DX時代の新しい常識とは|具体的な取り組み方を徹底解説

DX時代と呼ばれる昨今、業務・仕組みのデジタル化やビジネスモデルのデジタル変革が起こっていく前提で、これまでの仕事の当たり前や常識を見直していく必要が出てきました。

そこで本記事では、DX時代の新しい常識について考えていきたいと思います。

もし「DXって何だっけ?」という方はこちらの記事を先に読んでいただくと理解が進みやすいかもしれません。

DXが進んでいった先に待っているのは?

DX(特にデジタイゼーション)が進んでいくとまず実感するのが
「やる仕事が少なくなった気がする」
「仕事の進め方楽になってきた」などです。

今まで何時間もかけて取り組んでいた業務が数分で完結することも珍しくありません。

特に2020年以降はコロナの影響により、バックオフィスだけでなく営業活動にも大きな変革が起きました。
皆さまもご存じの通り、職場以外でのテレワークやオンライン会議の常態化です。

これまでは対面での商談が前提として営業活動を行ってきましたが、今はそのほとんどがオンライン商談へと移行しており、単純に移動時間と交通費が削減されました。

その結果、オンラインのアポイントや商談が終わったらすぐに議事録をまとめたり、提案書を作成することが可能になり、業務のつなぎ目がシームレスになります。

バックオフィス業務も同様で、紙媒体で管理・運用していた業務が、データ形式での管理・運用に切り替わり、書き損じや紛失、損傷や用紙の在庫管理などの派生業務も極端に少なくなります。

そのため、常に業務に追われていた状態から少しずつ余裕が生まれてくるので、改めて現在勤めている会社における自分の存在意義とは何か、貢献する部分は何なのかということを考えて、行動する必要があるでしょう。

DXにより自分の業務が可視化される

DXは上場企業をはじめとして、数々の企業が中長期経営計画に盛り込むほど、社会的で全社的な取組みとなってきています。そのため、遠からずDXは自身の仕事にも影響を及ぼしてきます。

業務指示として全社でDXに取り掛かるとなった場合に、まず何から手をつければいいのでしょうか。

はじめにすべきことは「現状把握」です。

現状把握に必要な手順としては、自分が担当している業務をエクセルなどにリスト化して一覧にすることです。
管理職は、各社員がリスト化した業務一覧を
・処理までにかかる時間や工数
・処理に使っている手段(ツール)
・業務のサイクル
・スポット業務かルーティン業務か
・重要度
・緊急度
・属人性の有無
などの項目でスコアリングして、デジタイゼーション着手優先度をつけていきます。

管理職からすると、自身の部下が何にどのくらいの時間を使っているかが再認識でき、チーム内で構成している業務の棚卸しをすることにもなるため、生産性と統制のコントロールが可能になりますので非常にメリットが高いです。

この作業はBPR(Business Process Re-engineering)と呼ばれ、業務の構造を分析する取組みですが、デジタイゼーションの前段階として必須の工程です。

チームメンバーである社員にとっても、自身の業務を見直す機会となるため、一度きりではなく半年に一度や評価の時期に取り組むことをおすすめします。

経営陣や株主からすると、リソースの配分や販管費の比率が適性かどうかが定量的に把握できるため、現状把握とリスト化は、全てのレイヤーにとって意義ある取組みです。

一方、在籍歴が長く転勤や転属が少ない属人性の高い業務は、担当者が開示することに抵抗感を持つケースも見受けられます。

しかしDXが時代の流れだとすれば、健全な企業風土を作り、全員がよい良い仕事環境を作るために否応なしに訪れることだと認識した方がよいでしょう。

次に業務の見直しが求められる

業務一覧が洗い出されたら、個々の業務が本当にこれからも行う必要があるものかどうか、という精査が必要です。

もしかしたら、前任者から「これもやるべき仕事だから」ということで、多忙な引継ぎ期間に取り急ぎスケジューリングされたまま実行し続けていた業務もあるかもしれません。

そのため、今一度「この業務は本当に必要なのか」「なぜこの業務をこのタイミングで私が行っているのだろう」という点検が必要になります。

その結果、その業務が発生した時とは状況が大きく変わっていて、今となっては誰も重視していないデータを、決まったタイミングに流し続けていたということが判明することもあります。その場合は、業務自体を削減するという判断になります。

逆に、以前は不要だった情報を共有する必要があると判明することもありますし、デジタイゼーション以前にルール変更だけで生産性がアップすることも少なくありません。

「なぜ?」という思考をひとつひとつの業務に向けることは、非常に有意義ですのでぜひ考える時間を作って行ってみて下さい。

もっと効率的な業務フローはないのか?

不要な業務を削減したあとは、やらなければいけない業務のみが残ることになります。DXに取り組み、第一段階の現状把握を行うだけで、生産性自体は向上しています。

あとは、やらなければならない業務をそのまま従来通りに淡々と行うのではなく、一つ一つの業務の工程を見直して不要な工程を削減するという作業を行うことになります。

例えば、毎週売上報告書をエクセルで作成して上司に提出するという業務の場合、以下のフローとなります。

1:各営業担当から週次の発注書がファイリングされた書類を渡される
2:手入力で計算シートに入力
3:関数が組まれたエクセルファイルが自動計算
4:報告用にレイアウト調整
5:数字のチェック
6:上司に提出

もしこのフローを省略するなら、下記のようなショートカットが可能です。

1:各営業担当から週次の発注書がファイリングされた書類を渡される
2:OCRツールで文字数字をテキスト起こしし、所定の計算が行われるツールにデータを入力
3:報告用レイアウト調整されたものをチェック
4:上司に提出

この場合は、2にOCRツールと2.3に計算とレイアウト調整をしてくれるツールを導入することが条件となりますが、多大な時間と手間がかかっていて、ほぼ永続的に続く性質の業務であれば、投資する価値が十分にあります。

もしくは、1の時点でOCRを導入したり、作業自体をRPAに行わせるとさらに省略できる可能性もあります。

このように、今行っている業務はどうすれば楽になるのだろうという観点で、一度手を止めてフロー全体を眺める時間を作ってみてください。一つ注意点は、省いていけない重要な工程が必ずあるので、そこを予め押さえた上での検討が必要です。

他者にも目を向けてDXを推進

社内では様々な部署と役割の人がいて、している仕事もそれぞれです。

自分の業務が楽になったとはいえ、DXを社内で取り組んでいる以上、隣の席や隣のオフィスで働いている同僚も業務は違っていても同じ構造で問題を抱えていることは多いです。

データを入力、計算したり、報告書として仕上げるという行為自体は、内容は部署や役割によって違ったとしても、構造としては同じです。

上記のように便利なツールやフローの考え方を実証したら、周りの同僚にも情報共有をして応用できるようであれば、その方法を伝えて実践してもらうことをおすすめします。

特に社内でいつも忙しそうにしている人から順番にトリアージしていくと、オフィス全体の雰囲気もよくなりますし、コミュニケーションのきっかけにもなります。実証された有効な情報の共有ですから、時間の無駄であったということもありません。

このような共有を意識すると、全体の生産性をあげつつ、オフィス全体のコミュニケーションも活性化できるので、社内で起こっている多くの問題を解決できます。

まとめ

現状の把握と必要性の確認、マスト業務を楽にする方法の検討と共有を行うことで、特別なスキルや最新のテクノロジーに対しての知見がなかったとしてもDXの取組みは可能ですし、無理のない形でオフィス全体を良い方向に導けます。

その第一人者になるという意識をひとりひとりが持てれば、DXは加速します。
上記を参考に「自身の業務について一度立ち止まって見てみる」ということをしてみてください。

最後になりますが、以下の記事にて人事ご担当者様向けに、人事業務のDX推進について具体的な企業事例付きで解説しています。ぜひこちらもお読みください。

DX推進で人事業務はどう変わるのか?|企業事例から考える人事業務の未来

ABOUTこの記事をかいた人

大学卒業後、アパレル・EC事業で起業。 商品企画、WEB集客、小売店百貨店での販売・営業などを経験したのち、GVA法律事務所設立に参画し人事、ITインフラ整備などを担当。 人事労務領域で25人のチームマネジメントを行い月間6,000人の労務管理を管轄。 現在は、IT・マーケティング・業務効率化のスキルセットを持って企業課題に合わせたコンサルティングを行っている。