組織開発はフレームワークを活用するとスムーズに実践できます。
事業環境、労働環境、法律や文化など、さまざまな環境変化が著しい昨今。組織の健全性や生産性向上、外部環境への適応を目的に、組織開発を検討する企業様も多いのではないでしょうか。
ただ、組織開発の対象は「社員同士の関係」や「組織構造」ということもあり、どこから着手すべきか、どう進めるべきかを判断しにくいのが実状です。
そこで本記事では、組織開発をよりスムーズに実践するために、組織開発に役立つフレームワークと活用方法、フレームワーク活用時の注意点を解説します。さらに「組織をより活性化させたい」場合など目的別のフレームワーク、その他の役立つ手法についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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組織開発の基本情報
組織開発に役立つフレームワークの解説にあたり、まずは組織開発の基本情報を簡潔にまとめます。
組織開発とは
組織開発とは「組織内の人間が、自らの組織をより良くしていくこと、またはその支援を行う」ことです。英語では「Organization Development 」と表し、「OD」と略されます。
目的は、組織の健全性や生産性向上、外部環境への適応であり、社員同士の関係性や組織構造を主な対象として実施します。
組織開発の必要性
組織開発が必要とされる背景には、事業環境、労働環境、法律や文化などその他の環境、それぞれの変化が著しいことにあります。例えば、商品ライフサイクルの高速化、採用競争の激化、各部門に関する法改正など様々です。こうした外部環境に適応しつつ、事業の継続および発展を実現するためには、組織開発が欠かせません。
組織開発に関しては、こちらの記事もぜひご覧ください。
組織開発とは?目的や手順、成功のポイントをわかりやすく解説
組織開発にフレームワークを用いる理由
組織開発にフレームワークを用いる理由は、組織開発の対象が「社員同士の関係性」や「組織構造」と、把握・観測・評価が難しい要素であるためです。実績があるフレームワークを用いることで、客観的な視点で対象をとらえ、偏りや見落としも生じにくい組織開発を行えるのです。
組織開発に役立つフレームワーク8選
組織開発に役立つフレームワークを8つ紹介します。
1. ミッション・ビジョン・バリュー
ミッション・ビジョン・バリューとは、企業の経営方針を示すものです。存在意義(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、価値観・行動指針(バリュー)で構成されています。経済学者のピーター・ドラッカー氏により提唱されました。
ミッション・ビジョン・バリューの活用方法
ビジネス環境の変化が著しい現代において、組織や社員が活動方針や判断・決定に迷った際、判断基準や具体的にどう活動すべきかの指針となります。自社の存在意義を明確に示すことで、社員の帰属意識の向上や連帯感の醸成にもつながるのです。また外部に打ち出すことで、顧客や採用対象者へのアピールにも繋がります。
ミッション・ビジョン・バリューの作成は、経営に関わるメンバーにて以下の順番で行いましょう。
- ミッション:果たすべき使命・存在意義を明確にする
- ビジョン:目指す理想の姿を具体的に描く(イメージできるように)
- バリュー:ミッション・ビジョンに基づいた社員の行動基準を設定する
また、行動規範の浸透度を評価する「バリュー評価」もおすすめです。人事評価の際に、各社員がどの程度自社のバリューに沿った活動を行えているかを評価します。現場の流動性が増すなか、全ての意思決定を経営層や上司が行うのは限界があります。こうした背景もあり、現場で活動する社員に行動規範の体現が求められるのです。
ミッション・ビジョン・バリューを明確にすることで、柔軟さや一体感をもって使命を全うできる組織づくりを実現しましょう。

2.OKR
OKR(Objectives and Key Results)とは、目標管理手法のひとつです。組織全体・部署やチーム・個人にO(objectives:目標)とKR(key results:成果指標)を設定し、進捗管理や評価を行います。

OKRの活用方法
OKRを活用すれば、組織と社員の方向性がブレることなく、組織全体として同じ方向をみて目標達成を目指すことができます。
OKRの設定手順とポイントは、以下の通りです。
1.各層における「O(objectives:目標)」を決める
- 実現可能である
- 期限が明確である
- 簡単に達成できるものではない
2.各目標に対する「KR(key results:成果指標)」を設定する
- 数値で示せる(例:売上〇%アップ)
- 客観的に評価できる(例:〇〇システムの導入完了)
3.各層ごとに進捗確認を行う
- 設定後の放置は厳禁
- 組織全体なら全体会議や管理職が集まる場などで確認
- 部署やチームなら定期ミーティングなどで確認
- 個人なら上司との面談などで確認
3.マッキンゼーの7S
マッキンゼーの7Sとは、組織にとって大切な「7つの経営資源と相互性」を示したフレームワークです。コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱しました。

具体的には以下のように、ハード面とソフト面に分類されます。
ハード面の3S
戦略(Strategy):自社の目標を達成するために行う具体的な取り組み内容
組織構造(Structure):組織活動を円滑にするため、役割や指示系統を整えた状態
システム(System):人事評価制度や目標管理制度など組織内にある仕組みやルール
ソフト面の4S
スキル(Skill):販売力や技術力、商品開発力など自社がもつ強み
人材(Staff):育成・教育や採用面
スタイル(Style):トップダウンかボトムアップかなどの企業風土
共通の価値観(Shared Value):ミッション・ビジョン・バリュー
マッキンゼーの7Sの活用方法
マッキンゼーの7Sを活用することで、自社の現状を把握・分析でき、課題を明確化することができます。
具体的な手順とポイントは、以下の通りです。
1.7Sの各要素に照らし合わせて、自社の現状を把握する
- ハード面の3Sから、目標達成に向けてどのような組織構造とシステムで取組んでいるのかを把握
- ソフト面の4Sから、社員の能力やスキルのレベル、上司による統制や育成の状況、価値観の共有やコミュニケーションの円滑さなどを把握
2.現状からみえてきた課題を明確化する
- ハード面とソフト面の両面からボトルネックを洗い出す
- 出てきた課題に優先順位をつける
3.課題に対する対策を作成する
- 優先順の高いものを中心に具体的な対策案を作成
- 対策案の具体化にはWhy(なぜ)・Where(どこで)・Who(誰が)・What(何を)・When(いつ)・How(どうやって)・How much(いくらで)の5W2Hを用いると良い
4.対策案と現状を比較して成果を得られそうなら実行に移す
- 対策案を実施した場合と、現状を比較して期待する効果が得られるかを予想
- 対策案が不十分なら再考の上、ブラッシュアップを行う
- 実行に移す際は、前述のOKRを用いると良い
4.タックマンモデル
タックマンモデルとは、組織の成長段階を示したモデルです。形成期・混乱期・統一期・機能期・散会期の5つの段階を経て、目的達成に至るまでを表しています。心理学者のブルース・W・タックマン氏により提唱されました。

タックマンモデルの活用方法
タックマンモデルを活用することで、組織やチームが今どの段階にいるかを理解でき、経営者やリーダーが適切な対策を打ち出せます。
また組織やチーム内の衝突・混乱も無理に避けるべきものではなく、経験として乗り越えるべきものであるという認識の共有のもと、一体感の醸成も可能です。結果として、円滑な組織運営により求められた以上の成果を期待できるでしょう。
5.ワールド・カフェ
ワールド・カフェとは、自由かつ創造的なアイデアを生み出すことを目的とした話し合いの手法です。参加者は、カフェのようなゆったりとした雰囲気のなかで自由に話し合います。
ワールドカフェは、アニータ・ブラウン氏とデイビット・アイザック氏の2名により1995年に考案されました。2人は自宅にてリラックスした雰囲気で打合せを行った結果、いつも以上に質の高いアイデアや気づきを得られた経験からこの手法に至ったのです。
ワールド・カフェの活用方法
ワールドカフェを活用することで参加意識の向上や発言の活性化につながり、質が高く創造的なアイデアを得られる可能性が高まります。
ワールドカフェに定められた方法はありませんが、一般的な手順やポイントは以下の通りです。
1.テーマについて自由に話す
- 4~5人ずつのチームに分け、模造紙とペンが用意されたテーブルに着席
- まずは緊張をほぐすため、チームごとに5分程度の雑談やアイスブレイクを行う
- 与えられたテーマについて自由に話し合い、図やメモを模造紙に書き残す
2.アイデアについて話し合う
- 各チームごとにホスト役1人を残して、他のメンバーは別のチームへ自由に移動
- 新しいメンバーがそろったら、また5分程度の雑談などでリラックス
- ホスト役が初めのチームで話した内容を共有し、アイデアを持ち寄る
3.気づきをまとめる
- 最初のチームに戻り、別のチームでどのような意見やアイデアがあったかを共有
- 持ち寄った様々な意見やアイデアにより、議論を深める
4.参加者全員での共有
- まずは各自で振り返りと整理の時間を確保
- 参加者全員に対して1人ずつ話し合いのなかで得たアイデア・意見・気づきを共有
- 参加人数が多い場合は大きく2グループに分ける
また全体の心がけとして、以下を共通ルールとすると良いでしょう。
- テーマに意識を集中して話し合う(必要以上に話が脱線することを防ぐ)
- 思ったことは素直に発言する
- 話は短く簡潔に(時間が限られるため)
- うなづきと共感をもって話を聞く
- 模造紙とペンで自由にどんどん書き出す
6.フューチャーサーチ
フューチャーサーチとは、難易度の高い課題に対して関係者を集めた大規模な議論を行い、解決策を見出すためのミーティング手法です。マーヴィン・ワイスボード氏とサンドラ・ジャノフ氏によって提唱されました。
フューチャーサーチの活用方法
フューチャーサーチを活用することで、関係者間での認識共有やすり合わせ、過去から未来までをふまえた解決策を見出せます。
手順とポイントは以下の通りです。
1.社員の他に、利害が異なる関係者を集める
- 関係者は「顧客、協業企業、地域住民」などで制限はない
- 総勢60名程度、3日間で実施するケースが一般的
2.過去と現在の状況を共有し、皆がどのような未来を望むかを共有する
- 参加者がそれぞれの立場で「過去・現在・未来」を発表
- 利害は異なるものの、過去・現在の苦労や望む未来への共感が生まれる
3.互いに協力する姿勢で、解決策やアクションプランを作成する
- 互いに共通する目的(望む未来)をピックアップする
- ピックアップした目的を達成するために、それぞれの立場で出来ることを持ち寄りアクションプランを作成する
- アクションプランへの参加は強制しない
自社を越えて、ステークホルダー(関係各位)と共に取り組むことで、課題解決とあわせて、組織開発の目的である外部環境への適応を果たせるのです。
7.アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)
アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)とは、肯定的な質問を通じて組織や個人の価値を見出し、今後の可能性を広げるためのフレームワークです。AIは、Appreciative(価値を見出す)、Inquiry(探求・質問)を意味しています。
弱みや失敗などネガティブな要素を補うことで課題を解決するアプローチとは異なり、強みなどポジティブな要素に目を向ける点が特徴です。
アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)の活用方法
アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)を活用することで、組織・個人の強みやポテンシャルの発見、夢や目標の再認識、視野の拡大、理想像の共有などを期待できます。
実施のためには、参加者はまず「8つの原理」を理解する必要があります。
- 構成主義の原理:日頃交わされる言葉で組織は作られていく
- 同時性の原理:質問したと同時に変化が始まる
- 詩的の原理:解釈は多様であり、自由に選択できる
- 想定の原理:未来を前向きにイメージすれば、現在の取組みも前向きなものになる
- ポジティブさの原理:ポジティブな感情や関係が、強みやポテンシャルを引き出す
- 全体性の原理:全体で話し合うことで、創造性が刺激され良い成果を得られる
- 体現の原理:変化を起こすためには、自分自身が体現しなければならない
- 自由な選択の原理:自由な選択が良い変化をもたらす
その上で、発見(Discover)、夢(Dream)、設計(Design)、実行(Destiny)の4段階で進めていきます。

発見(Discover)
- 5~10名ごとのグループをつくる
- 組織や個人の強み・ポテンシャル・価値を発見し、自信をもつことが目的
- 質問を投げかけて答えるインタビュー形式で行う
- これまでの成功体験や、なぜ上手くいったかを質問により聞き出す
- 成功体験から強みなどポジティブな要素が抽出される
夢(Dream)
- 組織や個人の強みが発揮された「理想の未来」を描き、共有することが目的
- 発見(Discover)の内容を基に「どのような状態が理想か」を見出す
- 「私(たち)は、こんな未来を実現する!」を表明する場でもある
設計(Design)
- 「理想の未来」の実現に向かって何をするかを決めることが目的
- 現在を「理想の未来」に変化させるために必要な項目を洗い出す
- 具体的なアクションプランを作成する(5W2H推奨)
- アクションプランは実行者による「自己決定」が原則
実行(Destiny)
- 設計(Design)で作成したアクションプランの実行が目的
- 自らが定めた目標の達成に向けて持続的に取り組む段階
- 組織目標の場合は、会議などで定期的な進捗確認を行い、必要に応じて対策を講じる
- 個人目標の場合は、上司との面談などで定期的なフォローを行う
組織に変革をもたらすためには、組織を構成する社員の可能性を広げることが欠かせません。ポジティブな切り口から、自信や熱意など前向きな感情を引き出し、内発的な動機づけによって組織開発を実現できるフレームワークといえるでしょう。
8.コーチング
コーチングとは、主に対話を通じて対象者の能力・気力を引き出し、自己成長や自発的な行動を促すマネジメント手法です。上下関係を意識せず並走しながら目標達成を目指します。
コーチング自体は、厳密には人材開発に分類される手法です。ただ、各社員の能力・気力を引き出して生産性を向上させ、ひいては組織全体の生産性を高めることから「組織開発」のための手法として注目されるようになりました。
なお、対比されるティーチングとの違いは、以下の通りです。
相違点 | コーチング | ティーチング |
目標達成へのアプローチ方法 | 自主的な行動を促す | 達成方法を教える |
答えの在処 | 対象者のなかにある | 教える側がもっている |
上下関係 | なし(並走するイメージ) | あり(教える側と教わる側) |
コーチングの活用方法
コーチングは、面談など普段の部下とのやり取りのなかでも実践可能です。ポイントは以下の通りです。
- 自主性や内発的動機付けを重視する(やらされ感ではなく、やる気を引き出す)
- すぐに指導やアドバイスをするのではなく、本人が考えることを促す
- 考えに行き詰った様子なら新たな視点を示す
- 一緒に目標達成に向けて取り組む姿勢を示す
社員一人ひとりが自立した意識と行動によって目標達成を目指す姿勢は、組織を発展させるための強力な推進力となるでしょう。
組織開発にフレームワークを用いる際の注意点
ここまでに紹介したフレームワークは組織開発に大いに役立ちます。ただし、有効に活用するための注意点もあります。
フレームワークを用いることで、本来の目的から逸れるリスクがある、社員に許容範囲を超える負担がかかるといった場合は、無理にその手順や型を守る必要はありません。状況に応じて、手順の調整や中断も視野に入れましょう。
また、こうした事態を未然に防ぐためにも、今回は何を目的とした組織開発なのかを明確にすることが大切です。そもそも、フレームワークは目的達成のためのひとつの手段ですので、他に適した手段があれば無理に用いる必要はありません。各フレームワークの役割を理解した上で、適切な手段と判断できる際にご活用ください。
【目的別】組織開発におけるオススメのフレームワーク
組織開発を行うにあたり「どのフレームワークを使うべきなのだろう?」と迷うケースも少なくありません。そこで、目的別にオススメのフレームワークを紹介します。
組織の現状を正確に把握したい
組織の現状を正確に把握したい場合は以下のフレームワークがオススメです。
- マッキンゼーの7s:計7つの経営資源に照らし合わせることで、現状把握だけでなく見落としがちな課題にも気づける
- タックマンモデル:今自らの組織やチームがどの段階にあるかを把握できる
組織を活性化させたい
組織を活性化させたい(例:社員の意欲を引き出したい、社員間の連携を強めたい、風通しの良い職場にしたい)場合は、以下のフレームワークがオススメです。
- ミッション・ビジョン・バリュー:自社の存在意義を明確に示すことで、やりがいが生まれ、連帯感の醸成につながる
- タックマンモデル:組織やチームの段階に適した対策を打ち出せる
- ワールドカフェ:リラックスして発言しやすい状態で、多くの社員と議論を行える
- アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI):ポジティブな問いや考え方を中心とした場で、自発的なアクションプランの設定まで行る
組織の目標を達成させたい
組織の目標を達成させたい場合は、以下のフレームワークがオススメです。
- ミッション・ビジョン・バリュー:自分たちが目指すべき姿や使命を再認識し、目標達成の意欲を向上できる
- OSR:組織全体で一体感をもって目標達成を目指せる、客観的な指標で各部署や各社員の達成度まで分かる
外部環境に翻弄されない組織づくりを行いたい
- ミッション・ビジョン・バリュー:自社がどうあるべきかの軸を確立できる
- OKR:組織の目標を個人レベルまで落とし込むことで、環境の変化に動じず達成に向けた活動を行える
- フューチャーサーチ:外部の関係者も含めて議論を行うことで、外部環境に馴染みやすくなる
- アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI):組織や個人の強みやポテンシャルを明確にすることで、環境の変化を受けてもブレにくい軸ができる
フレームワークだけではない|組織開発に役立つ手法
組織開発に役立つのは、フレームワークだけではありません。その他の手法のなかから、組織開発に役立つものを紹介します。
1on1ミーティング
いわゆる個人面談です。上司と部下が1対1で面談を行うことで、部下は悩みや不安などを打ち明けやすく、上司も目の前の部下に応じた個別指導やアドバイスを行えます。部下の本音を聞き取り、互いの関係性を良好に保つ良い機会となるでしょう。
アシミレーション
アシミレーションは、上司と部下の相互理解を深めて関係構築を行う手法です。部下が上司を評価する手法としても用いられます。
具体的には、上司と部下の間に中立的な立場としてファシリテーターを設定します。ファシリテーターは部署外からの選任が良いでしょう。上司のみがいない場で、部下同士がディスカッションを行い、ファシリテーターが結果を匿名で上司へフィードバックします。
ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、部署異動・職種の変更を定期的に行うことで、幅広い業務に対応できる人材を育成する手法です。個人の育成という観点からだと、人材開発の領域ですが、組織開発の視点では、適材適所の発見による組織の生産性向上というメリットがあります。
人材開発
組織開発と対をなすのが人材開発です。組織開発は人と人との間の「関係性」や「相互作用」を対象とするのに対して、人材開発は「人」そのものを対象とします。本人の能力やスキル、考え方などにどう影響を与えるかという観点で考えます。
とはいえ、組織開発のために人材開発が必要になるケースは多々あるため、厳密な定義を求められない限りは、無理に切り分ける必要はありません。
具体例としては以下のような場合です。
- 組織開発を主導するために、ロジカルシンキングなどのスキル習得を目的とした社員教育を実施
- 上司と部下との関係性を良好に保つために、各社員のコミュニケーションスキル向上させる研修を実施
組織開発のための人材開発を効率良く行う方法
上記した例のように組織開発のためには、社員研修などの人材開発が不可欠です。
ただ一方では、組織を取り巻く課題の多さから、テーマが多岐にわたる社員教育は行いにくいのが実状です。
そこで、有効なのがeラーニングです。eラーニングとは、パソコンやスマートフォンなどとインターネットを利用して教育、学習、研修を行うことです。
eラーニングはネット環境さえあればいつでもどこでも受講可能なため、受講者側は空き時間などを活用できます。開催側も受講案内のみで、研修のために参加者全員のスケジュール調整を行う必要もありません。
手間や負担の少なさから「研修まで手が回らない」といった課題の解決策となるでしょう。
eラーニング活用について詳細を知りたい方は以下の資料をご確認ください。
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まとめ
組織開発に有効なフレームワークを8つ紹介しました。いずれのフレームワークも、社員間の関係性や組織構造といった組織開発における難解な課題をクリアするために非常に有効です。
ただし、フレームワークは組織開発という目的を達成するためのひとつの手段です。フレームワークの実施そのものが目的化しないように注意しましょう。
また、「目的別」にオススメのフレームワークを紹介しました。状況に応じたフレームワークの選択にご活用ください。
フレームワーク以外にも、組織開発に役立つ手法を紹介しました。いずれも上司と部下の関係性や組織構造の最適化などに役立ちます。とりわけ、組織開発のためには人材開発も必要です。eラーニングなど負担の少ない教育手法を用いれば効率的に行えます。
ビジネス環境の変化が著しい昨今、組織開発をスムーズにするフレームワークを活用して、組織の生産性と健全性の向上、外部環境への適応を実現しましょう。
従業員の成長を促す”人材育成のノウハウ”を無料でお届け
企業の発展に従業員の成長は欠かせません。しかし、
- 「人材育成を行う時間と余裕がない」
- 「どのように人材育成を進めるべきかがわからない」
- 「社員自身が人材育成の重要性を認識できていない」
といった悩みを多くの企業が抱えています。
社員が成長し、成果をあげるためには、時代の変化や企業課題にあわせた適切な育成手法が欠かせません。
そこで、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新の人材育成モデルやその実現ノウハウをまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』を公開しています。
人材育成施策の現状や、社員の学習が習慣化する仕組みなど、カギとなる4つのポイントが詰まっています。
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