研修スケジュールの立て方|作成ステップやテンプレートを紹介

忙しい毎日の中、限られたリソースで研修計画を立てるのは、簡単なことではありません。新人研修、中途採用者研修、管理職研修―それぞれに適したスケジュールをどう組めば効率的かつ効果的なのか、頭を悩ませている方もいるかもしれません。

本記事では、研修スケジュールをスムーズに作成し、無駄なく実行に移すための具体的な方法やテンプレートをご紹介します。

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研修スケジュールの重要性

研修スケジュールを作成することは、明確な計画と目標を持って人材育成を進めるために非常に重要です。研修スケジュールは、研修全体の流れや内容を管理するための指針となり、必要なスキルや知識を計画的に参加者へ伝えることを可能にします。これにより、関係者全員が同じ認識を共有し、効率的な進行が期待できます。

また、適切に構築された研修スケジュールは、時間の無駄を省き、参加者の学習効果を最大化します。例えば、休憩時間や振り返りを適切に組み込むことで、疲労を軽減しながら学びを深めることができるため、研修の成果を最大限に引き出すことが可能になります。

研修スケジュールには2種類ある

研修スケジュールには、個別の研修スケジュール(タイムスケジュール)と、年間の研修スケジュール(年間計画)の2つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて適切に使い分けることがポイントです

個別研修のスケジュールは、1回の研修や1日の研修におけるタイムテーブルを指します。具体的な時間配分や休憩、学習内容の順序を明確にすることで、効率的な進行が可能になります。

年間研修スケジュールは、1年間を通した研修計画を指し、複数の研修を体系的に組み合わせることができます。これにより、全社員や特定の対象者に対して、一貫性のある人材育成を実現できます。

研修スケジュール作成の基本ステップ

ここでは、研修スケジュールを作成する際に押さえるべき具体的な手順と注意点について解説します。このステップを順に進めることで、効率的かつ効果的なスケジュール作成が可能になります。

ステップ1.研修の目的とゴールの設定

研修スケジュールを作成する最初の段階として、目的やゴールを明確に設定することは極めて重要です。目的が明確であれば、研修全体の方向性が定まり、関係者全員が同じ目標に向かって取り組むことができます

例としては、「新入社員の企業文化への理解を深める」や「管理職のリーダーシップスキルを向上させる」といったゴールを設定することで、研修内容や形式を決定しやすくなります。目標を曖昧なままにしてしまうと、研修の進行が散漫になり、学びの効果が薄れてしまう可能性があります。

ステップ2.カリキュラム内容や実施形式の検討

研修内容は、目的や対象者に応じて適切に設計する必要があります。優先度の高い内容を研修の中心に据え、参加者のニーズに応じた内容を選定することが効果的です。実施形式は主に、社内研修、外部研修、eラーニングの3つに分けられます。

社内研修

内部研修は、自社のリソースを活用して行われるため、企業独自のニーズに即した内容を柔軟に設計できます

例えば、自社の業界特有の知識や文化を共有する場として活用でき、企業風土に基づいたオリジナルのカリキュラムを構築することが可能です。一方で、講師の確保やカリキュラム作成には時間や手間がかかりやすく、リソースが限られている場合には負担となる点に注意が必要です。

外部研修

外部研修は、専門家や外部リソースを活用するため、高度な知識や最新のスキルを効果的に学ぶことができます。また、組織内のリソースに頼らないため、準備が簡略化され、迅速に実施できるメリットがあります。しかし、費用がかかることがあるため、事前に予算を明確に設定し、費用対効果を検討することが重要です。さらに、外部講師と自社のニーズを共有し、内容をカスタマイズする工夫も必要となる場合があります。

eラーニング

オンライン上で研修を行う形式で、時間や場所に縛られずに実施可能です。参加者が自主的に学ぶ形式となるため、進捗管理が必要になります。

ステップ3.研修予算の設定と調整

研修計画を進める上では、予算内で研修の効果を最大化するために、費用対効果を意識することが重要です。

例えば、研修内容を選定する際に、重要度の高いテーマを優先します。また、外部講師の依頼や会場の選定などで、コストを最適化する方法を検討するのもひとつです。

ステップ4.関係者や参加者のスケジュール調整とスケジュール表の作成

関係者全員の予定を調整しながら、ExcelやGoogleスプレッドシートを活用してスケジュール表を作成します。以下のポイントに注意するとよいでしょう。

  • 視覚的にわかりやすいデザイン:色分けやアイコンを使い、関係者が一目で内容を把握できるようにする
  • テンプレートの活用:ExcelやGoogleスプレッドシートを活用して効率的に作成する
  • 詳細な情報の記載:日程、時間、講師、研修内容、持ち物などを明記する

理想的な時間配分とスケジュール例

効果的な研修を実現するための時間配分の考え方と、具体的なスケジュール例をご紹介します。これらのスケジュール例はあくまで一般的なものです。自社の業界や組織文化、参加者の経験レベル、研修の具体的な目的に合わせて、内容や時間配分など自社の状況に合わせてカスタマイズしてください。

新入社員研修のスケジュール例

新入社員研修は、ビジネスマナーから専門知識まで多岐にわたるため、数週間から数ヶ月にわたる場合が多くあります。初期段階では、会社理解やビジネスマナーなどの基礎的な内容を集中して行い、徐々に専門分野や実務に関わる内容へ移行するのが一般的です

【新入社員研修(1週間)のスケジュール例】

  • 1日目: 入社手続き、オリエンテーション、会社概要・理念、ビジネスマナー基礎
  • 2日目: 情報セキュリティ研修、コンプライアンス研修、社内システム概要
  • 3日目: コミュニケーション研修、報連相の基本、グループワーク(自己紹介)
  • 4日目: 部署紹介、先輩社員との交流会、eラーニングによる専門分野基礎学習
  • 5日目: 研修内容の振り返り、質疑応答、今後のスケジュール説明、目標設定ワーク

中途採用者研修のスケジュール例

中途採用者は即戦力としての活躍が期待されるため、短期間で必要な情報を集中的にインプットするスケジュールが中心となります。企業文化の理解や社内システムの使用方法など、自社独自の慣習に関する研修を重点的に行い、専門知識はOJTや必要に応じた個別研修で補うケースが多く見られます。

【中途採用者研修(3日間)のスケジュール例】

  • 1日目: オリエンテーション、会社概要・ビジョン、企業文化・行動規範、社内システム操作研修
  • 2日目: 情報セキュリティ、コンプライアンス、各部署紹介、担当業務に関する基礎知識(eラーニング活用)
  • 3日目: 人事評価制度説明、社内ネットワーク構築、質疑応答、配属先でのOJT計画確認、振り返り

管理職研修のスケジュール例

管理職研修は、リーダーシップ、マネジメントスキル、部下育成、目標管理、ハラスメント防止など、より高度で実践的な内容が中心です。ロールプレイングやケーススタディなどを通じて、実践的なスキル習得を目指すカリキュラムが組まれます。期間は数日から数週間、あるいは定期的なフォローアップ研修として実施されることもあります。

【管理職研修(2日間)のスケジュール例】

  • 1日目: オープニング、管理職の役割と心構え、リーダーシップ理論と実践、部下育成・コーチングの基本、ケーススタディ(部下との面談)
  • 2日目: 目標設定と評価、チームマネジメント、ハラスメント防止研修、リスクマネジメント、質疑応答、研修内容の振り返り、今後の行動計画策定

スケジュール作成を効率化するテンプレート

研修スケジュールの作成では、テンプレートを活用することで効率化できます。

ExcelやGoogleスプレッドシート

ExcelやGoogleスプレッドシートは、多くの企業で日常的に使用されている作成ツールです。

これらのツールでスケジュールを作成する際は、列に参加者名、日付、時間帯、内容、講師、場所などの項目を設定し、行に時間軸(例:9:00~10:00)を設定する基本的な表形式が分かりやすいでしょう。

項目ごとに色分けしたり、講師名や場所をプルダウンリストから選べるように設定したりするなど、見やすさや入力の手間を減らすカスタマイズを行うことで、より使いやすいテンプレートを作成できます。一度汎用的なテンプレートを作成しておけば、今後の研修計画にも繰り返し活用できます。

参考:行程管理表 (業務・スケジュール) – 無料テンプレート公開中 – 楽しもう Office

ガントチャート

プロジェクト管理によく用いられるガントチャートも、研修スケジュールの管理に有効です。

ガントチャートでは、研修期間全体を横軸で示し、各研修項目やタスクを縦軸にリスト化します。それぞれのタスクの開始日、終了日、期間を視覚的にバーで表示することで、研修全体の流れや各項目の関連性、進捗状況を一目で把握できます。

ガントチャートは、特に複数の研修が並行して走る場合や、準備期間も含めた長期的な計画を作成する際に役立つツールです。オンライン版を使えば、関係者間での情報共有や進捗の更新も容易です。

参考:ガントチャートテンプレートを使用して整理する

経費削減委員会のテンプレート

インターネット上には、さまざまな目的で作成された無料のテンプレートが公開されています。「経費削減委員会」のような組織が提供するテンプレートも、研修計画の効率化に役立つ場合があります。

経費削減を意識したテンプレートであれば、研修内容だけでなく、それに伴うコスト項目(講師謝礼、会場費、資料印刷費など)を入力する欄が設けられているなど、予算管理とスケジュール作成を同時に行えるような工夫がされている場合もあります。

提供元の目的や特徴を理解し、自社の研修計画に最も適した形式のテンプレートを選びましょう。汎用的なテンプレートをダウンロードして、自社のニーズに合わせてカスタマイズすることも可能です。テンプレートを活用することで、ゼロから作成する手間を省き、フォーマットの統一化も図れます。

参考:経費削減実行委員会

研修スケジュールの実行時の注意点

研修スケジュールが万全に整っていても、実際の運営が計画通り進まなければ、その効果を十分に発揮することはできません。作成した研修スケジュールをスムーズに実行するためには、いくつかの注意点があります。

スケジュールには余裕を持たせる

どんなに綿密に作成したスケジュールでも、予期せぬ事態(参加者の遅刻、質疑応答が盛り上がり時間超過、機材トラブルなど)は起こり得ます。

各セッション間や休憩時間の前後に数分程度のゆとりを設けておくことで、多少の遅れがあっても全体に響きにくくなります。特にオンライン研修の場合は、接続トラブルなども考慮し、開始直前に少し余裕を持たせたり、予備の時間を確保したりすることが有効です。

休憩時間を忘れず設定する

研修効果を最大化するためには、休憩時間をスケジュールに組み込むことが不可欠です。長時間座学が続くと参加者の集中力は低下します。一般的に、1時間から1時間半ごとに20分程度の休憩を挟むことが推奨されます

研修後の振り返りとフィードバックを行う

研修が終了したら、必ず振り返りとフィードバックの機会を設けましょう。これは、参加者の学習内容を定着させるだけでなく、次回の研修をより良いものにするための重要なプロセスです。

例えば、研修の最後に、参加者に「今日の学びで最も重要だと感じたこと」「疑問点やさらに深掘りしたい点」「明日から実践したいこと」などを書き出してもらう時間を設けます。グループワーク形式で共有したり、簡単なアンケートを実施したりするのも良いでしょう。講師や運営側は、参加者の反応や理解度を確認し、今後の研修内容や進め方の改善点を見つけることができます。

研修後に改善点を洗い出す

参加者からのフィードバックや研修運営側の反省点を元に、次回の研修計画に活かすための改善点を具体的に洗い出します。

「この内容は理解に時間がかかったので、説明方法を変えよう」「休憩時間が短すぎた」「特定のツールの操作説明が不十分だった」など、具体的な課題を特定し、次回のスケジュールやカリキュラムに反映させていくPDCAサイクルを回すことが、継続的な人材育成の質向上につながります。

まとめ

人手不足や採用課題を抱える企業にとって、効率的で効果的な人材育成は喫緊の課題です。適切な研修スケジュールを作成し、計画的に実行することで、限られた時間とリソースの中で最大の学習効果を引き出し、参加者のスキルアップやモチベーション向上につなげることができます。

まずは、研修の目的とゴールを明確にし、対象者や内容に合わせた最適な形式(社内研修、外部研修、eラーニングなど)を選定してみましょう。そして、具体的なスケジュール表を作成してみてください。

効果的な研修スケジュールは、人材育成の成功の鍵となります。本記事が、研修計画立案の一助となれば幸いです。

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