LMSの導入においては、情報システム部門が用意するセキュリティチェックシートにLMS提供元が回答し、その内容をもとに導入の可否が判断されるケースが多くあります。
人事・研修担当者は、セキュリティの要件を満たしそうな提供元にあらかじめ絞っておくと、導入直前に候補を見直す事態を防げます。
本記事では、チェックシートで聞かれる主な項目と、人事の担当者が先に確かめておくことを解説します。
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目次
情シスが確認するセキュリティの項目
LMSに登録する情報は、氏名、メールアドレス、所属部署、受講履歴、テストの結果です。人事の情報と学習の記録が重なるため、情報システム部門は、社外のクラウドサービスを導入するときと同じ観点で確認します。
確認の観点は、次の3つです。
- 認証とアクセス制限:誰が、どこから、どの範囲の情報にログインできるか
- データの保管と暗号化:情報がどこに、どのような状態で保存されるか
- 認証の取得:第三者がセキュリティの管理体制を確かめているか
多くの会社では、情報システム部門がこうした項目をまとめたセキュリティチェックシートを持っていて、回答するのは提供元です。人事の担当者がするのは、公開ページで3つの観点を確かめて候補をある程度絞り、絞った提供元にチェックシートの回答を依頼することです。
認証とアクセス制限で確認すること
認証とアクセス制限では、自社のログインの仕組みに合わせられるか、アクセスできる範囲を絞れるかを確かめます。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| シングルサインオン | 自社のID基盤と連携できるか。対応する方式は何か |
| IPアドレス制限 | 接続元のIPアドレスで、アクセスを制限できるか |
| 権限の分け方 | 管理者と受講者で、見られる範囲が分かれているか |
| ログインの方法 | 社員が使うログインIDとパスワードの運用が、自社の規定に合うか |
シングルサインオンに別料金がかかるかは、公開ページに書かれていないことがあります。見積もりの段階で、費用の有無も聞いておきましょう。
データの保管と暗号化で確認すること
データの保管と暗号化では、情報がどの基盤に置かれ、どの場面で暗号化されるかを確かめます。確認の項目は次の5つです。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 保管の基盤 | 利用しているクラウド基盤の事業者 |
| 保存時の暗号化 | データベースやパスワードが暗号化されているか |
| 通信の暗号化 | 通信が暗号化され、その方式は何か |
| バックアップ | 自動で取得されるか、保存先は分かれているか |
| 解約後のデータ | 解約後に社員の情報がいつまで残り、どの手順で削除されるか |
認証取得の見方
ISO27001(ISMS)やプライバシーマークなどの第三者の認証は、LMSを提供する部門が対象に含まれているかどうかで価値が変わります。「取得している」という事実だけでなく、範囲と時期まで見ましょう。
| 確認すること | 見る理由 |
|---|---|
| 認証の種類 | 情報セキュリティの管理体制を対象にした認証か、個人情報の取り扱いを対象にした認証か。対象が違う |
| 認証の範囲 | サービスの提供と運用を行う部門が含まれているか |
| 登録番号と取得時期 | 認証機関の登録情報で、現在も有効かを確認できる |
| 認証機関 | 公的な認定を受けた機関による認証か |
| 規格の版 | 規格には改訂があり、移行の期限が定められている |
認証の範囲や番号は、公開ページに載っていないことがあります。その場合は、提供元に認証の登録証の写しなどを依頼します。
公開情報からLMSの候補を絞るなら
チェックシートの回答を依頼する前でも、各社の機能ページやFAQなどの公開情報から、候補をある程度絞り込めます。
たとえばeラーニングサービスのAirCourseの場合、次の表のとおりセキュリティ関連の情報を把握することができます(2026年10月時点)。
| 項目 | AirCourseの公開情報 |
|---|---|
| シングルサインオン | SAML認証とパラメータ認証の2方式に対応(機能ページ) |
| IPアドレス制限 | 複数のIPアドレスを指定でき、サブネットマスクを使った範囲の指定もできる(機能ページ) |
| データの保管 | Amazon Web Servicesのデータセンターを利用し、データベースはすべて暗号化して保管。パスワードなど機密性の高い情報は二重に暗号化(セキュリティ環境のFAQ) |
| 通信とバックアップ | 通信は256bitのTLS1.2で常に暗号化。ファイルはAmazon S3に保存し、自動バックアップを複数の箇所に分散して保存(同上) |
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導入事例:ラクスル株式会社様は、上場企業としてコンプライアンス啓発に割ける法務の時間が限られていました。SAML認証やSlack通知などの機能を評価して導入し、既製のコンプライアンス講座に自社規定の独自コンテンツを組み合わせて配信しています。認証の仕組みを、導入を決める観点の一つにした例です。
まとめ
LMSの導入は、情報システム部門のセキュリティチェックシートに提供元が回答し、その内容をもとに判断されることが多くあります。
人事の担当者は、認証とアクセス制限、データの保管と暗号化、認証の取得の3つを公開ページで先に確かめ、候補を絞っておきましょう。まずは、候補のLMSの機能ページやFAQでそれらを確認するところから始めてみてください。
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よくある質問
Q. LMSを導入するとき、情報システム部門への相談はいつ行えばよいですか?
候補を2〜3社に絞った段階が目安です。候補が多すぎると確認の負担が大きくなり、決定の直前に初めて相談すると、確認の時間が足りなくなります。絞る前にチェックシートを受け取っておくと、比較の軸にも使えます。
Q. LMSの導入で、セキュリティチェックシートの回答を求められたらどうすればよいですか?
提供元にチェックシートの回答を依頼します。回答の形式や日数はサービスによって異なるため、見積もりと同時に相談しておくと、稟議の日程に間に合いやすくなります。
Q. 社員の情報は、LMSにどこまで登録すればよいですか?
必要最小限に絞りましょう。氏名、メールアドレス、所属部署があれば受講の管理はできる場合が多く、生年月日や住所は、研修の運営に使わなければ登録しません。登録する項目は、情報システム部門と協議して決めておきましょう。








