企業が継続的に成長していくためには、従業員一人ひとりの能力を高め、組織全体のパフォーマンスを向上させることが重要です。
特に、企業の中核を担う人材を育成するためには、上司が部下に対して適切な指導や教育を行う「部下育成」が求められます。
しかし、
- 適切な育成方法がわからない
- 日々の業務に追われて時間がない
- 効果的な育成ができているか不安
などといった悩みを抱えている上司の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、部下育成の研修方法や内容例、成功させるためのポイントなどを詳しく解説していきます。
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社員が成長し、最終的に成果をあげるまでに必要な施策とその流れをモデル化したものになりますので、自社の状況と照らし合わせて育成方法を検討したい方はぜひご活用ください。
部下育成研修の重要性とは
企業が競争優位性を保ち、持続的に成長していくためには、社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させることが不可欠です。
そこで重要となるのが「人材育成」であり、特に現場の最前線で指導を行う上司による部下育成は、企業の成長を左右すると言っても過言ではありません。
しかし、経験や感覚だけに頼った従来型のOJTでは、属人的な指導になりがちで、育成の質にばらつきが生じてしまう可能性があります。
部下育成研修は、上司に求められる知識やスキルを体系的に習得させることで、より効果的な人材育成を可能にするための取り組みです。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
メリット | 説明 |
---|---|
指導力・育成力の向上 | 部下の個性や強みに合わせた効果的な指導方法を習得することで、人材育成の質が向上します。 |
組織全体の能力向上と成果に繋がる | 部下育成を通して、組織全体のスキルや知識、モチベーションが向上し、結果として、企業の業績向上に貢献します。 |
コミュニケーションの活性化 | 部下とのコミュニケーションを円滑にするためのスキルを習得することで、風通しの良い職場環境づくりに繋がります。 |
組織力の強化 | 組織全体で人材育成の重要性を共有し、一体感を高めることができます。 |
部下育成のメリット
部下の育成には、企業と従業員双方にとって多くのメリットが存在します。ここでは、部下育成を行う主なメリットとして、下記の4つを解説します。
- 業務生産性の向上
- 部下との信頼関係の構築
- 優秀な人材の育成
- 離職の防止
業務生産性の向上
部下の育成は、企業の業務生産性の向上に直結します。
育成されていない状態では、上司は部下に業務を適切に指示したり、仕事を任せたりすることができません。
その結果、上司は部下の業務を肩代わりすることになり、本来集中すべき業務に時間を割くことができなくなってしまうのです。
部下が成長していけば、上司は指示やサポートに時間を割く必要がなくなり、本来集中すべき業務に時間を割くことができるようになります。
育成不足の場合 | 育成済みの場合 |
---|---|
上司が部下の仕事まで負担する | 上司は本来の業務に集中 |
上司の業務時間が増え、残業が発生 | 上司は業務時間内に効率的に業務を遂行できる |
上司の業務負担増加により、新しい仕事に挑戦できない | 上司は余裕を持って新しい仕事に挑戦できる |
部下が成長し、上司が本来の業務に集中できるようになれば、それだけ質の高いアウトプットを効率的に生み出せるようになります。
その結果、企業全体の業務生産性の向上に繋がり、業績向上に貢献することができます。
部下との信頼関係の構築
部下との信頼関係を築くことは、円滑なコミュニケーションやチームワークの向上、そして部下のモチベーションを高める上で非常に重要です。
信頼関係が構築されていると、以下のようなメリットがあります。
- 部下は上司に対して相談しやすくなる
- 上司は部下の状況を把握しやすくなる
- お互いに協力し合いながら業務に取り組める
信頼関係を構築するために有効な手段としては、以下の3つが挙げられます。
手段 | 説明 |
---|---|
1. 積極的にコミュニケーションをとる | ・日頃から積極的にコミュニケーションをとり、部下のことをよく知ること ・何気ない会話や相談しやすい雰囲気づくりを心がけることが大切です。 |
2. 部下の意見を尊重する | ・部下の意見に耳を傾け、尊重する姿勢を示す ・たとえ自分と異なる意見であっても、頭から否定するのではなく、まずは理解しようと努めることが大切です。 |
3. 公正な評価を行う | ・評価の基準や根拠を明確にし、納得感のある評価を行う ・結果だけでなく、プロセスや努力も評価することで、部下のモチベーションを高めることが重要です。 |
これらのポイントを踏まえ、信頼関係構築に努めましょう。
優秀な人材の育成
部下育成を通じて、将来組織を牽引するような優秀な人材を育てることができます。 優秀な人材とは、例えば以下のような資質を備えている人材のことを指します。
項目 | 説明 |
---|---|
主体性 | 指示待ちではなく、自ら課題を見つけて行動できる |
問題解決能力 | 課題に対して、論理的に解決策を考え、実行できる |
チームワーク | 周囲と協力し、目標達成に向けて貢献できる |
コミュニケーション能力 | 相手に分かりやすく説明したり、相手の意見を丁寧に聞き取ったりできる |
これらの能力を育成するためには、上司が適切な指導やフィードバックを行う必要があります。
例えば、部下に挑戦的な業務を任せる、定期的に面談を行い、業務の進捗状況や課題を共有する、などが有効です。
離職の防止
部下の離職は、企業にとって大きな損失です。優秀な人材が辞めてしまうと、業務の引き継ぎや新規採用に時間やコストがかかり、企業の競争力が低下する可能性があります。
また、離職率が高い企業は、社内全体のモチベーション低下や企業イメージの悪化につながる可能性もあります。
部下の離職理由の多くは、人間関係や待遇面に関するものが挙げられますが、上司との関係性に悩むケースも少なくありません。
上司との関係性が良好であれば、仕事へのモチベーションや会社へのエンゲージメントが高まり、結果として離職防止につながると考えられます。
部下育成研修を通じて、上司がコミュニケーションスキルやマネジメントスキルを向上させることは、部下との信頼関係を築き、働きやすい環境を作るために重要です。
部下育成に活用できる研修方法
効果的な部下育成研修を実施するために、研修方法にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的な研修方法を紹介します。
集合型研修(座学研修)
集合型研修とは、講師となる指導員が、複数の受講者を対象に特定のテーマについて講義を行う研修方法です。多くの企業が導入している一般的な研修方法と言えるでしょう。
集合型研修のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
メリット | 説明 |
---|---|
受講者同士の交流促進 | 複数の社員が同じ場で研修を受けることで、相互理解を深め、コミュニケーションを活性化することができます。 |
質問しやすい環境 | わからないことや疑問点があれば、その場で講師に質問し、解決することができます。 |
集中しやすい環境 | 研修に集中できる環境を用意することで、学習効果の向上を期待することができます。 |
コストを抑えられる | オンライン研修やeラーニングと比べて、研修にかかるコストを抑えることができます。 |
研修後の効果測定がしやすい | 研修後に理解度テストを実施するなど、研修の効果を測定しやすいというメリットがあります。 |
一方で、集合型研修にはデメリットも存在します。それは、場所や時間の制約があることです。
デメリット | 説明 |
---|---|
場所の確保が必要 | 会議室など、研修を行うための場所を確保する必要があります。 |
時間の調整が必要 | 研修の実施日時を参加者のスケジュールに合わせて調整する必要があります。 |
参加者の移動時間とコスト | 研修場所が遠方の場合は、参加者の移動時間とコストがかかります。 |
受講者の理解度に差が出やすい | 一斉に同じ内容を教えるため、理解が追い付かない受講者が出てくる可能性があります。 |
上記のようなメリット・デメリットを踏まえて、自社にとって最適な研修方法を選択していく必要があります。
オンライン研修
場所や時間に縛られないオンライン研修は、多くの企業で導入が進んでいます。
集合研修と比較したオンライン研修のメリット・デメリットは以下の通りです。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
場所 | 社内・自宅など場所を選ばない | 通信環境やセキュリティ対策が必要 |
時間 | 移動時間や日程調整の必要がない | 受講者の集中力維持が難しい場合がある |
費用 | 会場費などのコスト削減になる | 対面と比較してコミュニケーションが不足する可能性がある |
オンライン研修は、インターネット環境とパソコンやタブレットなどのデバイスさえあれば、どこからでも受講できます。そのため、移動時間や会場費などのコスト削減につながり、多くの企業が注目しています。
オンライン研修の形態としては、講師と受講者がリアルタイムでやり取りを行う「ライブ配信型」と、事前に録画した動画コンテンツを自分のペースで学習する「オンデマンド型」の二つがあります。
ライブ配信型は、講師や他の受講者とリアルタイムでコミュニケーションを取ることができるため、一方的な講義にならないというメリットがあります。
オンデマンド型は、自分のペースで学習を進めることができるため、仕事やプライベートの都合に合わせて受講しやすいというメリットがあります。
オンライン研修を効果的に実施するためには、受講者の集中力を維持するための工夫や、質の高い教材の準備、そして円滑なコミュニケーションが取れる環境づくりが重要となります。
eラーニング
eラーニングとは、インターネット環境とパソコンやタブレットなどの端末さえあれば、いつでもどこでも自分のペースで学習できる学習方法のことです。
場所や時間に縛られずに学習できるため、忙しいビジネスパーソンにとって効率的な学習方法といえます。
eラーニングを部下育成研修に使うメリットは以下の通りです。
メリット | 説明 |
---|---|
低コストで導入できる | 研修会場や講師への費用がかからない分、集合研修と比較してコストを抑えられます。 |
時間や場所を選ばずに受講できる | インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも自分のペースで学習できます。 |
受講状況を把握しやすい | LMS(Learning Management System)などのシステムを導入することで、受講者の学習進捗や理解度を一元管理できます。 |
繰り返し学習できる | 理解度に合わせて、何度も繰り返し学習できます。 |
一方、eラーニングを部下育成研修に使うデメリットは以下になります。
デメリット | 説明 |
---|---|
モチベーション維持が難しい | 集合研修のように他の受講者とコミュニケーションを取ることができないため、モチベーション維持が難しい場合があります。 |
システム導入、通信環境が必要 | システムの導入や運用にはコストがかかります。また、安定したインターネット環境が必要となります。 |
セキュリティ対策が必要 | 個人情報や機密情報を取り扱う場合は、セキュリティ対策を講じる必要があります。 |
eラーニングのメリットとデメリットを把握したうえで、導入・運用を検討しましょう。
部下育成研修の内容例
部下育成研修では、上司が部下とより良い関係を築き、効果的に育成していくための、様々な内容を扱うことができます。ここでは、具体的な内容例をいくつかご紹介します。
部下の褒め方・叱り方
部下を育成する上で、適切な褒め方と叱り方は非常に重要です。
褒める場合は、以下の点を意識しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
タイミング | 行動後なるべく早く |
対象 | 行動やプロセス |
言葉 | 具体的に、行動を言語化して伝える |
姿勢 | 目を見て、笑顔で伝える |
行動後なるべく早く褒めることで、部下は自分の行動と評価を結びつけやすくなります。 また、結果だけでなく行動やプロセスを褒めることで、部下のモチベーション向上に繋がりやすくなります。
叱る場合は、以下の点を意識しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
タイミング | 感情が落ち着いてから、個別で |
対象 | 行動 |
言葉 | 感情的に怒るのではなく、冷静に |
姿勢 | 相手の目を見て話す |
感情的に叱責してしまうと、部下のモチベーションを低下させてしまう可能性があります。
叱る際には、なぜその行動がダメだったのかを冷静に説明し、改善策を一緒に考えることが大切です。
部下に対する心理的安全性について
心理的安全とは、組織において「誰でも安心して発言や行動ができる状態」のことを指します。
心理的安全性が高い職場では、上司と部下のコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や新しいアイデアの創出に繋がりやすくなります。
そして、部下育成研修では、上司が部下に対して心理的安全性をどのように確保していくべきかについて学ぶ必要があります。
具体的には以下のような項目が挙げられます。
項目 | 内容 |
---|---|
自分の意見や考えを率直に伝えられる | 頭ごえに否定せず、まずは部下の意見に耳を傾ける |
間違えたときも安心して報告できる | ミスを責めるのではなく、次に繋がるように改善策を一緒に考える |
困ったときに相談しやすい雰囲気を作る | 忙しい時でも、相談しやすい雰囲気を作っておく |
弱みを見せても受け入れてもらえる | 上司も完璧ではないということを伝える。困ったときは、上司も部下に相談するなどして、お互いに助け合える関係性を築くことが大切です。 |
上記のような項目を研修内容に盛り込み、上司が部下に対して日頃からどのように接していけば良いかを具体的にイメージできるようにすることが大切です。
部下が安心して業務に取り組めるよう、心理的安全性の確保に努めましょう。
コーチングスキルについて
コーチングとは、対話を通じて部下の目標達成を支援するコミュニケーションスキルです。
コーチングスキルを身につけることで、部下は自身の強みや弱み、そして課題や解決策に自身で気づくことができます。
コーチングには、大きく分けて以下の4つのステップがあります。
ステップ | 内容 |
---|---|
1.傾聴 | 部下の話を否定や批判をせずにしっかりと聴く |
2.質問 | 適切な質問を投げかけることで、部下自身に考えさせる |
3.承認 | 部下の行動や発言を認める |
4.フィードバック | 行動に移せるように、具体的な改善策を伝える |
これらのステップを踏むことで、部下は「自分で考える力」や「行動する力」を育むことができます。
コーチングスキルは、上司が一方的に指示や指導を行うティーチングとは異なり、あくまでも部下が主役となって成長を促すことが重要です。
ティーチングスキルについて
ティーチングとは、上司や先輩が、業務に必要となる知識やスキルを部下に教え、理解させ、習得させることを指します。
新入社員研修など、まだ仕事の進め方がわからない状態の部下に対して有効な育成方法です。
ティーチングスキルを向上させるためには、以下の4つのステップを意識することが重要です。
ステップ | 内容 |
---|---|
1. 説明 | 部下に伝えたい知識やスキルの内容、目標とするレベルなどを具体的に説明します。 |
2. 実演 | 部下が実際に作業する前に、上司や先輩が模範を示します。その際、重要なポイントを強調して説明するようにしましょう。 |
3. 模倣 | 部下に実際に作業をさせます。最初から完璧を求めるのではなく、まずは真似をさせることが重要です。 |
4. 改善 | 部下の作業内容を確認し、良かった点、改善点などを具体的にフィードバックします。 |
これらのステップを踏むことで、部下は段階的に業務に必要な知識やスキルを習得していくことができます。
SL理論について
SL理論とは、リーダーシップのスタイルを「指示的行動」と「支援的行動」の2つの軸で分類し、部下の成熟度に応じて最適なリーダーシップスタイルを使い分けるという考え方です。
部下の成熟度レベルは、仕事に対する能力や意欲によって4段階に分けられます。
部下の成熟度レベル | 説明 | リーダーシップスタイル | 説明 |
---|---|---|---|
M1 | 仕事に対する能力も意欲も低い状態 | S1:指示型 | 部下に具体的な指示を与え、厳しく管理するスタイル。 |
M2 | 仕事に対する能力は低いが、意欲は高い状態 | S2:説得型 | 部下に指示を与えるだけでなく、その理由や目的を丁寧に説明し、納得させてから行動を促すスタイル。 |
M3 | 仕事に対する能力は高いが、意欲は低い状態 | S3:参加型 | 部下とコミュニケーションを取りながら、一緒に目標や計画を決定していくスタイル。 |
M4 | 仕事に対する能力も意欲も高い状態 | S4:委任型 | 部下に権限や責任を委譲し、自発的に行動できるように促すスタイル。 |
部下の成熟度レベルを見極め、適切なリーダーシップスタイルを選択することで、部下の成長を促進し、チーム全体の成果を向上させることができます。
部下育成研修における課題と対策
部下育成研修を実施するにあたって、様々な課題が生じることがあります。ここでは、代表的な5つの課題とその対策を紹介します。
1. 社員が忙しくて時間と余裕がない
現代のビジネス環境において、多くの企業では従業員一人ひとりが多くの業務を抱えています。
そのため、人材育成の重要性を認識していても、研修に十分な時間を割くことが難しいという現状も少なくありません。
しかし、忙しい状況だからこそ、効率的かつ効果的な人材育成の取り組みが求められます。
課題 | 対策例 |
---|---|
時間の確保 | ・研修時間を短縮する(例:1時間単位の研修、スキマ時間を活用できるeラーニングなど) ・業務時間内に研修時間を組み込む |
余裕の創出 | ・研修の目的や目標を明確化し、社員のモチベーションを高める ・研修内容を実務に活かせるように工夫する |
時間がないことを理由に人材育成を後回しにしてしまうと、従業員のスキル不足やモチベーション低下につながり、結果的に企業の成長を阻害する可能性があります。
限られた時間の中でも、工夫次第で効果的な人材育成は可能です。
企業は、従業員の状況を理解し、適切な方法で人材育成に取り組む必要があります。
2. 人材育成の知識やスキルが不足している
多くの企業では、人材育成の重要性を認識しながらも、具体的な方法やスキルが不足しているという課題を抱えています。
育成担当者や上司自身が、体系的な知識や効果的な指導方法を学んでいないケースも少なくありません。
課題 | 詳細 |
---|---|
人材育成の知識不足 | ・効果的な育成方法がわからない ・育成計画の立て方がわからない ・評価方法がわからない |
指導スキル不足 | ・部下のモチベーションを高めるコミュニケーションがとれない ・適切なフィードバックができない ・指導に一貫性がない |
人材育成に関する情報収集不足 | ・最新の人材育成トレンドや手法に関する情報が少ない ・他社の成功事例や失敗事例を参考にできていない |
これらの課題を解決するためには、人材育成に関する研修やセミナーへの参加、専門書籍の購読、社内での情報共有などが有効です。
また、外部のコンサルタントに依頼し、自社の課題に合わせた研修プログラムを構築してもらうことも有効です。
人材育成の知識やスキル不足を解消することで、より効果的な人材育成を実施し、企業の成長へとつなげることができるでしょう。
3. 社員が重要性を認識できていない
社員が部下育成の重要性を認識できていない場合、研修の効果は半減してしまいます。
研修の重要性を社員に理解させ、積極的に参加してもらうためには、以下の取り組みが有効です。
取り組み | 内容 |
---|---|
経営陣が人材育成の重要性を発信する | 社員に向けて、人材育成が会社の成長に不可欠であることを明確に示すことが重要です。 |
研修の効果を可視化する | 研修によってどのような成果が得られるのかを、具体的な数値や事例を用いて示します。 |
社員の意見を反映する | 研修内容や方法について、社員の意見を積極的に聞き取り、反映することで、当事者意識を高めます。 |
上記のような取り組みを通じて、社員一人ひとりが「部下育成は自分自身の成長にもつながる」という意識を持つことが重要です。
4. 人材育成そのものが目的化している
人材育成は、あくまで企業の目標達成のための手段のひとつです。しかし、人材育成そのものが目的になってしまうケースも少なくありません。
本来の目的を見失った状態では、研修の効果も期待通りにはなりません。
例えば、「研修を実施すること」が目的になってしまい、その後の行動変容や業績向上に繋がっていないケースです。
本来は、研修で得られた知識やスキルを活かして、社員一人ひとりが成長し、組織としての成果を上げていくことが重要となります。
人材育成が目的化している状態 | あるべき状態 |
---|---|
研修の実施自体が目的になっている | 研修を通して、行動変容やスキル向上、業績アップに繋げることが目的となっている |
「何をすべきか」よりも「どのように研修をするか」に意識が向いている | 「どのような人材を育成すべきか」を明確に定義し、逆算して研修内容を検討している |
「研修をした」という事実だけに満足している | 研修後のフォローアップや評価を通して、効果検証と改善を継続的に行っている |
人材育成を成功させるためには、「何のために人材育成を行うのか」「育成を通して、組織をどう変えていきたいのか」という目的を明確化し、共有することが重要です。
5. 計画的に行えていない
部下育成研修を場当たり的に実施している、あるいは実施する時期がバラバラといった状態は、計画性の欠如と言えるでしょう。
計画的に行えていない部下育成研修には、以下のような問題点があります。
問題点 | 詳細 |
---|---|
効果が測定できない | いつ、どのような研修を、誰に対して実施したのかが曖昧になり、効果を測定するのが難しくなります。 |
部下の成長を実感できない | 成長の度合いを測る機会や指標がないため、部下自身も成長を実感しにくくなります。 |
モチベーションの低下 | 計画性がない研修は、部下にとって負担感が大きく、モチベーションの低下につながる可能性があります。 |
計画的な部下育成研修を実施するために、まずは年間計画を立てることが重要です。
年間計画を立てることで、研修の目的や目標を明確化し、効果的な研修内容を検討することができます。
また、計画的に研修を実施することで、部下の成長を定期的に確認し、フィードバックを与える機会を設けることができます。
部下育成研修を成功させるためのポイント
部下育成研修を成功させるためには、研修を実施して終わりではなく、研修の内容をいかに現場で活かせるかが重要です。
研修の効果を高めるために、以下の3つのポイントを意識しましょう。
常に同じ品質の研修を実施する
研修の効果を最大化するためには、常に一定水準以上の品質を担保することが求められます。
研修の品質が低い場合は、時間や費用をかけたにも関わらず、期待した成果を得ることができません。
研修の品質を維持するためには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。
項目 | 具体的な内容 |
---|---|
研修内容の標準化 | 研修カリキュラムやテキスト、使用ツールなどを標準化し、誰が実施しても一定の品質を保てるようにする |
講師の育成 | 質の高い研修を実施するためには、講師の育成が不可欠です。育成計画を策定し、研修の実施方法やスキルに関する研修などを実施しましょう |
効果測定の実施 | 研修の効果を測定し、課題や改善点を分析することで、次回以降の研修に活かしましょう。効果測定には、アンケートやスキルテストなどを活用します |
これらのポイントを踏まえ、研修の品質向上に取り組みましょう。
上司が部下育成に対して興味・関心を持つような工夫を行う
上司が部下育成に興味・関心を持つためには、どのような工夫をすればいいのでしょうか。
いくら人材育成の重要性を説いても、上司自身が部下育成を行うことのメリットを感じられなければ行動には移せません。
そこで、上司自身が「部下育成は自分にとってプラスになる」と思えるような働きかけが重要になります。
工夫 | 内容 |
---|---|
人事評価制度に反映する | 部下育成の成果を評価項目に盛り込み、昇進や昇給に反映するようにする。 |
研修参加型の評価制度を取り入れる | 研修を受けさせるだけでなく、上司が部下に研修内容を教えることを評価対象にする。 |
上司向けの研修を実施する | 部下育成の重要性や具体的な方法を学べる研修を実施する。 |
ロールプレイングを取り入れる | 研修でロールプレイングを取り入れることで、部下育成をより身近に感じさせる。 |
成功事例を共有する | 社内の成功事例を共有することで、部下育成の成果をイメージしやすくする。 |
上記のような工夫をすることで、上司は部下育成の重要性を認識し、積極的に取り組むようになることが期待できます。
適切なフィードバックができる仕組みを作る
研修で得た知識やスキルを、部下育成の現場で実践し、成果に繋げていくためには、上司が継続的に部下にフィードバックを行う必要があります。
その際、ただ漠然とフィードバックするのではなく、相手に伝わるように、そして相手が行動に移せるようなフィードバックを行うことが重要です。
以下に、具体的なフィードバックの際に意識すべきポイントを紹介します。
ポイント | 説明 |
---|---|
結果と行動を分けて評価する | 結果が伴わなかったとしても、行動を認め、努力を褒めることで、部下のモチベーションを維持する。 |
具体的な行動に落とし込む | 「○○の部分が良いですね」といった抽象的なフィードバックではなく、「○○という行動が良かったので、次回も意識して取り組んでみましょう」といった具体的な行動に落とし込むことで、部下が次に繋げやすくなる。 |
未来の行動に焦点を当てる | 過去の失敗を責めるのではなく、「次はどのようにすれば良いか」という未来の行動について一緒に考えることで、部下の成長を促す。 |
これらのポイントを踏まえることで、部下はフィードバックの内容を理解しやすくなり、具体的な行動に繋げやすくなるでしょう。
まとめ
部下育成は、企業の成長にとって非常に重要な要素です。
部下育成研修を通じて、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、企業全体の成長に繋げていきましょう。
人材育成を成功に導く「最新育成モデル」を活用しませんか?
人材育成を成功に導くためには、育成過程の注力ポイントを知り、必要な成果に向けて適切なステップと育成スキームを選択することが重要です。
KIYOラーニングでは、「人材育成で大切な8つのこと」を仕組みでカバーできる『デジタル時代の人材育成モデル』をお届けしています。
社員が成長し、最終的に成果をあげるまでに必要な施策とその流れをモデル化したものになりますので、自社の状況と照らし合わせて育成方法を検討したい方はぜひご活用ください。