AIナレッジが浸透する職場|社内で“仕事のパートナー”として定着する生成AI

日本アスペクトコア株式会社
活用事例




バリューイノベーション&DX部 サブマネージャー
河野 敦徳 氏

人事部 人事グループ チーフ
紙 雄一郎 氏

  • 生成AI「AirCourse AIナレッジ」が業務の“頼れるパートナー”に
  • DX推進委員会が生む成功事例と社内浸透の仕組み
  • eラーニングと生成AIの融合で知識共有を加速

御社の事業内容を教えてください。

河野:当社は、お客様のビジネスプロセスを支援するアウトソーシングサービス事業を展開しています。ドキュメント、カストマーサービス、文教支援、オフィスの4つのソリューションを軸に、大手企業や大学など幅広い領域のお客様に対し、課題解決や業務効率化を提案しています。今年、2025年7月1日で創業55周年を迎えました。


■担当の業務内容について教えてください。

河野:私はバリューイノベーション&DX部に所属しており、ITを用いた社内業務改革を部門横断で推進しています。また、DX推進委員会の委員長として、社内の業務効率化やサービスのDX化を進める役割も担っています。

紙様:私は人事部に所属しており、新卒採用や社内の人材育成を担当しています。DX推進委員会のメンバーとして、教育や育成を通じてDXの浸透を図っています。


■DX推進委員会とは、どのような組織なのでしょうか。

河野:当社のDX推進委員会は、社内の業務効率化やサービスのDX化を推進するための横断的な組織で、各部門から選出された17名のメンバーで構成されています。執行役員クラスからマネージャー、一般職まで幅広い層が参加しており、役員もメンバーの一人として現場のリアルな課題感を共有しながらフィードバックを行うという、非常にユニークな体制を採用しています。この多様なメンバーからさまざまな視点や課題が集まり、活発な議論と新たなアイデアの創出が可能となっています。


■今回、生成AIを導入されようと思った目的や背景などがあれば教えて頂けますでしょうか。

河野:当社では、社長方針のひとつに「DXベースの事業変革」が掲げられています。その一環で生成AIの活用も必須事項として、委員会で具体的な取り組みを模索し始めました。特に、当社のお取引先様でも生成AIの活用が進められていたこともあり、社内でもリテラシーの向上が急務となり、DX推進委員会で検討を始めたのがきっかけとなります。

社内でも様々な声があがったのですが、生成AIを導入するにあたり「生成AIを利用するためのリテラシー向上と、安心して使える環境を整えることからはじめるべきではないか」という認識のもと、生成AIをはじめとしたAIについての社内教育を進めることと、実際に業務で活用するための環境整備の二本柱で取り組みを進めました。


■比較検討のなかでAirCourse AIナレッジの導入に至った経緯を教えてください。

河野:もともと当社では、KIYOラーニング様のeラーニングサービスAirCourseを人材育成に活用しており、そこでAirCourse AIナレッジを知ったのがきっかけになります。生成AIを導入するにあたって各社を比較する際に、他社製品は最新の機能を中心に特長を出しておりましたが、AirCourse AIナレッジに関しては、社内の利活用に重きをおいていた点が非常に印象的でした。

機能面では、既存のeラーニングシステムとの連携が可能である点や、ナレッジ機能の拡張性(RAG)が魅力的でした。eラーニング(AirCourse)と同じナレッジを参照するため、eラーニングだけをやっているメンバーも、生成AIを使うメンバーと同じナレッジを使えるという点は大きかったと思います。

また、導入にあたってのサポートが非常に手厚く、伴走型で進められる点も導入の決め手となりました。

PoCを進めるにあたってKPIにされていたことや社内へどのような話をされていたのかなどお伺いできますでしょうか。

河野:KPIとしては、利用頻度や利用回数を重視しました。管理画面で各ユーザーの利用状況を可視化し、ヘビーユーザー・ミドルユーザー・ライトユーザーに分けてモニタリングしました。

また、利用者層ごとの事例をヒアリングし、それを委員会で共有することで、社内での活用促進に繋げました。こういった事例の発信などもKPIの1つとして組み込まれています。

AIナレッジの管理画面にあるレポート機能を使うと、報告に使える情報がすぐに集約できるので、非常にありがたかったです。



■利用率を上げる取り組みとして、どのような施策をされたのか教えてください。

河野:大きく2点あります。

まず1点目が、定期的な勉強会や説明会の開催です。KIYOラーニング様にご協力頂き、初期段階では何度も開催をしました。これらの場では、生成AIの基本的な使い方から具体的な業務活用事例までを丁寧に解説し、社員が「どう使えばいいのか」という疑問を解消することに注力しました。

特に初期段階では、生成AIに興味はあるものの、自分の業務にどう活用すればよいのかイメージが湧かないという声が多くありました。そこで、説明会では参加者からのフィードバックをもとに内容を改善し、具体的な業務シナリオに基づいた活用方法を紹介するようにしました。

初期段階では、まだ生成AIの具体的な活用イメージが湧かないという声が多かったのですが、説明会を重ねるごとに「自分の業務でも使えそう」という前向きな意見が増えていきました。このように、社員の声を反映した柔軟な対応が利用促進に繋がりました。

2点目は、利用事例の共有になります。

DX推進委員会では、生成AIを活用した成功事例を積極的に共有する取り組みも行いました。他部門の成功事例を知ることで、自分の業務でも活用できるのではないかと考える社員が増えてきました。

実際に、ある部門で生成AIを活用した効率化が成功すると、それが他部門に横展開され、新たなプロジェクトが立ち上がるといったシナジーも生まれています。

どのような業務でAIナレッジを使われていますか。上手くいった事例などもありましたら教えて下さい。

紙様新卒採用や人材育成の研修コンテンツ作成に活用しています。

例えば、研修のゴールを設定し、それに向けたプログラムを考える際に、AIナレッジを利用してアイデアを膨らませています。AIナレッジを活用することで、従来よりも短時間で多様なアイデアを得られるようになり、研修の質を高めることができました。

人事業務では、社員向けの連絡書や送付状など、多くの文書を作成する必要があります。特に、人事関連の文書は内容がセンシティブであり、失礼があってはならないため、慎重な対応が求められます。AIナレッジは、こうした文書の作成にも大いに役立っています。例えば、送付状の内容をAIナレッジに添削してもらうことで、適切な表現に修正したり、より丁寧な文章に仕上げたりしています。


新卒採用活動では、企業をアピールするためのPR文を作成する機会が多くあります。特に、就職サイトや学内説明会などでは、文字数制限が設けられている場合があり、それに合わせた文章作成には時間と労力がかかります。

AIナレッジは、こうしたPR文の作成にも大きな力を発揮しています。「例えば、50文字以内や100文字以内といった文字数制限に応じて、文章を要約してもらうことができます。さらに、自分では思いつかないような言葉のチョイスや表現を提案してくれるので、新しい発想を得ることができています。

河野様「無茶ぶりができる秘書」のような存在として様々な場面で活用しています。

例えば、業務の中で軽いコーディング作業やウェブサイトのメンテナンスを行うことがありますが、その際、AIナレッジを「他の人が作ったコードを解読する」ためのサポートツールとして活用しています。

さらに、技術的なリサーチにもAIナレッジを活用しています。例えば、新しい仕組みを導入する際に複数の選択肢がある場合、それぞれの技術的な利点や課題をリサーチし、提案を得ることで、最適な選択を迅速に行うことが可能になりました。このようなリサーチを繰り返し何度も人に頼むのは気が引けますが、AIナレッジは文句も言わずに様々な情報を提供してくれるので、本当に助かります。

他にも、各部門のDX施策の進捗状況を定期的に共有する際、AIナレッジでスプレッドシートに記入された情報を要約し、報告資料を作成しています。

要約の精度が高いため、そのまま報告資料として使用できるケースも多く、資料作成の負担を軽減することができました。

使わない日がないくらい利用させていただいており、非常に助かっています。

社内のメンバーからも様々な用途で使っていると聞いています。

ドキュメント処理では、PDFの分割やリネームなどの業務を自動化するために、生成AIを活用してPythonスクリプトを作成して、業務の効率化を進めています。契約書作成においては、AIナレッジを活用して、事前にベースとなる案を作成し、法務部門への相談内容を明確にすることで、法務部門とのやり取りがスムーズになり、プロセス全体の時間を短縮することができました。

使い込んでいる人からは、ポイントを消費しすぎてないかと心配になって問い合わせがくるくらい頻繁に活用しており、それほどまでに仕事のパートナーとして欠かせない存在になっています。

紙様「生成AIを使っている」という表現ではなく、「AIナレッジを使っている」という風に社内の日常会話で使われ始めているのも浸透してきていると感じる一例ですね。


■PoCを経て、本格的な導入に向けて今後の構想などがあればお聞かせ下さい。

河野様:今後は、各部門に生成AIキーマンを育成し、現場での活用を促進したいと考えています。当社では3年前から「アスペクトアカデミー」という社内勉強会を定期的に開催しており、「他部門の業務内容やそれぞれが保有しているナレッジを知る」ことを主な目的として始まりましたが、今後は社内のDX推進事例や生成AIの活用事例の共有の場としても、有効活用していきたいと考えています。