人材育成のポイント|具体的な手法やステップ、階層別の進め方

企業において、人材(ヒト)はモノ・カネ・情報と並ぶ、重要な経営資源です。

採用市場が売り手優位と言われている現在、

「新入社員が採れない・・・」

「エース社員が管理職に昇格してからパッとしない・・・」

等々の悩みを抱えている企業・人事担当者の方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、貴重な社員をどのように育成すれば良いか、新入社員中堅社員管理職のそれぞれにおいて、人材育成を成功させるためのポイントを説明致します!

従業員の成長を促す”人材育成モデル”を無料で公開

企業の発展に従業員の成長は欠かせません。しかし、「育成の時間や余裕がない」「どう進めるべきかがわからない」など、多くの企業が課題を抱えています。

そこで、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新の人材育成モデルやその実現ノウハウをまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』をお届けします。

人材育成施策に欠かせない4つのポイントが詰まっており、 人事担当をはじめとした人材育成・教育に携わる方必見の内容です。

どなたでも無料でダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。

人材育成の定義をおさらい

人材育成とは、社員が仕事を行う上で必要な知識を与え、その知識を活用できる技能を会得させることによって、社員の能力をレベルアップさせることです。

人材育成の目的として、以下の3点が挙げられます。

  • ビジネスマインドの醸成
  • スキルや専門性の向上
  • 帰属意識の向上

社員が企業に役立つことのみならず、社会に貢献し、社員自身の生きがいも実現できるようにすることが必要になります。

  • OJT(On the Job Training):業務の中で管理職や先輩社員が部下・後輩社員を指導する育成方法
  • Off-JT(Off the Job Training):内部・外部の専門家等の講師を招いて行われる育成方法
  • 自己啓発:社員自身が自らの意思で行う能力開発

OJTは日常業務を行いながら指導にあたるため、実務能力を向上させる効果が期待できます。Off-JTは社内での集団研修だけでなく、社外のセミナーや講習会への参加などが挙げられ、外部の知見を取り入れやすい側面があります。将来必要になると考えた知識・スキルの習得を、社員が自発的に実施するのもよいでしょう。

これらの人材育成方法は、新入社員向け、中堅社員向け、管理職向けと、ステージが変われば育成に必要な内容やポイントも異なります。対象者にあわせた育成方法を取捨選択しましょう。

よくある課題

人材育成には課題がつきものです。企業の発展に欠かせないものの、育成に時間が割けていなかったり、担当者のスキルが不足していたりと、課題を抱えている企業も多いでしょう。

  • 社員が忙しくて時間と余裕がない
  • 人材育成の知識やスキルが不足している
  • 社員が重要性を認識できていない
  • 人材育成そのものが目的化している
  • 計画的に行えていない

人材育成のポイントは、目的や定義だけでなく、起こりうる課題を認識し、対策を打つことにあります。育成の目的や目標を明確にし、具体的な対策を盛り込んだ育成計画を策定しましょう。

参照:人材育成の育成計画書の作り方|無料のサンプルフォーマット付き

人材育成で大切なポイント

人材育成の目的の達成には、大切なポイントを押さえておく必要があります。

目的の明確化

まずは、なんのための人材育成なのか?人材育成に取り組む目的を明確にしておきましょう。

もちろん企業ごとに目的は異なりますが、主な目的としては、企業の経営目標の達成、それに伴う従業員のスキルアップ、モチベーション向上などが挙げられるでしょう。

  • 中長期経営目標の達成
  • 人事戦略の達成
  • ビジネスマナーやマインドの醸成
  • スキルや専門性の向上
  • 帰属意識の向上 など

「組織に属している」「社員みんなが仲間である」といった帰属意識の向上を図ることで、従業員がいきいきと働けるようになったり、働くモチベーションの向上が期待できます。

知識のインプットやスキル向上は、eラーニングや研修などを効果的に活用するのもよいでしょう。

目標の設定

人材育成における目標とは、理想とする人材像へ社員を成長させるための指標です。

育成する側の人事担当者や教育者としての目標設定も重要ですが、当然ながら育成される側の社員それぞれが目標設定することも大切です。

その際、目標設定の基礎的なフレームワークである「ベーシック法」を用いるとよいでしょう。

  1. 目標項目の設定
  2. 達成基準の設定
  3. 期限の設定
  4. 達成計画の設定

ポイントとしては、「何を達成させるか」「達成を判断できる基準があるか」「いつまでに達成させるか」「どのように達成させるか」です。

たとえば、「〜によって売上をあげる人材に育つ」という目標を立てても、なにがどうなれば達成したかの基準が明確ではありません。基準が明確でないと、なにをどのように行えばよいのか計画を立てることもできません。

まずは、目指す理想の人材像と現在の課題を把握し、なにを果たすべきか?を明らかにすることから始めてみましょう。

参照:人材育成の目標とは?基本的な設定方法や管理のポイントを紹介

人材育成計画の策定

設定した目標の達成に向け、現状の課題や解決のために実施すべき教育内容を計画に盛り込みます。

その際、各職種・役職における必要なスキルを具体的にしましょう。その上で、現状のスキルレベルを把握し、目標とのギャップを埋めるために必要な行動を具体的にリスト化します。育成計画フォーマットも活用することで具体的な育成プログラムが描けるでしょう。

もちろん、計画は作成して終わりではありません。計画に基づいて実践し、目標達成に向けてフィードバックを繰り返すことが大切です。得られた結果をもとに改善点を洗い出し、再度実行に移し、再度振り返りを行い…といったプロセスを行うことで効果的な育成を推進できます。

参考:人材育成の育成計画書の作り方|無料のサンプルフォーマット付き

育成担当者のスキルアップ

人材育成を行う上では、育成担当者のスキル向上も欠かせません。

設定した目標を達成できるようにする「目標管理能力」やティーチングやコーチングなどを含む「コミュニケーションスキル」、正確な状況把握と判断のために必要な「ロジカルシンキング」などです。

  • 目標管理能力
  • コミュニケーションスキル
  • ティーチングスキル
  • コーチングスキル
  • ロジカルシンキング(論理的思考)
  • クリティカルシンキング(批判的思考)など

マネジメントスキルにも共通するような項目ですが、人材育成においても物事を前に進め、成功に導くスキルが求められます。

人材育成においても「本当にこの教え方でよいのか」や「もっと効率的・効果的な方法があるのではないか」など、あえて疑いをもつことでより良い結果に導きます。

フレームワークの活用

人材育成におけるフレームワークを活用することで、より効率的、かつ効果的に育成を推進することができます。

基本的なフレームワークとしては以下が挙げられます。

  • HPI (ヒューマン パフォーマンス インプルーブメント)
  • SMARTの法則
  • カッツモデル
  • カークパトリックモデル
  • 70:20:10の法則

たとえばHPIは、あるべき姿と現状のギャップや原因分析を行い、適切な解決策の策定や結果の評価を行うアプローチ手法です。その際、自社のビジネスが目指す姿や達成したい真の目標を明確にし、パフォーマンスギャップを分析する点が特徴的です。

フレームワークは、成功パターンをモデル化したものであり、上手く活用することで効率的に推進することができる一方で、あまりフレームワークにこだわりすぎると柔軟性に欠ける側面もあります。

あくまで、目的・目標を達成させる手段の一つと捉えましょう。

参考:人材育成のフレームワークとは?活用するための6STEP!

eラーニングの活用

eラーニングは、パソコン、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器を介し、インターネットを利用して教育、学習、研修を行うことです。

会場に集まり主に対面で行う集合研修とは異なり、時間や場所を選ばず、いつでもどこでも学習できる点が特徴です。動画研修により毎年のオンボーディング研修に活用したり、個々人がスキルアップのために繰り返し学習する、といった活用方法も可能です。

自社の教育・育成課題に合わせて学習コンテンツを用意したり、学習履歴を管理することもできるため、全国各地・多拠点に従業員を抱えるような企業でも教育の品質や従業員のスキルの統一が実現できます。

参考:eラーニングとは?導入メリットや 活用事例をわかりやすく解説

階層別のポイント

新入社員の育成

新入社員の場合、社会人経験が短く、中堅社員や管理職に比べると結果が求められないため、Off-JT(研修)を比較的長期間実施されることが多いです。

新入社員研修は、仕事への興味喚起・社会人としての意識改革・マナーの習得および社内における共通知識の習得など、社会・企業で働く心構えや態度の形成が主な内容となります。

OJTも古くから日本企業に根付いている新入社員の育成方法ですが、近年では時代の変化が激しいために過去の経験がそのまま活かせなかったり、新入社員の育成そのものが負担になっているなどの理由で、OJTが有効に機能しないケースも存在します。

OJTを機能させるためにも、以下の3つのポイントに留意すると良いでしょう。

  • その仕事で学んでほしいことや重要なポイントを伝える
  • コミュニケーションを綿密に取る
  • 業務完了後に、必ず振り返りを行う

単に仕事を経験させるだけでは、せっかくの経験をノウハウとして蓄積することはできません。

新入社員が新たな仕事に取り組む際は、

「何を学んで欲しいか?」

「重要なポイントは何か?」

をあらかじめ伝えることで、その仕事への意識が醸成され、仕事への理解が効率的になります。

また、新入社員にとって、最初から100点満点の成果物を作成することは困難です。

期限間近まで新入社員に任せっぱなしにしてしまうことで、仕事の挽回が効かなくなってしまうリスクがあります。

そこで報告・連絡・相談(報連相)を徹底させることで、適宜軌道修正できます。コミュニケーションが綿密になり、適切な助言をしやすい環境が整えられます。

とはいえ、仕事をやり終えても、やりっぱなしでは得られた経験を次に活かすことはできません。

そこで新入社員とともに仕事を振り返る場を作り、仕事で得た経験やノウハウ・考え方を新入社員が自分自身の言葉で話せるようにすることが必要です。

中堅社員の育成

中堅社員は、職場の将来を担う中核的存在として、更なる活躍を期待される立場です。

また、新入社員をはじめとした若手社員と経営陣・管理職との間をつなぐ役割を求められており、仕事のスキルのみならず、調整能力も求められます。

中堅社員向けの育成としては、Off-JT(研修)が中心になり、理論に基づいた実務能力の習得が主な目的になります。

中堅社員は、今までの仕事経験に自信が出てくる一方、自己流の仕事方法のままの場合も多いです。

理論に基づいた仕事方法を見直さないと、将来的に行き詰まる可能性があります。

そこで、中堅社員の企業における役割を自覚させるとともに、新たな仕事や役割へのモチベーションを引き出すことも育成のポイントです。

Off-JT(研修)の内容としては、問題解決能力の向上自己啓発能力の向上等が挙げられます。

管理職の育成

管理職の場合、経営者の方針を担当部署内で中堅社員・若手社員に落とし込むとともに、現場の状況や課題を元に経営者に提言する役割も求められています。

役割を全うするため、考え方を今までの中堅社員としての視点から管理職としての視点に高めるとともに、経営者がどのような立場に置かれているかを理解しなければなりません。

しかし、中堅社員としては優秀だった社員が「そのままの視点や意識・スキルのままで仕事に取り組んで失敗」「管理職に昇格してからパッとしない」などと言われてしまうことも多々あります。

そこで、管理職向けの育成は、管理職としての意識改革求められる役割に対応するためのスキル向上が目的となります。

中堅社員と同様にOff-JT(研修)が中心になり、人間関係の調整に関するスキルや専門的知識・管理の基本的知識の習得をはじめ、面接による部下の理解・職場リーダーシップの向上等が主な内容となります。

まとめ

企業における人材育成は、新入社員・中堅社員・管理職といったステージ毎に実施目的や内容が変わってきます。

また、中堅社員から管理職とステージを上がるに連れて、意識改革が求められるようになります。

OJTやOff-JTにおいても、ポイントを押さえることで、人材育成の成功の可能性を高めることができます。

人材育成を通じて、企業全体の潜在能力を高め、業績向上につながるよう、自社の現状に合わせて取り組んでいきましょう

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企業の発展に従業員の成長は欠かせません。しかし、

  • 「人材育成を行う時間と余裕がない」
  • 「どのように人材育成を進めるべきかがわからない」
  • 「社員自身が人材育成の重要性を認識できていない」

といった悩みを多くの企業が抱えています。

社員が成長し、成果をあげるためには、時代の変化や企業課題にあわせた適切な育成手法が欠かせません。

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ABOUTこの記事をかいた人

中小企業診断士。スタートアップナビゲーター。 早稲田大学卒業後、金融機関(コンサルティング)、ITベンダー(経理・営業)、広告会社(経営管理・組織活性化)を経て、2019年7月に独立開業。 2012年中小企業診断士合格後、創業・資金調達(融資・補助金等)および組織活性化の支援(研修・コンサルティング)を中心に活動中。