大規模企業でのeラーニング導入に役立つ「組織階層機能」の活用法

組織階層機能のコンセプト

 次に、組織階層機能についてお話させていただきます。まずは組織階層機能の全体的なコンセプトをご紹介します。組織階層機能は、簡単に言うと、企業の組織構造をAirCourse上に実装できる機能です。そして、組織単位でユーザ管理やコース割当、受講レポートの確認などを効率的に行うことができます。

 これを図で説明させていただきます。X社という会社があったとします。大きな会社なので事業部制になっており、事業部ごとに営業部や商品部といった部門がひもづいています。さらに、その部門の下には課があって、場合によってはその下の階層もあるでしょう。

 このようにX社は深い組織階層を持っていますが、AirCourseの組織階層機能ではAirCourse上にこの組織構造を実装することができます。そうすると何がメリットかと言うと、例えばA事業部全員に対してある講座を受けて欲しいという場合には、A事業部に対してコースを割り当てます。そうすると、このA事業部の配下にある子組織に所属しているメンバーも含めて、一括でコースを割り当てることができます。A事業部長が、A事業部ではこのセキュリティ研修が必要なので全員これを受けてくださいといった場合には、A事業部に所属する全員にセキュリティ研修をまとめて割当できます。さらに、A事業部の受講状況のレポートをまとめて参照することができます。

 また、A事業部の配下にある営業部門の部長が、営業部員の研修を行いたい場合は、営業部向けにコースを作り、営業部にまとめてコースを割り当てます。そうすると、営業部の下の営業1課、営業2課といった下の組織にいるメンバーにもまとめてコースを割り当てることができます。そして、営業部長が、営業部員全員の受講レポートを参照できるという形になります。

さらに、営業部の下の営業1課の課長は、営業1課用のコースを作って営業1課に割り当てることができ、営業1課の受講レポートを参照することができます。

 このように、AirCourseで組織階層を作っておくと、組織階層構造を使ってコースの受講割り当てを行ったり、受講者レポートを参照できるというのがこの組織階層機能のイメージになります。

 一方で、AirCourseでは従来から「グループ」という機能がありました。グループと組織階層機能は、少し似ていますが、グループ機能ではこういった階層構造に対応していませんでした。今回、階層構造を実現できるようになったため、大規模な会社でも組織階層を作ることで、組織階層ごとに簡単に受講割り当てや、レポート参照ができるようになりました。

特長1:階層化した組織の実現

 組織階層機能の特長について、画面のイメージを見ながらお話をさせていただきます。まず、この機能によって、階層化した組織が実現できるようになりました。画面の組織一覧を見ていただくとわかるように、企業に対して製造部とか営業部といった部門があってその下に課があるといったような組織の階層を作ることができるようになりました。

特長2:組織単位でユーザを管理

 作成した個々の組織単位でユーザを管理できます。営業部の中にユーザを登録したり、組織管理者は誰か、というようなことも管理できます。

特長3:組織単位でコースを作成・割当

 さらに、この組織を使ってコースを作成したり受講割り当てしたりすることができます。画面では、情報セキュリティ研修というコースが表示されています。受講者のところは、個々のユーザごとにコースを割り当てもできますが、組織階層機能を使うと、組織ごとにまとめて割り当てることが可能になります。例えば、経理部にまとめて、営業1課にまとめて割り当てるということが簡単に行えます。そのため、受講の割り当て管理が楽になるという機能です。

特長4:組織単位で受講レポートを参照

 そして、組織単位でまとめて受講レポートを参照できます。画面では、製造部という組織のレポートを参照しており、製造部全体のコース完了率、平均点、学習時間とともに、製造部に所属する個々のユーザの受講状況を一覧で見る事ができます。

ユーザ権限

 AirCourseではユーザ権限というものがあります。ユーザに4種類の権限のどれかを割り当てていただくと、その権限で許可されたことが実行できるようになるというものです。AirCourse導入後、最初の1ユーザは全体を管理できる全体管理者になります。しかし、全てが管理できてしまうので、一般的なユーザにこの全体管理者権限を与えてしまうのはセキュリティ上良くないです。

一般的なユーザについては、一般ユーザ権限参照ユーザ権限を割り当てていただく事が多いと思います。この2つの権限の違いは、一般ユーザ権限はコースを作成できることです。参照ユーザ権限はコース作成ができず、コース受講だけができる権限です。そのため、受講のみ許可をするユーザの場合は、参照ユーザ権限にしてください。所属する組織・グループ内でコースを作る可能性がある場合には、一般ユーザ権限にします。

そして、組織階層機能で重要となってくるのは、マネージャという権限になります。マネージャ権限を持ったユーザは、組織やグループを管理できる役割のイメージです。マネージャ権限があれば、自分が管理者になっている組織・グループにコースを割り当てることができます。

 レポートの参照についても、自分が管理者になっている組織・グループのユーザのレポートを参照できます。また、自社コース(オリジナルコース)だけでなく、標準コースについても、自分の管理する組織・グループのユーザに対してコース割当が可能です。

 また、マネージャ権限を付与されたユーザは、組織・グループの管理者になることができますが、どの組織・グループの管理者になるかというのはユーザごとに指定します。

ABOUTこの記事をかいた人

KIYOラーニング株式会社 代表取締役 東京工業大学情報科学科卒。外資系ソフトウェア会社、ITコンサルティング会社を経て、KIYOラーニング株式会社を創業。効率的な学習法を研究し、2008年にオンライン資格講座「スタディング(旧「通勤講座」)を開講、忙しい社会人でもスマートフォンで効率的に学べる講座として人気を博し、2020年2月現在で講座数26、累計受講者数6万人を超える。 2017年に社員教育クラウド「AirCourse」をリリース。受け放題の動画研修コースと、簡単に自社コースが配信できる利便性により、大企業~中小企業まで幅広い層の企業に導入されている。 現在は、人や組織の能力を最大に引き出すために、AIを使った学習の効率化に力を注いでいる。