eラーニング導入の稟議書は、導入の目的、対象者と範囲、年額の費用、効果の測り方、リスクと対策、導入の日程の6項目で組むと、決裁者が判断しやすくなります。
決裁者が見るのは「いくらかかり、何が変わり、何が起こりうるか」の3点です。何をどこまで書けばよいかが分からないまま出すと、差し戻されやすくなります。
本記事では、稟議書の項目ごとの書き方を、年額の計算式と記入例をつけて解説します。
eラーニングシステムを先に比べるなら:主要eラーニングシステムの比較
目次
稟議書に書く項目
稟議書の様式は会社ごとに違っても、eラーニングの導入で決裁者が見る点はほぼ共通です。次の6項目を先に埋めておけば、自社の様式に合わせて移すだけで済みます。
| 項目 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 目的 | 何の課題を解決するか | 拠点ごとに内容がばらつく必須研修を、全社員が同じ内容で受けられるようにする |
| 対象者と範囲 | 誰に、どの研修から始めるか | 正社員120名。コンプライアンス研修と新人研修の2つから始める |
| 費用 | 年額と計算式、初期費用の有無 | 1人あたりの月額×120名×12か月=年額◯円(税抜) |
| 効果 | 今と比べて何が変わり、どう測るか | 集合研修2回分の会場費と移動時間を削減。期限内の受講完了率を毎月報告 |
| リスクと対策 | 起こりうる問題と、その対策 | 受講が進まない→期限を決め、上長に進捗を共有 |
| 日程 | 試行・本導入・振り返りの時期 | 11月に1部署で試行し、1月に全社へ広げ、7月に効果を報告 |
目的は、今の困りごとと結びつけて1文で書きましょう。「社員のスキルを高める」のような広い目的だと、効果の欄に何を書けばよいかを決められません。
また、本文とは別に、導入予定のサービスの概要資料、見積書か料金表の写し、情報システム部門の確認結果の3つを添付するのがおすすめです。本文で費用と効果を短くまとめ、詳しい数字は添付資料に載せると、決裁者が読む量が少なくて済みます。
費用の書き方と年額の計算
eラーニングの費用は、初期費用と、1人あたりの月額に人数を掛けた利用料の2つに分けられます。稟議書には月額ではなく年額を書き、計算式を添えると、決裁者が年間の予算と見比べやすくなります。
人数は、実際にアカウントを付与する人数で数えます。退職した人のアカウントを新しく入った人に付け替えられるかによって必要な数が変わるので、見積もりの前にサービス提供元に聞いておきましょう。
費用の欄で確認すること
| 費目 | 確認すること |
|---|---|
| 初期費用 | 有無と金額 |
| 利用料 | 1人あたりの月額、人数によって単価が変わるか、税抜か税込か |
| 契約期間 | 年間契約か月単位か、途中で人数を増減できるか |
| 支払い方法 | 請求書払いか、クレジットカード払いか |
| 追加の費用 | 容量の追加、自社教材の制作、管理者向けの説明会 |
比べる相手として、今の研修にかかっている費用も並べます。外部講師への謝礼、会場費、受講者の交通費は、集合研修を減らした分だけ下がる費用です。受講者の移動時間も「人数×往復の時間×時給」で金額にすると、費用の比較に加えられます。
効果の書き方
効果は、「研修の質が上がる」のような言い方ではなく、今の数字と導入後の数字を並べて書きます。
| 効果の種類 | 測る数字 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 費用 | 会場費・講師への謝礼・交通費 | 集合研修2回分の会場費と交通費、年◯万円を削減 |
| 時間 | 研修の準備と受講管理にかける時間 | 出欠と受講記録の集計にかかる月◯時間を削減 |
| 受講の状況 | 期限内の受講完了率 | 必須研修の期限内の受講完了率を毎月報告 |
受講完了率や理解度テストの点数は、導入してから初めて測れる数字です。稟議の段階では、「毎月の報告で確認する」といった今後の効果計測方針を記載しておきましょう。
社員のスキルや業績の伸びは、eラーニングだけで生まれる効果ではありません。稟議書で言い切ると、結果が伴わなかったときのリスクがあります。書く場合は、半年後の振り返りで見る項目として挙げるところまでにとどめてください。
リスクの書き方
リスクは、起こりうる問題と対策を組にして書きます。対策のないリスクだけを並べると、導入を見送る理由として読まれてしまいます。
| リスク | 対策例 |
|---|---|
| 受講が進まない | 受講の期限を決め、未受講者への通知と上長への進捗共有を設定する |
| 教材が自社に合わない | 試行の期間に、対象の研修を担当者が実際に受けて内容を確認する |
| 社員の情報を社外に預ける | 情報システム部門にセキュリティの項目を確認してもらい、結果を添付する |
| 使われないまま費用がかかる | 1部署の少人数で始め、受講の状況を見てから人数を増やす |
情報漏えいのリスクは、人事部門だけでは判断できません。稟議を出す前に情報システム部門へ確認を頼み、その回答を添付しておけば、決裁の途中で止まりにくくなります。
まとめ
eラーニング導入の稟議書は、目的、対象者と範囲、費用、効果、リスクと対策、日程の6項目で組み立てます。費用は年額と計算式、効果は今と比べて測れる数字、リスクは対策と組にして書けば、決裁者が判断しやすくなります。
まずは今の研修にかかっている費用と時間を書き出し、試行する人数で年額を計算するところから始めてください。
社員研修の課題解決に、今すぐ使える実践ツールを
社員研修の重要性は分かっている。でも「具体的にどう実行するか」で多くの企業が迷い、思うような成果が出せずにいます。あなたの組織も同じ悩みを抱えていませんか?
そんな課題を解決するために、900社以上が導入し成果を上げている「実践的な研修ノウハウ」と「すぐに使えるツール」をまとめた資料を無料でご用意しました。
理論から実践へ着実にステップアップし、組織の成長を加速させたい方は、今すぐ以下資料をご活用ください。
よくある質問
Q. 見積もりは何社から取ればよいですか?
決まりはありませんが、1社だけでは比べる相手がなく、妥当性を説明しにくいので、2〜3社の見積もりを並べると決裁者が判断しやすくなります。比べるときは、人数、契約期間、税抜か税込か、既存の教材が料金に含まれるかの4つをそろえます。
Q. 費用対効果は、どう示せばよいですか?
今の研修にかかっている講師への謝礼・会場費・交通費と、受講者の移動時間を金額にし、導入後の年額と並べる方法が分かりやすい示し方です。差額を示すと、決裁者が費用の増減を判断しやすくなります。
Q. 稟議はどこで止まりやすいですか?
費用・効果・リスクのどれかが、決裁者が判断できる形で書かれていないと止まりやすくなります。たとえば、費用が月額だけで年額がない、効果が「研修の質が上がる」のように測れない、社員の情報を社外に預けることへの対策がない、といった場合です。差し戻されたときは、本記事で紹介している書き方を参考に書き直しましょう。








