OJTとは?意味や研修のやり方、OFF-JTとの違いを解説

新入社員を育成する手段であるOJT(On The Job Training)は、実際の業務に関するスキルや知識、ノウハウを効率良く伝授できる方法です。

近年では、新入社員教育として多くの企業が取り入れています。

とはいえ、「OJTの基本的な意味や目的がよくわからない」「自社にOJTを取り入れたいけれど、失敗してしまわないか不安」と考える人事担当者もいるでしょう。

本記事では、OJTの概要から目的、メリット・デメリット、実施する際の手順、OJTを成功させるコツ、成功事例まで、詳しく解説します。

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外部環境の変化が激しい昨今に対応するために、組織開発や人材育成による従業員の成長は欠かせない要素の1つとなっています。しかし「育成の時間や余裕がない」「育成ノウハウがない」など、多くの企業が課題を抱えています。

そこでKIYOラーニングでは、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新の人材育成モデルやその実現ノウハウをまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』をお届けしています。

社員が成長し、最終的に成果をあげるまでに必要な育成施策とその流れをモデル化したものになりますので、自社の状況と照らし合わせて育成方法を検討したい方はぜひご活用ください。

目次

OJTとは?

OJT(On-the-Job Training)とは、職場で実務経験を通じて知識やスキルを習得する育成方法です。主な対象は新入社員で、同じ部署の上司や先輩がトレーナー(育成担当者)となり育成を行います。

厚生労働省における令和5年度調査によると、正社員または正社員以外に対して、計画的なOJTを実施した事業所の割合は63.2%でした。その内訳は以下のとおりです。

正社員と正社員以外、両方に実施した20.7%
正社員のみ実施した40.0%
正社員以外のみ実施した2.5%

参照:厚生労働省「調査結果の概要 1 企業調査 p.19

上記より、計画的なOJTは、正社員のみに対して行った事業所が多いことがわかります。

一方、OJTを計画的に実施していないと回答した事業所は36.7%でした。

OJTが誕生したのは、第一次世界大戦中のアメリカです。当時、アメリカの造船所では人員を増やさなければならず、大量の人材を教育する方法として、職場での実地訓練である以下の「4段階職業指導法」が考案されました。

  1. やってみせる(Show)
  2. 説明する(Tell)
  3. やらせてみる(Do)
  4. 確認する、追加指導する(Check)

第二次世界大戦中には、これをさらに発展させた「TWI研修(Training Within Industry for supervisors:監督者のための企業内訓練)」ができ、高度成長期に日本で活用されるようになり、現在のOJTへと発展しました。

OJTの重要性

OJTは、育成対象者の不安を解消させ、モチベーションをアップさせる効果が期待できる人材育成方法です。能力を発揮できる人材の育成により、社員一人ひとりの業務効率が向上します。

効果的なOJTは職場への定着にもつながるため、企業の成長に大きく貢献するでしょう。

OFF-JTとの違い

OJTと似た言葉に「OFF-JT」があります。これは、Off the Job Training(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)の略称であり、日常業務から離れた場所で行われる研修全般を指します。

OFF-JTは、OJTと同様、新しい知識やスキルの習得を目的に実施される育成方法です。

違いは目的までの手段であり、OJTは業務内で実務経験を積むのに対し、OFF-JTはeラーニングや集合型研修(座学研修)の受講を通じて学びます

関連記事:OFF-JTとは|OJTとの違いを具体例・活用方法から解説

OJTの目的

OJTには、育成対象者のスキルアップやトレーナーのマネジメント能力の向上、定着率の向上など、さまざまな目的があります。

効果的にOJTを実施するには、育成担当者となる上司が目的を正しく把握しておかなければなりません。OJTの目的を押さえておきましょう。

育成対象者のスキルアップ

OJTは、育成対象者が実務経験を通し、業務上必要となるスキルや知識、ノウハウを身に付ける方法です。

また、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルの向上といった、基礎的な能力の向上も期待できます。

育成対象者が自己成長できると、即戦力として企業の成長に大きく貢献できる人材になるでしょう。

育成担当者のマネジメント能力の向上

育成担当者はOJTを通じて、部下の教育や指導、フィードバックの提供など、リーダーシップスキルを磨く機会を得られます

育成対象者の学習スタイルや効果的な教育方法を理解し、適切なサポートを行うといった能力の向上も期待できるでしょう。

培ったマネジメント能力を活かして、プレゼンテーションやファシリテーター、社内講師など、携われる業務の幅も大きく広げられます。

定着率の向上

OJT実施時の適切なトレーニングとサポートで、育成対象者は組織に貢献できている実感を得られ、業務のモチベーションを維持できます。

育成担当者が都度フィードバックや改善点の洗い出しなどを行い、成長の機会を提供することで、育成対象者は組織内でのキャリアパスを見出せるでしょう。

OJTが終了する頃には、育成対象者は組織の一員として自覚と自信をもち、優秀な人材として組織に貢献できる状態になります。

組織パフォーマンスの向上

OJTは、育成担当者育成対象者相互成長できる仕組みをもち、組織パフォーマンスの向上につながる育成手法です。

OJTを実施すると、育成対象者は「生産性や業務効率の向上」、育成担当者は「新たなスキルの獲得」が期待できます。

これらは結果的に定着率の向上につながり、組織の持続可能な成長に寄与します。

OJTのメリット

OJTには、リアルタイムでフィードバックができる、育成対象者一人ひとりに合わせた教育ができるなどのメリットがあります。

メリットを把握して、効果的な活用につなげましょう。

リアルタイムでフィードバックができる

OJTは直接現場で業務を行いながら育成を図るため、育成担当者は、直接かつリアルタイムにフィードバックできます。

そのため、育成対象者は業務上での失敗や改善すべきポイントが即座に把握でき、自分の行動や業務の質に対する理解を深めながら、修正や改善ができます

育成担当者が繰り返しフィードバックを行うことで、双方のコミュニケーションも促進されるでしょう。

新人一人ひとりに合わせた教育ができる

OJTは育成対象者一人ひとりの能力や学習スタイルに合わせ、実際の業務に取り組みながら教育できます。

育成対象者は自分に合ったペースで取り組めるため、効率的かつストレスの少ない状態でスキルや知識習得を図れるでしょう。

育成担当者は育成対象者一人ひとりの強みや成長のポテンシャルを把握し、適切なサポートやフィードバックを提供することで、効率的に成長を促進できます。

即戦力となる人材を育成できる

育成担当者がリアルタイムにフィードバックを行うOJTは、育成対象者が知識やスキルを吸収しやすい環境です。育成担当者の効果的な指導により、即戦力となる人材を育成できるでしょう。

育成対象者は、現場での実務経験を通じて、問題解決能力や判断力も養えます。座学や研修では学べないスキルを手に入れられるメリットもあります。

OJTのデメリット

効果的なOJTは即戦力となる人材を育成できるものの、育成担当者の負担や教育スキルのばらつきなどの懸念点もあります。

デメリットを解説しますので、実施前に対策を考えておきましょう。

育成担当者の負担が増える

OJTは、育成対象者の業務をフォローしながら指導するため、育成担当者の負担が増えてしまいます。

周りのフォロー体制がなければ、通常業務に支障が出てしまう可能性もあるでしょう。

十分なリソースや人的コストを確保していないままOJTを実施すると、業務がまわらず、組織にとって不利益が生じてしまう恐れもあります。

育成担当者によってばらつきが出る

OJTは同じ方法を取ったとしても、育成担当者の教育スキルによって、成果にばらつきが出てきます。

教育スキルを統一するために、以下の方法を取り入れましょう。

  • 育成担当者用の教育マニュアルを用意する
  • OJTの育成成果を評価基準に組み込む

指導方法を統一化し、モチベーションを維持できるようなシステムを構築すると、スムーズかつ効果的なOJT導入につながります。

育成対象者が放置される可能性がある

育成担当者に教育スキルがない場合、育成対象者が置き去りになる可能性があります。

育成担当者が重要なスキルや知識を伝え忘れないよう、教育マニュアルを用意するのも有効です。積極的にコミュニケーションを取るようにすることも、伝えておきましょう。

OJTの実施方法

OJTを実施する際に、適切な手順を踏むと、効率的かつ効果的に進められます。以下のステップで実施しましょう。

  1. OJTの目標を設定する
  2. 育成担当者を選出する
  3. 実際の業務を見せて業務内容のイメージを定着させる
  4. 実際に業務を遂行してもらう
  5. フィードバックを行い、反省点や改善点を洗い出す

各段階について解説します。

OJTの目標を設定する

OJTは、最初に適切な目標設定をすることが大切です。明確な目的がなければ、成果に対しての評価も難しくなります。

育成対象者の能力向上や業務効率の改善などに関して具体的な目標を設定したうえで、それが達成できるような実施計画を策定しましょう。

定期的な進捗確認やフィードバックを行いながら、目標の達成度を評価し、必要に応じて目標の調整を行うと、より効果的なOJTとなります。

育成担当者を選出する

目標が決まったら、次は育成担当者を選出します。

育成担当者に必要な要件は、以下のとおりです。

  • 適切な指導力をもつ
  • 育成対象者を理解できる
  • 必要なタイミングでサポートできる
  • OJTに集中する時間的余裕がある
  • 教育に関する専門知識・スキルを学ぶことに抵抗がない

育成担当者は企業内の中堅社員や教育部門から選出することが多い傾向がありますが、外部のトレーナーやコンサルタントも活用する方法もあります。

実際の業務を見せて業務内容のイメージを定着させる

OJTで実際の業務を見せつつ指導することで、育成対象者は業務内容や仕事の流れを掴みやすくなります。

そこに、育成担当者が抽象的な概念や理論について具体的な行動に結びつける補足を行えると、業務のイメージがより定着しやすくなるでしょう。

指導する際は、新たな業務を覚えるために必要な内容を、育成対象者の知識やスキルの習得段階に合わせ、理解しやすい言葉や態度で示すことが重要です。

実際に業務を遂行してもらう

業務内容のイメージ定着を図れたら、育成担当者のサポートのもと、実際の業務に携わりながら問題解決能力やチームワークを養います

実務経験を積み、育成対象者のスキルや自信向上につなげましょう。

フィードバックを行い、反省点や改善点を洗い出す

業務遂行後には、育成担当者は定期的にフィードバックし、業務内容やスキルの向上に関する評価を行います。

具体的な業務の成果や振る舞い、コミュニケーション能力などを評価して、反省点や改善点を共有しながら新入社員の成長を促進しましょう。

失敗に対するフィードバックの際には、厳しく𠮟りつけると逆効果です。

なぜできなかったのか、どうすればできるようになるのか、分析とアドバイスを明確にして、わかりやすく話すことを心がけることが大切です。

OJTがうまくいかないときに考えられる原因

OJT導入の意図が社内全体にうまく伝わっていないときや、育成担当者のサポート能力が十分でない場合などは、OJTの効果を十分に発揮できません。

ここでは、OJTがうまくいかないときに考えられる原因を解説します。

OJT導入の意図が十分に伝わっていない

育成担当者や育成対象者のほか、サポートすべき周囲の社員にOJT導入の意図が伝わっていない場合、形式だけのOJTになってしまいがちです。

目的もわからないことで評価しづらくなるだけでなく、指示通りにしか行動できず、効果的なOJTが実施できなくなるでしょう。

レベルの高い複雑な業務を任せてしまっている

OJTですぐにレベルの高い複雑な業務を任せてしまうと、育成対象者は自信を失ってしまう可能性があります。

OJTは主に新人を対象に行うため、「この仕事に向いていないのではないか」と思わせてしまうことで、早期離職につながる恐れもあります。

育成担当者のサポート能力が十分でない

OJTは1対1の育成方法であるため、育成担当者のサポート能力が不十分だと効果が得にくくなります。

また、育成担当者が知識を備えていても、うまく実践に落とし込めていないケースもあります

効果的なOJTに必要なスキルを研修などで習得させたうえで、育成担当者に選定することが重要です。

育成対象者とのコミュニケーションが不足している

OJTでは、必ずしも相性が良いペアリングができるとは限りません。

価値観の相違を感じてしまうと、コミュニケーション不足につながる可能性もあり、結果としてOJTが逆効果になってしまう可能性もあります。

OJTを成功させるコツ

OJTを成功させるには、うまく運用できる体制を整えることが重要です。

「手順通りにうまくいくのか不安」と感じている方に向けて、OJTを成功させるコツをわかりやすく解説します。

OJT制度を構築する

日常業務に追われるなか、効果的なOJTを行うためには制度の構築が不可欠です。

以下の要素で構築していきましょう。

OJT制度の構築に必要な要素具体例
自社におけるOJTの目的を明確にする・育成対象者の早期戦力化(実務に必要な知識・スキルの習得)
・育成対象者のモチベーションアップ
・育成対象者の帰属意識の向上(退職防止)
育成対象者の選出基準を設定する・中途も含むのか
・入社何カ月目までを対象とするか
育成担当者の選出基準を設定する入社何年以降から担当するか
OJTの基本スケジュールを設定するいつ、どのくらいの期間で行うか
OJTの基本的な進め方を定める・意図的、計画的、継続的に
・4ステップを踏む(Show:みせる、Tell:教える、Do:やらせる、Check:評価と指導)
OJTのフォロー体制を整える・それぞれの相談窓口
・振り返り担当者

制度を構築するときには、他の研修と矛盾が起きないようにしつつ、トラブルやイレギュラー発生時の対応も明示しておくことが大切です。

関連記事:OJT制度とは?構築時の注意点と効果を高める方法を解説

実施目的を社内全体で共有する

OJTを成功させるには、OJTを行う目的について、社内全体が共通認識をもつことが重要です。

直接的に育成に携わるのは、多くが同じ部署の上司や先輩ですが、日常の業務に追われ手一杯になってしまう可能性もあります。

適宜、周囲がフォローに入れるよう、社内全体で人材を育てるといった意識をもてるようにしましょう。

共通認識をもつためには、どのような人材になってほしいのか、そのためにどのように育成するのか「人材育成計画」を立て、共有しておくのがおすすめです。

PDCAサイクルに則った、計画的な育成を実現できます。

反復的、段階的にトレーニングを実施する

新しいスキルや知識を身に付けるには、繰り返し練習することが一番の近道です。

OJTを行う際には一度に多くの情報や技術を与えるのではなく、反復的・段階的に行うと効果的に学習でき、双方の負担も減らせます

育成担当者はトレーニングプログラムを工夫して、段階的に育成対象者をサポートする姿勢をもちましょう。

OJT研修に取り組む

OJT研修は、効果的なOJTに向けて、育成担当者の育成スキルを向上させることを目的に行います。人事担当者や外部講師などが研修や振り返り面談を担当し、優秀なトレーナーの育成を目指します。

OJT研修の手順やポイントについて詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。

関連記事:OJT研修とは?目的や手順、優秀なトレーナーを育成するポイント

育成対象者の主体性を引き出す

OJTでは、育成対象者の主体性を引き出す以下の取り組みも重要です。

  • 1on1ミーティング
  • コーチング

育成対象者が自身のスキルアップのために主体的に考え、行動し、人材育成目標の達成に向けて動けるようになることが、最も目指すべき状態といえます。それぞれの取り組みを詳しく解説します。

1on1ミーティングを実施する

1on1ミーティングとは、育成担当者と育成対象者が、1対1で定期的に対話することです。

育成担当者は、密なコミュニケーションを通して、育成対象者の成長促進をサポートできます。

1on1ミーティングの主な目的は、以下のとおりです。

  • 育成対象者の課題や懸念事項を把握する
  • 業務上の問題点を共有し、解決策を見つける
  • 育成対象者のキャリアプランや将来像を共有する

具体的な進め方や実施時のポイントは、以下になります。

段階内容
1.事前準備議題を設定する
部下の近況を把握する
2.ミーティング実施雰囲気作りに気を付ける
積極的に質問する
傾聴する
3.フォローアップ確認事項や次回の課題を共有する
定期的に振り返りを行う

1on1ミーティングの詳しい進め方や実施のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご活用ください。

関連記事:1on1とは?目的やメリット、実施時の基本的な流れを解説

コーチングを実施する

コーチングとは、以下のようなプロセスを繰り返し行い、育成対象者自身に気づきを促し、行動変容を促すスキルです。

  1. 現状把握
  2. 課題の明確化
  3. 目標設定
  4. 行動プランの立案
  5. 実行
  6. 振り返り

例えば、提案書作成の指導をする場合には、以下のようなコーチング方法が考えられます。

フェーズコーチングの例
現状把握提案書作成でどのような課題を感じていますか?
課題の明確化与件整理、要件定義が曖昧だと提案内容に反映しにくいですね。
目標設定次回は与件をしっかり整理したうえで提案書を作成しましょう。
行動プランプロジェクトの目標・ミッションを明確にするために、事前に顧客へのヒアリングを行いましょうか。
実行顧客へのヒアリング前後で提案書作成にどんな違いが出ましたか?
振り返り顧客へのヒアリングで得たい成果・目指すべきポジショニングが明確になりましたね。そのうえで、さらに高いパフォーマンスを提供するために、予算や支援体制で工夫できる点はありますか?

育成担当者は、育成対象者が主体的に成長できるよう、気づきを促しながら自ら考え行動できるように関わることが重要です。

関連記事:コーチングとは?ビジネスに取り入れる効果や方法、学び方を解説

OJTの成功事例

ここからは、実際にOJTで成功した企業の取り組みについて紹介します。

自社にOJTを取り入れたい方は、ぜひ成功事例を参考にしてください。

長期間で幅広い経験ができる究極のOJT|カワノ工業株式会社

創立90年の歴史がある「カワノ工業株式会社」は、地域住宅リフォームから、インフラを支えるコンクリート製品などの取り扱いまで行う企業です。

「ユーザー満足度No.1企業を目指す」という経営理念のもと、新入社員に対しては半年間、徹底したOJTとさまざまな業種を経験させています。配属は、幅広い知見やスキルを得てから決まる流れになっています。

その結果、属人化してしまう業務が減り、各事業所のエースの入替えや人事異動といった取り組みがスムーズにできるようになっています。新しいことにチャレンジできる環境構築が実現しています。

参考:厚生労働省 人材育成事例一覧「カワノ工業株式会社」

手厚いサポート体制で即戦力を生み出す|東北東ソー化学株式会社

「東北東ソー化学株式会社」は、液体苛性や塩酸を始めとした、基礎化学製品などを製造販売している、山形県酒田市に本社を置く化学メーカーです。

社員の教育では、「人間性の尊重」「社会の変化や事業展開に対応できる人材の育成」「独創性と先見性をもった思考能力の開発」などを重視しています。経営管理部では、毎年「年間教育計画」を作成し、効果的な教育体制を作り出しています。

なかでも手厚いのが、新入社員研修です。OJTやOFF-JTを取り入れつつ、以下の教育が実施されています。

  • 入社後は自社で約5日間の基礎教育を実施
  • 親会社の東ソー(株)で約1週間かけてプラントの見学、ビジネスマナー、KYT教育、宿泊研修、ボランティア活動を受講
  • 自社で各製造現場などを1週間程度経験し、知見を広げる
  • 配属されて約半年後にはフォローアップ研修に派遣し、半年間の振り返りを実施

このような手厚いサポート体制は、社内の人材育成並びに能力開発に貢献しており、社員一人ひとりのスキル向上やキャリア形成を実現させています。

参考:厚生労働省 人材育成事例一覧「東北東ソー化学株式会社」

独自のスキル体系(IRISS)を活用し、社員の成長を効率化|株式会社インフォメックス

「株式会社インフォメックス」は、情報システムの企画・設計・構築・運用・保守、ソフトウェア開発やインフラ構築を行うIT企業です。

「変化こそ成長の源」という考え方を重視しており、目指しているビジョンの実現と社員一人ひとりの自己実現のために、独自のスキル体系(IRISS)を定め、それに基づいた研修体系を整備しています。

独自のスキル体系(IRISS)は「ヒューマンスキル」「ビジネススキル」「専門スキル」の3段階で成り立っており、入社時や中堅層、管理者層に分かれて各階層で求められる教育・研修を実施します。

その結果、研修を必要としている人材にとって必要となる教育を、効率的に実施できるようになり、継続的な業務の維持改善を実現しました。

参考:厚生労働省 人材育成事例一覧「株式会社インフォメックス」

まとめ

OJTは、育成対象者と育成担当者、双方にメリットがある育成手法です。効果的なOJTにつなげるためには、定期的に立てた目標に対する進捗確認を行いながら目標調整を行い、必要なコミュニケーションを取るなどの行動を、継続して取り組むことが大切になります。

OJTを実施する際には、しっかりと目的やメリット・デメリット、手順を把握したうえで、企業全体で取り組む姿勢をもちましょう。正しい手順やポイントを押さえ、即戦力となる人材育成に役立ててください。

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外部環境の変化が激しい昨今に対応するために、組織開発や人材育成による従業員の成長は欠かせない要素の1つとなっています。しかし「育成の時間や余裕がない」「育成ノウハウがない」など、多くの企業が課題を抱えています。

そこでKIYOラーニングでは、人材育成にお悩みの企業担当者に向けて、最新の人材育成モデルやその実現ノウハウをまとめた『デジタル時代の人材育成モデル』をお届けしています。

社員が成長し、最終的に成果をあげるまでに必要な育成施策とその流れをモデル化したものになりますので、自社の状況と照らし合わせて育成方法を検討したい方はぜひご活用ください。

ABOUTこの記事をかいた人

大手コンサルティング会社や研修会社にて、人材育成・組織開発の指導と研修講師に従事し、2012年より独立。 上場企業、中堅企業、地方自治体への指導、3000名以上のキャリアカウンセリングなど豊富な実績を持つ。 若手社員・リーダー育成、営業力強化、組織改革、キャリア開発など多様な研修プログラムで各企業の要望に応えている。