン型研修は対面型研修と比べると受講環境が整っていないことが多いです。例えば職場の自席から参加する場合、隣の席で電話が鳴ったり、近くで打合せをしていたり、受講中に上司から呼び出されることがあったりするかもしれません。

集中力の維持が難しい環境で受講していると、受講者の集中力が長続きせずに飽きてしまい、せっかくの研修が効果を発揮しなくなってしまいます。

そのために、受講者を飽きさせない工夫を行う必要があります。
では、どうしたら受講者を飽きさせずに研修を進めることができるか。

コツは「ラジオのパーソナリティを演じる」です。

あなたは学生時代、ラジオの深夜放送を聞きながら受験勉強をしたことはありますか。車に乗る方でしたら、ラジオをBGMがわりに運転したことがあるかもしれません。そんな時に耳に入る、ラジオのパーソナリティのトークをちょっと思い出してみてください。

ラジオのパーソナリティは、番組中ずっと一方的に話しているわけではありません。

1)何かの話題を話す
2)視聴者からのハガキやファックス、ツイートを紹介する
3)リクエスト曲を流す

といった流れで番組が進んでいます。ポイントは双方向です。

パーソナリティは一方的に話すのではなく、このように視聴者と双方向のやり取りを行いながら番組を進行します。

これをオンライン研修に置き換えると

1)何かの話題を話す⇒講義の場面
2)ハガキやファックス、ツイートを紹介する⇒チャットの質問に答える場面
3)リクエスト曲を流す⇒課題や演習に取り組んだり、発表してもらったりする場面

に相当します。

目の前に受講者がいないため、独りよがりに進めてしまいがちですが、ラジオのパーソナリティになりきって、画面の向こうの受講者に語りかけるように双方向のやり取りを心がけましょう。

2.迷わせない

あなたが受講者の立場で研修に参加しているとき、講師がどこを解説しているのか、わからなくなってしまったことってありませんか。

どこを解説しているかわからない迷子の状態が続いてしまうと、集中力が切れて、「わからないから、もういいや」と受講態度が投げやりになってしまいます。

そうならないように工夫したいのがスライドの構成です。

【よくない例】

このように細かい文字が並んでいるスライドでは受講者が迷ってしまう危険性があります。

では受講者が迷わないようにするためにどうしたらよいか。ポイントは1スライド1メッセージ
今回の例でしたら、こんな感じでスライドを分けてみましょう。

【よい例】

先ほどの、よくない例と同じ内容を伝えていますが、だいぶ印象が違うのではないでしょうか。

受講者がどこを説明しているかで迷わないように、1スライド1メッセージ。
見やすく、わかりやすいスライドを用意してください。

参考までに私がパワーポイントでスライドを作る場合の設定を紹介します。

・スライド…16:9
・フォント…メイリオ
・サイズ …28pt以上

3.疲れさせない

カメラをオンにして画面に向かって受講するオンライン型研修は、自分の姿が画面に映ることで見られている緊張感が加わるため、対面型研修よりも心身が疲労しやすい傾向があります。

そのため、オンライン型研修は疲れさせない工夫が必要です。

具体的には講義時間と休憩のバランス。オンライン型研修においては、対面型研修よりも講義時間は短く、休憩は長く、を心がける必要があります。時間の目安としては、講義時間は対面型研修の2/3、休憩は1.5倍で考えるとよいでしょう。

例えば、対面型研修を講義60分→休憩10分のサイクルで実施しているとしたら、オンライン研修は講義40分~45分→休憩15分のサイクルに変更することがおススメです。

運営上、休憩時間を増やせない場合は、カメラをオフにする時間を設けましょう。カメラをオフにすることで、見られている緊張感から解放することができます。例えば、独りで取り組む演習の時間をカメラオフの時間に充てるといった感じです。

まとめ

今回は実践編ということで、研修実施時の役割分担と、研修本番で押さえておきたい3つのポイントを解説いたしました。よかったらご活用くださいませ。次回は実践編その2、オンライン社員研修におすすめのプログラム構成をご紹介いたしますので、そちらもぜひお読みください。

実践編その2 研修実施前後の取り組み編

“失敗しない”eラーニング導入ガイドをお届けしています

オンラインで学習できるeラーニングシステムを使えば、時間や場所に縛られることなく、より広範囲な人材のスキルアップや教育の均質化を実現できます。

また、最新の情報に常にアップデートして学習コンテンツを提供できるため、新人向け・管理職向けといった階層別研修や、従業員のリスキリングなど幅広く導入されています。

『eラーニング導入・活用 完全ガイド』は、eラーニングの導入や活用をご検討中の人事・教育担当者の方々に向けてご用意いたしました。基本的なメリット・デメリットだけでなく、導入手順や実際の導入事例も交えて、eラーニング導入・活用におけるポイントを詳しく解説しています。

どなたでも無料でダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。

ABOUTこの記事をかいた人

大谷更生総合研究所合同会社:代表社員、問題整理の専門家 新潟県出身。明治大学商学部卒業後、KDDIで18年間システムエンジニアとして勤め、2010年に独立。KDDIでは主に総勢数百名の大規模システム開発プロジェクトの全体調整やシステム設計を担当。現在は問題整理手法、仕事のダンドリ、報連相を始めとするビジネススキル全般、売れ続ける仕組み構築に関する講師やコンサルティングを行っている。