もしも人事部をIT化するように言われたら|第2回「脱Excelの具体例」

全社的なIT化が進む現在、人事部も例外ではありません。

多くの企業では、経営層から人事部をIT化するように言われていますが、具体的に何をどうしたらよいのかがわからず、取り組みの第一歩が踏み出せずにいます。

この記事では、IT化の本質的な目的である業務効率化とデータ活用の2つに焦点をあて、LMS(※1)、タレントマネジメントシステム(※2)といった最新のITを活用して、目に見える成果をあげるIT化の方法を全3回にわたって解説します。

(※1) Learning Management Systemの略。研修に関する各種のデータをデータベース化し、研修の進捗管理、受講履歴の管理などを行うソフトウェア。

(※2) 人材管理システムとも呼ばれる。人材育成を目的として、社員のスキル、職務経歴、所有資格、研修受講歴といったさまざまな情報をデータベース化する機能を持つソフトウェア。

第1回「人事部IT化の基本的な進め方」では、代表的な4つの業務の脱Excelについて、概要のみの説明にとどめましたが、連載第2回の今回は、脱Excelの具体例として、LMSによる研修管理業務の効率化について、より詳細に説明します。

もしも人事部をIT化するように言われたら(全3回)

第1回「人事部IT化の基本的な進め方」

第2回「脱Excelの具体例」

第3回「人事データの具体的な活用方法」

Excelによる研修管理における4つの課題

Excelによる研修管理において、人事担当者が最初に直面する問題はファイル管理です。

すべてのデータを1つのExcelファイルに入れることはできませんから、研修コース単位や部門単位に分割してファイルを管理しなければなりませんし、データのやり取りも、ファイルをメールに添付したり、ファイルサーバー上に置いたりするのは、とても煩雑です。

2つ目の問題は進捗管理です。Excelによる研修管理では、研修受講のプロセスが進んでいる間、受講申請から受講後レポートにいたる進捗状況を把握する仕組みがありません。

研修受講報告のない社員に確認メールを個別に送るといった作業をするのはとても非効率です。

3つ目の問題は履歴管理です。Excelによる研修管理では、研修コース単位で受講履歴を管理するのが一般的ですが、その場合、特定の社員に関する受講データは複数のファイルに分散されてしまいます。結果として、時系列で社員がどのような研修コースを受講してきたのかを知りたい場合には、複数のExcelファイルからデータを集めて時系列に並べる作業が発生してしまいます。

4つ目の問題は集計です。複数のExcelファイルにまたがったデータをまとめて集計するためには、わざわざ別の集計用ファイルにまとめて計算する必要があり、部門別や月別といった異なる集計単位が必要になる都度、面倒な作業が発生してしまいます。

以上のような4つの課題をIT化により解決することで、はじめて脱Excelを実現することができます。

第1回「人事部IT化の基本的な進め方」で簡単に触れたとおり、研修管理のIT化には、LMSを利用します。ここからは、LMSを利用することで、これら4つの課題がどのように解決されるのかを見てみましょう。

LMSによるファイル管理の効率化

Excelによる研修管理では、データが研修コース単位や部門単位に分割されますので、データのやり取りも、ファイルをメールに添付してデータをやり取りするか、あるいは、ファイルサーバー上で管理するといった煩雑なものになります。

LMSを利用すると、すべてのデータは1つのデータベースに格納され、組織や役割に応じたアクセス権限が設定されます。

その結果、すべての人事担当者、マネージャ、社員がそれぞれの権限に応じた範囲の最新のデータを参照できるようになります。

LMSによる進捗管理の効率化

Excelによる研修管理では、研修受講のプロセスが進んでいる間、進捗状況を把握する仕組みがないため、メールやファイルのやり取りといった1対1のコミュニケーションに頼るしかありません。

LMSを利用すると、受講申請、受講報告などのデータ入力や更新は、データベースに対して直接行われますので、入力や更新の発生を自動的に検知し、つねに最新の状況が把握できるようになります。

その結果、人事担当者がマネージャに、マネージャが社員にメールで受講実績を確認するいった作業は必要がなくなります。

LMSによる履歴管理の効率化

Excelによる研修管理では、研修コース単位で受講履歴を管理するのが一般的であるため、特定の社員に関する受講データは複数のファイルに分散されてしまいます。

LMSを利用すると、受講情報がデータベースで一元管理されるため、時系列にデータを並べ替えたうえで、情報を参照できるようになります。

その結果、例えば、特定の社員が過去どのような研修を受講してきたかを調べたりすることができるようになります。

LMSによる集計の効率化

Excelによる研修管理では、データが複数のExcelファイルにまたがって存在するため、集計作業が煩雑でミスが起こりやすくなります。

LMSを利用すると、受講情報がデータベースで一元管理されるため、手作業によらず自動的に受講データの集計が行えるようになります。

その結果、単純な集計ミスを防ぐことができようになるだけではなく、部門別や月別といった異なる集計単位が必要になっても、すぐに対応できるようになります。

それでは、集計の効率化を示す実際の画面例を見てみましょう。次の画面は、クラウドサービスとして提供される代表的なLMSの一つであるAirCourseの管理者向けレポートです。

この画面では、ここ一週間の個人別の研修受講数や学習時間、およびその総計が、表とグラフでレポートされています。

さらに、もう一つのレポートを見てみましょう。

こちらの画面では、事前に設定された受講目標に対する実績の進捗度や、研修内容の理解度を示すテスト平均点などが、やはり個人別と全員の合計のそれぞれについて、表とグラフでレポートされています。

以上のように、LMSを利用することで、Excelによる研修管理が抱える4つの課題、「ファイル管理」、「進捗管理」、「履歴管理」、「集計」をすべて解決することができます。

まとめ

Excelによる研修管理には、「ファイル管理」、「進捗管理」、「履歴管理」、「集計」という4つの課題がありますが、これらをIT化により解決することで、はじめて脱Excelを実現することができます。研修管理のIT化には、LMSが利用されます。

LMSを利用すると、すべてのデータは1つのデータベースに格納され、組織や役割に応じたアクセス権限が設定されます。その結果、すべての人事担当者、マネージャ、社員がそれぞれの権限に応じた範囲の最新のデータを参照できるようになり、「ファイル管理」の課題が解決されます。

LMSを利用すると、受講申請、受講報告などのデータ入力や更新は、データベースに対して直接行われますので、入力や更新の発生を自動的に検知し、つねに最新の状況が把握できるようになります。

その結果、人事担当者がマネージャに、マネージャが社員にメールで受講実績を確認するいった作業は必要がなくなり、「進捗管理」の課題が解決されます。

LMSを利用すると、受講情報がデータベースで一元管理されるため、時系列にデータを並べ替えたうえで、情報を参照できるようになります。

その結果、例えば、特定の社員のが過去どのような研修を受講してきたかを調べたりすることができるようになり、「履歴管理」の課題が解決されます。

LMSを利用すると、受講情報がデータベースで一元管理されるため、手作業によらず自動的に受講データの集計が行えるようになります。

その結果、単純な集計ミスを防ぐことができようになるだけではなく、部門別や月別といった異なる集計単位が必要になっても、すぐに対応できるようになり、「集計」の課題が解決されます。

もしも人事部をIT化するように言われたら(全3回)

第1回「人事部IT化の基本的な進め方」

第2回「脱Excelの具体例」

第3回「人事データの具体的な活用方法」

ABOUTこの記事をかいた人

平井 明夫

ソフトウエアベンダーやコンサルティング会社で20年以上にわたりコンサルティング、企業経営に携わる。現在は、IT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら、データ分析、人材管理、LMSなどに関する講演・執筆活動を行っている。