テレワークは、働き方改革の一環として徐々に導入が開始されていましたが、新型コロナ対策として一気に普及しました。
しかし、急速なテレワーク環境への移行に、企業内研修の実施環境の整備は追い付いておらず、さまざま課題が浮かび上がっています。
この記事では、テレワーク環境での企業内研修における最新のITツールの活用方法と、研修の効果を高めるために採用すべき研修形態を全3回にわたって解説します。
連載第2回の今回は、テレワーク環境下での企業内研修インフラが解決すべき課題を整理した上で、「テレワーク環境での企業内研修に役立つITツール」について解説します。
テレワーク環境での効果的な企業内研修の実施方法とは(全3回)
第2回「テレワーク環境での企業内研修に役立つITツール」
企業内研修インフラが解決すべき課題
テレワーク環境下での企業内研修インフラが解決すべき課題の1つ目は、いつでも、どこでも受講できる環境を提供することです。
コロナ禍の長期化が予想される中、これからの研修は、オフィスでも自宅でも、PCでもスマートフォンでも受講可能でなければなりません。
特に、現時点でテレワーク環境に不向きとされている実習、ワークショップ、OJTなどのオンライン化がポイントとなります。
2つ目の課題は、実施形態が多様化した研修の管理業務をシステム化することです。
これからの研修形態は、従来の集合研修、eラーニング、OJTに加えて、それぞれにオフラインかオンラインかの選択肢が増えることで、パターンが複雑化します。
このような多種多様な形態で実施される多数の研修について、受講履歴、進捗などの受講者データの収集や集計を研修管理者が手作業やExcelで行うのは難しく、受講者データをデータベースで一元管理することが必須といえるでしょう。
また、今後は研修管理者自身がテレワーク環境下にあることも想定されるため、研修管理業務を手作業やExcelで行っている企業にとってはシステム化が急務となっています。
企業内研修インフラの中核となるLMS
それでは、テレワーク環境に対応した企業内研修インフラとは、どのようなITツールで構成されるのでしょうか。
その中核をなすのが、LMS(Learning Management System)です。
従来のLMSは、オンプレミス形態で導入し、別途購入したeラーニングコンテンツや社内集合研修を録画した動画を、企業内LAN経由で配信することが主な用途とされてきました。
しかし、ここ数年、人材育成の強化、DX推進、働き方改革などの環境変化により、研修形態の多様化に対するニーズが増大したため、大幅な機能強化が急速に進む傾向にありますが、その中でも、クラウドサービス化とマルチデバイス対応、研修管理機能の充実、マイクロラーニング対応の3項目が、テレワーク環境への対応に有効と考えられており、今後の企業内研修インフラにおいて必要な不可欠な機能といえます。
クラウドサービス化とマルチデバイス対応により、LMSはeラーニングコンテンツをオフィスでも自宅でも、PCでもスマートフォンでも受講できる環境を提供します。
例えば、KIYOラーニング社が提供するクラウドサービスAirCourseでは、研修受講者がスマートフォンで教材を再生するだけではなく、受講後すぐに同じスマートフォンで確認テストを受講することができます。
最新のLMSでは研修管理機能が大幅に拡充され、受講履歴、進捗など受講者データを収集、データベース化し、研修管理者の負担を大幅に軽減することができるようになっています。
例えば、AirCourseでは、研修受講と同時に確認テストを実施し、集計も自動的に行うことができますし、一つの教材コンテンツ(コース)の中にさらに細かい受講単位(レッスン)を設定し、進捗をより正確に知ることができます。
テレワーク対応で注目されるマイクロラーニング
テレワーク環境への対応として注目されるLMS機能の3つ目がマイクロラーニング対応です。
マイクロラーニングとは、マイクロコンテンツ(数分程度の短い動画)を使用して行う新しい研修形態であり、これに対して、従来から行われてきた集合研修やeラーニングはマクロラーニングと呼ばれます。
最新のLMSでは、マイクロコンテンツの作成と配信が簡単にできるようになっています。
例えば、AirCourseでは、社内研修や会議での説明、OJTの様子などをスマートフォンで撮影した動画を、アップロードし、簡単に配信することができます。
マイクロラーニングとマクロラーニングの違いは、マイクロコンテンツの使用だけではなく、教師と生徒の関係性、教材の整備方法、教材の適用範囲において特に顕著に見られます。
教師と生徒の関係性においては、マクロラーニングでは、教師は生徒の上位者で、フォローは受講時にしか行われないのに対して、マイクロラーニングでは、比較的フラットな関係で、フォローは継続的に行われます。
教材の整備方法においては、マクロラーニングでは、必要となるスキルを標準化した上で、体系的に教材を整備するのに対して、マイクロラーニングでは、個々の業務における細かいタスクを単位として教材を作成し、タグなどで必要なコンテンツを特定します。
教材の適用範囲においては、マクロラーニングでは、すべての受講者に対して共通の教材を使用するのに対して、マイクロラーニングでは、受講者ごとにカスタマイズされた教材を提供します。
このように、マイクロラーニングはマクロラーニングでは効果が上がりにくいOJTや実習の比重が大きい研修を、ITで効率化、高度化することが目的であり、マクロラーニングを置き換えるものではなく、相互に補完するものといえます。
テレワーク環境に対応した企業内研修インフラの構成
テレワーク環境に対応した企業内研修インフラは、中核となるLMSに、Zoomで代表されるWeb会議ツールとSlackに代表される社内コミュニケーション・ツールが加わった構成となります。
これら3つのITツールにより構成された企業内研修インフラを整備することで、「いつでも、どこでも受講できる環境の提供」と「実施形態が多様化した研修管理業務のシステム化」という2つの課題を解決することができます。
まとめ
テレワーク環境下での企業内研修インフラが解決すべき課題の1つ目は、いつでも、どこでも受講できる環境を提供することで、実習、ワークショップ、OJTなどのオンライン化がポイントとなります。
2つ目の課題は、実施形態が多様化した研修の管理業務をシステム化することで、現在、研修管理業務を手作業やExcelで行っている企業にとっては急務となっています。
テレワーク環境に対応した企業内研修インフラの中核をなすのがLMSです。
LMSは、ここ数年、大幅な機能強化が急速に進む傾向にあり、中でも、クラウドサービス化とマルチデバイス対応、研修管理機能の充実、マイクロラーニング対応の3項目が、テレワーク環境への対応に有効と考えられており、今後の企業内研修インフラにおいて必要な不可欠な機能といえます。
テレワーク環境に対応した企業内研修インフラは、中核となるLMSに、Zoomで代表されるWeb会議ツールとSlackに代表される社内コミュニケーション・ツールが加わった3つのITツールにより構成され、「いつでも、どこでも受講できる環境の提供」と「実施形態が多様化した研修管理業務のシステム化」という2つの課題を解決することができます。
しかし、テレワーク環境での企業内研修の効率と効果を上げるためには、企業内研修インフラを整備するだけでなく、研修形態も見直す必要があります。
次回は、テレワーク環境での企業内研修に役立つ研修形態について解説します。
テレワーク環境での効果的な企業内研修の実施方法とは(全3回)
第2回「テレワーク環境での企業内研修に役立つITツール」