安全衛生教育の年間計画の立て方|いつ何をやるかの記入例つき

安全衛生教育の年間計画は、4月の熱中症対策の準備から始め、6〜7月の全国安全週間、9〜10月の全国労働衛生週間、12月からの年末年始無災害運動に合わせて組みます。

本記事では、年間計画の全体像と、時期ごとに行う教育、記入例を解説します。

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安全衛生教育の年間計画の全体像

年間計画に入れる教育は、季節の行事に合わせて行う教育と、採用や配置のたびに行う教育の2つに分かれます。

時期教育法令上の定め
4月(暑くなる前)熱中症の報告体制と手順の周知周知は義務。研修・教育の実施は条文に記載なし
6〜7月全国安全週間に合わせた教育義務はなし
9〜10月全国労働衛生週間に合わせた教育義務はなし
12〜1月年末年始無災害運動に合わせた教育義務はなし
採用・配置のたび雇入れ時等の教育、特別教育義務

季節の行事に合わせた教育は、熱中症の周知のほかは義務ではありません。ただし、いずれも厚生労働省などが毎年事業場に取り組みを呼びかけていて、その年の重点事項も示されています。

季節の行事に合わせて行う教育

熱中症対策の周知と研修(4〜7月)

2025年6月1日から、熱中症を生ずるおそれのある作業について、事業者は報告体制と悪化防止の手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に周知する義務があります。対象の作業は、WBGT28度または気温31度以上の作業場で、継続して1時間以上、または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるものです。

出典:厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和7年5月20日 基発0520第6号)

研修や教育の実施は条文に記載がありませんが、周知した手順が作業者に届いているかを確かめるために、研修を行うのがおすすめです。

厚生労働省の「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」は、令和8年は4月が準備期間、5月1日〜9月30日が実施期間、7月が重点取組期間でした。この時期に合わせて教育を行うなら、次の順で進めます。

  1. 4月の準備期間までに、報告体制と悪化防止の手順を事業場ごとに決める
  2. 5月の実施期間に入る前に、対象作業の従事者に手順を周知し、研修を行う
  3. 7月の重点取組期間に、手順が現場で守られているかを点検する

全国安全週間・全国労働衛生週間・年末年始無災害運動

行事準備期間本週間・実施期間令和7年度の内容
全国安全週間毎年6月1日〜30日毎年7月1日〜7日スローガンは「多様な仲間と 築く安全 未来の職場」
全国労働衛生週間毎年9月1日〜30日毎年10月1日〜7日スローガンは「ワーク・ライフ・バランスに意識を向けて ストレスチェックで健康職場」
年末年始無災害運動ー令和7年度は12月1日〜翌年1月15日(期間は中央労働災害防止協会が毎年発表)中央労働災害防止協会が主唱し、厚生労働省が後援

行事に合わせて教育を行うなら、次の順で進めます。

  1. 準備期間の前に、厚生労働省のページでその年度の重点事項を調べる
  2. 準備期間(6月・9月)に、重点事項に合わせた教材を用意し、対象者に受講してもらう
  3. 本週間(7月・10月の1日〜7日)までに受講の状況をまとめ、まだ受けていない人に声をかける

採用や配置のたびに行う教育

雇入れ時等の教育と特別教育は、季節に関係なく、対象者が出るたびに行うことが法令で義務づけられています。

教育行う時期法令上の定め
雇入れ時等の教育労働者を雇い入れたとき、作業内容を変更したとき(遅滞なく)義務(労働安全衛生規則第35条)
特別教育危険または有害な業務に就かせるとき義務(労働安全衛生法第59条第3項)。記録を3年間保存(規則第38条)
すでに危険または有害な業務に就いている労働者への教育会社が時期を決める努力義務(法第60条の2)

雇入れ時等の教育は、業種や職種を問わず、雇い入れたすべての労働者が対象です。教える事項は、機械等・原材料等の危険性と取扱い方法、作業手順、作業開始時の点検、整理・整頓と清潔の保持、事故時の応急措置と退避などのうち、その人が従事する業務に必要なものです。なお、十分な知識と技能がある労働者については、その事項の教育を省略できます。

3つ目の教育は、危険または有害な業務にすでに就いている人に、その業務の安全や衛生について改めて行うもので、雇入れ時等の教育や特別教育とは別のものです。義務ではなく努力義務なので、年間計画のどこかに時期を決めて入れておくと続けやすくなります。

また、教育に要する時間は労働時間にあたるため、所定労働時間内に行うのが原則です。

年間計画の記入例

次の記入例は、4月から翌年3月までのうち、季節の行事に合わせる教育と、採用・配置に合わせた教育を書き込んだものです。雇入れ時等の教育と特別教育の行は、行事に関係なく、対象者が出たときに書き足します。

月教育の内容対象者準備すること
4月新入社員に、雇入れ時等の教育を行う新入社員配属先の業務に合わせて、教える事項を決める
4月クールワークキャンペーンの準備期間に、熱中症の報告体制と悪化防止の手順を周知する熱中症を生ずるおそれのある作業の従事者報告体制と手順を事業場ごとに決める
6月全国安全週間の準備期間に、危険予知(KY)の教育を行う全作業者5月中にその年度の重点事項を調べ、教材を用意する
7月全国安全週間の本週間に職場の安全を点検し、熱中症の手順が守られているかを見る全作業者点検する項目と担当を決める
8月倉庫への配置転換に合わせて、フォークリフト(最大荷重1トン未満)の運転の特別教育を行う配置転換者特別教育の科目と時間を満たす講習を手配し、受講の記録を残す
9月全国労働衛生週間の準備期間に、その年度の重点事項に沿った労働衛生教育を行う全作業者、管理者8月中に重点事項を調べ、教材を用意する
10月全国労働衛生週間の本週間に、メンタルヘルス研修を行う管理者講師か教材を手配する
12月年末年始無災害運動に合わせて、年末年始の安全教育を行う全作業者中央労働災害防止協会の発表で、その年度の期間を見る

安全衛生教育をeラーニングで行うなら

雇入れ時等の教育と特別教育の学科は、厚生労働省の通達が求める要件(法定の科目の範囲、教育時間、講師の要件を満たし、受講の事実を確認できること)を満たせば、eラーニングで行えます。時間と場所を選ばずに受講でき、拠点ごとの受講状況も本部で把握できるため、シフト勤務の作業者が多い会社にはeラーニングがおすすめです。

出典:厚生労働省「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」

eラーニングのサービスを選ぶときに見るのは、次の3点です。

  • 拠点ごとの受講状況を確かめられるか
  • 安全週間や熱中症の教育を、毎年同じ時期に同じ対象者へ配信できるか
  • 自社で作った教材(オリジナルカリキュラム)を配信できるか

3点目が決め手になるのは、熱中症の報告体制や悪化防止の手順が事業場ごとに違うためです。eラーニングサービスが提供する既存のコンテンツだけでは、こうした内容は伝えきれません。自社で作った動画や資料も同じサービスで配信できれば、既存のコンテンツと一緒に受講してもらえ、受講の記録もまとめて管理できます。

たとえばAirCourseでは、労働災害防止の取り組みと災害事例、ヒヤリハット・ヒューマンエラー・ポカヨケ、危険予知トレーニングを学ぶコースと一緒に、熱中症の手順や安全週間・労働衛生週間の取り組みをまとめた自社の資料も配信できます。

主なコース

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導入事例:フジ産業株式会社様は、事業所が国内各地に点在し、勤務する時間帯や曜日も社員ごとに異なります。毎年開催している安全衛生講習会をeラーニングにし、全社員が受講できるようにしました。受講履歴から未受講者を確認してリマインドでき、講師側の講義の負担も軽くなっています。

参考:フジ産業株式会社様の導入事例

まとめ

安全衛生教育の年間計画は、熱中症対策や全国安全週間など季節の行事に合わせる教育と、採用や配置のたびに行う雇入れ時等の教育・特別教育を組み合わせて立てます。まずは記入例を参考に自社の年間計画の表を作り、月ごとの教育と対象者を決めてください。

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よくある質問

Q. 安全衛生教育の年間計画は、いつ、何をやればいいですか?

採用や配置のたびに、雇入れ時等の教育と特別教育を行います。それとは別に、4月の熱中症の手順の周知、6〜7月の全国安全週間、9〜10月の全国労働衛生週間に合わせた教育を、季節に合わせて実施しましょう。

Q. 安全週間や労働衛生週間に合わせて、社内教育をするには?

毎年6月の準備期間と7月1日〜7日の本週間、9月の準備期間と10月1日〜7日の本週間に合わせて、教育を行う時期を計画に入れましょう。重点事項や年度のスローガンは、厚生労働省のページに載っています。

Q. 全国安全週間に合わせた教育は義務ですか?

義務ではありません。全国安全週間と全国労働衛生週間は、厚生労働省が毎年、事業場に取り組みを呼びかけている行事で、毎年の重点事項が示されています。

Q. 熱中症の教育は義務ですか?

教育そのものは義務ではありません。2025年6月1日から義務になったのは、熱中症を生ずるおそれのある作業について、報告体制と悪化防止の手順を定めて関係作業者に周知することです。研修や教育の実施は条文に記載がありませんが、周知した手順が届いているかを確かめるために、研修を行うのがおすすめです。

Q. 雇入れ時の安全衛生教育は、eラーニングでも行えますか?

雇入れ時等の教育と特別教育の学科は、法定の科目の範囲、教育時間、講師の要件を満たし、受講の事実を確認できれば、eラーニングで行えます。