「OJT(On-The-Job Training)」とは、実際の職務現場において、業務を通して上司や先輩社員が部下の指導を行う、教育のことをいいます。
今回は、職場教育の中でもとてもメジャーな「OJT」についてご紹介いたします!!
OJTの目的・重要性
OJTは実際に業務を行う現場で、トレーナーとなる社員が一人ひとりに対し行う教育方法です。業務を通じて学ぶことで、学んだことを早期に発揮できるようにし、即戦力となる社員を育成することが目的です。
一方で新入社員にはOJTで業務内容だけを教えていれば即戦力になってくれるというわけではありません・・・。
初めて取り組む仕事、初めての職場や人間関係など沢山の不安を抱えています。
そのような不安を解消し、モチベーションをアップさせるには、コミュニケーションが重要です。
その点OJTでは、トレーナーになる先輩社員とのコミュニケーションが密になり、トレーナーからの的確なフィードバックにより励まし、成長を促すことができます。モチベーションが高まることで、習熟が早まることが期待できます。
このようにOJTには、業務の習得を促すことの他に、コミュニケーションによって職場や仕事への不安を解消し、モチベーションをアップさせ、職場への定着や能力の発揮を図ることも重要な役割となっています。
また、新人社員だけでなく、OJTトレーナーの業務効率向上も期待できます!
普段の業務で忙しい中、新人社員の指導も担当すると、自身の業務に使っていた時間をOJTに使う必要があり物理的負担が増えます。時間的な負担だけではなく新入社員の育成に責任を持つことで精神的な負担も増えます。
一見ネガティブに見えますが、そのような負荷を背負うことで、時間の使い方に工夫をしたり、教えることによって業務への理解がより深まったり、人を育成するための育成方法やマネジメントを学ぶこともできます。
その経験が業務の効率化やマネジメントの疑似体験となりトレーナー自身の成長も促すことができます。
ですので、OJTは組織にとって新人を即戦力として定着させると同時に、OJTを通じてトレーナーとなる先輩社員の業務効率化や育成にもつながる相乗効果が期待できる育成方法なのです!
しかしながら、OJTは正しいやり方をしないとその効果が得られません・・・。得られないどころか逆効果となって新入社員が辞めてしまうといったこともあり得ますので、基本的な手法やポイントを理解した上で行うことが必要です。
ここからは手法やポイントを解説させて頂きます。
OJTの基本手法 (4つのステップと3つのポイント)
OJTには4つのステップと3つのポイントが存在します。
OJT4つのステップ
- Show(やってみせる)
- Tell(説明・解説する)
- Do(やらせてみる)
- Check(評価・指導をする)
それでは、ひとつずつ解説していきます。
1.<Show>(やってみせる)
まずその仕事をやって見せることで、仕事の全体像を理解してもらいます。言葉での説明で終わらせてしまうことが多いですが、実際に手本を見せて具体的なイメージを持ってもらうことが大切です。動画に残しておけば、新入社員が復習する時にも繰り返し何度もやらずにすみますので役に立ちます。
2.<Tell>(説明・解説する)
次に具体的な仕事の内容を説明します。その仕事はどういうものなのか、その仕事の目的や背景をきちんと理解してもらえるまで教えます。一方的に説明するだけでなく、時折質問を交えることによって理解度を確認すると効果的です。動画で、ベストなやり方(手本)を残しておき、eラーニングで共有することを行っている企業も近年増加しております。
3.<Do>(やらせてみる)
実際にその仕事をやってもらいます。一人でやらせてみることを意識することが大切です。一人でやらせることは不安ですが、初めてのときはしっかりと横について見守りましょう。ここでは失敗を責めるのではなく、安心感を与えることが求められます。
4.<Check>(評価・指導をする)
Doで、できていなかったことについてのフィードバックやできていたことの感想などを伝えます。フィードバックは具体的な内容にすることで効果が上がります。また、DoをCheckした評価にもとづいて次の計画を立てます。できていたことはポジティブに伝えましょう!
※Show → Tell → Do → Checkの4つの循環を継続して行うことで確実に成長を促すことができます。逆にどれかがひとつでも欠けてしまうと育成はスムーズに進みません・・・。仕事の内容を理解しないままDoさせたり、Checkのフィードバックを疎かにしていては、マネジメントのサイクルが回らず停滞してしまいます。
4つの循環を意識してOJTの運用を行いましょう!
OJT3つのポイント
OJTの3つのポイントとは、
- 「意図的」
- 「計画的」
- 「継続的」
であることです。
具体的には・・・
意図的: どのような目的や目標でそのトレーニングを行うのかを明確にすること
計画的: 十分に設計された計画に基づいてトレーニングが行われること
継続的: 単発で終わってしまうトレーニングではなく、反復的、段階的にトレーニングが行われること。
これら3つのポイントを守ることでOJTの質を保つことができます。
OJTを行う目的と目標を明確にし、目標から逆算して育成計画を設計し、反復的、段階的に継続したトレーニングを行うことで、トレーニーの習得と発揮を促します。継続的に行う事はいくら計画していても、突発的なトラブルなどでできず、そのまま放置になってしまうケースもあるので注意が必要です。
動画で残しておいて、トレーナーが正しい手順を忘れずにしておくことも重要になります。
まとめ
OJTは、新入社員にとっても、教えるトレーナーにとっても業務効率化や、育成に繋がる手法です。コミュニケーションを取りながら、継続して行う事がとても大切です。
継続、繰り返し行う部分を動画で撮影しておいて、eラーニングで共有するハイブリッド型のOJTも最近の人材不足、外国人スタッフ教育にも有効です。
是非、今回の記事を参考にOJTをやってみてはいかがでしょうか?